TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA   作:佐遊樹

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PART6 臨海学校オーシャンズ

 臨海学校は海辺の旅館にて行われる。

 各種レクリエーションなどを行う場にもなる旅館は、毎年魔法学園の生徒を受け入れている超高級老舗旅館だ。

 結構デカイから、他のお客さんもいるらしいけど。ただ一棟をまるっとは貸し切ってるらしい。

 

 

 なんでファンタジー世界に旅館があるのでしょうか……ちらっと見た部屋着は浴衣でしたし、女将さんとかいらっしゃいましたわよ

 

 

鷲アンチ 気にするな

TSに一家言 そういうのマジで気にしたら負けだから

 

 

 まあそういうもんか。

 部屋割りは大体4人で割り当てられていたのだが、わたくしとユイさんとリンディは端数の三人組だった。

 うーん、なんか都合を感じる。モブ入れてもしょうがねえし、みたいな。

 

「……気にするだけ馬鹿ですわね」

「何言ってんの?」

「いえ、何も」

 

 浜辺に建てられている更衣室の外でユイさんたちを待っていると、先に金髪ショートカットの少女、リンディが出て来た。

 

「ていうかあんた、着替えるの早すぎ」

「…………」

「な、何よ。何ガン見してんの」

 

 紺色のワンピースタイプの水着を着たリンディは、普段より少し大人しく見えた。

 凹凸こそないが、守ってあげたくなる可愛らしさを持つ。

 だが本質はそこにはない。普段は仲間たちの世話を焼いてくれるあのオカン属性を知っているからこそ、魅力を感じる。そのおなかにほっぺをすりすりしたい。

 

「似合ってますわね」

「あ、ありがと」

 

 照れたようにそっぽを向くリンディ。

 

「そっちも似合ってる、わよ。普段より大人っぽい」

「あら、そうでしょうか」

 

 黒のビキニと花柄のパレオを合わせると、実際思ってたより外見年齢が上がった。

 着てから思ったけどこれあれだよな。お姉さんポジでちょっとニッチな人気を獲得してる系のキャラが着てる感じの水着だよな……

 

「すみません、マリアンヌさん、リンディさん。お待たせしました」

 

 ちょっと自分のキャラと合ってなくない? と悩んでいたその時。

 更衣室の出入り口から原作主人公の声が聞こえた。

 振り向けば水着に着替えたユイさんが、恥ずかしそうにもじもじしながら立っている。

 

「ほう──」

「あんた、また凄い目つきになってるわよ。でもいいじゃないユイ。似合ってるわ。可愛いわね」

「えへへ……ありがとうございます。お二人も似合ってますよ! リンディさんはかわいい系で、マリアンヌさんは……その、すごく綺麗で、色っぽくて……パレオの隙間から見えるおみ足とかすごくいいですね……」

「発言が全然可愛くなかったわね」

 

 なんか会話してるがあんま聞こえなかった。極限の集中に至っていた。

 ユイさんが着ているのは、白とピンクのボーダー柄で、可愛らしいフリルがあしらわれたビキニ。ややあざとめだが、小動物チックなかわいさを持つ彼女にはよく似合っている。

 

「ええ。ユイさん……ベストマッチですわ」

「何の判定?」

 

 そんな感じで水着姿を褒め合っていると。

 

「おう! 三人とも着替え終わってたか──おいおい。美女揃いじゃねえか」

 

 男に声をかけられた。ナンパではない。

 登場するは真っ赤なトランクスタイプの水着がよく似合う男、ユートである。

 隣には紺色のスポーティーな水着を着たロイもいた。二人して浜辺中から視線をビシバシ集めまくっている。

 

「ユート……それは水着を直視しながら言う台詞ですわ。どこ見てますの?」

「っせーな!」

 

 彼は水平線を見ながらわたくしたちの水着を褒めていた。

 お前本当に耐性ないな。

 

「マリアンヌ。よく似合っているね」

「ええ、ありがとうございますロイ。こちらを見ていれば完璧だったと思いますわ」

 

 婚約者も虚空に向かって微笑みを浮かべていた。

 なんかうちのパーティ、サキュバス相手とかだと男性陣壊滅しそうだよな……

 そうこうしているうちに、ユートが声をかけたのを皮切りにして、浜辺にいたクラスメイトや同学年の連中がわっと押し寄せてくる。

 

「流石ピースラウンド様! お似合いです!」

「パレオがその、とっても素敵です!」

 

 ふふん。モブ共に褒められて、悪い気はしねーな。

 でへへへ。そこの可愛いモブ子ちゃん、ちょっとお茶しない?

