神様転生。その言葉はきっと現代のライトノベルやSSを知る人間であればほぼ必ず心当たりのあるであろう言葉だ。
何らかの原因で死んで、神様を名乗る存在によって生き返らせてもらう。転生する前に謎空間に入る入らないなどの細かな差異はあれど、大まかな流れはそんなものだろう。
そして、今オレは確実に死んだはずだというのに目の前にはただ真っ黒なだけの空間が広がっている。
なぜだかこうして
けれど誰もおらず、何もないこの空間で何かをするという事が酷くみじめに思えて何もしないでいる。
果たしてこの何もない空間でどれだけの時間を待っていたかはわからないが、とにかく目の前に
それは確実に存在していて、けれどオレの眼には見えていない。存在するだけのモノ、とでも言うべきだろうか。
いるのにいない、矛盾したその存在はオレに向けて声をかける。
『
いいや、目の前の存在は声なんて上げていない。
声じゃない、もっと曖昧で訳の分からないものだ。鼓膜を揺らすわけでもなく、頭の中に入れられるわけでもない。
言葉を伝えるという概念そのもの。意味を齟齬無く完璧に伝える、言語の枠組みを超えたモノ。
ただただ気持ちの悪いそれを受けてもオレは
逃げ場なんてなく、ただそれを受け入れるしかできない。
[
どこまでもオレを、ニンゲンを下に見た言葉だ。
特別、なんてことはない。どこまでも平等でどこまでも無情な意図。
結局のところオレが選ばれた理由なんてただそこにいた、というそれだけだった。
≪
"何だっていい"ってことが嫌と言うほどに伝わってくる。
気まぐれで呼び出して、無理やり冷静にさせられて、そして最後には望めと言われる。
けれど
常識的な判断が警告をする最中で、明らかに異常な思考が素通りする。
こんなことになるのなら――
〈
ああ、勝手に読まれた。けれどどうだっていい。
オレが望むものはそれだけだ。
【
真っ黒なこの空間に穴が開く。
穴が広がり、オレを飲み込む。見ることはできず、音もなく広がる穴を感じて、落ちる。
落ちる、落ちる、落ちる。
――
その言葉が誰のものかを考えるよりも先に強制的に意識を閉ざされて――
目が覚めるとオレは金色の花に受け止められていた。