プリすば!   作:負け狐

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色々あって大分間が空きました


その217

 と、いうわけで。

 

〈俺は悪くねぇ! 俺は悪くねぇからな!〉

 

 またもや首だけになったアイギスが喚く中、宴会も終わり紅魔の里は次の段階へと進んでいた。

 新しい族長の初仕事である。

 

「そもそもまだ私族長になってないけど!?」

「ここで逃げ出すようではどっちみちこれからの族長なんかやってられませんよ」

 

 嘆くゆんゆんの横でめぐみんがそう告げる。言っていることはその通りであったため、彼女はうぅぅと追加の嘆きを零した。

 

「えっと、それで」

 

 気を取り直すように、ゆんゆんは転がっている鎧の頭部から色々と疲れ切った表情のカズマへと視線を動かす。もう一歩も動きたくないとばかりにへたりこんでいる彼の横では、心底心配そうに、それでいて活き活きとコッコロがお世話をしていた。

 

「一体何があったんですか、リーダー」

「俺が聞きたい」

 

 即答であった。実際カズマがあの場で体験したことは薬を盛られて攫われた挙げ句乱入してきた鎧が撃墜され動力源が誘爆した、で終わりである。目撃情報という意味では十分だが、当事者というには中身が少ない。

 だが、しかし。では残りの面々に聞こうと思うと。

 

〈お、何だ? もうちょっとこっち寄ってきてくれれば俺っちは何でも答えるぜ〉

「ゆんゆん。あのエロ鎧は近付いてきたあなたのパンツを見ようとしているだけなので、遠距離から破壊したほうが良いです」

〈俺って一応神器なんだけど? 扱いがあまりにもじゃね?〉

 

 アイギスの抗議はさらりと流され、残っている一人に聞いた方がいいなと視線をそちらへ向ける。クスクス、と笑っている彼女を見て、あれに聞くのかぁ、とゆんゆんの表情が曇った。

 

「あ、あの。エリコさん」

「はい」

「説明とかって、お願いしても」

「彼が私の運命の方かどうかを確かめようとしましたわ」

 

 即答である。当事者としての行動の中身の説明としては十分だが、中身そのものとしては少々足りない。カズマの情報と組み合わせればまあいいか、ではある。

 それはそれとして。それで出す結論はエリコが紛うことなき実行犯だということで。これどうすりゃいいのか、というわけで。

 

「ゆんゆん」

「私!?」

「それはそうでしょう。あなたが族長なんですから」

「だから私はまだ族長じゃ」

「後回しにしても意味はないですよ。それにさっきも言いましたけど、ここで逃げ出すようでは族長は無理です」

「そうだけどぉ……」

 

 ちなみになんだかんだここで、もういい私族長辞める、とならないのはゆんゆんによるぼっち特有の責任感によるものか、あるいはアクセル変人窟の生活で染まるもとい慣れてしまったのか。多分後者の割合が多い。

 

「エリコさん」

「はい」

「えっと、これは別にあなたが嫌いだから言っているわけではなくて、出来ることならば仲良く、いやこれはおこがましいかな、もうちょっと段階を踏みつつ顔と名前を出来るだけ早く思い出してもらえるようになるところから」

「ゆんゆんさん。話を進めてもよろしいでしょうか」

「え、あ、はい」

「というかこの連中がゆんゆん認識してないわけないでしょう」

 

 はぁ、とめぐみんが呆れたように溜息を吐く。新たな族長になったとはいえ、本質は早々変えられない。それは間違いないだろうが、だとしても、である。

 こいつはまず割と自分の周りに人がいることを自覚するところからだな、と彼女はジト目で見やる。

 

「……いや、私がこんな心配しなくてもBB団がなんとかするか」

 

 アオイはゆんゆんと同じ立ち位置だろうけれど、ルーシーと安楽王女はきちんと保護者をしてくれる。そんなことを考えつつ、二人の話の続きをめぐみんは見守る。

 

「まずは。カズマさんには謝罪を」

「……は? え?」

 

 振り向き、エリコがそう述べる。突然話を振られたカズマが目を見開き頭上にハテナマークを浮かべている中、当の本人は涼しい表情だ。そうして、というわけですので話を締めた。

 

