ポケットモンスター鳴   作:史縞慧深

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モチベが上がんねぇ!
それではどうぞ。


57話 壊れた兵器と軍団戦

 ! やべえ! 見つかった! 鳴り響くアラーム音に私は焦る。どうするどうするどうする!? とにかくこの装置を壊す。はああああああ!!! 私は装置に向かってはどうだんを放つ。それも何度も何度も。装置がボコボコになるくらいまではどうだんを撃ち込む。

 

「ラティアス! 調子はどう!?」

『うん、いつもの調子に戻った!』

 

 っしゃあ! 破壊成功。最初からこうすればよかったぜ。すると扉が開く。

 

「! ラティアス! 姿を消して!」

 

 私はラティアスにだけ聞こえるような声量で言い、ラティアスは慌てて能力を使い、姿を消す。そしてラティアスだけが姿を消した瞬間、大きめの扉からプラズマ団がぞろぞろと入ってくる。その数、百人余り。ちょ、ちょっと待って、これはまずい。

 

「貴様が侵入者……! 貴様、我らの技術の粋を集めて作った装置をよくも!」

 

 プラズマ団の一人が言う。

 

「(ラティアス、静かに聞いて。この部屋から出て助けを呼んできて)」

 

 私は小さな声で言う。すると私からは目に見えないがラティアスの波導が遠ざかっていく。よし、これであとは助けを待つだけだ。何とか時間を稼がないと。

 

「へ、へえ、この装置ってそんなに大事なものだったんだ。どんな装置だったのかな~?」

「うるさい、黙れ! お前たち、こいつを叩き潰す! 全員ポケモンを出せ!」

 

 そしてプラズマ団たちはポケモンを出してくる。イッシュ地方に生息するあらゆるポケモンがこの部屋に居る。森に暮らす者、洞窟に潜む者、水の中を駆ける者、空を舞う者、まさにポケモン博物館。スゲー、こいつら全員図鑑に登録したいんだけど。ってそんな暇ねえよ!

 

「皆! Start the Struggle!」

 

 私は手持ちのポケモンたち全員を出す。状況を理解したリオたちは即座に身構える。

 

「はっ! たった6匹のポケモンで何ができるって言うんだ? 俺たちは100匹以上いるんだぞ?」

 

 そう言うとどっと笑いが起こる。考えろ考えろ考えろ。

 

「わからないよ。もしかしたら奇跡が起こるかもしれないじゃない」

 

 考えるんだ。奇跡じゃなくこの状況を打破できる方法を。たった6匹で100匹相手に無双できる……! 無双……そうだ! できるぞ。積み技と範囲攻撃を併せ持つあの子なら!

 

「なんか可哀想になってきたなあ。よし、特別にお前をボコボコにするのはやめておいてやる。大人しく捕まってもらえるかな?」

 

 私はイヴを抱きかかえて口元を隠す。

 

「(イヴ、そのまま聞いて。私がいいと言うまでめいそうを続けなさい。わかったら小さく尻尾を動かして)」

 

 私はイヴだけに聞こえるように言う。そして尻尾を軽く動かすのを確認しながら、声を大きくして言葉を続ける。

 

「そうですねえ~。私としても~、痛いのは嫌なので~、そうしたいのはやまやまなんですけど~、あななたたちは~、私のポケモンたちを解放しちゃいますよね~?」

 

 態と語尾を伸ばすように喋り時間を稼ぐ。出来るだけ長くめいそうの時間を伸ばす。やればやるほどに勝てる可能性はデカくなる。

 

「そりゃそうだ。俺たちはポケモンを解放するために活動してきたプラズマ団だからな」

 

 はっ、無理やり人からポケモンを奪うのが解放ね。笑わせてくれる。プラズマ団の思想は確かに正しい面もあるかもしれない。しかし大切なものが抜けている。ポケモンの意思が存在していないことだ。ポケモンたちが本当に別れを望んでいるのか否か。それくらいもわからないほどコミュニケーションが取れないのならここまで人間とポケモンは上手く付き合ってこれていない。

 

「…………う~ん。なんとかポケモンたちと別れずに済む方法はないものですかね~」

「……お前、時間稼ぎしてるな? 小賢しい真似を」

「ちっ、ばれたか。それなら! ルカ! 皆にしんぴのまもり! そして私の前へ! ユウヒはルカの後ろで最大範囲の広域のでんじは! リオは右! カティは左! ライカは私の頭上! イヴは私の後ろでめいそうを続けなさい!」

 