 

「ユイちゃんも似合ってるねー!」

「ハートセチュアさんは俺が守護る」

「ユート君の胸に顔を埋めて死にたい」

「ミリオンアーク君に夕暮れの浜辺でフラれてぇ……」

 

 褒め言葉から、段々と欲望博覧会になってきた。

 性癖の主張が激しいんだよお前ら。

 辟易しながらふと周囲を見渡すと、同じ馬車に乗っていた騎士たちがいない。

 

「あら? 護衛の騎士たちはどちらに?」

「ああ、そういや見当たらねえな」

「──すまない。着替えに手間取ってな」

 

 声が響いた。

 全員揃ってガバリとそちらに振り向く。

 砂浜をゆっくり、足並み揃えて歩いてくる、対魔法使い・魔獣戦闘のプロフェッショナルたち。

 ハイビスカス柄のアロハシャツを着込んだ英傑共。

 

 その集団を率いるのは、星型サングラスをかけ、大輪の花咲くアロハシャツの前を大胆に開き、肉体美を露わにした紅髪の騎士──ジークフリートさんである。

 

 

宇宙の起源 何だこの新スチル!?

つっきー 似合ってて草

無敵 !?!?!?!!?!??!?

 

 

「メッチャクチャ浮かれてますわね!?」

「え、これが海辺の正装だと聞いたんだが……」

 

 彼はサングラスを頭に引っかけると、慌てて背後に振り向く。

 部下たちは一様に顔を逸らした。

 

「……浮かれて、いる、服なのか?」

「あ~……似合ってるからいいんじゃねえのかな、ははは……」

 

 友達(ダチ)のフォローも虚しく、ジークフリートさんは何も信じられないといった表情になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 魔法学園の生徒たちと、王立騎士団の騎士たちがバレーボールに興じている。

 上の世代が見たら泡吹いて倒れそうな光景を眺めながら、わたくしはパラソルの下で優雅に魔法論文を読んでいた。

 ふと影が差したので論文から顔を上げる。飲み物を持った季節限定SSRジークフリートさんが、視線で隣に座ってもいいかと問うていた。

 無言で頷くと、彼はわたくしの隣に膝を立てて座る。

 

「海には行かないのか?」

「ええ、ちょっと今キリが悪いので。すぐ読み終わりますわ」

 

 深窓の令嬢アピールしてたとは言えねえ。いや論文真剣に読んでるしキリ悪いのも事実だが。

 あとやってから思ったけど読書に向いてねえわ砂浜。暑いし日差しあると文字読みにくいし。

 

「そういえば、身体の調子はどうでしょうか」

「復調には程遠いな。今回の護衛任務も、部下たちには話を通してある。いざという時にオレを組み込まないフォーメーションの訓練もした……騎士としては、情けない限りだな」

 

 論文を閉じて問えば、やや自嘲するような声色が返ってきた。

 

「まったく。騎士としては、なんてつまらない枕詞は取っ払ってしまいなさいな」

「……もっと利己的(エゴイスティック)に、だろう?」

 

 邪竜を共に倒したときの言葉だ。

 よく覚えてるな。

 

「アナタが言ったでしょう。負けることに慣れてもいいと」

「……そうだな」

「まったくそれを実践していない身でこう返すのは失礼ですが……それでも言います。騎士らしくない自分に慣れてみるのも、一つの手では?」

 

 顔を向けてそう言うと、彼はまったく予想だにしない内容だったのか、きょとんとしていた。

 強いていうなら今の服装は全然騎士らしくないと思うよ。星型サングラスすら似合うって顔面補正ヤバすぎだろ。

 

「騎士らしさ……か?」

「ええ。何事もバランスですわ。さっき馬車で言っていたでしょう、騎士である前に男だと。ならば騎士であるアナタと騎士でないアナタが共存することは、何も不思議ではありません」

 

 

適切な蟻地獄 あのASMRをいい話に転用することあるんだ

無敵 まあそれだけ良い音だったしな、分かるよ

日本代表 言ってること滅茶苦茶だぞお前……

 

 

「本当に大事なのは、どんな自分であっても、最後にどうありたいかの結論。バランスを欠くことなく、自分の芯を譲らないことですわ」

「……本当に。君には敵わないな」

 

 肩をすくめ、彼はサングラスを手に持って弄りながら嘆息する。

 やれやれ。難儀な性格だよなこの人。

 

「では一つ問いましょう」

「?」

「──アナタにとっての『騎士』とは何ですか?」

 

 わたくしの問いに、ジークフリートさんはふいと視線を水平線に向けた。

 数秒の沈黙。

 

「……最初は、手段だった。オレには騎士の素質があると言ってくれた師や、親友に報いるための……だが今は、誇りを持っている、職業だ。騎士とは、人々の安寧を守る守護の盾。不条理や理不尽をはね除ける、希望の象徴だ」

「なるほど」

 

 師や親友、ね。

 ん?

