TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA   作:佐遊樹

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PART21 愚者はたどり着く

 ──マリアンヌとアルトリウスが激突する校舎から離れて。

 教師や上級生の誘導に従い避難した一般生徒たちは、この戦場においては弱者であるものの、中央校への入学を果たした時点で次代を担いうる逸材たち。

 故に、避難したアリーナの外でいかに埒外の攻防が行われているかを肌で感じ取っていた。

 

「こ、こ、これ……大隊長クラスの人間何人いるんだ……!?」

「そうだよね!? 明らかにおかしい出力同士でぶつかってるよね!?」

 

 流石に大隊長クラスの学生となると、心当たりがない。

 世間一般の認識における中央校最強の生徒、即ち生徒会長はどちらかといえば搦め手を得意とするタイプ。

 これだけの出力を相手にぶつけて正面から叩き潰す戦い方で想起されるのは、自分たちの世代の中心点にして特異点、革新の先陣を切る黒髪赤目の令嬢。

 

「ピースラウンド様が戦ってる?」

「あの人、騎士と仲良くなかったっけ……?」

「馬鹿、騎士は助けに来てくれたんだろ」

「で、でも、正門で騎士と騎士が戦ってたって!」

 

 情報が錯綜し、誰が敵で誰が味方なのかが曖昧になっていく。

 そして、賢い生徒であれば、当然気づく。

 

「待って!! ここ、全然、安全地帯じゃない!!」

 

 自分たちの避難場がまったく安全でないことを察する、ただそれだけでも優れた感性の持ち主である証左。

 だがそれでも遅すぎる。

 膨れ上がった魔力と神秘の激突は、サイクロンじみた余波となって雲を散らし、歪なオーロラに覆われた空をあらわにしている。上へと流れていった余波で、そうなのだ。

 ならば横へとまき散らされた過剰な威力や神秘たちは、校舎を粉砕しながら広がっていくのが道理。

 

「や、ばっ──!」

 

 一般人なら、危機に気づくことすらなく絶命できた。こぼれ落ちた余波ですら、魔法あるいは加護をもたぬ人間を置き去りにした速度感だった。

 しかし不幸なことに、この場に居合わせているのは第一級レベルの才能の持ち主たち。

 

 残酷なことに、彼ら彼女らは、全てを理解した。

 自分たちが助かる未来はない。

 教師たちの防護陣が展開されるよりも早く絶命する。

 

 

 ────はずだった。

 

 

「…………?」

 

 傍にいた男子にとっさに庇われ、地面に押し付けられる形で丸くなっていた女子生徒が、恐る恐る目を開けた。死んでいない。四肢の感覚がある。あるいはここが死後の世界なのか。

 

 

「────人間の善性を見るたびに思うよ。やはりこの世界を、滅亡から救わねばならないと」

 

 

 ハッと一同顔を上げる。

 自分たちが避難していたアリーナは、無残にも上半分を削り取られていた。

 奇形のオーロラに覆われた空を見上げて、教師たちが呆然とする。

 

「ここで、このタイミングで、こういう形で力を振るうこと……私にとってはご法度だが、いやはや。世界を救うと謳っておきながら無辜の人々を救わないのはおかしいだろう。ならば力を振るうことに躊躇などありえない。あとで怒られるのは普通に怖いが、しょうがないんだ……!!」

 

 生徒たちが気づく。

 アリーナの入り口、校舎の方向から飛んできた衝撃を打ち消し、受け流した存在がいる。

 それは黒いスーツに黒いシャツを合わせ、黒のネクタイをきちっと結んだ青年だった。

 

「焼きそばパン15個買っていったイケメンの人だ!」

「お前なんか言ってたなそれ……!」

 

 自分をかばってくれていた男子と共に立ち上がった一年一組女子が、青年を指さして叫ぶ。

 

「おや、覚えてくれていたとは。今日はパンを作っている場合ではなさそうなのが残念だが……そうだ。あれを作ったシェフの方はいるかな? ぜひともお礼を申し上げたい」

「え……?」

 

 今それ言う? と生徒たちが顔を引きつらせる。

 というか焼きそばパンを作った人間のことをシェフとは呼ばない。

 弛緩してしまった空気の中で、青年は生徒たちに手をかざす。

 

「ああ、まだそこから出て来てはいけないよ」

『…………!』

 

 彼が腕を一振りすれば、自分たちを守り抜いた結界が可視化される。

 それは黄金色に輝く糸を束ねた守護結界だった。鳥かごのように編み込まれた光の線一筋一筋に、あれだけの破壊を打ち返すだけの強い魔力が宿っている。

 

「まだ終わっていない。第二波が来てもおかしくない」

 

 巨人が踏み荒らしたかのように砕けた大地。

 並大抵の攻撃は打ち消せる防護魔法を施されていたにもかかわらず、半壊した校舎群。

 だが、自分たちには傷一つない。

 

(これだけの攻撃を防いだ、しかも詠唱は聞こえなかったぞ!?)

