プリすば!   作:負け狐

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愛と怒りと悲しみの


その177

「お、お前はあの時の変態!?」

「おや、どこかで会いましたか? 触手による快楽を布教する活動は最近ご無沙汰でしたが」

「そんなおぞましい宗教活動なんぞ関わっとらんわ! 見忘れたとは言わせんぞ! この俺、デッドリーポイズンスライムのハンスのことを!」

「……?」

「え? マジで覚えてないの?」

 

 巨大アーマースライムの中でたゆたいながらゼスタは首を傾げる。その反応を見たハンスは呆気にとられたような顔を浮かべ、しかし即座に首を振って散らした。別に覚えていようがいまいが関係がない。こいつを養分にして力を増大させるだけなのだから。

 

「む。これは……私を溶かすつもりですか?」

「ようやく気付いたか。だがもう遅い、俺と融合したところてんスライムはその消化力も進化を遂げている。人間一人溶かすことなど」

「消化力の変化……つまりそれは、あの伝説の服だけを溶かすスライムに変貌したと!?」

「いや聞けよ人の話! 服以外も溶かすわ!」

「ああ、そうですか」

「おい急に興味を失うな。今自分が溶かされようとしてるの分かってるのか?」

「いやはや、異な事をおっしゃる。あなたの目にはあそこに立つアクア様の加護を受けた伝説のアイドル巫女キャルちゃんの姿が見えないのですかな?」

「は?」

 

 視線を腹部から前に戻す。先程取り込もうとしていた猫耳少女が、状況の整理をしているのか目を瞬かせていた。

 あれがどうかしたのか。そんなことを思わないでもなかったが、ゼスタの言葉にハンスは嫌な記憶を思い出し顔を歪める。そうだ、あいつが水の女神を自身の体に降臨させ、桁違いの浄化をこの身にぶち込んだのだ、と。おかげでハンスは無駄に綺麗になっている。これまで喰らい己の体にしてきた者達の魂も天に召されたらしく、他の姿はさっぱり取れずデフォルト状態なのもそのせいだ。

 

「ふ、だが。今はもうあの時のようにはいかんぞ! こっちは人質が――」

「《アビスバースト》ぉ!」

「うぉぉぉぉ!?」

 

 腹部が爆発した。デッドリーポイズンスライムボディの特性によって魔法攻撃は減衰させているが、それはそれとして多少のダメージは受ける。が、それよりも問題なのは。

 眼の前のこいつがコアであるハンスではなく、明らかに腹部のゼスタを狙ったことだ。

 

「き、貴様! 何のつもりだ!」

「あんたが丁度よくゼスタのおっさん取り込んでくれたから一緒に始末しようかなって」

「迷いなく言ったぞこいつ……」

 

 マジかよ、とハンスが引く。そんな扱いでいいのかこのおっさんと視線を再度腹部に戻したが、当のゼスタはキャルの攻撃を受けてご満悦であった。見なかったことにした。

 

「きゃ、キャルちゃん! 流石にそれはちょっと」

「大丈夫よペコリーヌ。心配しなくてもちゃんとハンスもぶっ殺すわ」

「え、っと……? じゃあ、いいんですかね……?」

「ペコリーヌさま!? 丸め込まれないでくださいませ!」

 

 コッコロがツッコミを入れるが、キャルはそんな彼女に何も問題ないと言い放つ。あまりにも堂々とした物言いに、コッコロですら圧されかけた。

 本当にいいんですか? と傍観者になっていたぬいペコがカズマに問いかける。彼は彼で、少し悩んだ後首を縦に振った。彼は忘れていないのだ。あれがいなければ今頃自分は魔法使い予備軍を卒業していたのかもしれない、ということを。

 

「おーいキャル。ブーストいるか?」

「主さま!?」

「助かるわ」

「キャルちゃん!?」

「やばいですね」

 

