配信中です。 | 上位チャット▼ 〇第三の性別 マジでバイク奪い取る気なのか… 〇TSに一家言 ていうか世界観的にバイクでいいのか? 〇苦行むり 隣国は機械化に力入れてるからな 〇鷲アンチ 過渡期あるあるの技術差よ 〇日本代表 細かいことは気にするな 〇適切な蟻地獄 レーサーエンドあるのほんと頭おかしい 〇みろっく えっ、なにそれは…(困惑) 〇無敵 このゲームEDが三桁あるからな 〇みろっく 草、コンプにどんだけかかるんだよ 〇火星 三桁あるEDの中でも五指に入る隠れエンドを共通ルート中に未発見フラグ建てた令嬢がいるらしいな 〇外から来ました 希望√の先駆者全員発狂してそう 〇日本代表 まあレギュが狂ってるから、多少はね 〇無敵 強くなるほどに選択肢が増えるゲームだからレベルアップが狂ってればそらそうなるよ 〇ミート便器 雷おじさんの功罪は大きい |
【わたくし自身が】TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA CHAPTER2【バイクになることですわ】 12,642 柱が視聴中 |
校舎から遠く離れた、馬用のグラウンド。
そこでわたくしは、ユイさん、ロイと共に一台の巨大な機械絡繰を眺めていた。
「こいつが、ウチの国の先進技術部が造り上げた最新鋭の
赤を基調とした二輪車。装甲が流線型に本体を覆っており、かなりイケている。
全長だけなら正直、人間が4人ぐらい乗り込めるだろう。だが大半は機械構造や外装に占められ、大型のコックピットシートは1人分しかなかった。
へえ、とロイが腕を組んで『マシンランナー』を検分し始める。
「これは凄い……いや、本当に凄いと思う。そっちの技術者は優秀だね」
どうやらロイの男子としての心にも強く訴えかけるモノがあったらしい。
パッと見た感じ、現代的を通り越して完全に未来に行っちゃってるデザインだ。
「どうだマリアンヌ、イイだろう?」
「最高ですわね」
「断言されると照れるな」
ああ、これが今からわたくしのものになると考えただけで身震いするぜ。
「そっちの準備はどうだ?」
「問題ありませんわ」
「
幼い頃より共に草原を駆け抜けた駿馬。
その名もヴァリアント──そして鎧を纏いし状態の名は、『
「……今朝も思ったけど、でっけえなこの馬」
「当然でしょう。偉大なる存在とは、必然にして大きさを伴うもの。小さい、軽いは存在の矮小さを示す言葉に他なりません」
「そうかい? 今朝のマリアンヌは随分軽かったが……」
ユートが腕を組んで唸る。
その時、ガッとロイが彼の肩を組んだ。
「軽かった?? 何の話だい??」
「えっ、あっ、いや……ちょ、急に話しかけられるとビビるって……」
「マリアンヌの重さをどうして君が知っているんだい?」
「近い近い近い! マリアンヌ助けてくれ!」
王子様スマイルがこんなに恐ろしいと思ったのは初めてだ。
嘆息して、わたくしは手を叩き意識をこちらに向ける。
「ロイ。ユートさんはわたくしを善意で手助けしてくれたのです。スカート越しに太ももに触ったとはいえ責める道理はありませんわ」
「なんで手助けのフリして地獄に突き落とした!?」
「
「ほらあバチバチ言い始めてる! あばばばばばば」
まあ軽い電気マッサージみたいなもんでしょ。
ユイさんが「やばいですって! 外交問題一歩手前ですって!」と叫びながらロイを引き剥がす。
そうだよなあ外交問題ワンチャンあるからなあ。このバイクもらうときもどうにかうまいことやんないとなあ。
閑話休題。
『マシンランナー』と『流星号』が並び、機械絡繰には魔力が充填され、わたくしの愛馬はスタートを今か今かと待っている。
「んじゃあやっていくかぁっ!」
「ええ、よろしくてよ」
わたくしは魔力障壁を階段状に立てて『流星号』にまたがる。
同時にユートも『マシンランナー』へと乗り込み、その凶悪な駆動音を響かせて。
「ッシャ……
!?