 

 教師が青年の起こした奇跡に戦慄する。

 なんでもないことのように、消耗の一つも見せずに、青年は結界の強度を確かめてから頷く。

 

「私がここを離れても三回程度なら防げるだろうが……念のため、限界まで損耗した後に自動修復・再構成するように仕掛けておこう」

「あっ……ありがとうございます! あの、ピースラウンドさんを助けに行ってくれるんですよね!?」

 

 生徒の言葉に、青年は数秒黙ってから首を横に振る。

 

「すまない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……だい、よん?」

「もちろん、最悪の事態になりそうならば介入するが……ああ、それだけじゃない。根本的に、私なんかが彼女のステージに割って入ることはできないよ」

 

 結界の再構成システムを一瞬で構築・付与した後。

 青年はスーツを翻して、アリーナから去っていく。

 

 

「駆けつけたはいいが……貴重な単独公演だ。これは邪魔できないね」

 

 

 薄く笑みを浮かべた青年──ナイトエデン・ウルスラグナは、マリアンヌが戦う校舎屋上を一瞥してから、成すべきことを成すため歩き出した。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 マリアンヌがツッパリフォームと呼称する、彼女独自の計算式で『流星(メテオ)』を運用することで発現した決戦用高機動高出力安定化システム──体内宇宙活性状態(ミクロコスモス・アクティベート)

 その進化は(セーヴァリスがまったく意図しない、むしろ憤慨する形で)マリアンヌと『流星』の位階が高みへ駆け上がっているという証左に他ならない。

 

 

 大悪魔ルシファーの端末との戦闘において。

 無意識化でずっと演算・構築され続けてきた彼女の理は、体内に宇宙を仮定するという認識を通して活性・循環し始めた。

 

 

 悪逆令嬢カサンドラとの死闘において。

 体外へばらまいた血液を媒介とすることで、彼女の理は身体外部においても展開可能な強度を獲得した。

 

 

 軍神と彼が支配するゼルドルガとの決戦において。

 オフィウクスの権能を弾丸として放つことで、ついに体外で『場』として展開されていた理は、特定の他者に服従を強制させることが可能になった。

 

 

 一つ一つを紐解き、解析し、連立したものとして考察すればおのずと分かる。

 そうあれかしと願われたのではなく、必要に応じて、その場その場で自身の望みをかなえるために進んできたマリアンヌの歩み。

 

 

 それは新たなる『■■(■■■■)』が生誕するプロセスの進行であり、踏破はそう遠くない。

 大悪魔ルシファーのみが、彼女を内側から観測することで気づきつつある最新にして最小の新生。

 

 

 しかし。

 張本人であるマリアンヌにとっては、その大いなる歩みは、自覚していようといまいと関係がない。

 

 ただ前に進むこと。

 ただ誰よりも眩しく輝くこと。

 

 

 ──そのためだけだからこそ、極光は彼女を誘う。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

「力が湧いてきますわね……!」

 

 新フォームお披露目会場となった屋上にて。

 わたくしは風に髪を揺蕩わせ、陶然としながらつぶやいた。

 

「ふふ……怖いでしょう。怯えているのですか? 当然ですわね」

「ああ、怖いよ。君がその姿になってから……俺にも力が湧いてくる」

「えっ」

「えっ、じゃない。何だこれ」

 

 正面に佇むアルトリウスさんが、軽く拳を握ったり開いたりしながら言う。

 え、何で?

 

「こっちも同じだ、一体全体どういうことだ……!?」

 

 横を見れば、ジークフリートさんがアルトリウスさんと同じことを言う。

 傍にいるユイさんたちも頷いた。なんか全員にバフかかってるっぽい。

 

「これは……何でしょうか。ええと。ルシファーなら分かったりしませんかね」

「マリアンヌ、大悪魔を解説役として呼び出そうとするの本当にヤバイ悪癖だと思うぜ」

 

 ユートが冷や汗を流しながら指摘してきた。

 その時だった。ふと自分の斜め後ろから、のそりと視界に入ってくる姿があった。

 

「あら?」

 

 見上げれば、先ほどは実体として顕現していた宇宙人間共のうち一体が、半透明の状態でこちらを覗き込んでいる。

 鎧の形、片手に構えた巨大な弓からして──サジタリウスフォーム担当の人だ!