「何が!? というわけで!?」

「話は終わりましたわ」

「終わってないですけどぉ!?」

「……はぁ。面倒ですわね」

 

 そう言ってエリコが頬に手を当てる。ちらりとゆんゆんを見て、再度視線をカズマに戻した。必要なのはこれだろう、とばかりに。

 

「私は運命の人を捜していました。その該当者に一番近いであろうあなたを見極めるため、薬を盛って拉致をしたのですが」

「初手からワンターンキル過ぎる」

 

 それで一体何を見極められるというのだろう。何の運命に該当するのだろう。そんな疑問が浮かんでは消えを繰り返したが、言ったところで何もならないだろうとカズマは表情を無にしながら、それでもツッコミを入れて話の続きを促した。

 

「……それで、カズマくんを見極めて、どうするんですか?」

 

 そこに割り込む声。ペコリーヌが普段の彼女らしからぬ表情で、真っ直ぐにエリコを見詰めていた。それがどういう理由からなのかは、言わずもがなであろう。

 対するエリコ。その表情を見て小さく笑った。次いでクスクスといつもの笑みも浮かべる。そうした後、ご心配なく、とペコリーヌに告げた。

 

「先程の謝罪はそういう意味ですので」

「信じてもいいんですよね?」

「ええ、勿論。愛を偽ることはありませんもの」

 

 ホントかよ。とカズマと野次馬状態のキャル、そしてめぐみんを筆頭とした紅魔の里の面々がポツポツとそんな感想を持ったが、まあ言われてみればそうかもしれないと若干思い直す。だとしても、これまでの行動が偽りのない愛から生み出されたのならば大問題だ。

 それはそれとして。

 

「イマイチ納得しかねるけど、つまり俺は運命の人じゃなかったってことでいいんだよな」

「条件には合致していましたが、残念ながら決め手が足りませんでしたわ」

「ねえなんで俺がフラれたみたいになってんの? おかしくない?」

 

 それで何の問題もないのだから喜ぶべき場面なのだろうが、カズマとしてはどうにも納得しかねるというか。とはいえ、いかんせんそれに同意を求めたところで賛同者は誰一人としていないであろうことも自覚していたので、彼はそれ以上何も言わなかった。

 勿論浮遊している頭蓋骨も地面に転がっている鎧の頭部も、カズマの側になどつくはずもなし。

 

「……これにて一件落着?」

「ゆんゆん」

「何でそんな目で私を見るの!? だってもう話は終わったでしょ!?」

 

 当事者は被害者に謝罪し、被害者はそれを受け入れた。後者の方には多分、とかつくがまあ誤差だと流して。

 そうなれば族長としてこれ以上何かを求めることもないだろう、というのがゆんゆんの判断である。

 

「破壊された森の一部とかはどうするんですか?」

「その辺りはミツキ先生やネネカ所長にお願いするつもりだけど」

「あの二人に任せるくらいなら放置の方が生態系崩れないと思いますよ」

 

 そうかな、そうかも、と首をひねる彼女を見て、めぐみんは何とも言えない表情を浮かべた。ぼっちをこじらせる以外は割と紅魔族より常人寄りの思考をしていた気がするはずのゆんゆんが、気付くとすっかり染まっているような気がしたからだ。紅魔族と変人窟のハイブリッドが族長になったのははたして里にとって良いことか。

 

〈何かすげぇ苦労人ポジに立ってる風醸し出してるけどよ。めぐみんの嬢ちゃんも同じ立ち位置だからな。むしろ嬢ちゃんの方がたち悪いかんな。主に俺っちの扱いとか〉

 

 はぁ、と溜息を吐くめぐみんの横で女性陣を見上げながらそうぼやいていたアイギスに、彼女はゆっくりと近付く。猛烈に嫌な予感がしたアイギスは、そんな彼女のスカートを見ながら言葉を発した。そこはぶれない。

 

〈ま、待った。今のナシ! たっ……たのむ……もう一度チャンスを……めぐみ……!〉

 

 彼女はそのまま無言で鎧の頭部を踏み潰した。蛇足だが、これぐらいのほうが直しやすくて丁度いいとネネカが言ったとかなんとか。

 

 

 

 

 

 

