アクセルの街から少し離れた場所にあるとある森の一角。何だか知らないうちにツリーハウスに改造されてしまった安楽王女の棲家にて、ぼっちのぼっちによるぼっちのための対策会議が今日も開かれていた。
BB団のだべりとも言う。
「そ、それで……どうするんですか?」
なんだかいい感じに設置された木のテーブルの上に置かれたその紙を見ながらぼっちエルフはそんなことを尋ねる。問われた方のぼっち紅魔族は、それはもちろん、と言葉を返した。
「受けるわ。だって、私はこう見えて族長の娘なんだから」
「ねえ、ゆんゆん。お節介かも知れないけど、そういう義務感で受けるならやめといた方がいいぞ」
ぐ、と拳を握って宣言したぼっちに対し、安楽王女は溜息混じりで口を挟んだ。お茶の用意をしていたルーシーも、まあそうですよね、と同意するように頷いている。
「そ、そうですね。私もそれはそう思いま――はっ! いやこれは決してゆんゆんさんを否定しているわけでなくてですね! むしろお互いを尊重しようと分不相応にもついつい身を乗り出してしまったわけでして、いや本当にごめんなさい! 生きててごめんなさい!」
「落ち着けアオイ。ゆんゆん別に気にしてないから」
「……は、ははは。そうですよね、やっぱり私みたいなのが族長とかおこがましいものね……これをきっかけに少しでも里の人と関われたらな、なんて思っちゃった」
「あ、あぁぁぁぁ! 違います違います! 私は決してそのようなつもりではなくてですね! むしろゆんゆんさんのぼっちを解消するためにはいかなる自己犠牲をもってしても、あ、いらない? そうですよね、いらないですよね……」
「ちょっとお前ら黙ってくれない?」
ぼっちがぼっちを呼んで相乗効果でどこまでもぼっちに落ちていくぼっちスパイラルを形成し始めた辺りで、安楽王女が強制的に会話を終了させる。ごん、と頭を引っ叩かれたことで我に返った二人は、ルーシーから貰ったお茶を飲んでほう、と息を吐いた。
「それで。ゆんゆん、お前本当に受けたいの? さっきも言ったけど変な義務感なら」
「……確かに、そうなんですけど。でも、紅魔族って気ままな人が多くて、何かと束縛される役職には就きたがらないんです。それでいてまとまりがあるわけじゃないから、誰かが族長にならないと何をしでかすか分からなくて」
『それで、ゆんゆんがなるのが適任だ、と。……どう思います安楽王女』
「紅魔の里の紅魔族だけで済めばいいけど」
思い出すのはあそこにいるネネカの関係者と診療所の危ない奴らだ。前者はゆんゆんが族長ならば迷惑を掛けないようにするという常識を持ち合わせている悪魔と騎士だが、後者の人間達はどうだろうか。
「……紅魔族の族長なので、あの人達は管轄外というか」
『族長になるのはやめた方がいいですよ』
「で、でも……」
ぼっちの保護者二体に言われて、ゆんゆんは言葉が出なくなる。元々ぼっちを拗らせているのだ、この状況で意見など言えるはずも。
「わ、私はそれでも」
「安楽王女さん、ルーシーさん」
「え?」
「あ。……ご、ごごごごめんなさい! そうですよね! ゆんゆんさんだったら何の問題もないですよね! 私みたいなのが口を挟むなんてなんという大罪を!」
「そ、そんなことないわ! アオイちゃん、私のことなんかどうでもいいから、アオイちゃんの話を先にしてちょうだい」
「いいいいいえええええいえいえいえいえいえあ! 私みたいなその辺のダンゴムシより石の下にへばりついていたいような存在が先を進むなんてことは」
「話進まないじゃない……」
『いつものことですけどね』
はぁ、と溜息を吐く安楽王女に、ルーシーは苦笑しながらそう返す。落ち着け、と再度二人をペシペシとしてから、彼女はとりあえずアオイから話を聞いてみることにした。多分この調子だとゆんゆんを先にした場合永久に喋らないからだ。
