悪役顔した公爵令嬢が世界一ウザい件   作:しろちゃん

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ちょいと息抜きに書いていきます


魔法学園の問題児

 私には前世の記憶というものがある。

 それは唐突に自身の身に起きた事件が切ったけで身につき、私自身未だに半信半疑なのだが勉学やスポーツ果てには娯楽など私の自身の人生に大いに役立ってくれるだろうと最大限に利用することを徹底し、その甲斐あってか何の障害も無くこの歳まで生きて来ることが出来た。

 しかし、この知識を持ってしても理解出来ない物事が私が通っている学舎には存在する。

 

「はぁぁぁぁ」

 

 目の前に広がる惨状に頭を抑えた私は酷く深い溜息を吐いた。

 それは一般的に田舎と呼ばれるような過疎地によく見る光景なのだか、何故それが由緒ある魔法学園の中に存在しているのか・・・

 

「なにか釈明はあるか?カタリナ・クラエス」

「えっと、ですね…………これは、花壇なのですが」

「ほぅ、私にはどう見ても畑に見えるが」

 

 冷や汗をダラダラと流し始めた隣の女に目を細める。これでもかと言うほどに怨念を込めた鋭い視線に耐えられなかなったのか、カタリナ・クラエスはサッと視線を逸らした。

 

「釈明は無さそうだな」

「いいいえいえ、これには実は深ーい訳があるです!」

「伝統ある我が学び舎にこのような下賤な物を作る理由がお前にはあると?それはそれはさぞ納得の行く素晴らしい言い訳になるのだろうな?いいだろう30秒だけ待ってやる、言ってみろ」

「えとえと、それは・・・その」

 

 オロオロしながら視線を右往左往するカタリナ・クラエスを尻目に、自前に用意していたある物を散布する事にする。

 

「ま、待ってください、その手に持っている袋はなんですか?」

「除草剤だか?」

「うわああああああ!!??やめてっ!!やめなさいよっ!!ウラド!!!」

「何をする!?離せ!!離さんかっ!!!貴様のせいでどれほど学園の風紀が乱れているかわかっているのか!!!」

「ちょっとぐらい畑を作ってもいいじゃない!!鬼!!悪魔!!」

「いい訳あるか!!この野猿が!!!」

 

 ウキー!!と叫んでくる本当に公爵家の令嬢か疑わしいこの女との取っ組み合いは婚約者の第三王子が止めに来るまで続くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そいつとの出会いは魔法学園に入学してすぐのことだ。

 

「なにをしている?」

「え」

 

 魔法という前世では超常的とされていた事象が存在するこの世界で生まれ15年余り、私は目の前の光景に久しぶりの動揺を覚えた。

 

「いったいそこで何をしている?」

 

ピシリ、とまるで彫像のように動きを止めているその女に同じ質問を繰り返す。すると、まるでブリキ人形のようにこちらに首を回し始めた。

 

「その、少し道に迷ってしまって」

 

 この時の私は盛大に眉間を寄せ、頭を抑えるのを必死に堪えた。何故なら、道に迷っていると言い放った女は、遙か頭上高くの木の幹にセミのようにくっ付きながら返事を返して来たのだから。

 

「貴方の家では道に迷ったら木に登れという教えがあるみたいだが、一般的な貴族社会に置いてそれは間違いだ。私が案内するから降りて来なさい」

「あ、はい」

 

 まるで猿のようにスルスルと木から降りて来た女は多少の嫌味を含んだ物言いを何とも感じていないのか、実にいい笑顔でありがとうございますと頭を下げてくる。

 

「それでは、申し訳ないのですが寮の場所まで案内していただいてよろしいでしょうか?」

 

 それは少しキツめの目つきをしているが思いの外整った顔立ち押している少女だった。しかし綺麗なドレスに付いている木の破片や葉っぱがすべてを台無しにしていることを理解してほしい。

 

「申し訳ないが、お名前を伺ってもよろしいか?」

「はい、カタリナ・クラエスと言います」

 

 クラエス?どこかで聞いたような…………。まぁいい、これから先こんな奇特な女と深く関わることもないだろう、なんて思いながらその時の私は右手を差し出した。

 

「ウラド・スカーレットだ」

 

 それがこれから続く長い長い因縁の始まりだということも知らずに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「廊下を走るな、カタリナ・クラエス!!何度言えばわかるのだ!!」

「今日は許して!!学食でマリアちゃんが手作りお菓子を用意してくれてるの!!」

「許すか馬鹿者!!来い、今日こそは勘弁ならん!!!」

 