 私はリオたちに次々に指示を飛ばし迎撃態勢を整える。そして棒を取り出し、波導を滾らせる。背中には巨大な装置があるだけなので後ろは気にする必要はない。

 

「あくまで抵抗するんだな。それなら……ポケモンたちよ! かかれえ!!!」

 

 プラズマ団の号令を皮切りにポケモンたちが襲い掛かってきた。

 

「ルカ! ハイドロポンプで薙ぎ払って! 近づいてきたやつらにはまとめてアクアテール!リオ! 兎に角きあいだまときあいパンチで敵を近づけさせないで! カティ! だいもんじで敵を焼き尽くして! フレアドライブも忘れずに! ライカ! 私たちを中心に巨大なすなじごく! 敵の遠距離攻撃をシャットアウト!」

 

 ルカが激しい勢いの水流で敵を薙ぎ払い、その攻撃で何十体ものポケモンたちが吹き飛ばされる。リオの等身大の波導の弾が敵を弾き、一点集中の一撃が敵を穿つ。カティの大の字の炎が敵を焼き、炎を纏った突進が敵を跳ね返す。ユウヒの電磁フィールドが敵の動きを鈍らせる。ライカの砂の竜巻が遠くからの攻撃から私たちを守り、空のポケモンたちを寄せ付けない。そしてこの連携を潜り抜けてくる敵は私が棒で払う。

 

「皆! 深追いは厳禁! ユウヒのでんじはの範囲から離れないで! 視野を広く持って!」

「くそが! 相手はたった6匹だぞ!? 何をやっているんだ!」

 

 プラズマ団の罵声が聞こえてくるがそんなことはどうでもいい。次々に襲い掛かってくるポケモンたちを皆で力を合わせて撃退していく。チラリとライブキャスターの時間を確認する。戦闘開始から約3分。くぅ、まだ3分しか経っていないのか。

 

「リオとカティ! 出来るだけ多くの敵を巻き込んで! ルカ! もう一度皆にしんぴのまもり! ユウヒは変わらず広域のでんじは! ライカ! すなじごくは維持してドラゴンテールを上手く使って! イヴ! 私たちを信じてめいそうを続けて! イヴがこの戦いの切り札だ!」

 

 リオとカティの動きを矯正し、ルカに切れかかっていたしんぴのまもりを掛け直させる。ユウヒには限界まで広域のでんじはを維持してもらい、ライカにもすなじごくを極限まで持続させる。その後も私とリオたちは無限に湧き出ているんじゃないかとも思えるほどの数のポケモンたちを蹴散らしていった。

 

 

 

 

 

 

 戦闘開始から約10分経過した。私とリオたちは既に疲労困憊。ずっとめいそうを続けているイヴ以外皆、肩で息をしている。

 

『はあ、はあ、まずいわ。すなじごくが切れる』

『くっ、こちらも広域のでんじはが切れそうだ』

 

 ついにこの時が来たか。この守りが無くなればこちらは総崩れになる。もう限界か。

 

「いくよ。イヴ。準備はいい?」

『やっとわたしの出番ね。準備は万端だよ』

「よし、イヴ、ライカのすなじごくが切れた瞬間にサイコショックの弾を部屋中にばら撒け。そして竜巻のように回転させて。できるね?」

『当然!』

『本当にもうすなじごくが切れるわよ!』

 

 そしてその時は訪れる。ライカのすなじごくのバリアが無くなり、ユウヒの電磁フィールドも消える。

 

「今だ! イヴ! サイコショック!」

『はああああああっ!』

 

 イヴの放った青く光る無数の弾が部屋中に溢れかえる。そしてその無数の弾は竜巻のように高速回転しポケモンたちを一掃した。ポケモンたちを倒されたプラズマ団たちは皆ポカーンとした間抜けな表情で突っ立っている。

 

「フ、フフ、フフフ、アハハハハハ! どうだ! たった6匹だからって油断しちゃった? 油断したよねぇ! 誰だってこんな数のポケモンたち相手に勝てるとは思わないもんねぇ、アーハッハッハッハッハッハ!」

 

 私は棒を肩にのせ高笑いする。ハハハ! 笑いが止まらない!

 

「あ、ありえねえ。こっちは全員6匹ずつポケモンを出したんだぞ?」

「へえ、ということは私たちは600匹以上のポケモンを倒したというわけだね」

 

 これは自慢できちゃうなあ。すると、

 

 ドガアアアン!!!