「あ、でもでもでもでもですね。ゆんゆんさんが決意しているなら別に私のこれは余計なお節介というか」
『まあまあ。ほら、言ってごらんなさい』
「……きっと、ゆんゆんさんは簡単に決めたわけじゃないと思うんです。ちょっと言われたからやめる、なんて軽い気持ちではないと思うんです。だから私は、BB団の仲間として、ゆんゆんさんのお友達として応援を――お、と、ととととと友達ぃぃ!? そんな大層な宣言を今私は自分勝手に!? 許可も貰えていないのに!? 勝手な妄想で!?」
「……とも、だち……? アオイちゃんは、私の……友達……」
「あ、あぁぁぁぁぁごめんなさいごめんなさいナマ言ってすいません土下座してお詫びいたしますのでどうか、どうか平に平に!」
「アオイちゃんが、私のことを友達って……言って」
テンパるアオイを他所に、ゆんゆんはゆんゆんで彼女の「友達として応援したい」が体をリフレインしまくりで、噛みしめるように涙を流した。今更何を言っているのかとツッコミを入れてはいけない。ぼっちとぼっちが組み合わさったところで容易に友達同士などという上位職にクラスチェンジなど出来ないのだ。BB団の仲間、というだけでもテンパるぼっち共にとって、何の装飾語も付かない『友達』は魔王を討伐する勇者に匹敵する伝説の称号なのだ。
「アオイちゃん」
「は、はいぃぃぃ!覚悟はできています! さあひとおもいにスパッと」
「私達、ずっと友達だよね!」
「すぱぁぁぁぁっと!? え? いいんですか? 私たち友達ですって宣言しちゃっても許される世界に足を踏み入れたんですか!?」
「あ、で、でも勿論アオイちゃんが嫌ならばいいのよ! 私はほら、そういうの慣れてるし、勘違いとか日常茶飯事だし」
「い、いえいえいえええええ! とんでもござるでしょう! 私は、私はぁぁぁぁ! ……ゆんゆんさんとお友達なら、とっても、それはとっても嬉しいことだなって」
「アオイちゃん!」
「ゆ、ゆんゆんさん!?」
がばぁ、とゆんゆんがアオイに抱きつく。それはこれまでの過程とかその辺を考慮しなければとても微笑ましく、優しい気持ちになれる光景であり。BB団のことを知っている面子、特にカズマとキャル、後はめぐみん辺りにとってはなんだこれというツッコミを入れるようなものであり。
安楽王女とルーシーにとっては、やれやれようやくか、と肩の荷が下りたような気持ちになれるようなものであった。
『あ、いけない。ちょっと天に還りかけちゃった』
「いや私一人でこいつらの面倒見るのは勘弁して欲しいからやめて」
「危なかった」
「そうね」
静かになったウィズ魔道具店の片隅で二人は息を吐く。シノブを送り届け、無事紅魔の里へとテレポートしていくのを確認するだけであったそれは、居合わせた人物たちにより一瞬にして地獄への片道切符へとなりかけた。
「何でいたんだ、所長」
「あたしが聞きたいわよ。なんか用事でもあるのかしら」
「ん? 何だ猫耳娘、ネネカ女史の用事がなにか知りたいのか?」
先程から満足そうな顔と笑顔を綯い交ぜにした表情のバニルが口を開く。いらん、と即答したキャルは、そのままバニルを見ることなく帰ろうと踵を返した。
が、それに待ったをかけたのはカズマだ。わざわざバニルがこう言い出すということは、十中八九こちらに関連する部分がある。
「そう思わせてるだけでしょ。このクソ悪魔は人をおちょくることしか考えてないんだから」
「心外だな猫耳娘よ。我輩はちゃんと商売のことも考えておるぞ。そこのポンコツ店主を主導にしてはあっという間に赤字転落してオーナーにどやされるのでな」
「そ、そんなことはないですよ。失礼ですねバニルさん」