 首根っこを掴まれた私は抵抗虚しくそのままズルズルと廊下を引きずられていく。そうして連れてこられたのは風紀委員と書かれた教室である。まるで囚人のように放り込まれた私は、目の前に漆黒の制服を着こなしている仏頂面の男、ウラド・スカーレットを睨みつけた

 

「ここから早く出しなさいよ」

「始末書…………じゃない反省文を書いてからだ」

「ちょっと、それじゃあマリアちゃんのお菓子を出来立てで食べれないじゃない!!!」

「知らんな、文句があるなら数秒前の自身に言うがいい。それともなにか?廊下を走り回っていたクラエス家の令嬢を止めた私に非が有るとでも?」

「ぐぬぬ」

 

 いつもどうり正論で殴られた私は、歯を食いしばりながら受け渡されたペンを用意された紙に走らす。どうしてこんな事になったのか、私はマリアちゃんの出来たてお菓子を一刻も早く食べたかっただけなのに。

 

「ウラド、あなた最近私に対しての対応がちょっと酷いんじゃないかしら」

「なにを言っている、私は誰に対しても平等に対応しているつもりだ」

 

 いけしゃあしゃあとそんな事を言ってきたこの男をキッと睨みつける。どうだ、平然とウソを付くような男はこの悪役令嬢顔を見て少しは怯むがいいわ。たまにはこの顔も役に立つわね

 

「何だその顔は、反省文を2枚にしてやろうか?」

「なんでもないです」

 

 やっぱり駄目ねこの悪役顔は、なんの役にも立たないわ。

 

「出会った頃はもっと優しかったのに……」

 

 ボソッと呟いた私に大きなため息を吐いたウラドは、反省文を書いている机の反対側に腰掛けた。

 

「いいかカタリナ。私だってお前みたいな奇怪な女とは関わり合いになりたくないのだ」

 

 キャリアに関わるからな。と言った所でいつの間にか置かれていたコーヒーをズズズっと飲み始めた。まさかこの男、反省文を書いている私に説教をするつもりじゃ・・・

 

「だが私はこの学園で風紀委員という役職を与えられた訳だ。それはこの学園の規律を一新に請け負ったと言われても過言ではない」

 

 なんと反省文を書きながら説教を受けるという二重苦が始まってしまった。数秒前の私をひっぱたきたい気分だわ

 

「よって、私は別に好き好んで貴様に厳しく接しているのではなく。厳粛な判断の元、この場に連行したわけである」

「う、嘘よそんなの。だって私以外にこの部屋に連れてこられた生徒は居ないって聞いたもの」

「それはそうだろう、貴様以外に出来たてのお菓子が食べたいからという下らない理由で廊下を走る生徒は存在しないからな」

「…………くだらなくないもん」

「そもそも貴様にはモラルというものが欠けている―――」

 

 私の声が届かなかったのか、ウラドは話を続けていく。

 どうしてこうなったのか・・・もしかするとゲームに出てくるキャラじゃ無いかと思ったけど、ウラド・スカーレットなんて言う人物は登場しなかった筈だ。というか、ソフィアのよりも更に赤い血の雫のような瞳にこの国では珍しい漆黒の髪色なんていう他の漫画やアニメに出てきても非常に濃いと思うこんなキャラが出て居たら絶対覚えているわ。

 つまりウラドはゲームにすら出て来ない人間、私の破滅フラグに一切関わらない人物なのだ。

 それなのに、何故か毎回破滅フラグを回避しようとする私の邪魔をしてくる。今回だって出来立てのお菓子を食べに行かなかったせいでマリアちゃんに嫌われたらと思うと気が気ではない。

 

「どうした、手が止まっているぞ?」

 

 そもそもどうしてウラドは悪役顔である私にここまでちょっかいを掛けてくるのかしら?ゲームのキャラでもないのにここまでカタリナに関わってくるのは不自然だと思うわ。

 

「聞いているのか?」

 

 何か特別な理由でも――――――まさか

 

「ウラド、あなた……」

「私も暇ではないのだ、さっさと反省文を――――」

「私のことが好きなのね?」

「………………」

 

 きっとそうよ。ここまで私に噛み付いてくるのは小学生によくある好きな子ほどいじめたくなるってヤツに違いないわ。でもごめんなさい、仮にも私にはジオルドという婚約者があたたたたた

 

「痛い痛い痛い頭が!!頭が割れる!!!」

「……………」

「悪かったから!!!私が悪かったから無言でヘッドロックを強めるのは止めてください!!!!」

 

 後にこの事をメアリに相談してみたのだけど、流石にそれはありえませんわ、とにこやかに否定されたのだった。

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