今そんな気分です。
それではどうぞ。
私とMはポケモンセンターを出てジムへ歩いて行く。その途中でベルとアイリスに遭遇した。
「あ、おねーちゃんたち! さっきぶりだね!」
アイリスが元気に話しかけてくる。
「あ、確かトウヤとトウコと一緒にいた……そういえば自己紹介してなかったね。あたしはベル。さっきは一緒にムンちゃんを取り戻してくれてありがとう!」
ベルが自己紹介をしながら感謝の意を示す。
「どういたしまして。私はメイ、で、こっちはM」
「よろしく」
「あたしはアイリス、よろしくね!」
「あれ? メイちゃんってもしかしてアララギ博士が言っていた優秀なトレーナー?」
やはりというかベルにも私のことが伝わっているらしい。
「優秀かどうかはわからないけど、アララギ博士に手伝いを頼まれたのは私です」
「へえ、じゃあじゃあ、もうバッジ何個も持ってるとか?」
ベルが若干興奮しながら訊いてくる。
「いいえ、実はこのヒウンシティのジムが初めてなんです」
そうなんだよね、実は旅を始めて初めてのジム戦なんだよね。ここまで来るのに何気に長かった気がする。
「ふうん、そうなんだ、初めてのジム戦かあ。あたしも最初は緊張したなあ。苦戦しながら何とか勝てたんだっけ、ついこのあいだのことなんだけどなつかしいな。あ、そうそう、せっかくだしライブキャスターの番号交換しない? あと年も近そうだし敬語じゃなくてもいいよ」
ゲームと変わらずベルはマイペースだね。
「わかった。これでいい?」
そう言ってお互いのライブキャスターに番号を登録する。
「よし、登録完了っと。なにかあったらよろしくねえ。さてとそろそろいこうかな。ジム戦がんばってね! いこ! アイリスちゃん!」
「じゃーねー! おねーちゃんたち!」
そう言ってベルとアイリスは去って行った。まるで嵐みたいだったな。おっとそれよりもジム戦、ジム戦。危うくまた忘れるところだった。そうして私たちはジムへの道のりを歩く。そしてようやくジムまでたどり着いた。
「ふう、やっと着いた。なぜかすごい遠い道のりだった気がするぜ」
「そう? 気のせいじゃない?」
Mがツッコミをいれてくる。まあその通りなんだけどね。さてジム戦と洒落込もうじゃないか。
「こんにちはー! ジム戦しに来たんですけどー!」
ジムに入り声を張って誰かを呼ぶ。すると奥のほうからアーティさんが出てきた。
「やあ、メイさん、Mさん、ヒウンジムへようこそ。さっきぶりだね。メイさんのジム戦かい?」
アーティさんの問いに対して私はその通りだと答える。
「んうん、そうか。それじゃあバトルフィールドに案内するよ。ついてきて」
あれ? そういえばジムに特有の仕掛けがないな。周りを見てみると改装工事中によく見られるブルーシートで覆われている部分が数多く見られる。ゲームでは確かネトネトした壁を越える仕掛けだった気がするんだけど。
そのことをアーティさんに聞いてみるとその仕掛けはあまりにも不評だったため現在ジムの改修中とのこと。
アーティさんに連れられて着いたのは草原のようなバトルフィールドだった。なるほど、むしポケモンに有利なバトルフィールドってところか。
Mはバトルフィールド横にある観戦席に座ってこちらを見ている。
「ところでメイさんはバッジをいくつ持ってる?」
「一つも持っていません」
「ふむう、わかった。では、審判! バッジは0個の挑戦者だ。その通りに頼む! さ、メイさん、位置についてくれるかな」
そうしてバトルフィールドの端っこにある人が指示をだすゾーンにつく。そして審判からバトルのルールが告げられる。
「これよりジムリーダー、アーティ対チャレンジャー、メイのバトルを開始する。使用ポケモンはお互いに2体までとする。ポケモンの交代はチャレンジャーのみ。相手のポケモンを全て戦闘不能にした方の勝利とする。それでは……バトル開始!」
審判よりバトル開始の合図が出される。
「よし、いこうか。出てこい! イシズマイ!」
