TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA   作:佐遊樹

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PART6 邪龍はかませ(後編)

 邪龍を一撃で吹き飛ばした少女は、不敵な笑みを浮かべて天を指さした。

 

「悪しき龍ありと聞きつけ訪れましたが、口ほどにもありませんわね。存在の格が違うのです。真なる選ばれし者とはただ一人! このわたくしですわ!」

 

 思い上がり甚だしく、全能感も痛々しく、驕り昂ぶり全開のセリフだった。

 彼女は突風に突き上げられたスカートをそっと手で押さえ、ちょっと頬を赤らめてから、ジークフリートの元にツカツカと歩み寄ってきた。

 

「見ましたか?」

「え……何、がだ?」

 

 あまりに衝撃的な光景を見させられて、ジークフリートはちょっと思考停止していた。

 

「いえ、見てないのなら結構です。乙女の秘密ですわ」

「は、はあ」

「見て減るものではないと言いますし、実際減るものではないですけれど、見えないからこそ価値があるものですわ。露店に並んだ春画よりものれんのかかった成人向けコーナーの方が商品価値が生じる気がするのと同じ原理ですわね」

「考え方が男性的過ぎる……」

 

 突然とんでもない核心を突かれ、マリアンヌはさっと顔をそむけた。

 

「それで、その。君は一体? このあたりに住んでいる、という風体でもないが」

「わたくしですか? わたくしは通りすがりの仮面ライダーですわ」

「言葉の意味はよく分からないんだが、嘘だということだけは分かるぞ」

「……冗談ですわ。わたくしの名前はマリアンヌ。ドラゴンをまたいで通るマリアンヌ、ドラまたマリアとお呼びくださいな」

「は、はぁ……」

 

 とんでもねえアダ名だとジークフリートは思った。

 常識に疎い面はあるが、どう考えても異常なのは分かった。というかドラゴンをまたいで通るって、サイズ感がおかしくないだろうか。

 

「それにしても驚きましたわ。騎士団が撤退しているとは予想外でした……わたくし、騎士の皆様の奮戦を見守りながらランチにしようと思っていましたのに」

「そのバケットは昼食か。残念ながら騎士団は敗北した。生き残りは撤退している。オレが殿だ」

「捨てがまりですわね。尊い自己犠牲精神をお持ちで」

「……皮肉、か?」

「ランチのおかずにもなりませんわ」

「本気でオレたちの戦いをランチのおかずにしようとしていたのか……!?」

 

 会話しながらも、どうやら正体を明かすつもりはないらしいと察した。

 曖昧にはぐらかされている、とすら言えない。適当にあしらわれているのだ。

 邪龍討伐に伴い一帯の避難は完了している。さらに物見遊山目的であるような口ぶりからして、遠方からやって来ているのかもしれないと思った。

 

「なんにせよ危険に変わりはない。早く立ち去ってくれ」

「はい? 見てませんでしたの? あんなワイバーンもどき、わたくしの流星(メテオ)で……」

 

 その時だった。

 真横から極光が吹き荒れた。狙いの逸れたブレスがマリアンヌの後ろ手に提げていたバスケットをジュッと蒸発させた。

 

「…………」

「…………」

 

 顔を見合わせたまま数秒黙りこくる。

 それから恐る恐る、横を見た。

 金色の瞳を血走らせ、口元からブレスの残滓をこぼしながら、どう考えてもブチギレている様子で邪龍がこちらを見ていた。

 

 

流星(メテオ)が効いてませんわーーーーーーーーーー!?!?!?!?」

「いいから逃げるぞ! こっちだ!」

 

 

 生まれて初めて、ジークフリートは異性の手を引いて全力疾走することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 切り立った崖の横合いにぽっかりと空いた洞窟。

 そこに身を隠し、二人は地面をはいずる邪龍の音に耳を澄ませていた。

 

「……強力な魔法だったが、どうやら怒らせてしまったようだな」

 

 数瞬ではあったが、ジークフリートは邪龍の胴体が抉れているのを目視した。

 一切の攻撃が通用しなかった邪龍相手に、馬鹿げた威力だと嘆息する。魔法攻撃である以上、祝福を授かっている騎士ならある程度軽減できるだろう。しかし真っ向から直撃した際に無事で済む自信はなかった。

 

「むぅ……」

 

 一撃で殺害できず、マリアンヌは頬を膨らませてむくれていた。

 

「想定よりも硬かったな。君の魔法が一級品なのは保証しよう。だがあれでは、連発している最中にブレスでこちらが消し飛ぶ」

「同意見ですわね」

 

 逃げてくる最中にも何度かブレスが飛んできたが、二人はおとなしく回避を選択していた。

 真っ向から受け止めきれる保証はない。博打に打って出ようにも、チップが自分たちの命である以上迂闊な真似はできない。

 

