真剣で玲綺に恋しなさい!   作:アイン会長

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強さとは・・・。


第十三話『日常②』

強さには色々な種類がある。

では、自身が目的とする強さはなんだろうか?

自身の一人の力では決して川神百代を倒すことは出来ない。それはすでに立証済みだし、ただ勝利を求めるならばいくらでも勝敗方法はある。

その一つは残酷な話だが、一度勝った時に『殺す』ことだ。殺す=消滅の意味であり再戦も再来もない安全な策。

でも、それは良い策ではない。危険だから殺すでは百代以外の他の人間、例えばクローンやそれらを生み出した九鬼家も危険分子だし、自身も人を恐怖に脅かすほどの『力』は所持している。

要するに世の中は『支配者』という名の安全な鎖を手に入れたいということだ。

それに川神百代も『武道』においては『最強』と称号されているが世の中の鎖の前では『弱者』に過ぎないし、恐らくは本当の『最強』は川神百代ではない。

・・・そう考えると、自身の目的とは一体なんだろうか?

「恩返し・・・?」

ふと、過去を振り返ると記憶がない自分を保護してくれた九鬼への恩を返すことが第一では思い描く。九鬼に川神百代を倒せたのは九鬼のおかげと大アピールすることで九鬼への恩も信頼も後の自分にもためにもなる。

「・・・・」

――彼女の思考は徐々に結びつつあった。

 

 

川神学園屋上。

「意外だな。レイちゃんが私に話があるなんて・・・」

呂玲綺は屋上に川神百代を呼び出した。玲綺は彼女に聞きたいことがあった。ちなみに玲綺は百代にはレイちゃんと呼ばれている。

「川神百代。貴様に訪ねたいことがある」

「なんだ、私のスリーサイズか?」

百代は少し緩んだ顔で対応をしているが、その裏では明らかに戦う覇気のオーラが溢れているのがわかり、それは玲綺も同じく、気の武装はしていなくても覇気のオーラは放っていた。

お互いは裏ではすでに闘っている。

二人が出会った時から、始まっており今まで平常で会話したこともない。もとより玲綺自身が川神百代と仲良くするつもりが全くなかったためでもある。当の本人はそれを知っていて、なお自身に多少なりとも接しようとしていたのである意味で尊敬にするが目の前に倒すべき相手がいるとなるとどうしても仲良くすることは玲綺には出来なかった。

「違う。お前に決闘を申し込む」

「・・・ほぉ」

瞬間、川神百夜の覇気が一気に上昇する。

「するのか、しないのかどっちだ? 川神百代」

「・・・当然――」

百夜の覇気がさらに上がり、彼女の口が開こうとした瞬間。

「駄目だ」

ヒュームがお互いの間に入り込んだ。

「!!」

気がつけばヒューム、鉄心、ルー、クラウディオの四名が屋上に集結していた。恐らく百代の覇気が一気に上昇したことに気づき、駆けつけたのだろう。

「ヒューム殿、どうして邪魔をする? 私は百代を倒すために九鬼と契約したはずだが?」

ヒュームはネクタイを結び直しつつ口を開く。

「そうだな。貴様が百代と決闘すること自体は問題はない。」

「だったら・・・」

「ただし・・・この川神学園のルールとして決闘するならば『今』は駄目だ」

「・・・!」

玲綺はヒュームのその言葉を聞き逃さなかった。

「・・・今だと? なら、いつだったいいですかね?」

一方の百夜も聞き逃さなかったらしいが、彼女自身は今ここで勝負する気満々だったために、少し感情に暴虐の覇気が混じっている。

「そう怒るなモモ。さっき九鬼と話し合ってある決闘が決定したので、それまでは武による決闘は休みにしたんじゃ」

鉄心が荒くる百夜に落ち着かせるように優しく声かけしているつつも、その裏では先ほどの二人のようにオーラを纏っている。いや、それは他の四人も同じだ。

どうやらこのまま百代が承諾しなければ説得バトルが展開されようとしているらしい。

「・・・」

一方の玲綺は、何の意義はなく黙って話をきく。

「・・・それで、九鬼とどんな決闘にするって決めたんですか?」

百夜は呆れ顔をしながら早くも決闘内容の詳細を訪ねた。というよりも、ここで駄々をこねて四人とバトルして今後の闘いに影響を受けるのは無意味だと判断したからだと解釈をしてもいいだろう。

「内容は・・・」

鉄心から言われた決闘。

その内容に驚愕する二人だったが、すぐに承諾されて闘いが始まった。

 

 

 

・・・だが。

――この闘いの火蓋により、武の無双乱舞時代へと発展してしまうことを二人は元より川神市全域はまだ知る由もなかった。




武の無双乱舞時代へ・・・。

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