彼女の運命は・・・どうなる?
尋問という表現は難しいです。
玲綺は目を覚ました。
視野に映ったのは、二人の老人。しかし、玲綺は見た目に反して二人の圧倒的な自身との実力の違いを見せらつけられるほどのオーラを感じ取り、抵抗をするという思考を諦めた。
幸い拘束はされていない。ただ少し狭い部屋で椅子に座って、二人の真ん中にいるというだけの状況だ。だが、拘束されていないということだけでも心に安心感を抱く自身がいた。
玲綺はどうやら拘束されることが嫌いらしい。それがあの戦いの原因の引き金ということなのか。その導きに、玲綺はまた自身の性格を把握したことに喜びを覚えた。
「・・・おはようございます」
白髪でメガネをかけた老人が挨拶をした。玲綺もまた、抵抗するという考えを捨てた瞬間、次に考えが浮かんだのは『自身の存在』という思考に至る。そして、その記憶を手に入れるために浮かんだのは、素直でいるという冷静な判断であった。
「おはようございます・・・」
玲綺も挨拶をする。二人の表情に変化は見られないが、その思想の中では既に玲綺の分析を開始していた。
「お目覚めのところを恐縮ですが、いくつか質問したいので答えて頂けますでしょうか?」
「答えられることなら・・・」
「結構です」
老人の微笑み。玲綺にとっては、ただの悪魔の微笑みしか見えない。
「貴方のお名前は?」
「玲綺です」
「どこから来たのですか?」
「わかりません・・・。気がついたら、ここにいました」
「では、なぜ九鬼に近づいたのですかな? 従者の一人が警告したはずですよ」
「いきなり、拘束されてたので抵抗しました。・・・体を拘束されることが嫌いみたいだから・・・」
「嫌いみたいですか・・・? まるで、他人ごとのような口ぶりですね」
「私・・・自身の記憶がないからよくわからないです。自分のことが特に」
「ふむ・・・」
老人は黙まり、もう片側の老人が再び玲綺に尋問を開始する。
「まず、いきなり拘束したことは詫びよう。あれは人を生きたまま捕られる行為をまだ慣れてなくてな」
言葉を一つ一つ聞き漏らさない玲綺。
『人を生きたまま』つまり元はあの女性は人を殺すことに特化された人間だったという表現にも繋がる。もちろん、この老人の脅しかもしれないがどちらにしても、この九鬼という組織は危険な所だ。
「あの鎧や槍はどうやって学んだ?」
「鎧? 槍?」
「貴様が部下を傷つけた時の能力だ。俺が攻撃した瞬間に、解いたようだが・・・」
その言葉であの戦いの記憶を思い返す。確かに強い怒りを覚えた時に、なぜか生まれた。いや、あれは元々備わっていた鎧類を装着したという感じだった。それは武器も同じだ。
「どうやら、まだ力の使い方を上手く出来ないようだな」
その判断は正しいだろう。現に今こうして危機的状況だというのに先ほどの力が全く発動しないことを玲綺はなんとなく理解していた。理屈ではないが。
「私はどうなるのでしょうか?」
玲綺は答えを求める。
「こちらが聞いているんだ。貴様はただ黙って機械のように話せばいい・・・」
憎悪を言える程の殺気が、二人目の老人から玲綺へと流れ込む。正に虫の息寸前という状況だろう玲綺の運命は。
「まぁまぁ・・・落ち着いて下さい。ヒューム」
しかし、もう一人の老人がそれを静止する。ヒュームと呼ばれた老人は、殺気を納めて無言になる。
「どうするかは貴方次第ですね。貴方はどうしたいですかな?」
「・・・私は」
どうしたいという返答に言葉を濁らせた。記憶がない人間に対して一番答えを導いてなお、次の発言で玲綺の処遇も決まるという表現でもある。
「自分が知りたいです」
答えは自分探しだった。
「なるほど・・・」
老人もそれ以上は、何も言わない。
「・・・とりあえず、しばらくはここにいてもらいます。少なくとも九鬼に対する侵入者ではないようですしね・・・」
そう言い残すと、二人は部屋から出ていった。
「・・・」
残された玲綺は考える。
自身の存在とあの武装や武器のこと。
―――自身の存在理由を。
ネタバレすると、もう完結イメージはできています。
後は、そこまでの自分が行けるかどうかですかね・・・。