 

「……その、ご両親は?」

「顔を見たこともないな。物心がついたときには、施設にいた」

 

 うげえ。重い重い重い。

 普通に要らんこと聞いたわ。

 

 

みろっく ジークフリートさんの血筋に関してはマジで設定明かされてないんだっけ

第三の性別 なーんもない

red moon 考察として遠い祖先に竜種がいるんじゃない? って話はあるんだけどね

無敵 ああ、あったねそんな考察。マジならめちゃくちゃ笑うけど

 

 

「だからこそ、オレは……仲間たちよりもきっと、騎士としての信念には欠けている」

「本気でそうお思いで?」

 

 ちょっと面食らった。

 わたくしの知る限りでは、確かに誰よりも強くありたいという願いこそ騎士道から外れていても、立ち振る舞いは正しく理想の騎士だったからだ。

 

「バランスが大事というのなら。きっとオレはアンバランスなのだろうな。力が振るえずとも、騎士は高潔であるべきだ。だが……オレは力を十全に振るえなくなってから、自分のあり方を疑っている」

「…………」

「だから感謝したいと思うよ、マリアンヌ嬢。最後にどんな自分でありたいかという信念……それを見つけられるかどうかを、今、問われているんだろう」

 

 そう言うジークフリートさんの横顔。

 瞳に浜辺を──笑い合っている学生や騎士たちを──映し込む彼の声色は、調べのように美しかった。

 

「さて。マリアンヌ嬢。呼ばれているぞ」

「え?」

 

 見ればビーチボールを片手にユイさんたちがこちらに手招きをしている。

 やれやれ。人気者はつらいぜ。

 だが上等だ。ビーチバレーにおいても最強であることを証明してやろう。何を隠そう、今のわたくしは浜辺令嬢だからな!

 

「ではジークフリートさんも行きましょう」

「ああ、無論だ」

 

 二人して立ち上がり、ネットの張られたバトルフィールドへと歩き出した。

 

 

 ──って、ちょっとお待ちください! ファンタジー世界で何でビーチバレーやってるんですの!?

 

 

火星 だから気にするなって言ってんだろ!

 

 

 

 

 

配信中です。
 
上位チャット▼


鷲アンチ 水着回じゃい!

ミート便器 待ってました!

無敵 同級生シカトしてジークフリートさんコミュを進めるお嬢、流石だ……スクショが捗るぜ

第三の性別 新スキン出てからウッキウキやなこいつ

みろっく 臨海学校はどういうイベントなの?

適切な蟻地獄 原作だと本物の悪役令嬢の顔見せだな

苦行むり 禁呪初登場チャプターにやっと到達したってマジ?

red moon あの皇女来るのかなあ、来るんだろうなあ……

太郎 どんな化学反応が起きるのか本当に不安

宇宙の起源 俺たちのお嬢ならきっとうまいこと……うまいこと……

太郎 絶対ぶち殺しにいって全部終わりだゾ

外から来ました 流星探偵マリアンヌ3「臨海学校殺人事件・水平線に沈みゆく浜辺の殺意」、放送未定!

101日目のワニ 火サスやめろ

火星 流星探偵って何だよ……

日本代表 @無敵 滅茶苦茶面白いこと言っていい?

無敵 え、はい、何すか?

日本代表 その海辺、悪竜反応が最大値叩き出してる。多分ファフニール来てる……

無敵 は???????????

【海に着いたら】TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA PART3【竜殺し(ドラゴンキラー)!】

869,243 柱が視聴中

 

 

 

 

 

 ビーチバレー等を一通りエンジョイした後。

 初日の自由時間を終えて、わたくしたちはシャワーを浴びて着替えてから、旅館に舞い戻っていた。

 夕食時間までの僅かな空き時間。

 お手洗いを済ませて、ユイさんとリンディが待つ部屋への道を歩いていると。

 

「おや?」

 

 廊下の先に見たことのある、長身痩躯に灰色の長髪を持った男がいた。

 あれは──!