 一人スンとした表情で野次馬をしているぬいペコはともかく。ノリノリでゼスタごとハンスを爆殺しようとしているキャルとカズマにペコリーヌもコッコロも慌て気味だ。

 が、説得しようとしている二人にカズマもキャルも笑みを浮かべた。大丈夫だと言いやがった。

 

『あのおっさんを始末するついでに、ハンスをぶっ殺すから』

「余計に駄目でございます!」

 

 

 

 

 

 

 ゼスタを取り込んだハンスは、非常に嫌々ではあるが、その力でどんどんと強力な存在へと変貌していく。対処法を間違えれば、やられるのはこちらの方であろう。

 そんなわけでキャルはさっさとゼスタを爆殺しようと画策しているのだが。

 

「キャルさま、分離させるのでは駄目なのでしょうか」

「駄目よ。おっさんが無事じゃない」

「そのための方法を提案したのでございますが……」

「コッコロ、聞いてくれ。キャルはこう言いたいんだ。ただ引き剥がすだけじゃもう一度取り込まれる可能性がある。だから、そうならないようにするべきだ、と」

「やばいですね……」

 

 いい感じに一人のおっさんの爆殺を納得させようとしている恋人にペコリーヌが若干引く。が、いかんせんその横の猫耳少女な親友も同じスタンスなので彼女としては自分のほうが間違っているんじゃないだろうかと思ってしまうわけで。

 

「本物。一応言っておきますけど、人として間違ってるのは多分向こうです」

「あ、やっぱりそうですよね。ん~……じゃあ、どうして二人はそんなことを?」

「多分本物には分からないと思いますよ」

 

 ベースがペコリーヌだが魔物でもあるぬいペコはその辺りが何となく理解できるが、基本真っ直ぐで純粋な腹ペコ脳筋王女はいまいち理解しづらいのだろう。それはそれで王族としてどうなのかと思わないでもないが、カズマがいれば十分カバー出来るので問題はあるまい。

 そこまでを考え、表情こそ変わらないものの、ぬいペコは少しだけ不貞腐れたように唇を尖らせる。

 

「さ、コロ助、ペコリーヌ。余計な話してる暇なんかないわよ。早くおっさんぶっ殺さないとハンスが強化されちゃう」

「……分かりました」

 

 キャルとカズマに説得されたのか、コッコロは覚悟を決めたように槍を構える。正直あんな変態のために心を痛めなくてもいいのにと二人は思っていたが、この心優しい少女はそれでも気にしてしまうのだろう。そう結論付け、カズマもキャルも一歩前に出る。手を汚すのは自分達だけだ、と。

 

「よし、行くぞペコリーヌ」

「あ、はい。……え? わたしは対象外なんですか?」

「いや、こういう時ってお前割り切りそうだし」

「まあ、本当にしょうがない時は割り切りますけど」

 

 これそういう場面かな、とペコリーヌは首を傾げている。ぬいペコの話を聞いて多少は理解を示したものの、彼女としてはまだそこまでだ。ついでに言ってしまえば、彼女の割り切る時は食すところまで入っているので、カズマ達がそこを承知かどうかが微妙でもある。

 

「とはいっても」

 

 自身のカチューシャを撫でる。王家の装備全パージ中の状態で、はたしてどのくらいの威力が出せるのか。剣を構えつつ、ゼスタを吸収した巨大アーマースライムを見上げ、ペコリーヌは少しだけ難しい顔をした。

 

「無理はしないほうがいいですよ、本物」

「大丈夫、無理はしませんよ」

 

 足に力を込める。一気にスライムへと駆けた彼女は、再生し始めた巨大な腕に向かって剣を振り上げる。ぞぶ、と刃がめり込んだものの、両断することは出来ずに途中で止まった。即座に剣を引き、向こうの反撃を躱しながらバックステップで距離を取る。

 

「やっぱり、普通の攻撃じゃダメみたいですね」

 

