サトライザーは三人目を殺し、1キロ先にいる別のプレイヤーを狙う。メタルストームMAULショットガンの弾薬は残り1、それが切れたら体術で殺すしかない。
「あいつは……」
しかし、今度の相手はその体術ではうまく行かなそうだった。名前は《シシガネ》、ステータスをVITに極振りしているプレイヤーで、強力な対実弾ボディーアーマーを着込んでいる。体術で殺すのは、首元が固くて無理そうだ。
「なら……」
至近距離に近づき、ボディーアーマーを避けて隙間にショットガンの弾を浴びせる。それが一番だろう。サトライザーは作戦を立ててシシガネの後ろから飛び出す。
「シッ!!」
一気に距離を詰め、後ろから首元の薄い場所目掛けてショットガンを向ける。しかし、まだ撃たない。確実に仕留めるためにゼロ距離から放つつもりだ。
「!!」
と、シシガネが至近距離に近づかれたところでサトライザーに気が付いた。しかし、もう遅い。この距離はサトライザーにとっては必殺の距離で、とんでもないレートで弾幕を張られない限り近づくことは容易だ。
シシガネに向かって走るサトライザー、その口元には勝利を確信していた。しかし、シシガネは手に持ったサブマシンガンを……とんでもないレートで連射してきた。
「!?」
バレットラインが無数に伸びていき、サトライザーを捕まえる。そして、
脅威だと感じたサトライザーは一旦距離を取り、手を地面に着いた横ステップで弾幕を躱していく。そして、大きめの岩に隠れたが、サトライザーのいる岩に向けて無数の弾幕が放たれ……なかった。相手はリロードに入ったようだ。
「あれは……?」
サトライザーは岩陰からそのヘンテコ銃を見遣る。そこには、シシガネの装備重量ギリギリの短機関銃が、しっかりと握れていた。
『ビラール・ペロサM1915』
当初は航空機用機関銃として設計されていた、世界初の拳銃弾を用いるイタリア製の機関銃。特異なのはその見た目で、上向きにマガジンが刺さった銃身を2つ連結したような見た目となっている。
つまりは、銃身が2つなら火力も2倍だぜヒャッハー!!である。馬鹿じゃねぇの?
発射レートは驚愕の毎分1200~1500発。マシンピストル並であり、左右を合わせると毎分3000発相当となる。
しかし、拳銃弾のため航空機に対しては威力でも射程でも十分ではなく、逆に地上では銃床とグリップがなく、発射レートも過剰であった為に問題だらけであった。
しかし、拳銃弾を使う機関銃は後の短機関銃につながり、この銃は後に分解されて「ベレッタM1918」という短機関銃に転用されることになった。
「くそっ……あんなゲテモノ……! 装備重量的に無理だろ……!」
二本束ねた銃の為、結構重い。シシガネにとっては装備重量がギリギリだが、いつも付けていた高出力の防護フィールドを装備しない事で解決させていた。サトライザーは武器を鹵獲して使う、となれば光学銃を持っているプレイヤーはいないため光学銃は使わない。という事で、今回のプレイヤー達は皆防護フィールドは付けていない。
「こちらに来るか……」
シシガネはサトライザーがまだ隠れていると見計らっているのか、こちらに段々と近づいていっている。それに対し、この岩はかなり大きな一枚岩でこのままいけばシシガネの後ろに回り込める可能性もある。
「裏を取ってやる……!」
サトライザーは岩陰を伝ってシシガネの上の大きな岩に回り込む。全て一枚で繋がっている岩なので、バレずに簡単に移動できた。相手のシシガネはまだサトライザーが先ほどの岩陰にいると思っている。
「シッ!!」
サトライザーは上から仕掛ける。両足で首元を挟み込み、回して転ばせる。するとシシガネは転んでゲテモノ銃であるビラール・ペロサを落としてしまう。なんとかもがこうと、拘束されても暴れ続けるシシガネ。その首元に、最後のメタルストームショットガンの弾丸を向ける。
「ゼロ距離なら……!」
サトライザーはショットガンの引き金を引く。シシガネは急所に散弾が当たった事でHPを全損し、糸が切れた人形のようにブッツリと動かなくなった。
「ハァ……ハァ……」
これで四人目、先ほどからやはり変な銃を持ったプレイヤーにしか会わない。サトライザーは弾が切れたショットガンを捨て、シシガネが落としたビラール・ペロサを拾う。弾はフル装填されているので、この銃は重要な戦力になるだろう。
「重い……」
……唯一、重いのが欠点だが。しかし、発射レートにモノを言わせて至近距離から弾幕を張ったり、牽制目的に使うのも良さそうだ。
さて、そんなことしている間に二回目のサテライトスキャンが間も無く始まる。サトライザーは気を背もたれにして腰掛け、サテライト端末を開いていた。ホログラムで表示されるマップに、間も無くサテライトスキャンが始まるカウントダウンが鳴っている。
決勝戦開始からすでに30分が経過している。そろそろ他の場所でも戦闘が起こって数が減っていることであろう。その合間を縫ってサトライザーはここのプレイヤー達を全滅させる。それだけである。
そして、いよいよサテライトスキャンが開始された。マップに光点としてプレイヤー達が表示される。その数……サトライザーを含めて26人である。
「は?」
いや待て、思わずそんな声が出てしまう。大会開始から30分が経っているのに、まだ4人しか減っていないではないか。それも、おそらくは先ほどサトライザーが倒した変態銃持ちのプレイヤーだろう。
となると、ここのプレイヤー達はまだ一人として殺し合っていないということだ。いや待て、絶対おかしい。30分掛かってサトライザー以外がプレイヤーをキルしていないなんて
点が重なっているプレイヤーも多数いる。特に、「立てこもリッチー」こと獅子王リッチーの場所には、四人も固まっているではないか。それなのに、殺し合いが起きていないという事は……
「まさか……」
まさか、サトライザーを倒すために全員が結託したのか? まさか、サトライザーを困らせてBOBでサトライザーだけを倒すために結託したのか? それなら、今までの4人がおかしな銃を持っていたのも頷ける。
「まずい!」
サトライザーはサテライトスキャンが終わる前に端末をしまい、とにかく駆け出した。先ほどのスキャンで、プレイヤーが6人ほどサトライザーに向かって移動し始めたのを見たからだ。
「日本人め……! そこまで第一回がトラウマなのか……!」
たしかにサトライザー自身でも、第一回はやり過ぎた気がする。あまりに無双し過ぎたせいで、運営から出禁を食らったくらいである。
「面白い……全員殺す!」
全員が手を組んで敵になったのなら、サトライザーはここのプレイヤーを全員殺すだけである。闘士が燃える、このいじめのような環境でサトライザーはむしろ燃えていた。
……と威勢よく言ったものの、もし仮にここにいるプレイヤー全員がおかしな銃を持っていたら、流石のサトライザーでも勝てるかどうかは怪しい。
サトライザーが現実で使ったことのないような、馬鹿みたいな銃やゲテモノ銃、そして使えないポンコツ品ばかりだった場合、果たして勝てるかどうかである……
作中に登場する変態銃のアイデアを募集しております。
この作品のオチはどうするか?
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サトライザーが生き残る(トラウマになる)
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サトライザーが誰かにやられる。
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爆発オチなんてサイテー!!!!