 彼は人間が普段用いる、空気を振動させて伝達する音ではなく、エーテル仮定領域(なんじゃそれ知らんが?)を通してわたくしに未知の言語(なんか聞き取れる)で語り掛けてくる。

 

「え? 何? オフィウクスの権能が常時発動してる? あの性悪クソババアの力ですか……えっ逆? あれが反転状態であってこっちが正当な発現? なるほどなるほど」

「ついにおかしくなったのか?」

 

 サジタリウスフォームの人の話を聞いていると、アルトリウスさんが半眼を向けてきた。

 

「何がですか?」

「さっきから虚空と話しているだろう、君」

「……その魔眼でも見えないんですか?」

「何だと!?」

 

 カッと魔眼を見開き、ぐぬぬと唸りながら彼は目を凝らす。

 

「み、見えない……! 本当に何かが顕現しているのか!?」

「これがブラフだったらどうするんですかアナタ。いやまあ本当のことなんですけど」

 

 

つっきー ……存在感知できる?

遠矢あてお 全然できん! タキオン粒子を介さずに存在してるってことか!? だとしたらそれはもう()()()()()()()()()()()()()()()! パラドクスをどうやって解決してるんだよ!?

 

 

 魔眼で見えないし神様連中も感知できないってなると、これは存在してない感じだな。

 わたくしの視神経に内側から作用してる、と考えるのが自然か。えっお前らわたくしの中にいんの? 家賃支払えよ……

 

「まあ、おおよそ掴みました。解説どうも」

 

 礼を言うと、サジタリウスフォームの人がぐっと親指を立てた後に消えていく。

 すげえ好意的だった。もっと丁寧にサジタリウスフォーム使おうかな。

 

「つまり──わたくしが流星だと認めた者全員に特殊なバフがかかるようです。固有枠で消去不可ですわね。わたくしは十二神将だった……?」

 

 

みろっく 馬鹿阿呆間抜の守護神、「流星宮」の主

苦行むり お前グラブルはやってるのか……

TSに一家言 ちゃんと多段ダメアビ持って来いよ

無敵 最終クビラは頼むから奥義ゲージ上昇量をなんとかしてくれ

煽りたい バブ石引けてないやつおりゅ?

日本代表 関係ねえ煽りはマナー違反だろうがおりゃん!!

無敵 名は体を表すを地でいきすぎだろおりゃん!!

 

 

「流星だと認めた者? 条件が不明瞭すぎる。というか俺にまでかかってるのは何なんだ? 手心か?」

 

 訝し気に問うてくるアルトリウスさんに対して。

 わたくしは腕を組むと、胸を張って宣言する。

 

「フフッ──この能力! 敵味方の区別がまったくつきませんわ!」

「馬鹿なのか!?」

 

 

火星 今更かよ

木の根 馬鹿でーす

 

 

 お前ら覚えとけよ。あとで全員しばき倒すからな。

 

「だが、その馬鹿さには助けられるよ!」

 

 視線が重なった。

 アルトリウスさんの、深海のように仄暗い、蒼い双眸。

 魔眼が効果を発動する。わたくしに対する干渉を、まとわりつく不愉快な感触を直に受ける。即座に、こちらの意識を断絶させる効果だと分かる。

 

 キメーんだよ触ってくんな! 訴えるぞ!

 歯を食いしばって、前に進む。

 

 

「……ッ! 昏倒しない……!?」

「ライフで受けますわ!」

 

 

 当たり前だ。

 お前を止めるまでは眠れないから。

 

 

「この効果なら!」

「ライフで受けますわ!」

 

 

 次は石化。はい無視。

 お前を止めるまでは止まれないから。

 

 

「ク、ソッ……! もういい、死ねッ! その演算能力を俺に組み込んでしまえば!」

「ライフで受けますわ!」

 

 

 死ぬわけねーだろバーカ!

 お前を止めるまでは、死ねないんだから──!

 

 

「な、あ……ッ!? 一切通用しない!?」

「ライフで受けますわ!!」

「さっきからそればっか言うのやめろ! 何かを支払ってもらってる感は全然ないんだよ!」

 

 度重なる魔眼の干渉全てを弾く。

 一瞬たりとも効果が発揮されないまま、わたくしは彼めがけてずんずんと進んでいく。

 

 

red moon こ、こいつ……概念防御してるのか……?

みろっく 何それ?

火星 このゲームにおける、防御スキルの最上位に該当するパッシブスキルだ。周回前提の莫大なスキルポイントを消費してツリーの最後の最後に獲得できる代物なんだけど……

みろっく ほえ~。どんな効果なん?

火星 自分以下の位階に存在する対象からの干渉を全部遮断する

みろっく は?

 

 

 へ~そういう感じのスキルがあるんだ。

 でも獲得したわけではねえんだよな。どっちかっていうと多分、ワザマエフォームの特性にその概念防御ってやつが組み込まれてる感じ?