はぁ、と息を吐いたバニルに向かい、ウィズが反応して捲し立てる。そうですよね、と横で作業をしていたコッコロに同意を求めた彼女は、何も語らず曖昧に微笑む姿を見てショックを受けていた。
「エルフ娘を困らせるでない。そやつはこの魔道具店の従業員では我輩の次に有能なのだからな」
「私を入れて三人ですよ!? それってつまり私がドベだって意味じゃないですか!」
「貴様はランク外だ。圧倒的だぞ、喜ぶといいポンコツ店主」
ズバッと一刀両断したバニルは、カウンターでメソメソするウィズを気にすることなくカズマ達へと向き直る。ウィズはコッコロがよしよしと慰めていた。
それで、本当に聞かなくていいのか? そう言って口角を上げたバニルを見て、カズマは首を横に振った。聞く、と返した。
「ちょっとカズマ」
「いやここは聞く流れだろ。それに、俺あの占いが気になってるんだよ」
「ああ、何か爆発するってやつ?」
「主さまが爆発!?」
「あ」
超反応したコッコロがカズマに駆け寄る。大丈夫なのですか、と彼に寄り添い、そして悲壮な顔をした後、決意を込めた表情を浮かべ槍を取り出した。とりあえずそれっぽい原因は全て排除する気だ。これまでの付き合いで瞬時に覚ったキャルとカズマは、待った待ったと彼女を止めた。
「やれやれ。迂闊な発言と行動に定評がある猫耳娘よ、損害は汝に全額支払ってもらうぞ」
「まだ出てないでしょうが。コロ助、大丈夫よ。占いってのはこうふわっとしたやつなんだから、当たらない時は全然当たらないの。良くない占いなんか全部当たらない嘘っぱち、良い占いは全部当たる。外れたら向こうが悪い。そういう風に考えたほうが気持ちが楽なんだから」
「汝はなんだかんだ骨の髄までアクシズ教徒だな」
「失礼なこと言うな! ぶっ殺すわよ!」
自覚がないのは幸か不幸か。ふ、と小さく笑ったバニルは、いい加減話を進めるぞとカズマを見た。そうして、その占いというのは先程の人物だなと述べる。
「成程。占い師としての実力は相当のようだ。我輩のように見通す力を持たずともそれを見るとは」
「え? じゃあ俺マジで爆発するの?」
「何、案ずるといい小僧。少なくとも汝の考えたハーレムルートとやらの妄想に近い出来事は確かに関係している」
「……カズマ、あんた」
「何の話なのかまったくもって分からないな。それで? 爆発はどうなんだよ」
「それは汝の行動次第だ。我輩は占い師ではない、見通した結果を述べているに過ぎんのだからな。さて、では最初の話題に戻るとしよう。ネネカ女史が紅魔の里に向かった理由だが」
今紅魔の里では族長試練を行っている最中らしい。が、いかんせんなりたがる人もそうそうおらず、今回試験を受ける紅魔族はゼロなのだとか。
「そういうわけで、試練をテコ入れするために外部の協力者を呼んだというわけだ。ちなみにミツキ女医と向こうの騎士の推薦らしい」
「その人選でどうやると受ける人がいない族長試練の参加者が増えるようになるんだよ。それむしろ族長になる奴を滅ぼす面子だろ」
「甘いな小僧。我輩もそうであるが、滅ぼす事ができるということは、救う方法を排除する事ができるということでもある。どうすれば救えるかが分かるからこそ、相手を破滅に追い込めるのだからな」
成程? とキャルは首を傾げながらも頷く。カズマは胡散臭げな表情でバニルを見ていたが、しかしそれで何か変わるわけではないと息を吐いた。そうしながら、それと俺の占いには何の関係があるのか、と問い掛ける。
「さてな。我輩は聞かれたから答えただけで、関係があるかどうかはまったく言及しておらん」
「ほらやっぱり」
「関係がない、とも言っておらんがな。フハハハハハハッ」
さて仕事に戻るか、とバニルはそこで会話を打ち切った。そうしながらも、コッコロには安心するといい、だから仕事を再開するぞと声を掛ける。それがどういう意味であるかは、彼女にはすぐに分かった。かしこまりました、と返事をし、視線をカズマとキャルに向ける。