 フィニッシャーを担当できないのは分かっていたが、この様子だと牽制も怪しい。かといってコッコロのように後方支援に回ることも出来ないので、この状態では完全にお荷物だ。

 

「ペコリーヌ」

「どうしました?」

「いやどうしたはこっちのセリフだよ。めちゃくちゃ思い詰めた顔してたぞ」

「……そんなにですか?」

「そんなにだよ。ぬいペコが引き下がったら今度はお前かよ」

 

 はぁ、と溜息を吐くカズマに、ほんの少しだけ拗ねたような顔を向ける。そうしながら、でも役立たずは嫌ですと口にした。

 

「別に普段はあんたに頼りっぱなしなんだし、今回くらいは大人しく見てなさいよ」

「キャルちゃん……」

「大丈夫でございますペコリーヌさま。今回はわたくしたちにお任せを」

「コッコロちゃんまで」

「みんなもこう言ってるんですし、下がっててください本物」

「いやお前も下がってろよ。またぶっ放すのは普通にアウトだ」

 

 不満そうにペコリーヌとぬいペコが一歩下がる。そんな二人を見て思わす笑ってしまったキャルは、少しだけリラックスした表情でハンスを見た。杖を構え、先端の魔導書がパラパラと捲れ、そして先程と同じように魔法陣が展開される。

 

「さ、あんたが倒れるかあたしの魔力が尽きるか、勝負よ」

 

 一発目。衝撃でのけぞりはしたものの、やはりスライムボディの特性でダメージが軽減される。この程度でやられるか、とハンスは気にせずこちらへと迫った。

 

「一発で駄目なら、何発だって撃ってやるわよ! 《アビスバースト》ぉ!」

 

 二発目。三発目。そして四発目。直撃するたびにハンスの動きは止まるが、決定打には至っていない。食らうたびにゼスタがファンサービスに喜ぶので、再生能力が尽きることもない。先程のキャルの言葉で言うのならば、この勝負は間違いなく彼女の魔力のほうが先に尽きる。

 ならばカズマのブーストをその都度掛けて撃てばいいのかといえば、天秤はこちらに傾いていくだろうがキャルより先にカズマが力尽きるわけで。

 

「ふ、ははははは! どうやら俺より先にお前のほうが力尽きるみたいだな。……この男のおかげなのが釈然としないが、まあ選り好みしても仕方ない」

 

 魔法戦をする距離は既に詰められている。キャルが魔法を撃つよりハンスが巨大アーマースライムで彼女を押し潰す方が早いだろう。

 

「嘗めんじゃないわよ! 《ライト・オブ・セイバー》」

「はっ。その程度で俺がどうにかなるはずないだろうが!」

 

 だったら、と自身の最大火力ではなく、小回りの利く呪文に切り替えたキャルだったが、しかし生み出された光の刃は先程のペコリーヌの一撃のようにスライムの巨体の途中で止まってしまう。彼女とは違い、キャルはその辺りの近接戦闘の駆け引きは出来ず、ムキになって振り抜こうとしたことで回避のタイミングも逃してしまう。

 あ、とキャルが気付いた時には、彼女の頭上を影が覆い隠していた。

 

「そこまでですぞ! ピンチで怯える姿は滾りますが、大怪我は断じて否!」

「うぉ! 吸収されてるなら大人しくしていろこのっ!」

 

 くわ、とゼスタが目を見開き巨大アーマースライムの動きを鈍らせた。なら最初からやれよとツッコミを入れるほど余裕のある者はおらず、このチャンスを逃すなと行動をするのみだ。勿論ゼスタに感謝はしない。

 振り上げられた腕より高く飛び上がった少女が一人。王家の装備が使えないので、周囲の地形を踏み台にそこまで駆け上がったペコリーヌは、普段とは違う構えを取り、思い切り上段に剣を振りかぶった。

 

「お覚悟ぉ!」

 

