幸せを探しに。   作:あんバター

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第1話

今朝はいい夢を見て寝覚めがいいし、珍しく早起きもできた。

最近は雨が降り続いていたが、今日は快晴。

朝ごはんの目玉焼きの卵には黄身が2つ入っていたし、スープもいつもより美味しく出来た。

 

なんだかいい一日になりそう!!

なんとなくご機嫌な気持ちで、少女は歩く。

ここしばらくの雨で道はまだぬかるんでいたが、久々に浴びる太陽の光と心地よい微風のおかげか、気分は上々。

 

今日はお仕事も休みだし、こんなに天気が良いのだからお昼はピクニックに行こうかしら?

美味しいパンを食べながら、お気に入りの本なんかも読んで。

きっと心地よい風が吹いているから、少し眠っちゃったりするのも気持ちがいいかもしれない。

ああ、なんだか楽しくなってきたわ!

幸せな想像に、思わず笑みがこぼれる。

 

鼻歌混じりに進むうちに、気づけば目的地のパン屋までたどり着いていた。

扉を開けるとふわっと、焼きたてのパンの香りが鼻腔をくすぐる。

少女はこの瞬間が好きだった。

立ち止まって胸一杯に空気を吸い込むと、カウンターから声がかかる。

 

「いらっしゃい、アイラちゃん。今日もいつものでいいのかい?」

 

「ええ!それと、こっちのパンもくださいな!」

 

「えらく上機嫌だなぁ。なにかいい事でもあったのかい?」

 

「久々の良いお天気でしょう?なんだか嬉しくなっちゃって!お昼にピクニックに行こうかと思っているの。」

 

そいつはいいねぇ、なんて言いながら店主の男はパンを詰めていく。

いつも通りの穏やかな時間。

違うと言えばちょっぴり贅沢をしたことだろうか。

いつもなら買わないチョコの入った甘いパンを買ってしまった。

気分がいいと財布の紐も緩むというものだ。

 

「お待たせ、気をつけて帰るんだよ。」

 

「ありがとう、おじさま。良い一日を!」

 

「ああ、良い一日を。」

 

店主と挨拶を交わす。

いつもと変わらない挨拶になんだか嬉しくなる。

ピクニックなんて久々だわ、早く帰って準備しなくちゃ!

そんなことを考え、少女は楽しそうに家へと帰っていった。

 

ーーーーーー

 

町から少し外れた丘にある一本の大きな木。

その日陰で少女は買ってきたパンを食べながら、自らの暮らす街をどこかふわふわした気持ちで眺めていた。

いつも見ている街並のはずなのに、遠くから見るとまるで違うものに見えてくるから不思議だ。

普段は自分もあの景色の一部のはずなのに、今ここにいる私には、そんな実感が湧かない。

そしてここには、私以外には何も無いように感じる。

時間や空間といった概念から切り離され、心だけがこの世界を揺蕩っているような気分。

 

先程まで読んでいた本の影響だろうか。

どこか感傷的になっているのかもしれない。

普段の自分からは想像もつかない詩的な考えに、なんだかおかしくなってしまった。

 

まるで雲になったみたい。

ポツリと、そんな感想を抱きながら、はむっ、と一口。

甘いチョコレートの風味が口の中に広がり、幸せそうに笑う。

 

どこまでも穏やかで、どこか寂しい昼下がり。

風が気持ちいいわ、なんて考えながら。

パンを食べ終えた少女は眠りに落ちた。

 

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