 

 

一狩り行くわよ え~~~っと。じゃあこのマリアンヌって配信者、今の位階どれくらいなの?

宇宙の起源 ……不明!w

一狩り行くわよ は?

遠矢あてお は?

日本代表 違うんです! 勝手に計測不能になってるだけなんです! 許してください! 私は何も悪くありません!

 

 

 コメント欄でいつもいるやつが謝り始めた。

 大変そうだなあ……まあ、位階っていうならわたくしが一番上だからな。わたくし以外はザコ。

 

「ふざけた態度でふざけたことを! ならもう、直接叩き込む!」

「いい判断ですわァ!」

 

 向こうが両腕を構えたのを見て、わたくしも流星をフル稼働させて構える。

 それでいいんだよ、元王子。やっぱり最後は拳じゃねえとなあ!!

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 アルトリウスの右ストレートが、マリアンヌの頬をかすめる。

 

「うわっとぉ!?」

「ディフェンスはまだ甘いな!」

 

 あくまで我流のマリアンヌに対し、機密部隊などを経て実戦的に磨き上げたアルトリウスの方が、格闘術の精度は高い。

 本物の中の本物であるルーガーやユイと比べれば見劣りするものの、彼の場合、そういった超一級の天才たちに一歩劣る程度までいけたことが僥倖。あとは魔眼を組み合わせれば、ほとんど敵はいなくなる。

 それは魔眼が効果を発揮しなくなったとしても、()()()()()で十分戦えるということ。

 

(──クソッ! 技量では明らかに圧倒しているはずなのに!)

 

 だが、今この時は話が違う。

 マリアンヌの防御を、アルトリウスは予知能力なしに読める。そうなるだろうと判断して攻防を組み立ててるだけでいい、年季が違うのだ。

 一方で先ほどまでの未来予知はオフにしたらしく、マリアンヌは自分の技術だけでアルトリウスに殴り掛かる。

 

「何なんだこの女ッ!?」

「ハハハハッ! アナタの先を往く者ですわ、何せ流星ですから!」

「理屈が意味不明過ぎる……ッ!」

 

 笑いながら向かってくるマリアンヌに、アルトリウスは内心で怯えすら抱き始めていた。

 何度攻撃を直撃させても、動きを鈍らせることもなくカウンターを放ってくる。

 何度地面に転がしても、たいしてダメージがないかのように立ち上がってくる。

 我流である彼女の攻撃など、アルトリウスからすれば根性のみの喧嘩殺法に等しい。

 そのはずなのに、精神的な優位性が崩れつつあるのを自覚した。

 

(何故だ! 聖属性を流し込んでいるのに効かない!? 耐性を獲得したのか、こんな短時間で……!?)

 

 マリアンヌが聖なる光の影響で動けなくなってから十分も経過していない。

 だというのに効果が見られなくなっている。

 

「ほらどんどん行きますわよ!」

 

 大きく踏み込んでくるマリアンヌに対して、身体が反射的にカウンターの姿勢を取る。

 だがそこで、ハッと気づく。踏み込みの足を起点として、地面を迸る流星の光。

 

「ぐっ……!?」

 

 ロイの魔法から着想を得た、相手の行動を妨害するための小型地雷。

 本家本元の雷撃魔法ほどクリティカルな神経作用こそないが、撃発がアルトリウスの姿勢を崩した。

 

「ッシャオラァァッッ!!」

 

 ガードの緩んだところに叩き込まれた右ストレート。

 思い切り鼻面に拳がめり込み、アルトリウスがのけぞる。

 

「どうしました!? そんなものですか!?」

 

 たたらを踏むアルトリウスに対して、両眼から炎を噴きあがらせマリアンヌが迫る。

 

(何、なんだ……! 何故俺が追い詰められている……!)

 

 繰り出される攻撃を捌く。目は追いつく。能動発動式(アクティブ)の効果こそ切っているが、魔眼の常時発動式(パッシブ)の効果は健在だ。

 簡易な思考の読み取り。不発、心の中を覗けない。

 だが、身体の動作の起こりは読める。

 

「邪魔をするな! あと一歩なんだ、あと一歩で俺の悲願が……!」

「邪魔するなって言われたら、邪魔したくなっちゃいますわねえ!」

 

 飛び込んでくるマリアンヌに向けて、アルトリウスが右腕を引き絞る。

 

「──濁濤装填(サード・トリガー)ッ!」

 

 セカンド・トリガーと比べて効果範囲を広くし、聖なる属性の性質から純粋な破壊能力へと数値を割り振った攻撃。

 先ほどマリアンヌはこの直撃によって、完全に戦闘能力を喪失したが──

 

「悪役令嬢に、二度目が通用するとでも!?」

 