 平和が戻った。まあそんなこともあるよね、くらいのノリで流されたカズマ爆発事件――正確にはカズマの眼の前でアイギス爆発事件――の処理も終わり、族長試練を軸とした一連の流れは終わりを告げた。紅魔の里も普段通りの生活が始まり、そして。

 

「……ひぃ、ひぃ」

 

 前族長である父親から渡された書類の処理で、ゆんゆんは大分酷いことになっていた。ドドン、とそびえ立つそれらを最初に見た時は一体何の冗談かと思ったほどだ。

 勿論冗談でもなんでもない。加えるならば、これまでの族長はそれらをノリとかっこよさ重視で処理をしていたため、該当しない項目は溜まる一方となった結果である。

 そんな地味な書類仕事をひたすら続けたゆんゆんは、終わりが見えてきたことでいい加減限界が来た。ルーシーに入れてもらった紅茶を飲み、ソファーに倒れ込む。

 

「にしても酷いなぁ」

『まあ紅魔族としてはどちらでもよかった、みたいな感じなんでしょうね』

 

 手伝いをしていた安楽王女もぼやき、ルーシーも書類を見ながら言葉を返す。これだけ溜まっていても別段問題視されていなかったということは、まあつまりそういうことなのだろう。実際ゆんゆんの父親である前族長ひろぽんも別に気にする必要はないと笑いながら言っていた。彼の誤算は娘がアクセルで生活しているうちに変な方向に吹っ切れて成長していたことだろう。

 

「まあ、ゆんゆんさんとしてはそれが逆に、ってなっちゃったみたいですけど」

 

 そして、書類仕事そのものは手伝えなかったので整理を担当していたアオイがあははと苦笑する。が、即座に自分の行動を思い返し顔色を変えた。

 

「あ、今のは決してゆんゆんさんの今の状態が面白いから笑ったとかではなく、むしろ逆で、いやでもそれはそれでお前何目線だって言われてしまいかねない可能性が!? ち、ちちち違うんです!」

「誰も何も言ってない。だから書類をぶちまけるのだけはやめろ」

「ははははいぃぃぃ!」

 

 グルグル目のまま必死で書類を支える彼女を見て、ルーシーはクスクスと笑った。深呼吸をしながら再度整理を終えたアオイに、はいどうぞと紅茶を渡す。

 

『それで。ゆんゆんはどうなのかしら?』

「……どう、って?」

 

 ソファーで寝転び天井を見上げながらそう返す。頭が若干回っていないまま、彼女はルーシーの言葉の続きを待った。

 

『族長の仕事は一段落つきそうだけど、このまま里に残るの?』

「…………え?」

 

 がばりと体を起こした。その状態のままたっぷり数分かけて彼女の言葉の意味を染み込ませたゆんゆんは、そういえばそうだと顔色を変えた。

 

「族長って……里にいなきゃいけないんだ……」

「致命的なところ抜けすぎでしょ……」

 

 今明かされた衝撃の真実、みたいな空気を出しているゆんゆんを安楽王女が溜息混じりで眺める。ただでさえアレな紅魔族の長であり、そんな紅魔族もかくやというアレな連中が住処にしている診療所もそびえ立っている里である。族長が里を長時間不在にしていたら何が起こるか分かったものではない。

 だがしかし。だから里に残るという選択を取れるかというと。

 

「みんなは……アクセルに帰るんですよね……」

「帰るも何も私は本体が向こうだからなぁ。そもそも移動してない」

『私はBB団の地縛霊ですから、どうしてもメンバーの多い方を依り代にしちゃうわね』

 

 なので、と視線が最後の一人に向けられた。まあつまりアオイ次第でゆんゆんが里でぼっちになるかどうかが決まる。

 勿論プレッシャーに耐えきれなかったアオイはぼっちラキシーショックで倒れて動かなくなった。

 

「アオイちゃぁぁぁん!」

『知ってた』

「じゃあやらせるなよ。ったく」

 

 ゆんゆんの向かいのソファーにアオイを運び半透明の膝枕で休ませながらそう述べるルーシーをジト目で見ていた安楽王女は、まあそういうわけなんだがとゆんゆんを見やる。その視線を受けびくりと肩を震わせた彼女は、おっかなびっくりどういうわけなのかと問いかけた。

