昆虫愛好者のハイスクールD×D   作:滝温泉

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今回は原作少し前のシグくんの学園生活をお送りいたします。次回からもっと本気だす。


私立駒王学園のシグの一日

私立駒王学園。

 

近年から女子校から共学可能になったマンモス高校である。平凡な街並みに比べ広大な土地を使用している、校舎、校庭、プール、テニスコートが存在するだけでなく未だに取り壊されていない旧校舎、おまけに学園の側には森林地帯も存在している。この全てが駒王学園の所有地である。

 

シグもそこに通う高校二年生であり、今日も今日とて蝶々を追いかけていたことで遅刻ギリギリのシグは学園に向けて走っていた。

 

「今日は遅刻する時間じゃないから間に合う。それにさっきの蝶々はモンシロチョウだった」

 

学園までの距離残り2百m。陸上部並の速度で歩道を走っているシグは誰が特をするかわからない情報を呟きながら自身の飼っているてんとう虫に先導されていた。

 

「…バッタなら一瞬で跳んでいけるのに……いたっ」

 

右側には自身が通う学園の校舎が見える。そしてシグの呟きにやめておけと言わんばかりにてんとう虫がシグのおでこを叩いた。

 

「んー?」

 

それから数秒後、学園に到着したシグは玄関の壁に何かがいることを確認した。綺麗な毛並みの黒い猫であった。

 

「なんだ、早く教室行こ」

 

シグはそれが猫だとわかると黒猫を無視して速度を緩めないまま教室に走っていった。後ろから黒猫の驚いたような鳴き声が聞こえるがシグはまったく気にすることはなかった。シグはあまり虫以外の生物のことは関わらず無視をするのである。

 

いや駄洒落とかじゃなく本当に。

 

 

 

 

「ぽわぽわ~」

 

授業中、黒板の前で教員が話をしているにも関わらずシグは机に寝そべって窓の外を見ていた。正確には窓の外から見える木に停まっているナナホシテントウを見ているのだ。頭の上にいるてんとう虫も一緒に。

 

「おい伊瀬都、寝るんじゃない。授業に集中しろ」

 

シグのその姿を見かけた教員はすぐさまシグに注意をした。しかしシグはどこ吹く風といった感じでまったく聞く気は無かった。否、ナナホシテントウに集中している性で教員の言葉が聞こえないのだ。

 

「おい伊瀬都」

 

「ぽわぽわ~」

 

教員がわざわざ近づいて叩いてもまったく気にしないシグ。そんなシグに教員ははぁ、息を吐くと手帳を取り出した。

 

「……真空状態でも生存可能な虫は」

 

「クマムシ、もしくはネムリユリスカ」

 

シグは即答、いや速答をして教員の方を見た。これがシグの対処方であると教員たちは理解している、シグがこの幸せそうな顔で何かを見ている状態の間は何をしても気づかない。

 

そしてこのぽわぽわモードが原因で学園の女生徒からはこの状態からぽわぽわシグきゅんと呼ばれ駒王学園の二代マスコットとして有名である。ちなみにもう一人は一年生の塔城小猫である。

 

だがそのぽわぽわモードも虫関連の問題を出せばすぐにそれが直ると教員の間では認知されている。

 

これに気づいたのは昨年までいた理科担当教師、その「生物」の授業だけ真面目に聞いていたからである。これを見た教師が「シグが話を聞かなくなったら好きな物で釣ればいいのでは?」というまるで泣いた赤ん坊をあやすような結論に辿り着いた訳なのだ。

 

実際にそれが成功しているのだから凄いモノだと思う。ちなみにその理科担当教師は定年退職した。

 

 

 

 

突然だが、シグの休み時間の過ごし方は大きく2つである。

 

寝るか、虫の観察をしているか。

 

シグは年中家学園通学路問わず虫のことばかり考えている。暇さえあれば自身の頭にいるてんとう虫を可愛がり、図書館に行けば昆虫図鑑を開き読み漁り、花壇の花に着いたアブラムシをてんとう虫に食べさせたり、そしてすることがなければ寝る。これだけだ。