「もし何か力になれることがおありでしたら、遠慮なく申し付けくださいませ」
「ああ。まあ今んとこは大丈夫だと思うけどな」
「そうそう。コロ助は気にしないでのんびりしてなさい」
コッコロの言葉にそう返すと、今度こそ二人はウィズ魔道具店を後にした。そういえばウィズはどんよりしたままだったような気もするが、まあいつものことだし問題ないだろう。そんなことを思いつつ、寄り道をしていたが、当初の目的地であるギルド酒場へと辿り着く。
辿り着くが、いかんせんもうその頃にはやる気が完全に失せていた。
「あれ? カズマくん、キャルちゃん。依頼でも受けに来たんですか?」
「……いや、何か食べようかなって」
「そうね。ついでにネロイドでも飲もうかしら」
バイト中のペコリーヌにそう返すと、二人は適当な席に座る。一応クエストボードは見える場所であるものの、ぶっちゃけそこに目を向ける気がない。
それでも、食事をして一息つけば再び気持ちも少しは変わる。一応見とくか、というカズマの提案に、まあ一応ねとキャルも同意した。
「面倒な依頼しかないな」
「そうね。もっとお手軽なのでもあれば受けたんだけど」
貼ってある依頼書を見ながらそんなことをお互いにぼやく。よしやめやめ、と結論付けた二人は、しかし丁度いいところにというルナとカリンの声で動きを止めた。あ、これ絶対厄介事だと顔を顰めた。
「実は、依頼したいことがありまして」
「断る」
「他を当たってちょうだい」
「カズマさん達のパーティーにしか頼めないんです」
嫌そうに振り返ったキャルとカズマであったが、しかしいつになく真剣な表情のルナを見て、その表情を更に曇らせた。これ絶対厄介ごとじゃん。口にはせずとも顔が物語っていた。
「それ、多分俺たち以外でもやれる仕事ですよ、じゃ」
「話くらいは聞いてください。実は大物賞金首の目撃情報がありまして」
その一方で平常運転のカリンが平然と話を続ける。だから知らんっつってんだろが、というカズマとキャルの抗議は無視された。
そんなわけで。曰く、アクセルの街の近くの森に厄介な魔物が目撃されたらしい。
「近くの森? それって」
「はい、BB団のアジトの辺りです」
「え、ちょっとヤバいんじゃないの?」
「幸い、そこの森のオーラを受けてその魔物は移動していったらしいのですが」
ぼっちに当てられたらしい。なんか急にしょぼいような気がしてきたが、ルナの表情は変わらず真剣なので、厄介事であり受けたくないというスタンスは変わらない。
それで目撃者――安楽王女の監視株からの情報を整理した結果、その魔物は『強壮なる使者』とか呼ばれる、一説によると土の大精霊が変化したものではないかと思われる謎の多い賞金首なのだとか。
「それで、彼女の話では生半可な冒険者では調査の前にやられてしまう、ということで」
「じゃあ俺は無理だな。お疲れ様」
「あたしも無理ね、お疲れ」
「今この街で一番優秀な冒険者はカズマさんのパーティーなんですよ。新聞でも特集されていたじゃないですか」
「あんな片隅コラム程度の紹介しかされない冒険者じゃ無理だっての。ミツルギにでも頼んどけよ」
「ミツルギさんは魔王軍との戦線に出張中です」
「使えねぇなあいつ!」
それは酷くないか!? というツッコミが虚空に流れたが、カズマは気にしない。だったら、と彼は冒険者というカテゴリを取っ払って話をする。ぶっちゃけるとこの街には職業冒険者ではない狂人と変人がひしめき合っている。ギルドとしては多少問題であろうが、その連中に頼めば何も問題はないだろう。
「一番適任そうなネネカ所長の研究所を訪ねたんですけど、どうやら留守みたいで」
「ちくしょうめ!」