 上から下に。落下する勢いを味方につけて、そのまま巨大な腕を切り裂いた。先程は半ばで止まった斬撃は、今度は止まることなく突き抜ける。

 巨大な腕を断ち切られたハンスは、その勢いで少しだけ後ずさる。前回の記憶がフラッシュバックし、そしてここに来た直前のネアの悪夢を思い出し。怒りか、パニックか、彼はゼスタのデバフを振り切って、残っていた部分でペコリーヌを吹き飛ばした。剣で防御をしたものの、ボールのように弾き飛ばされた彼女が宙を舞う。

 

「ペコリーヌ!?」

「わたしは大丈夫ですから、向こうを! ――あいたっ!」

 

 向こうに飛んでいきながら、キャルの言葉に彼女はそう返す。向こう、と言われた方向に向き直ったキャルは、そこでゼスタと目が合い。

 ぷつんと、何かが切れた。

 

 

 

 

 

 

 視界が真っ白になる。これは怒りか、それとも別の感情か。そんなことを思ったキャルは、しかし目の前に立っている存在を見て目を見開いた。青い髪、透き通った羽衣をまとったその姿。彼女は間違いなく。

 

「女神アクア……様?」

「キャル。私の愛しいアクシズの巫女」

「え、いやあたしそこまで目を掛けてもらうほどアクシズ教徒らしいことやってませんけど」

 

 柔らかに微笑みこちらを見詰める水の女神に、キャルは明らかに困惑した表情でそう返した。が、アクアはゆっくりと首を横に振る。いいえ、と。あなたは私の愛すべき存在だ、と。

 

「あなたの心は、いつでも私と共にあります。忘れないで。そして、あなたの為したいことのために力が足りないのならば――」

 

 す、と彼女のチョーカーに触れる。女神アクアを顕現させたことにより清められたそれは、普段よりも一際大きく輝いていた。キャルの気持ちに同調するように。己の足りない力を補うように。

 

「さあ、行きなさい、キャル。あなたの思うがままに」

「おっさんごとぶちかましますけど、大丈夫ですか?」

「…………アメスとエリスが流石にちょっとNG出してたし、少しくらいのお灸はまあいいかなって」

 

 女神の力をぶっぱしても死なない前提なんだ。そのことを察したキャルは、まあこのやり取りを伝えるだけでもダメージになるかと諦めた。ありがとうございます、と眼の前の水の女神に頭を下げた。

 

「私は、いつでもあなたを見守っていますよ」

 

 そう言って微笑む姿は、まさに全てを癒す女神そのもので。

 コンタクトを終えた後、二人の女神にからかわれてギャーギャー言いながら小学生みたいな喧嘩を繰り広げる存在にはまるで見えなかった。が、キャルには預かり知らぬ話である。

 彼女にとって重要なのは、女神のオフモードの姿ではなく。

 

「キャルさま……!? その、お姿は……」

「うお。何だ!? いきなり変身したぞ!」

 

 コッコロとカズマが驚く中、普段の黒を基調とした服からまるでウエディングドレスのような白い姿へと変貌したキャルがゆっくりと目を開く。ブラボー、とスライムの中で感動しているゼスタを一瞥し、短く舌打ちをした。

 

「コロ助、ペコリーヌの回復をお願い」

「は、はい。かしこまりました」

「ぬいペコ。大丈夫だとは思うけど、もしものフォローは頼んだわ」

「分かりました」

「カズマ。あんたはあたしにブースト」

「お、おう」

 

 言われるがまま、三人は指示に従い行動する。カズマからのブーストを貰ったキャルは、よし、と息を吸い、ゆっくりと吐いた。

 

「行くわよ!」

 

 背中にオーラの翼が生える。ペコリーヌの変身後のそれと似た翼で、キャルは飛翔し一気にハンスへと肉薄した。先程自分がやろうとした、魔術師相手の接近戦を向こうが行ったことで、彼の動きが一瞬遅れる。

 キャルの手に魔法陣が浮かぶ。この距離で一体何の魔法を放つというのか。先程の焼き増しでもやるかのようなそれに、ハンスは一歩遅れた迎撃で。

 