 

「んじゃあ、ウチの方でボイラー用の魔力炉心を新調できるようツテに当たってみますわ。いやあ、老朽化ってのはどこも大変ですね……」

「ルーガーさん!」

「うおぉっ!? って、マリアンヌ……!?」

 

 背後からどっかーん! と抱きつき(タックルし)にいった。

 世界中の格闘術に精通した肉弾戦最強の男、我が師ことルーガーさんは、まあ普通に合気の要領でわたくしをそのまま投げ飛ばした。

 

「あべし!」

「やべっ手癖で投げちまった。顔面からいったけど大丈夫か……?」

「か、完全に気配遮断して不意打ちできたはずなのに……!」

 

 旅館の従業員と話していたルーガーさんは、わたくしを引っ張り上げて気まずそうな顔になる。

 

「いや、魔法学園が臨海学校の時期ってのは知ってたけどよ……こうも綺麗に遭遇するとは思わねえわ」

「つまりわたくしに会いに来てくれたということですわね!」

「話が噛み合わねえ……!」

 

 従業員さんが戸惑った様子でわたくしとルーガーさんを交互に見る。

 ルーガーさんは慌てて何でもありませんと言うと、わたくしを引っ張って廊下の角に押しやった。

 

「こっちは仕事で来てんだよ。わりいが構ってる暇はねえ、戻れ戻れ」

「まあ、せっかく会えたといいますのに……あ、でしたらこれだけ聞いておきますわ」

「あ?」

「どうでしょうか、わたくしの浴衣姿は」

 

 その場でくるりと一回転。

 最後は視線を重ねてバチーンとウィンクする。

 ルーガーさんはしわピカみたいな顔になった。

 

「……それ、婚約者とかにやれよ」

「こんなことしたら全身の穴という穴から液体を噴き出して死にますわよあの男」

「分かってて俺にやるの、タチ悪すぎんだろ」

「身の回りにはウブでネンネな童貞しかいないので、こういうムーブ全然できませんの。その点ルーガーさんは安心ですわね!」

「っせーな。どんな嫌な信頼だよ。こっちは仕事なんだよし・ご・と! お前に付き合ってる暇はねえ!」

「もう! 一言ぐらいコメントを下さればよろしいのに」

 

 頬を膨らませてぷんすこと怒る。

 頭をかいてから、ルーガーさんは嘆息した。

 

「……まあ、馬子にも衣装ってやつなんじゃねえの」

「似合ってる、ということですわね。ありがとうございます」

「ポジティブシンキングの鬼かよ。お前そんなにはしゃぐキャラだったんだな……」

「せっかくのバカンス……いえ。ヴァカンスですからね。はしゃがなければもったいないというものですわ」

「いや学校行事だろ。バカンスじゃねーってそれ」

「バカンス? ノンノン。ヴァ・カ・ン・ス・ですわ」

「クソ腹立つ」

 

 指をチッチッと振って発音を訂正する。

 額にビキバキと青筋を浮かべて、ルーガーさんはわたくしの頭頂部にチョップを落とした。

 ふふん。いつまでもやられてばかりと思うなよ!

 

「おあいにく様! そのわたくしは残像、本体はもう背後にいましてよ!」

「残念、その俺も残像で、後ろを取ってるんだなこれが」

「たわば!」

 

 後ろからチョップされて、わたくしはもんどりうって廊下に転がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 とまあ思いがけない遭遇こそあったが、初日はさほどトラブルなく進んだ。

 夕食を宴会場に並んで食べ終わり、夕食後の簡単なレクリエーションも終えて。

 

 

宇宙の起源 お風呂だーーーーーー!!

火星 お風呂の間はちょっと真面目に仕事に戻るか……

宇宙の起源 全裸待機

日本代表 いや流石にお風呂配信はちょっとBANの可能性が

宇宙の起源 うるせえ! ここを配信しなくてどうする!

無敵 マジでファフニール来てんじゃん……マジかよ……うげぇ……

 

 

 大浴場はいくつかの班ごとに時間を割り振られ、その指定時間内に入るというルールだった。

 わたくしはユイさんたちとお風呂に向かい、ねっとりと、いやじっくりと二人の肢体を堪能しようと思っていたのだが。

 

「すみません。やるべきこと……成さねばならないことがあるので、遅れていきます」

「ユイさんアナタ武士(もののふ)みたいになってますわよ」

「私も同じよ。先に行っといて」

「は、はあ……分かりましたけど……」

 

 何か、やたら決然とした表情の二人を見送り。

 こうして一人で大浴場の『女』というのれんの前に突っ立っているのだった。

 

 

 正直未だに、こういう時に女の方に入っていいのかって感じはしますわね

 

 

101日目のワニ そのへんはもう気にしなくても良いんじゃない?

