目が覚めたその場所に見覚えはなかった。
金色の花なんて初めて見たし、その上に寝転がっているという経験も初めてだ。少なくとも覚えている限りでは。
「……どこか、なんてわかんねぇんだよな」
最初からお手上げであるという事に気付いてしまって空を仰ぐ。
しかしそこにあると思っていた天上は存在しなかった。
あるのはとんでもなく遠くに見える青い空と白い雲だけだ。どうやらここは地上ではなかったらしい。
「……まぁ、外に出てみないと分かんねぇよな」
ぐるりとあたりを見渡してみれば一本の道があるのが見える。
金色の花に一本の道。なんだか少しばかり記憶を擽られる。けれど未だに核心には至らない。
けれど、オレの予想が正しければこの先にはヤツが居るはずだ。
Undertale。そのチュートリアルモンスター……Floweyが。
微かなケツイを胸に抱いて扉を潜る。しかしそこに金色の花は咲いていなかった。そこにいたのは白い毛を全身からはやしているのだろうヤギのようなモンスターとそのモンスターを庇うように立っているニンゲンの子供だけだ。
これはつまりそういうことなのだろう。オレは転生させられたのだ。Undertaleの世界……それも物語の"本当の意味での始まり"の瞬間に。
「……誰だ」
「ちょ、ちょっとChara! 初めて会うのにそれは……」
「いいや、ニンゲン相手ならどれだけ警戒してもしたりないことはない」
……しかし随分と警戒されてしまっている。
少なくとも今のオレは武器なんて持ち合わせてはいないのに。
いや、もとより地上の世界でよくない事があってこの地下へと落ちてきたのがCharaだ。だったらその警戒も仕方がないのかもしれない。
そう思うと何も言えなくなってしまうが、一先ずは話をしておかないとならないだろう。ここで殺されるなんてたまったものじゃない。
「あー、そんなに警戒しないでくれよ。オレはこの通り、武器なんて持っちゃいないさ」
手をあげて自分が無力であることをアピールする。
けれどその動きで警戒を解くことができたのはヤギのようなモンスターの方だけだった。
「ほら、やっぱり怖いところなんて――」
「オマエ、モンスターを見ても驚かないんだな」
Charaと呼ばれていた子供の声がオレに突き刺さる。モンスターなんて地上でも存在を信じられていない存在だ。
そんな奴を見て驚かないってのはいくら何でも可笑しなことなのだろう。……いや、
どちらにせよ、ニンゲンの子供……Charaの警戒心はより強まったという事だ。全く、笑えてくるぜ。
「クハハ……」
笑ってごまかそうとしてみるけれどそれでは警戒を強めるだけだ。
……本当にどうしようもない。
「……まあいい、ついて来い。オマエは私が監視する」
「Chara!!」
ヤギのようなモンスターに大きな声をあげられているがCharaと呼ばれる人間はお構いなしに話を進める。
結局、オレはあの子供の許可がなければ何もできないらしい……。
…………まずは信頼を勝ち取るところから始めないといけないみたいだ。