 腕の一振りだった。

 ただそれだけで、アルトリウスを起点として発生した焔の波濤が砕け散った。

 更にそれだけではない。

 

「それ大振りだからガラ空きになりますわよねえ!」

「……!」

 

 ただ打ちのめされていたわけではない。

 あのタイミングでは打つ手がなかったものの、一度受けた技、その特性なら既に解析済みだ。

 

「調子に乗るなよ、ビギナー!」

 

 間合いを詰めたマリアンヌが右の拳を打ち出す。爆発的な破壊力を持つそれを、アルトリウスは手のひらで受け、衝撃を流す形で無力化する。

 卓越した技術がなせる業。また、マリアンヌが絶えず顔面狙いなのも予測済み。

 しかしそこで、はたと気づく。右のパンチを振りぬいた姿勢で、脇を通す形でマリアンヌの左手がこちらに向いている。

 

(しまっ──)

B()A()N()G()!」

 

 放たれた弾丸がアルトリウスの腹部にめり込んだ。

 数メートル弾き飛ばされた彼の身体が、地面に転がる。

 

「ビギナー? よくもまあそんな口がきけますわね……ナメてもらっては困りますわよ。わたくし、格闘術では師に遠く及びませんが、あくまで魔法使いなので」

 

 銃口代わりの魔法陣を展開した指先にふっと息を吹きかけ、マリアンヌが不敵な笑みを浮かべる。

 激痛に視界がにじむ中、アルトリウスはなんとか打開の糸口を探った。

 

(……この、状況。新たなフォームシフト。そこから攻撃の質が何段階もランクアップしている。特に今のは、無詠唱だが六節分ぐらいの威力があったぞ)

 

 ワザマエフォーム、もとい体内宇宙顕現状態(ミクロコスモス・レヴォリュート)の特性。

 普通の魔法や禁呪が詠唱を介して自分の外側にレコードされている現象を参照するのに対して、今のマリアンヌにその必要はない。

 自分の中にある宇宙を、そこで発生する現象をそのまま顕現させるだけ。

 

(やはり、俺の魔眼を使っても、彼女本人に干渉するのは無理筋! ならば!)

 

 キッと面を上げたアルトリウスを見て、マリアンヌが警戒に立ち止まる。

 

「これならどうだ……!?」

 

 アルトリウス・シュテルトラインの魔眼。

 『魔眼』のパブリックイメージから勘違いされがちだが、彼の力は対人専用ではない。

 

(やつのいる空間自体に作用し、酸素を殺し尽くす! いくら防御を固めたところで、人間の枠組みにいる限り!)

 

 即座にマリアンヌの周囲でがくっと酸素濃度が下がり、気圧差による気流もまた、魔眼の効果で防がれる。

 刹那で窒息してもおかしくない環境下に置かれ、マリアンヌは──

 

()鹿()()()()()()()

「何……!?」

 

 マリアンヌは生物の生きられない環境など意に介することなく、天を指さした。

 

「流星がどこで輝くのか、それすら知らないのです? 無酸素空間という死の領域でこそ光を放つのだと、その原理を知らない?」

「……いい加減にしろ。本当に、もう勘弁してくれッ! それは、それはものの例えだろう! 今君が生きていられる理由にはならない!」

 

 アルトリウスの指摘は正しい。

 流星を目指しているからと言って、流星の生きる場所で生きられるほど人体は強くない。

 

「ほんッとーに馬鹿ですわね! 馬鹿! 根暗! 眼鏡! 魔眼! バ~~~~ッカ!!」

「言い過ぎだろ! 魔眼を蔑称扱いするな!」

 

 だが現実として、アルトリウスの眼前で彼女は生きている。

 それだけではない──むしろ、流星が活性化している。

 

(……! ほ、本当にそうなのか!? 無酸素空間だからこそ、本来流星が活動する環境に寄ったからこそ、出力を増大させているのか!? 意味不明過ぎる! 言葉遊びで現実を塗り替えられては話にならない!)

 

 慌てて魔眼の効果をカットしても、既に遅い。

 

 ()()()()()()

 

 マリアンヌの背から、先程の空間そのものを割るヒビではなく、純化された魔力が噴き出す。

 

「なるほど、なるほど! これがワザマエフォームの真の姿! 確かにツヴァイって言うからには光の翼は必要ですわね! ……やっぱりデスティニーフォームとかに名前変えましょうかね……でも今更過ぎるし……」

「つ……翼──?」

 

 真紅の光が一対の翼を象った。

 羽化したアゲハチョウの如く、眩く、そして神秘の輝きを放つ宇宙(ツバサ)が広がる。

 

「元々内部で持て余し気味だったところで出力が増大したので、試しにやってみましたが……一部を外に吐き出したほうが循環効率が良さそうですわね」

 

 腕を組んでうんうんと頷くマリアンヌ。

 あらゆる搦手が通じない。真っ向勝負でも圧倒される。

 アルトリウスの思考はオーバーヒート寸前だった。

 

(ピースラウンドが復活してから、全ての流れを持っていかれた! 何をしても後手になるし、こちらの予想が役に立たない!)