〇ミート便器 そういやこんなキャラだったな
〇red moon レジェンド・オブ・ダークネスさん!?
「
「え……誰ですか……?」
ユイさんが完全に怯えきった様子で、ロイの後ろに隠れた。
へえ……バイク乗るとキャラ変わる感じなんだこいつ。
おもしれー男。
「
完全に顔の作画が変わっていた。
ケンカの話の時間とか始めそう。
暑苦しさが別方向へと加速して、わたくしは思わず嘆息する。
「やれやれ……
「いや感染ってる感染ってる感染ってる!」
ロイが絶叫した。
「そんな超スピードで相手に合わせることがあるのかい!? 令嬢から一番遠いところに行ってるけど!?」
「
驚愕の声を上げるロイに対して怒鳴り。
わたくしは『流星号』の上で天を指さし、見得を切る。
「
ああそうだ。
横を走る奴がそういう方向で走るなら、同じ土俵で相手を叩き潰す。
それこそが令嬢の嗜み!
「なかなか
「ええ、夜露死来出酸破ぁ!」
「なんて!?」
混乱するロイとユイさんを置き去りに。
わたくしとユートは、同時に加速をかけた。
先んじるのはやはり『マシンランナー』。車輪が地面と噛み合い、爆発的に車体を押し出す。
だが『流星号』とて負けていない。蹄が大地を砕き、粉塵をまき散らしながら爆走を開始した。
〇火星 スピードにはもう慣れたのか?
〇苦行むり いやあ昨日の今日どころか今日の今日でそれは……
甘く見ないで欲しい。
わたくしは『流星号』の上で上体を倒すと、猛然と加速をかける。
「さあ
立ち上がりこそ遅れたが、わたくしは前方を走る赤いバイクの背後にピタリとついた。
〇第三の性別 こいつ、適応してる……!?
〇ミート便器 超スピードに対する適性まで持ってんのか……!
それだけじゃない!
「ハハッ、流石だなマリアンヌ! だがまだ
「まさか──
草原を真っ直ぐに疾走する中、段々と両者の距離が縮んでいく。
「何……ッ!?
背後に振り向いたユートとわたくしの視線が結ばれる。
不敵な笑みを浮かべれば、彼は額に汗を滲ませた。
予想通り、彼の走り抜けたルートはその車体によって空気が押しのけられており、空気抵抗が低下している。
たまには現代知識で無双しねえと神様転生の意味ねえからなあ!
「
「
ただ背後につくだけでなく。
効率の良い加速は、転じて最高速へのシームレスな加速になる。
勢いのままに横へずれ、わたくしと『流星号』が、一気に『マシンランナー』の隣へ並んだ。
〇平成の善逸 見たか!?スリップストリームだ!その一点に賭けろ!
〇二律背反 遊星!スリップストリームで私についてこい!
〇木の根 どっから出てきたんだこいつら
「まさか俺と『マシンランナー』に馬で
真横でユートが獰猛な笑みを浮かべるのが見えた。
「遠い異国では、これをツーリングと言うそうですわよ! 覚えておきなさい!」
「ハハッ──
流麗な動作で、ユートの無骨な手が踊った。
ぞわりと背筋を悪寒が走る。
否が応でもその動作を読み取れてしまう。流れるようにクラッチハーフカットからシフトダウン──スロットルオープン……ッ!
待て待て待て待てッ! もうそこまで技術発展してんのかッ!?
「これだ! これが──
当然の結果として。
併走する『マシンランナー』のエンジンに該当する心臓の回転数が跳ね上がる。
遠い遠い別世界に於いて。
西暦を刻み続ける地球という惑星において。
道交法の整備や環境への配慮からかき消えつつ、か細い灯火を繋いでいくように残された、加速に全てを賭ける概念の結晶体が確かにあった。
爆発的なスピードの上昇をもたらすそれはこう呼ばれる──『ターボ』と。
「──ッ」
当然それは諸刃の剣となる。
卓越した乗り手でなければ一秒後にはデッドエンドだ。
しかしユートの表情に揺るぎはない。恐らく向こうで何度も乗り回していたんだろう。
今だ、と思った。
今ならやれる。外からちょっと衝撃を与えるだけで、指向性を失う。ターボ機能を使って自滅したと言い張ればいい。
……けれど。
彼の横顔。前しか見据えていない顔。
成程。
正しく人機一体の境地だった。
だからわたくしは、響き渡るエグゾーストノイズの中、少し微笑んで受け入れられた。
ああ、わたくしの負けだ。
「────
は?