 

「お前が里に残るとアオイが死ぬ」

「大問題!?」

「まあ半分は冗談だけど。でも半分は本気だよ。ようやく友達宣言した相手となかなか会えなくなる、なんてことになったら」

「……友達に、会えない……!」

 

 衝撃が走った。疲れで上手く回っていなかった頭が、その事実を認識したことで猛烈な勢いで回り出す。BB団はただ一緒にいる間柄ではない。とても重要で、そしてなによりも得難いもの。

 そう、彼女達は、ゆんゆんの友達なのだ。

 

「帰る! 私アクセルに帰る!」

『族長の仕事はいいの?』

「お父さんが溜めていた仕事も終わらせたし大丈夫。族長より友達が大事だから!」

「一点の迷いもなく言ったなこいつ」

『……なんだかんだ、ゆんゆんもしっかり紅魔族よね』

 

 まとめ役に適任とは何だったのか。最初の動機を思い返しながら彼女はそんなことを呟いたが、相対的には確かにそうかもしれないと意見を翻す。染まった、というめぐみんの評価は、どうやらしっかりと的を射ているようである。

 ともあれ。新族長ゆんゆんはやることを済ませてアクセルへ帰還することと相成った。それに文句を言わない辺り、まあ紅魔族とはそういうものなのだろう。

 

 

 

 

 

 

「それでは、私達もそろそろ戻りましょうか」

 

 場所は変わってミツキの診療所。ペコリーヌの呪いの経過観察も無事終わり、完治のお墨付きをもらったことで帰ろうとしているカズマたちの横で、ネネカもまたそんなことを述べていた。

 

「別に所長たちはもう何ヶ月かいてもいいんじゃないのか?」

「現状こちらでやることも特にありませんから」

「例の賞金首の呪いの研究はいいのかよ」

「終わりましたよ。既に技術としてミツキ先生との共有も済ませてあります」

 

 カズマの提案をばっさりと切り捨てる。ついでに何か物凄く不穏なことを言われた気がしたが、彼は聞かなかったことにした。

 

「はい、じゃあこれ」

「はい?」

 

 その横でミツキがペコリーヌに何か怪しい薬を渡している。瓶に入った錠剤をパチクリと見ながら、これは一体と彼女は首を傾げながらミツキに尋ねた。

 

「さっきネネカ所長が言っていた研究の成果よ。今度から怪しいモンスターを食べる時はこれを服用してからにしてちょうだい」

「わぁ……ありがとうございます!」

「喜ぶなぁっ!」

 

 即座に薬をひったくったキャルが叫ぶ。なんてもんを渡しやがったんだこいつは、とミツキを睨むが、当然ながら彼女はそんなことで揺らがない。医者として、患者の健康を守ることは当然だと言い放つ始末である。

 

「いやまあそうかもしれないけど……。そこは変な魔物は食べるなって言うところじゃ」

「研究の進歩は常に挑戦から始まるものです」

「別にこのアホは研究の進歩も何もしてないの!」

 

 横合いからのネネカのそれに再度ツッコミ。ただただ食い意地が張っているだけ、と曲がりなりにも自国の王女をボロクソである。カズマも同意するように頷いていたし、コッコロですらあははと苦笑するだけに留まった時点でそういうものなのだろうが。

 

「まあそんなことはどうでもいいですから、さっさと帰りますよ」

「いやめぐみん、お前はむしろ名残惜しいってなる方じゃないのかよ」

「今更そんなことを思うほど子供じゃありません」

 

 そういう反応する方が子供じゃないのか、という言葉が出かかったがキャルは飲み込んだ。何より故郷云々は自分も帰りたくない派なので尚更である。

 そんなこんなで。研究所の面々、ネネカとめぐみんとちょむすけ、そして喋る残骸と化したアイギスは診療所を後にした。ホーストとアーネス、そしてマサキに一応一声掛けてからにするらしい。去り際に笑みを浮かべていたネネカが非常に不穏であったが、気にしても仕方ないと振って散らす。

 

「……俺たちも帰るか」

「はい」

「そうね」

「はい。ではミツキさま、大変お世話になりました」

 