TSに一家言 その調子だ

 

 

 どっちですの?

 ま、まあユイさんたちが来るまではのんびりしましょうかね

 そういうことなので、しばらく配信切りますわ~

 

 

宇宙の起源 え、なんで?

 

 

 え? 配信なんで切らないんですの?

 

 

鷲アンチ 世の中にはお風呂配信というものがあってですね

 

 

 ……?

 あ!!!!

 そういうこと!?!?

 ばっ、バッカじゃないんですか!? 音声映像全カットに決まってるでしょうが!

 

 

宇宙の起源 ガチ照れお嬢いただきました

 

 

 なんだこいつ無敵か?

 

 

日本代表 ハラスメントで通報するぞお前……あーそれと、お嬢、ちょっと風呂上がってから大事な話あるから、雑談枠作れる?

 

 

 構いませんわよ

 

 

日本代表 サンキュー、悪いね

無敵 うげー悪竜の話する? やっぱしないと駄目だよなあ……やだなあ……

外から来ました 諦メロン

日本代表 あっ、そうだ配信切ってる間は音声も映像も来ないようにしとくけど、今完全にライン切れちゃうと復旧できないから、最低限の接続だけは維持したままでもいい?

 

 

 音と映像がそちらにいかないのなら何でも大丈夫ですわ~

 ではまた後で!

 ブンブン! シーユー・ネクストタァイム!

 

 

苦行むり 今のアイキャッチ何?

外から来ました びっくりするぐらいセンスなくて草

 

 

 うるせーよ。必死に考えた結果なんだよ。

 配信画面を閉じて、ふうと息を吐く。

 脱衣所で浴衣をしゅるりと脱いで、編み籠の中に畳んで入れた。

 

「大浴場を大欲情って誤字するの定番ネタみたいですけど、よく考えたら大きく欲情するって意味分かりませんわよね」

 

 独り言を呟くも、友人もコメント欄もない以上返事はない。えっ、何コレ寂しい……

 いや、ちょっとびっくりするぐらい人が全然いねーんだわ。クラスメイトはおろか、他のクラスの生徒すら見当たらない。

 タオルを片手に大浴場に入れば、やっぱり人の気配はまったくなかった。

 

「もしかしてお風呂場間違えてたりするのでしょうか……」

 

 こわごわと周囲を見渡す。

 服着てねえから心細さも倍増なんだよな。ホームじゃないアウェイに一人、全裸で立ってるって言い換えると、そりゃもう怖いって。

 いかん。心細さがすぐメンタルに効いている。

 頭を振ってしゃがみこみ、桶で風呂の湯をすくって肩にかける。

 ひとまず身体を温めて、ユイさんたちを待とう────

 

 と、思っていた、その時だった。

 

 

「……あら? あらあら? もしかして、マリアンヌ?」

 

 

「……ッ!?」

 

 

 ガバリと顔を上げた。

 濃い湯気に紛れて見えなかったが、この大浴場には先客が一人だけいた。

 美しい白い素肌。

 銀髪を湯に浸からないようまとめ上げて。

 美しい曲線を描く肢体を惜しみなくさらけ出し。

 

 

「まあ──なんて偶然なのかしら。貴女とこんなところで会えるなんて、(わたくし)、ちょっと今日の占いが一位だったのに感謝しているわ」

 

 

 カサンドラ・ゼム・アルカディウスがそこにいて。

 

 

 

 あっソッチも銀色なんですね!!!!!!!!!!!

 

 

 

「どこを見ているのかしら……」

「いかなる逆境にも挫けない信念が呼び込む希望の光を見ていましたわ」

「本当ォ?」

 

 

 








https://twitter.com/Aitrust2517/status/1287220109023432708?s=20
碑文つかさ様より、完全に理解したマリアンヌのイラストをいただきました!
先日連載開始された、作画が付いた方のDownloaded(完全に理解した)です!
何が恐ろしいってこれ普通に本編でやってるので挿絵としても使えちゃうんですよね……
ということでCHAPTER2 PART11のあとがきにも同様のリンクを掲載させていただいております。
本当にありがとうございます!

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