愛馬の両眼に光が宿った。
視界がひしゃげた。色合いが根こそぎ混ざってマーブル状になる。
「
「待って待って待って待ってアァッ──!?」
よく分かんねえうちに加速がかかる。わたくし何もしてない。
必死に『流星号』へしがみついた瞬間。
「ヒヒン! ヒヒ……ゥ……ィイ──リミットオーバーアクセルシンクロオォォオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!」
「お前本当は何なんですのー!?」
視界が黄金色に染め上げられ、わたくしの意識は闇に落ちた。
〇TSに一家言 この馬、本当に馬なんですかね……?
〇無敵 さあ……
目を開く。
放課後、少し傾いていた日はすっかり地平線にさしかかり、空は茜色に染め上げられていた。
「……まさか
声をかけられ、ハッと身体を起こした。
隣に並ぶ『マシンランナー』の外装各部がばかっとスライドして、白い煙を吐き出す。過剰にこもった熱を放出しているのだ。
どうやらわたくしが気を失っていたことには気づかれていないようだ。
「え、ええ……まさかここまでやるとは」
地面に降り立つ。ちょっとふらついた。
見上げると『流星号』が誇らしげにわたくしを見ている。
お前マジ何なん? ちょっと帰ったら実家に連絡して出自調べさせてもらうね……
「ふぃー」
同様にマシンから降り、ユートが隣で、沈み行く夕陽を眺めた。
「あの、最高速度がよ。なーんも見えなくなって、なーんも考えずに済むあのカンジが……最高に気持ちいいんだ」
「……そうですわね」
「普段は、色々考えなきゃいけないこと。俺も、お前もあるだろ。でも、解き放たれた感じがする……」
……あ。
こいつ、本当は王子とか嫌なんだな。
なんかスッと理解出来た。超速度を一緒に駆け抜けて、変に意識がリンクしてるのかもしれない。
「だけどまあ、それもこいつ……マシンランナーあってこそだ」
「…………」
「こいつは俺にとっては首輪みたいなもんだ」
首輪。
ちらりと、彼の横顔を見た。夕陽のせいで、返り血まみれのように、彼の頬は真っ赤だった。
「ウチの諜報部が言ってたぜ……マリアンヌ。お前の家、ここの国王から特別扱いされてるんだってな」
特別扱い。
適切な言葉遣いだと思った。
仲が良いわけではない。仲が悪いわけでもない。
「……そうですわね。特別扱いされております」
「だよな。でも、変な距離感だ。お前をどうこうしてもノーダメージっていう風にしか見えない。でも、予言があった」
「予言?」
「マリアンヌ・ピースラウンドが、世界の大きなうねりの中心になるってさ。ウチの預言者はかなり精度がイイ」
「……それで?」
「こんだけ超スピードで来たんだ。護衛もついてこれてないだろ。聞き耳の心配もない」
──視線を滑らせた。一面の草原。人気はない。誘い込まれたわけではない。
禁呪保有者と二人きり。先手を打つべきか。
だがそれよりも早く、彼がキメ顔でわたくしに向き直る。
「名乗っておくぜ。俺の名前はユートミラ・レヴ・ハインツァラトス。転校生で、隣国ハインツァラトス王国の第三王子で、『
すまん、見得を切ってるところ悪いけど、全部知ってる……
「──マリアンヌ。お前、ウチの国に、俺の妃として来ないか?」
ユートの言葉。
それを聞いて思い出す。
そういえば恋愛ゲームでしたっけこれ……
〇red moon 今更ァ!?