ついさっき紅魔の里に行きやがった小柄な見た目ロリエルフの狂人を思い出し悪態をつく。そうだよな、こういう場合あの人に頼まないわけないよな。一人納得して、それでもまだいるだろうと該当者を思い浮かべていく。
「あ、ゼーンは? あいつなら別に問題ないでしょ?」
「……現状世界に三体しか確認されていないホワイトドラゴンにこの依頼をさせると、国際問題になりかねないので」
「ゼーンさん一人では難しいので、その場合協力者が必要になりますね」
キャルの提案にルナは申し訳無さそうに、カリンは笑顔でそう告げる。協力者が誰なのかは言うまでもないということだろう。
ギルド職員でも存在感のある花形二人が集まって何やらやっているのだ。いい加減酒場の面々も何事かと注目し始める。そして聞く限り厄介事で、カズマ達が請けるのが一番いいらしい。
そうなれば場の空気も当然ルナとカリンの味方をするわけで。
「それがどうした。俺はこういう状況でもノーと言える人間だ」
「流されて死ぬのはまっぴらごめんよ」
それでも二人は首を横に振った。ゼーンを連れて行くとしても、なんだかんだ最弱職である冒険者のカズマと防御力はカスみたいなキャルでは荷が重い。
そんな空気を有る意味ぶち壊すように、いいですよ、という声が聞こえた。げ、とその聞き覚えのありまくる声の方を向くと、やはりというべきかペコリーヌが手を上げている。
「ゼーンさんとわたしで行ってきます」
「待て待て待て待て。お前そんな夕飯の買い出しみたいな気安さで請けるな!」
「そうよ。得体の知れない魔物の調査とか何があるか分かったもんじゃ」
ん、とキャルはそこで気付いた。ペコリーヌの視線がどこに向いているかを。ルナとカリンが持っている依頼書の、その調査対象であろう魔物のイラスト。
タコのような姿の人型モンスターのデフォルメされた絵を見て。
「……あんた、こいつ食べようと思ってないわよね」
「え? ……調査ですよ?」
「味を! 調査するって! 意味じゃ! なぁぁぁぁい!」
「でも、色々な角度から調査は必要ですよね」
「そんな角度はいらん! そもそも得体の知れない危険なモンスターだっつってんだろうが」
キャルに続いてカズマもそうツッコミを入れる。が、ペコリーヌは引き下がらない。未知の食材ってロマン溢れますよね、などという始末だ。
「……それに。そんな危険な魔物がこの近くにいるなら、わたしは見逃せません」
「急にシリアスするのやめてくれない? 温度差で風邪ひきそうになるから」
彼女の厄介なところは、どちらも百%なところだ。ユースティアナとして、王族として、そういう気持ちと。ペコリーヌとして、冒険者として、そういう気持ちと。
そのどちらもが、建前ではなく本音で、本気なところだ。
「……しょうがねぇなぁ」
「ったく。なら、コロ助も連れてくわよ。万全の状態にしないと」
ルナとカリンが笑顔になる。よろしくお願いしますと頭を下げ、クエストの詳しい情報を書いた書類をカズマ達に手渡した。でも、無理はしないでくださいね。最後にそう続け、二人は再度頭を下げて去っていく。
ギルドの客達も、じゃあ頑張れよ、と応援してそれぞれの場所へと戻っていった。その様子だとどうやら特に心配されていないらしい。信頼というべきかなんというべきか。
「ありがとうございます、カズマくん、キャルちゃん」
「コロ助にも言いなさいよ」
「勿論です」
「よし、じゃあ準備したら行くか」
善は急げ。さっさと魔道具店でコッコロと合流し、向こうの屋敷でゼーンを拾ってしまおう。そんなことを思いながらカズマは酒場を後にする。キャルもそうねと彼に続き。
「あ、お刺身醤油だけ貰ってきますね」
「だから食べるんじゃねぇんだよ! しかも生かよ!」
ペコリーヌのそれに、カズマは今日一番のツッコミを入れた。