『キュウウウン』
アーティさんが繰り出してきたのはヤドカリのような姿のいしやどポケモン、イシズマイだ。
「それなら、ユウヒ! Start the Struggle!」
『っし、俺の出番か』
それに対し私はユウヒを繰り出す。
「先手はもらいます! ユウヒ! かみなり!」
『おらあああ!』
ユウヒから荒ぶる雷が発射され、イシズマイに襲いかかる。
「! 避けろ! イシズマイ!」
『うわっと』
アーティさんは回避を命じる。イシズマイは指示通りにかみなりを回避してみせる。ちっ、当たらなかったか、やはり命中率が悪いな、かみなりは。
「ビシィッ!! スイッチ入ったよ!! イシズマイ! むしのていこう!」
『はあああ!』
イシズマイから波打つオレンジ色の波動が広がりユウヒに向かってくる。
「ユウヒ! しんそくで回避!」
『はっ!』
ユウヒは迫りくる波動をしんそくを使って高速で動くことで回避する。
「ロックブラスト!」
『ふんっ!』
今度はイシズマイが生み出したいくつもの岩が直線状の軌道を描きユウヒに迫る。
「かげぶんしんで回避!」
ユウヒは分身を生み出すことでロックブラストを回避する。代わりに分身が数体消えるが問題ない。そのまま追撃する!
「ユウヒ! 10まんボルト!」
『おらああ!』
数十体のユウヒから先ほどのかみなりよりは威力が劣るが命中率のある10万ボルトという電撃が放たれる。今度は避けられることなくイシズマイに命中する。
『きゅああああ!』
「イシズマイ!」
よし命中! イシズマイはふらふらとしていて今にも倒れそうだ。だがさすがに一撃とはいかなかったか。結構レベル差があると思ってたんだけど。
ああ、そうか。そういやイシズマイは特性にがんじょうがあったな。がんじょうという特性は体力が満タンのときに一撃で倒されないという特性だ。あと一撃必殺技が効かないという効果もある。
「ユウヒ! 追撃のエレキボール!」
『はああ!』
ユウヒから追撃のエレキボールがイシズマイに襲いかかる。
「イシズマイ! ロックブラストでガードするんだ!」
『きゅう……』
イシズマイは指示通りガードしようとするがさっきのダメージが残っており思うように行動できない。そしてユウヒから放たれたエレキボールがイシズマイにヒットする。
『きゅあああ! きゅうん……』
イシズマイは目を回しダウンする。
「イシズマイ、戦闘不能!」
審判から戦闘不能を告げられる。
「お疲れイシズマイ、ゆっくり休んでくれ。キミのピカチュウ、よく育てられているね」
アーティさんはイシズマイをモンスターボールに戻し、私のユウヒを褒める。
「ありがとうございます」
「だけど、次はどうかな? いってきて! クルミル!」
『クルルル』
そういってアーティさんが出してきたのは葉っぱに包まれたイモムシのような姿をしたさいほうポケモン、クルミルだ。クルミルか、やはり最初のジム戦だからなのか確かに拍子抜けかもしれない。だが手加減はしない。
「それなら、戻ってユウヒ、そして、カティ! Start the Struggle!」
『ウオオオオン!』
カティは咆哮を上げて出てくる。。
「へえ……! ウインディか。相手にとって不足はない。じゃあいくよ! クルミル! いあいぎり!」
バトルが開始され、クルミルが体にくっつく葉でいあいぎりを当てようとカティに近づいてくる。
「カティ! フレアドライブ!」
『はああ!』
カティは向かってくるクルミルに対し逆に炎を纏った突進をお見舞いする。
『キュクルウ!』
突進を受けたクルミルは吹き飛んでいきジムの壁に激突する。
「クルミル!?」
『クルルル……』
「ぬうん……ひょっとして終わり!?」
どうやら一撃で沈んだみたいだ。クルミルは目を回して倒れている。
「ク、クルミル戦闘不能! よって勝者チャレンジャー、メイ!」
よし、完勝。最初のジム戦だけあって楽な戦いだった。必殺技のしんそくと他の技の同時使用も使うことがなかったしね。