 

 呆然とする彼に対して、マリアンヌは優しく微笑みかける。

 

「ほら、()()()()()()()()()()()()

「…………は?」

「わたくしを一度でも圧倒したのなら。わたくしがそれを覆すためには、今まで以上のすべてを出し切って向かってきなさい! そこで勝利することで、完全にこっちの勝ち! わたくしが上だと証明できるのです!」

 

 絶句した。

 何を言っているのだ、この女は。

 

(何、なんだ。完璧な計画でなかったとしても。アドリブが必要だったとしても。何故、あの詰めの場面から俺がここまで追い詰められているんだ)

 

 まだマリアンヌ本人は、分かっていない。

 彼女自身は自覚していない。

 

(──ッ!! 分かった……!)

 

 相対するアルトリウスだからこそ、その本質に気づくことができる。

 

(彼女は、終末機構でも救世機構でもない! 虐殺機構や、悪性機構、決戦機構ですらない!)

 

 マリアンヌに、終わらせるとか、始めるとか。

 或いは殺したいとか、救いたいとか、そういった意思は何一つない。

 ゴルドリーフに語ったように、彼女が戦う理由に、大きなバックボーンなど存在しない。

 ただ唯一の意地があるから、たったそれだけでマリアンヌは何度でも立ち上がれる。

 

(これは、逆転機構なんだ……! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!)

 

 背筋が凍った。

 

(こ──この女が流星に覚醒めた時点で、俺の計画は、破綻していたのか……?)

 

 だとしたら。

 自分が費やしてきた年月や労力は、何だったのか。

 

「ちょっと、今はわたくしの相手をする時間でしょう」

「!!」

 

 顔を上げた時、眼前にマリアンヌがいた。接近されたことに気づけていなかった。

 

「ぐ……ッ!?」

 

 腹部にめり込んだ拳。肺から酸素が絞り出され、思わず膝をつく。

 間違いなく格闘技術の面では致命的な差があるはずなのに。

 アルトリウスの攻撃は空を切るばかりで、マリアンヌの攻撃が身体を捉え続けていた。

 

「走者として尊敬しますわ、ホントに。まあチャートが長すぎるのでガバが発生する確率も上がるのは当然というか……あれ? もしかして最大のガバってわたくしがいたことになりませんか? これ。ど、同業者の邪魔をしてしまうのは流石に走者としてマズいのでは……!?」

 

 勝手にあわあわし始めるマリアンヌ。

 アルトリウスは奥歯が砕けるほどに歯を食いしばってから、けれど、ふっと息を漏らした。

 

「……俺は」

「はい?」

「俺は、それが、俺の役目だと思っていた」

 

 ゆっくりと立ち上がる彼の瞳に、もう覇気はない。

 

「世界を終わらせるために生まれたんだと、そう思っていたんだ」

「…………」

「だが、いつか気づいた。この声は……俺のことを、第二プランとして見ているだけだ。本命は別にいる」

 

 ちらりと、マリアンヌは後ろでユイの腕の中にいるリンディを見た。

 

「それでも意地で……走れば、何か、意味があると思って。そのために多くを犠牲にして、手を汚してきた。退魔機関に入る前には、邪魔になるであろう他の犯罪者たちを排除し続けた、暗殺だよ。厄介な貴族を弱体化させるために強盗まがいのこともした」

「えぇ……」

 

 頑張りすぎていてマリアンヌはちょっと引いた。

 

「意味があると信じていた。笑えるな。意味なんてないと知っていたからこその行動だ……」

 

 うなだれる魔眼使いに対して。

 宵髪の令嬢が、笑みを浮かべて歩み寄る。

 

「そんなことを言わないでください。短い期間でしたが……アナタのいいところをたくさん知ることができました」

「冗談じゃない。君に俺は、何もしていない。本質的なところは何も見せちゃいない! ハメるために情報を流し、誘導するため場を支配して……フン。正確に言えば、支配した気になっていただけだがな」

 

 自嘲するように唇を歪めるアルトリウス。

 それを、マリアンヌは一刀に切って捨てる。

 

「でもアナタ、わたくしと一緒に走ったじゃないですか」

「は?」

「伝説の木討伐作戦。アレ、楽しかったですわよね」

「討伐作戦じゃなかっただろ!? 君、守るべきだったものをぶっ壊したあの事件をポジティブにとらえてるのか!? 大体あれは……」

 