 

 という音が扉の方から響いてくる。そして突然プラズマ団たちが悲鳴を上げ始める。

 

「うわああああああ!!!」

 

 しかもここに居る百人余りのプラズマ団全員がだ。うう、耳が痛い。一体なにが起こっているんだ。私が事態を把握できないでいるとプラズマ団たちは全員気絶してしまった。マジでどうなってんの……! 誰か来る。私が身構えるとその正体はすぐにわかった。

 

「「メイ!」」

 

 ミスティとアリアだった。そばにはラティアスとラティオスもいる。

 

「ミスティ! アリア! ちょっと遅かったね。もう終わっちゃったよ」

「終わったって、じゃあこの倒れているポケモンたちは全部メイが?」

 

 そう、私の周りには今戦闘不能のポケモンたちがたくさん倒れている。全てプラズマ団が出してきたポケモンたちだ。

 

「そうそう。私とリオたちで、ね」

 

 私がそう言うとミスティとアリアは驚愕の表情を見せる。

 

「驚いたな。これだけの数のポケモンたちをたった6匹でか」

 

 実際は倒れているポケモンたちと、更にプラズマ団がボールに戻したポケモンたちを含めてだな。

 

「まあ、そんなことはどうでもいいとして。今の状況は?」

「今は最初のロビーでジムリーダーたちが戦ってる。そっちは問題なさそう。トウコとトウヤはわからない」

「そう」

 

 じゃあ、トウコとトウヤはおそらくNとの最終決戦の最中かな。

 

「これからどうする?」

「そうだね……トウコとトウヤを探そう。多分、城の最上部にいると思う」

 

 原作通りならだけど。

 

「なら、行こう」

「ああ」

「よっし、じゃあ、イヴ以外は戻って、皆、お疲れ様。イヴは今の状態のままボールに戻らずについてきて」

『わかった』

 

 そうして私たちは再び姿を隠し、城の最上部へ向かった。

 

 

 

 

 

 城の最上部へ向かう途中で二人の人影を発見する。チェレンとアデクさんだった。二人は悔しそうな表情をしていた。

 

「(ミスティ、アリア、この二人の前に姿を現す。アリアは不自然じゃないように幻影をかけて)」

「(了解した)」

 

 アリアは小声で返事をし、ミスティは頷いた。

 

「おお、お主らは」

「ん? 君たちは」

 

 アデクさんとチェレンが反応したのを見てから私は声をかける。今の状態は私、ミスティ、アリア、イヴが姿を現していて、ラティアス、ラティオスが未だ姿を隠したままだ。

 

「アデクさん、チェレンさん」

「お主らもここまで来たか。だが一歩遅かったようだな。もう決着はついたぞ」

「アデクさんの言う通りだね。トウコがNを、トウヤがゲーチスを下したんだ」

 

 へえ、そんな風になったんだ。

 

「そうですか」

 

 ようやく終わりか。あ~、なんか一気に疲れが出てきた。おっとと。私は少しふらついてしまう。それをミスティとアリアが支えてくれる。

 

「君、大丈夫なのかい?」

 

 悪いねチェレン、心配かけちゃって。

 

「大丈夫です。ちょっとさっきまで激しい戦いをしていたものですから。疲れが出ただけです」

「激しい戦いって、ポケモンバトルでトレーナーがそんな状態になることなんてないと思うんだけど……」

 

 チェレンは少し呆れた様子で言う。チェレンの言うことももっともだがこれには深い訳があってだな……。

 

「ははは、それ程緊迫したバトルだったのだろう。メイ、それにミストラル、アリア、君たちの協力に感謝する」

 

 私たちは気にしないでくださいと返す。

 

「そういえば外の状況はどうなったのだ?」

 

 アリアがアデクさんに尋ねる。私も気になる。チェレンも気になるのかアデクさんの方を向く。

 

「おう、しばし待っておれ。……レンブ。そちらの状況はどうだ――」

 

 アデクさんはライブキャスターで四天王の一人レンブさんと連絡を取っている。しばらくするとアデクさんが再びこちらの方を向いて話し始める。

 

「外は問題なく制圧したそうだ」

「じゃあ、本当にこれで終わりですね」

 

 BWの事件はこれで終了か。

 

「いや、ゲーチスを取り逃がしてしまったし、奴を捕まえるまでは気を抜けないよ」

 

 チェレンが拳を握りしめる。あー、やっぱりそうなったのか。

 

「だが、まずは体を休めないとな。皆戦いで疲れているだろう」

「その意見に賛成します。もうヘトヘトで」

 

 その後、プラズマ団たちはN、ゲーチス、その他の七賢人を除いて全員捕まり、プラズマ団の襲撃事件は一応の終幕を迎え、プラズマ団は実質崩壊した。

 




ありがとうございました。
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