曹操軍によって軍は壊滅され父も亡くした彼女だったが、いつしか『まじこい』の世界へと来てしまう。
その際の影響か記憶も自身の名前が玲綺という名前以外を思い出さない。
果たして、彼女の今後はどうなるのか?
第一話 『孤独』
目の前で父親や仲間達が捕まった。
助けられるのは自分のみ、ならばと彼女に迷いなどなかった。
「はっ!」
自分の愛刀である十字戟の刃で周りの兵士を確実に刈り取りつつ、父を助けようと走り出す。あと少し、あと少しで助けられる。そう確信した。
しかし、現実は甘くない。他の兵士が彼女へと矢を構えた。
「!!」
父親はそれに気づくと、渾身の力で取り押さえていた兵士を振り払った。だが、拘束されているために両手は使えない状況。ならばと、足で武器を蹴り飛ばして彼女に構える兵士を殺す。しかし、抵抗は虚しく再び捕まってしまった。
・・・もうどうすることも出来ない。
そう確信した彼女の父親は叫んだ。
「生きろ、玲綺!」
「!?」
彼女は足を止めた。
その意味はどういう意味か。戦場に生きる彼女にとって、理解ある言葉であり一番理解したくなかった言葉だった。
「・・・」
彼女は唇を噛み締め、そして父親とは逆の方向へと走った。
誰もいない荒野。
たった一人だけ生き残ってしまった彼女。支えとなっていた国も父も仲間も失った。
おそらく父はもう、この世にいないだろう。敵は父を一番に殺したいと認識しており、自身が父を敵として捉えて考えたとしてもそれほど強い人間を生かしておくとは思えない。
「・・・」
孤独が彼女を襲う。
「・・・・・・っ」
過去の記憶が蘇る。今まで、戦場に立っていた理由はこの恐怖を拭うために立っていた。自分が戦えばこの孤独感をなくせると信じて戦っていた。それなのに結局はこのざまだ。
「私は・・・私は・・・これからどうすればいいのです、父上」
生きろと言われた最後の父親の言葉。
でも、ただ生きているだけでは屍と何も変わらない。それがこの世界の残酷であり基本。
「・・・」
十字戟の刃を首元に近づける。
”一人になるくらいなら、私は・・・!”
一粒の涙が流れた。戦うと決めていた日から泣いたことはなかったというのに。
やはり、どんなに鬼神に振舞ってもこういう状況になれば自身の弱さが現れてしまうということか?
でも、その悲しみはそれもここで終わる。
「お許し下さい。父上・・・」
そして、彼女は喉元に刃を突き刺した。
「っ!?」
意識が戻る。目覚めると自分は雨に打たれていることに気づく。上はずぶ濡れ下は泥だらけ状態だ。
いや、そもそもなぜこのような状態なのだろうか?
自分は確かに喉を切ったはずだ、死ぬために。なのになぜ生きている?
それともここは噂に聞くあの世という世界なのだろうか?
彼女は胸元に触れる。
ドックン、ドックン。
心臓はなんの問題なく動いていた。
「・・・」
彼女は次に喉を触る。しかし、喉にも血どころか傷も穴も空いていない。
「・・・っ!?」
そして、あることに気づく。
「・・・私は・・・誰だ?」
――――自分が玲綺という名前以外、記憶がないことに。
第一話ですので、こんな感じです。
とりあえず、まだ投稿2個目でまだまだ様子見ですので、お許し下さい。