 

だが今の時間は昼休み、即ち食事の時間である。生徒たちはこの時間各々個人で食事を済ませる。

 

シグは体のこともあって1ヶ月ほど絶食しても堪えられる。だが堪えられるだけでお腹は空かせるのだ。

 

よって弁当などというモノを自賛しないシグは駒王学園の食堂に向かって移動していた。

 

駒王学園の食堂は昼休みになるとお腹を空かせた生徒たちが食事にありつこうと集まり人でいっぱいとなる。着くのが遅ければ並ぶ時間だけで昼休みが終わってしまうだろう。

 

だがしかし、この食堂には券売機という便利なシステムがある。昼休みよりも前にこれを使えば、すぐに食事を手に入れることができるのだ。

 

「今日のご飯は鳥の手羽先。テンは何がいい?」

 

頭の上のてんとう虫、テンはお腹減ってないからいらん。というように短い脚でぺしぺしとシグの頭を叩いた。

 

「あ」

 

シグは空いている席を見つけた。だがその席の隣には一年生のマスコット搭城小猫が先に座っていた。

 

「隣座っていい?」

 

「……どうぞ」

 

お盆を置いて席に着くシグ。テンはそのまま頭の上にいる。

 

「じゃあいただきまーす」

 

シグの昼食は手羽先と添えられたキャベツに一盛のご飯のみ。対して隣にいる搭城小猫は大盛の皿が何杯も空で積まれている中、まだ別の料理を完食せんとばかりに頬張っていた。

 

小さい体ながら大量の料理を一生懸命口に運んで食べる(ように見える)搭城小猫と、男子高校生にしては少量のランチを頭に虫を乗せながら食べる伊瀬都シグ。駒王学園二代マスコットの二人を見ながら食事する生徒たち。だが見られている本人らはまったく気にしていない様子であった。

 

 

 

 

 

 

更に6時限目の授業が終了し、放課後となった。この時間帯は部活に励む者、家に帰り勉学に励む者と様々である。

 

シグは部活に所属してはいない。理由は単純に入りたい部活がないからである。そもそも駒王学園を選んだのも家から近いからである。部活まで把握していた訳じゃないのだ。

 

その部活には熱血体育会系の野球部から完全インドア派のオカルト研究部なんてモノもある。入学当時シグは「オカルト研究部があるんなら昆虫研究部があってもいいじゃんかー」と不満いっぱいであった。

 

 

閑話休題

 

 

部活に加入していないシグは毎日放課後になると駒王学園の様々な所を探索して虫を探すことが日課である。

 

「んー、この間新校舎は終わっちゃったし」

 

駒王学園には新しく立てられた新校舎と今だに何故か取り壊されていない旧校舎がある。旧校舎が取り壊されていない理由は誰にもわかっていないらしい。

 

「………虫発見、剣道部の部室方面」

 

シグの寝癖の後ろ髪がピコーン!と上に跳ねるとシグは剣道部の部室のある方向に凄まじい速さで走っていく。なぜこの寝癖が動くのか、なぜ部活未加入のシグがこんなに足が速いのか、今だにそれは解明されていない。

 

 

タタタタタタタタッズザーッ!

 

 

驚異的な速さで部室に辿り着いたシグはせっせと壁の下を自賛していたスコップで掘る。

 

「はっやっく、はっやっく……!」

 

堀り続けること20秒、掘り起こした中から出てきたのは______

 

「……なーんだ」

 

白アリである。さすがのシグもあまりこの昆虫には興味が無いようである。

 

「今日はもう帰ろっかな……んー?」

 

ふと、部室の向こう側から声が聞こえた。ここには女子しか近づかない筈なのに……と思いながらシグはその声の聞こえる位置を確認した。

 

「………何してるの?」

 

「「「ギクッ!」」」

 

