サトライザーはあの後、2発しかないメタルストーム MAULショットガンを持ってBOBに出場しているプレイヤー達を追い詰めていくことにした。まずは近い相手から順々にサーチ&デストロイ、サトライザーの戦いはそれが基本だ。
しかし、2度もおかしな変態銃を拾わされたせいか、サトライザーの機嫌は悪かった。ここのプレイヤーは勝つ気がないのか? 日本人プレイヤーはこのBOBでふざけているのか? と内心の呆れも含まれている。
……と言っても、サトライザーもナイフどころか何も持たないで格闘戦を行うのはあまりにも日本人プレイヤーを舐めているとしか思えないのだが、それは言わない約束だ。
「いた」
三人目の獲物を発見した。彼は木製ののっぺりとしたライフルを携えており、腰にはハンドガンも携えている。まだこちらには気付いてない、絶好の獲物だ。
サトライザーは一気に駆け出し、木々を伝って上から仕掛ける。ツタを掴み、音もなく静かに後ろから激しい蹴りを入れる。
「ぐわっ!!」
相手はライフルを落とし、激しく蹴り飛ばされて近くの木に背中から突っ込む。着地する前に宙を舞ったライフルを拾い、転がったプレイヤーに向けてキャリングハンドルから覗く標準からフルオートで放つ。
しかし、銃声がならない。それでも弾は何発も着弾し、プレイヤーを襲う。そして、すべての弾丸を撃ち切ったところで弾が切れ、ライフルを捨てた。
「銃声が鳴らなかっただと?」
何かあったのか意味不明だが、これでこのプレイヤーは死亡したであろう。木に打ち付けられて、まもなくDEADのアイコンが……出なかった。
「!?」
そして、至近距離まで近づいたサトライザーに向け、一つの拳銃が向けられる。リボルバーであった、しかしその銃のシリンダーには謎の溝が彫られており、ただのリボルバーではない事は明白だった。
『ウェブリー・フォズベリー』
こいつはオートマチックのリボルバーという意味不明な銃だ。オートマチック拳銃が出始めたばかりの頃に誕生した銃で、リボルバーの利点とオートマチックの利点を吸収しようという魂胆で作られた。
要は射撃の反動を利用してシリンダーの回転とハンマーのコッキングを行うというトンデモ拳銃。射撃を行うとその反動で銃の一部が後退し、シリンダーに彫られた溝に沿ってシリンダーの回転とハンマーのコッキングが行われるのだ。
しかし、構造が複雑でリボルバーの利点である「構造が簡単」という点を殺してしまった上、オートマチック拳銃として見ても装弾数が少ないなど中途半端。しかも、肝心の溝に汚れがつくと動作不良を起こすという欠陥だらけの銃だった。
しかし、その銃は今回ばかりはきちんと作動した。それも、サトライザーの不意をついてきっちりと頭を狙って弾丸が放たれる。
「くっ!!」
それを横に転がるように避け、再びそのプレイヤーに近づく。相手はそのまま6発全てを打ち込むようで、ウェブリーを連射してくる。それを避け、木々を蹴って上に飛び上がる。
そして、手に持ったメタルストームMAULショットガンの2発中1発の散弾を、着地と同時にプレイヤーの顔面に撃ち込む。ヘッドショット判定で大ダメージを喰らい、相手プレイヤーに今度こそ DEADの印がつく。
「ハァ……」
まさか、あれだけライフル銃の弾丸を受けたにもかかわらず死んでいなかったとは。あれは初めからやられたフリをして、こちらを不意打ちする流れだったのだろう。してやられた。
そして、先ほどのプレイヤーが持っていた木製のライフル銃を見ると、先ほどの乱射で倒せなかった理由が分かった。
『ジャイロジェット・ピストル』
世界初、そして世界唯一最初で最後であろうロケット式ピストル。その名の通りロケットの弾丸を発射する拳銃である。
銃弾をロケット化することのメリットとしては2つある。射程延伸と静音化だ。 前者は言うまでもない。爆圧で放り出すのと違い、銃弾自らが推進器を兼ねるのであれば、飛翔中も加速できる。 もうひとつの静音化だが、装薬の爆発音がしなくなるので、銃声がだいぶ小さくなるのだ。先ほど銃声がしなかったのはこれのせいである。
とまあ、ロケット弾丸はかなり聞こえはいいが、実際は大失敗した。
まずテストでは至近距離で鉄帽を撃ち抜けなかった。これはロケット式の弾丸のため加速するまで時間がかかり、至近距離だと初速が遅すぎて意味をなさないからである。先ほどこの銃を撃ちまくっても相手プレイヤーが死ななかったのは、これのせいである。
おまけにロケット弾丸は14メートルも飛べば推進剤を使い切り、300メートル程度で落下してしまう。 有効射程に至っては驚愕の50メートル程しかない。
いや、厳密に言えば近すぎても意味ないため、有効射程は「何メートル以上、何メートル以内」というシビアすぎて使い辛い代物。そして、何より精度も悪い。
ちなみに、この銃はセールスの仕方も酷く、こいつを購入して蓋を開けると、出てくるのはバラけた部品である。
要は「今月号の付録はSFチックなハンドガンの組み立てキットです!さあ組み立てましょう!」である。それが市販のガバメントとほぼ同じ値段で買わされるのだ。誰も買わない。
さらに言えば、ピストル本体はプレス成形の左右貼り合わせ式モナカ割りで、各種部品を組み込んだ後にはめ合わせ、ネジ止めして完成。 夜店の景品でもお目にかかれない低レベルさである。
そして、この銃は開発者の二人の男による「現用の銃弾を全てロケット弾丸に変えて利権でウハウハするぜ!」という野望に則り、ライフルモデルも作られている。それが、先ほどサトライザーが撃った木製ののっぺりとしたライフルであった。
「また変な銃を……」
存在は知っていたが、まさかゲーム内でこんなポンコツを使う奴がいるとは思っていなかった。それどころか、GGOに実装されていることすら今日まで知らなかった。
そのあとは、いつも通りその武器も鹵獲しようとしたが、サトライザーは止めた。ウェブリーにジャイロジェット、あまりに使いづらくポンコツすぎる銃のため鹵獲したら足かせになる。
いや、むしろ日本人プレイヤー達はこうやってサトライザーを邪魔するためにこんな装備にしたのでは? と疑うレベルである。あんな扱いづらい銃、2度と使いたくない。
幸いにもメタルストームMAULショットガンの弾はまだ1発分残っているため、これだけでもう一人を殺す事は可能だ。
サトライザーはそう心を入れ替え、新たに走り出した。
作中に登場する変態銃のアイデアを募集しております。
この作品のオチはどうするか?
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サトライザーが生き残る(トラウマになる)
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サトライザーが誰かにやられる。
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爆発オチなんてサイテー!!!!