 言いつのろうとするアルトリウスを遮って、マリアンヌが唇を動かす。

 

 

「でも、無我夢中だったでしょう?」

「────────」

 

 

 思考が真っ白になった。

 計画のためなら数年単位でプランを組める明晰な頭脳は、心の最も柔らかい箇所を突き刺されることで、あっけなく停止した。

 

「アナタも、そしてわたくしも、きっとそうなんです。そこにたどり着くと決めたら、そのためなら何でもして、無様でもなんでもとにかく走り続けてしまう人種……」

「ち、違う」

 

 驚くほどに情けない声がこぼれたことに、アルトリウス自身が驚愕した。

 だが、滑り落ちた言葉は止まらない。

 

「俺は、君とは、違う。君みたいには走れない」

「何故?」

「理由じゃなくて結果だろ!? 俺は、走るのをやめようとしている。いいや本当は……最初からやめていたんだ、走ったわけじゃない、ただ引きずられていただけだよ、使命だとか運命だとか、そういう代物に……」

(ノー)、ですわね」

 

 肩をすくめて、マリアンヌは一歩歩み寄る。

 ぎくりと身体を強張らせた後、アルトリウスは後ずさった。

 

「今すぐゴルドリーフさんを叩き起こして摂理を発動してもらいますか? 本当に諦めているのか、って」

「何の意味があるんだ、そんなことッ」

「怖がっているじゃないですか。自分の本当の姿をちゃんと見なさい。アナタは勝手に折れたつもりになって、だけどまだ前へ進んでいる」

 

 また一歩、マリアンヌが進む。

 後ずさろうとしたアルトリウスに対して、さらに踏み込んで腕を掴んだ。

 

「やめろ……やめてくれ……」

 

 視線を重ねるのが怖い。

 生まれて初めてだった。魔眼使いにとっては、目を合わせることは自分が勝つための前提であり、勝利そのものであり、無警戒に目を合わせる人間に同情すらしていた。

 なのに今──怖い。最大の武器が無力化され、そのうえで、あの深紅の眼を見るのが怖い。

 

「こっちを見てください、アルトリウスさん」

「やめろッ」

 

 顔を寄せて覗き込んでくるマリアンヌ相手に、彼の喉から悲鳴が漏れる。

 

 

()()()()()()()()()!!」

()()()()()()()()()()()()ッ!!」

 

 

 稲妻に打たれたように、アルトリウスは硬直した。

 深紅の瞳に、自分自身が映っている。

 

 果たして、魔眼が通じないと分かっていて、相手と目を合わせることなどいつ以来だろうか。いいやそんなことは、なかったのではないか。

 アルトリウスは生まれて初めて──他者と目を合わせ、ただ語ることしかできない。

 

「俺は……俺はただ、折れることすらできなかっただけなんだ……!」

「結果として折れていないことが全てですわ」

「だとしても、こんな、中途半端に……計画を遂行することすらできずに……!」

 

 頭を振るアルトリウスの腕を離して、マリアンヌは一歩ずつ後ろへ歩き距離を取る。

 

「まっすぐ立ちなさいな。じゃないと、稲妻すら降ってきませんわよ」

「……!」

「大体まだ勝負はついていません。アナタがわたくしを、今ここで倒したら、それでもうゴールでしょう」

 

 ハッとした。

 諦めるしかないと思っていた。でも、それは自分が勝手に舞台から降りようとしていただけだった。

 

「たとえ破滅への道のりだとしても。進むべき道を定め、自らの足で走り続けること。即ち、まさしく流星の在り方! わたくしが肯定しましょう。アナタは流星だと!」

 

 マリアンヌは深紅の翼から推力を発生させると、宙に浮かび上がる。

 

「だからこそ倒す価値がある!! アナタの輝きより、わたくしの輝きの方がずっと強いことを証明する! そのためにも──打ちなさい、アナタの最大最高最強の一撃をッ」

 

 マリアンヌの言葉を聞き、アルトリウスの両眼に光が宿る。

 魔眼を発動する際の、深く深く潜っていく理外のスイッチではなく。

 ただ自分の心から流れ込んでいく意思の力。それは、人々が覚悟と呼ぶ炎のゆらめき。

 

「そ、うだ。俺は……俺は……!」

 

 計画は無駄だったのだろうか。いいや、今ここで投げ出すことで、本当に無駄になってしまう。

 目的のために走り続けた日々。泥を啜ってでも最後には笑ってやると戦い続けた時間。

 過去の自分が訴えかけている。まだ負けていない。まだだ。

 

 まだ──アルトリウス・シュテルトラインは、まだ戦える!