「ぶっ殺す!」

「ぶぼぉ!」

 

 魔法陣で殴った。巨体がその一撃で後方に吹き飛ばされ、数回バウンドする。何が起こったのかさっぱり分からないまま、ハンスは追撃をしようとするキャルに巨大アーマースライムの腕を振り下ろした。

 飛翔する彼女にそんな攻撃は当たらない。バレルロールでもするかのように一撃を躱すと、もう一度生み出した魔法陣で再度ハンスをぶん殴った。

 

「《ゴッドブロー》!」

「が、はぁ……っ! お前、それは、あの時の!」

 

 動きやスキル構成こそ違うが、この一撃は紛れもない、魔王軍幹部のデッドリーポイズンスライムであった頃の自分が浄化された、忌々しい女神アクアの力そのものだ。以前はただ顕現した女神の力を借りているようであったが、今はまるで己の力へと昇華させたようにも見える。

 

「俺は、俺はまた負けるのか? あの女神の力に……? そんな、そんなはずが!」

「うるっさいわね。あんたはおっさんのついでなんだから、大人しく浄化されときなさいよ」

「ふざけるな! 俺は、俺はぁ!」

「ふ、大人しくしなさいスライム。キャルちゃんのあの神々しい姿、甘んじて受けることこそ、至高ではありませんかな?」

「いやお前は確かに素直にそのまま息の根止まっておけとは思うが」

 

 受け入れる態勢のゼスタをそっちのけで、ハンスは何とか抵抗しようと試みる。が、目の前の少女の両手に集まっていく聖なる力は中途半端な復活を果たした状態の自分では防ぎきれない。ゼスタを最後まで取り込んでいれば話は違ったかもしれないが、もうそんな時間もない。

 

「さあ、とっておきをお見舞いよ《ゴッドレクイエム》」

 

 両手に集めた浄化の力を解放する。その手を重ね合わせ、左手一つに集約させた。指を鳴らし、杖の魔導書のページが舞い散るように彼女の背後で魔法陣を形作る。有り余るほどの女神の力と、自分の得意とする魔法の組み合わせを、キャルは目の前の相手に叩き込もうとしているのだ。

 狙いは勿論ハンス。ではなく、取り込まれているゼスタだ。ハンスはついで、ぶっちゃけると当たっても当たらなくてもどっちでも良い。

 

「ネア!」

「え~。違うくな~い? カリザきゅん、人にものを頼むトキは~?」

「テメー人じゃねェだろ!」

「あ・そんなこと言っちゃうんだ。べっつに、アタシはどっちでも、いーんだけど~?」

「ち、っくしょうが! ……ね、ネアおねえちゃん」

「はいは~い♪」

 

 横合いからスライムの触手が伸びてくる。巨大アーマースライムと融合していたハンスを鷲掴みすると、一本釣りするように引き剥がし回収した。

 当然キャルもその動きは視界に映っている。が、先程も言ったように現在の彼女はぶっちゃけゼスタにぶち込むことができればそれでいいので。

 

「消えちゃえ! 《アビスエンド――」

 

 二つの力を重ね合わせたそれを、左手から撃ち出す。普段の彼女の呪文をゆうに超える力の塊が、目の前の相手を消し飛ばさんと放たれるのだ。

 

「バースト》ぉぉぉぉぉ!」

「素晴らしい! アクア様とキャルちゃんの力が合わさったこれはまさ」

 

 そうして何か言っていたゼスタは、今回の問題の原因であるスライムの融合体ごと吹き飛んだ。

 

「ああ……貴重な食材が」

「いや食うなよ! おっさん混ざってんだぞあれ」

「ペコリーヌさま……その、流石にわたくしも人を食すのはちょっと」

「わたし、本物を見てると自分が魔物なのか少し疑問になってきます」

 

 そう。誰もゼスタを心配しないのである。

 

 

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