そこにいたのは学園の変態三人組と呼ばれている三人。「おっぱい魔人」こと兵藤、「セクハラパパラッチ」こと松田、「スリーサイズカウンター」こと元浜が壁に這いつくばっていた。正確には松田と元浜が二人で壁に這いつくばりその後ろで兵藤が同じ事をしようとしていた訳だが。

 

「な、なんだ伊瀬都かよ……」

 

「何してるの?」

 

声をかけた人物がシグだと認識すると三人は安堵の息を漏らした。松田と元浜はすぐに先ほどと同じ体制に戻りその間にシグは兵藤に尋ねた。

 

「え、ええと……」

 

この三人、部室の壁に穴が空いていることを発見して覗きに来たのだが、「この穴から覗きしてたんだぜ」なんて言える訳もなく。冷や汗を流していた。

 

「じ、実はこの穴の中に蜂の巣があってよ!それを確認しに来たんだ!」

 

「そうそう!先生から頼まれてな!」

 

「撤去は俺たちがするから伊瀬都は気にしなくていいぞ!」

 

兵藤は嘘をついた。この場をやり過ごすための苦肉の策である。普通ならここで怪しむか信じるかでありどちらにせよここから離れていくだろう。この三人なら罰があることは理解できるしスズメバチなど関わりたくはないシロモノだ。

 

「じゃあ僕が代わりにやる」

 

「「「……え?」」」

 

シグは大の虫好きである。そしてなにより蜂はハチ目に分類される『昆虫』である。昆虫愛好者のシグは兵藤の嘘を真に受け自分がその役目を引き受けると言ったのだ。これには三人もびびって慌てて会議を始めた。

 

「おいどうする?このままだと俺たちが覗きをしてたことがばれるぞ」

 

「学園一の虫好きのシグにさっきの言い訳はないだろ兵藤」

 

「う、うっせー。それに俺はまだ覗いてないだろうが!」

 

「?」

 

首を傾げるシグ、兵藤たちはこのままではやばいと感じながら会議を続けていた。

 

しかしそこに転機が訪れた。

 

『ねえ?なんか話声聞こえない?』

 

『うん、こっちからよね…?』

 

「「「!」」」

 

壁の向こう側から聞こえる女子の声、兵藤たちが壁付近で話をしていたこともあり剣道部の女子たちに聞こえてしまったのである。このままだと兵藤たちは見つかり制裁が下されるだろう、そのことを思い浮かべて体を身震いさせた三人は行動にでる。

 

「そうだな、じゃあ後は頼んだ伊瀬都!」

 

「俺たちはもう帰るから!」

 

「悪いな伊瀬都!」

 

シグを囮にして三人は逃げた。その光景を見てシグは疑問を持ちながらもまあいいやと思い壁の中の穴を覗いた。

 

「……あれ?」

 

しかしそこから見えるの雀蜂の巣などではなく、ただの部屋の内部の様子だけであった。しかし兵藤たちの話が違ったことに首を傾げていたシグは振り返ると、竹刀等を持った女子生徒たちに囲まれていた。

 

「どうしたの?」

 

「まさか伊瀬都くんが覗きをするなんて……」

 

「かわいそうに…あの変態たちに感染されたのね」

 

「これはシグきゅんにお仕置きをいないと……ハアハア」

 

「……覗きって?」

 

聞きなれない単語に戸惑うシグ。身に覚えはなかったことの疑惑をかけられ自分の大事な何かを失いそうなシグは弁明をした。

 

「僕は兵藤たちが蜂の巣の撤去をしてたのを確認しただけだけど?」

 

「「「え?」」」

 

「え?」

 

「伊瀬都くん。何があったのか教えてくれない?」

 

 

その日の翌日、真相を知った女子たちに兵藤たちは制裁されるのだが、シグはそんなことよりも雀蜂の巣が無かったことを落胆しているのであった。

 

 

 

 




gdgd……次回からはもっと頑張りますか、早く戦闘シーン書きたいですしね。
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