 

「俺はここまで来て、終われない……! まだ諦めない、俺は、負けたくなんかないッ!!」

 

 全身をかつてないエネルギーが満たした。

 対象者の精神的な高揚に応じて、どこまでも力を提供するマリアンヌの力。それが唯一の敵であるアルトリウスに、圧倒するような出力の増加をもたらした。

 

「マリアンヌ・ピースラウンド!」

 

 キッと天をねめつけて。

 アルトリウスが、臓腑の底から声を吐き出す。

 

「今ここで証明してやる! お前が天に輝くのならば、俺は地の底から天を穿つ!!」

「──よくぞ言いましたわッッ!!」

 

 誰もが直感する。

 その場にいた人間全員が理解する。

 次の一撃で、決着がつく。学園祭をめぐって起きた争乱に終止符が打たれると。

 

 アルトリウスが静かに右腕を引いて、構えを取った。

 浄焔装填(セカンド・トリガー)濁濤装填(サード・トリガー)は、本命である一撃から派生した、あくまで副産物。

 純化させることで聖なる属性に割り振ったセカンドと、濁らせることで物理衝撃に割り振ったサード。

 本質は、聖なる神秘の威力を、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 マリアンヌも不敵な笑みを浮かべて、右の拳を掲げる。

 充填される流星の光。彼女自身が宇宙であり、その莫大なリソースが唸りを響かせ、世界を揺らす。

 強化された形態であってもやることは変わらない。彼女はただ、自分のすべてを込めて、拳を打つだけだ。

 

 

 両者の視線が交錯する。

 世界を遍く見通す魔眼と、己の願いを見つめる深紅眼。

 

 撃鉄が落ちるのは同時だった。

 

 

 

光輝装填(ファースト・トリガー)────ッ!!」

 

 

 

 大地に転がる石ころに過ぎないと自嘲するには、余りに眩い光。

 地から天へと駆けあがっていく光の(きざはし)

 

 

 

「超必殺・超悪役令嬢舞台終幕パァァア────ンチッ!!」

 

 

 

 宇宙を駆け抜ける流星の輝き。

 天から地へと降り注ぐ、祝福にして破滅の極光。

 

 

 

 鋭角な角度で突撃したマリアンヌの拳に、アルトリウスの拳が寸分の狂いもなく激突する。

 衝突の余波で校舎が爆砕し、破片が地面へまき散らされる。

 強大な力と力の競り合いに世界が啼いた。ユイたちがとっさに顔をかばう。

 

「それがアナタの全力ですか! それでこそ、わたくしの隣を走る者ッ!」

「恐ろしい力だな、本当に宇宙と押し合ってるみたいだ! それでも俺が勝つッ!」

 

 光と火花と稲妻が混ぜこぜになって散る中、二人は歯をむき出しにして笑う。

 今この瞬間は世界の行く先などどうでもいい。ただ、どっちが強いのかだけが全てだから。

 

「で・す・がァァァァァァッ!!」

 

 マリアンヌの深紅の翼がはためいた。

 ロケットエンジンのように推力を発生させ、一気に拳を押し込む。

 

 

「…………ッッ!! これは────」

「これが! この輝きこそが! わたくしの誇る最強魔法『流星(メテオ)』の力ッ!!」

 

 

 拮抗が崩れる。

 アルトリウスの全身全霊の輝きが、砕かれ、崩されていく。

 遅滞した時間間隔の中、アルトリウスは悟る。

 

 

(……そうか。天を相手取って戦わなければならなかったのならば)

 

 

 自分の右腕が弾かれる。

 そして、当然の結果として、視界をふさぐようにして迫りくる流星の輝き。

 

 

(這いつくばっていたからとかじゃなく……ずっと下を向いて生きてきた俺が、勝てるはずもなかったか────)

 

 

 

 奇妙な充足感を得ながら、アルトリウスの意識は、直後強い衝撃を受けて消し飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 地面に倒れ伏して動かなくなった元王子。

 その正面で、拳を振りぬいた姿勢で、残心を取っていた令嬢。

 

 彼女はゆっくりと身を起こすと、翼を広げて、天を指さす。

 

 

 

 

 

「呪われた王子が何のその! こちとら完成された令嬢ですわ、すっこんでなさい! 終焉如きでは追放に勝てるはずもなし、格が違うのですからね! 同業者相手に完全勝利してしまったこのマリアンヌ・ピースラウンドこそが、真なる走者にして最強の令嬢! 破滅エンドはわたくしのものですわ~~~~~~!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勢いで流されそうだが、今あの子、殴って勝つためにアルトリウス君を奮起させてなかったか? これマッチポンプじゃないか?」

 

 

 ゴルドリーフの言葉を、マリアンヌは自分に負けたやつが何か言ってるな、と雑音として認識するのだった。


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