 ペコリと頭を下げ、カズマ達も去っていく。彼らを見送り、扉が閉まるのを見ながら、ミツキはふうと息を吐いた。ここ暫くは騒がしかったこともあり、普段通りの診療所が無性に静かになった気もする。

 

「あ、そういえばエリコちゃんも今出払ってるんだったわ」

 

 普通に人がいないだけだ。いけないいけないと頬を掻きながら、彼女は踵を返す。そうしながら、確か、と彼女はエリコの用事を思い返していた。

 

 

 

 

 

 

「運命の人、ですか」

 

 そけっとの占い屋で、エリコは再度そのことについて尋ねていた。出てくる答えはほとんど同じ、だが、それに該当するであろうあの少年は違う。となると、疑うべきは占いの結果そのものか、あるいは。

 

「なるほど。つまりもっと具体的なものが欲しいってわけだ」

 

 浮遊している頭蓋骨、ドクロ親父がそうやって笑う。出来ればここで俺だと宣言したいところなんだが、とぼやいていたが、実際にやるとエリコに粉砕されるので流石のこいつもやらないらしい。

 

「よし、んじゃシノブ。準備を頼むぜ」

「分かりました」

 

 そけっとだけではなく、シノブとドクロ親父も揃っている今ならば。そう考えたエリコはこのタイミングを選択したのだが、どうやらその行動は正解だったらしい。机の中心に置いてある水晶玉は、これまでにない輝きを放っている。

 

「運命の相手が組んでいるパーティーメンバーは、剣士と、獣人と、回復役」

「そこまでは以前聞きました。その先は?」

「そうだな……剣士の娘は髪が長いみたいだ」

 

 ドクロ親父の言葉にエリコは少しだけ目を細める。その情報は結局彼に行き着く方向と同じだ。他には、と短くそう続けた。

 

「回復役は……そんなに髪が長くないな。いや待て待て、今やってるとこだから待てって!」

 

 だからそれは結局同じで。そう思ったエリコがドクロ親父を粉砕しようとしかけたタイミングで当人から待ったがかかった。ふざけている様子もなかったので、仕方ないと彼女は椅子に座り直す。

 

「えーっと……そうだな……そのパーティーメンバーの娘の割合は、一人でかいであとはまあふつうか小さめって感じか」

「お父さん……」

 

 今度は横のシノブがジト目になる。そんな自身の娘に対し、今回のはそういうのじゃない、と割と本気の声でドクロ親父は抗議した。

 ちなみに、エリコはそれを聞いても表情が変わっていない。髪の長い剣士、髪は短めの回復役、体系、おそらく胸の大きさは一人が大きく残りは普通か小さめである。そんなパーティーメンバーと一緒にいる少年の該当者で思い浮かぶのはやはり一人だからだ。

 

「この情報だけだと、やっぱりあのカズマ君って人になるわね」

「ですが、それは違うとエリコさんもはっきり言っていますから」

「似たようなパーティー構成のがどこかにいるってことか……? えーっと何かないかもうちょっと」

 

 ん、とドクロ親父が水晶を見て唸った。かちりと何かがはまったように、そこから得られる情報が増えたらしく、調子がいいと鼻歌を奏でている。

 

「よし、よく聞けよお嬢ちゃん。でかいのは回復役だ」

「……それで?」

「あとは、獣人の娘は前衛みたいだな。ほれどうだ?」

「成程……」

 

 それは確かに向こうのパーティーメンバーとは構成が異なる。となると、やはり自分の考えは正しかったのだという自信にもなり。

 本当の運命の相手は、確かにそこにいる、ということでもある。

 

「どうやら何か世界中のダンジョン制覇の旅をしてるみたいだし、そのうちこっちにも来るかもしれねーな」

「ご心配なく。運命は自分で掴み取りにいくものですので」

 

 元々診療所の面子は伝説や幻といわれている場所を探してよく旅をしている。なので、自分も運命を探したところで何も問題はない。そう結論付け、エリコははっきりとそう述べた。見付けたその目標へと突き進むことを決めた。

 

「クスクス。待っていてくださいませ、私の、運命の人……」

 

 同時刻。どこかで一人の少年が寒気を感じ、思わず周囲を見渡したのだとかなんとか。

 

 




第十二章、完!
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