「ふう。お疲れ、クルミル。よく頑張ったね」
そう言ってアーティさんはクルミルをモンスターボールに戻す。
「お疲れ、カティ。ボールに戻って」
私もカティをモンスターボールに戻す。
「あうう、負けちゃったよ。おめでとう、メイさん。キミのポケモンたちはよく育てられているし、ポケモンの相性も良く考えられ、状況に合った選択もできていた。完敗だよ」
アーティさんはそう言って私を手放しで褒めてくれる。
「ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです」
私は笑みを浮かべながら言う。
「うんうん、じゃあ……はい、これがこのヒウンジムを勝ち抜いた証、ビートルバッジだ!」
アーティさんはビートルバッジを手渡してくれる。
「よっしゃあ! ビートルバッジ、ゲットだぜ!」
バッジを受け取り、アニメでおなじみのあのセリフをポーズを決めて言う。いやあ、一回言ってみたかったんだよね。
「あ、そういえばバッジケース持ってる? なければあげるよ」
お、そういやバッジケースは持ってないな。ここはありがたく頂戴しておこう。
「ありがとうございます。いただきます」
「じゃあ、はい、これがバッジケースね」
アーティさんからバッジケースをもらう。なかは8つのバッジが収められるようになっていた。ポケモンリーグに出場するには公認ジムのバッジを8つ集めなければいけない。
「お疲れ、メイ。どうだった?」
Mが観戦席の方から近づいてきて訊いてくる。
「まあ、言っちゃなんだけど楽勝だったかな」
「ふう、言ってくれるね。でもバッジ0個の人の実力を考えるとこれくらいが適正なんだよねえ」
アーティさんはうんうんと頷きながら続けて話す。
「まあキミのような実力者もたまにいるんだけどね。そういった子たちには悪いけどこれが今のボクのやり方さ。もちろんジムバッジにふさわしいかどうかしっかりと見させてもらってるけどね。でも、そうだね、キミならバッジ八つは固いだろうね。それほどの実力をキミとキミのポケモンは持っていると思うよ。ああ、そうそう、忘れてた。はいこれ」
アーティさんが差し出してきたのは一枚のディスクだ。お、これはわざマシンか。確かもらえるのはむしのていこうだったっけ。
「これはわざマシン。中身はむしのていこう。むしのていこうはダメージを与えた相手のとくこうも下げるんだよね。そういうなんでもないことが大事だったりするからさ」
ちなみにだが、わざマシンは旅するトレーナーにとっては高級品だ。原作と違って他人からもらえるなんてことはない。考えてもみてほしい、サラリーマンの平均月給と同じ額もするものを見ず知らずの他人にタダであげるか? 私だったらあげない。つまりはそういうことだ。
わざマシンはイッシュ地方ではNo.1~95、ひでんマシンの1~6すべて販売されているがすべてを購入するには圧倒的に資金が足りない。それゆえわざマシンを買うときには十分に厳選され、考察を重ねてからとなる。だから他人からわざマシンをもらうことは非常にありがたいことなのだ。それが使えるかどうかは別として。
「ありがとうございます。わざマシンまでいただいて」
私はアーティさんにお礼を言う。
「もし虫ポケモンを使うことがあればぜひ使ってほしいな。それじゃ今日はジムに来てくれてありがとう。またこのジムに来ることがあれば遠慮せずに来てくれていいからね」
「はい、今日はありがとうございました。ではまた。じゃあいこうかM」
「そうね」
「じゃあねえ」
アーティさんに見送ってもらってジムの外に出る。すると既に夕方になっていた。
「う~ん、今日はもうポケモンセンターで休んでもいい? なんだか疲れちゃった」
「うん。いいよ」
私が問いかけるとMはそれを了承する。よし、ならポケモンセンターに行こう! そうしてポケモンセンターに着き、この日はそのまま晩御飯を食べて休んだ。
ありがとうございました。