「手立てはないのか?」

「ある分にはありますわ。ですが……」

「いや、実のところ、ある程度の推測はできている」

 

 ジークフリートの言葉に、マリアンヌは三角座りの姿勢で首を傾げた。

 

「と、いいますと?」

「さっき打ち込んだ流星(メテオ)。あの二節詠唱は……かなり詠唱を省略しているはずだ」

 

 む、とマリアンヌの表情が変わった。

 先ほどまでの雑なあしらい方ではない。ジークフリートの両眼を覗き込んでいる。自分の底まで見透かされるような悪寒がした。

 

「騎士は魔法についての知識も深いのですか?」

「魔法使いということは、君は貴族なんだろう。知る機会がないのは当然だが……オレたち騎士は、魔法使い、或いは魔法生物との戦闘を主目的とする。敵を知るのは基本だ」

「えっわたくし敵と思われてるのですか?」

「違う違う、この状況で仲間割れはあり得ないだろう。ただ、一般的には、魔法使いと騎士は相いれないということだ」

 

 魔法使いと騎士の断絶は根深い。

 それぞれが背後に貴族と教会を持ち、両勢力の当てこすりとして現場で争うのが、その二つのジョブだった。

 

「はえ~そうなんですわね。すみません、わたくし、そういうのに疎いので」

「本気か? それほどの腕前なら……いや。まだ学生だったな。これから嫌でも知ることになる」

 

 真紅の髪をかき上げ、ジークフリートは大剣の刀身を指で叩いた。

 外では邪龍の這いずる音が響いている。自分たちを探しているのだ。腕を組んで、赤髪の騎士は嘆息した。

 

「それで、本題なんだが」

「はい」

「本来は、何節なんだ」

「……完全版の詠唱をするならば、その、えーと……」

 

 組んでいた腕をほどき、ジークフリートは頭をかく。

 

「言いよどむ内容とは思えないな。禁呪指定の十三節詠唱とでもいうなら分かるが、まさか十三節詠唱をたった二節に省略できるはずもない」

「おファファファファッ!? お、お、オホホホ! そんなまさかまさか~! 十三節詠唱なワケありませんわ~!! オホホホホホ!」

「…………マジか……」

 

 完全に彼女の反応は『図星です』と告げていて、ジークフリートは流石に絶句した。

 学生、それも魔法学園に入学する齢程度の少女が、禁呪を習得しているとは。

 

「いやその違くてですわね。さすがにこの段階でもう裁判にかけられるのはマジでやべーんですわよなんだけど、えっとお」

「よせ。オレは君に助けられた立場だ、糾弾するつもりはない」

 

 手をかざしたジークフリートのセリフに、マリアンヌは数秒硬直した。

 

「聞きたいのは、本来の禁呪なら仕留められるかどうか。そして発動にどれぐらい時間を稼げばいいのかだ」

「……15秒あれば照準を絞って構築できます。詠唱短縮は手習い程度なのが悔やまれますが」

「十分だ。……いや本当に十分すぎるな。え、マジか? 禁呪を15秒で完全詠唱? やっぱり裁判にかけてもいいか?」

「ちょっとそれだけは本当にタンマですわ!! …………ん? あれ? これもしかして追放チャンス? すみませんやっぱ裁判かけてもらってもいいでしょうか?

「急に自殺志願者にジョブチェンジするな、びっくりするだろう。だから俺は君を糾弾するつもりなんてない、安心してくれ」

 

 不器用ながらも、ジークフリートは彼女を安心させるべく優しい笑みを浮かべた。

 場所が場所なら黄色い歓声が上がったであろうその笑顔を見て。

 マリアンヌは唇を噛み、本当に深刻に渋面を作った。

 

「オレも騎士の端くれだ。君の信頼に、必ず応えてみせる」

「いい顔ですわね。真っすぐで眩しい顔。いかにもな騎士サマですわ」

「……それは皮肉だな?」

 

 ご名答ですわ、とマリアンヌは肩をすくめて悲し気に脱力した。

 

 

 

 

 

 

 

 決戦場に足を踏み入れた途端、頭の裏側を怖気が走った。

 全身の肌が粟立つ。背筋を嫌な汗が伝う。

 隣の少女が涼し気な表情で佇んでいるのが不気味に感じるほど、戦場は濃密な死の気配に包まれていた。

 

「……ところであの邪龍なんですけれど」

 

 先ほど相対した、切り立った崖の直下。

 遠方にまで捜索に向かっていた邪龍は、二人を見つけるやいなや猛スピードで迫っている。

 魔素を取り込み、魔力を練り上げ、魔法を形成しながら。

 マリアンヌはふと、前方で剣を構えるジークフリートの背中に問いかけた。

 

「どういった理由でここに出現しましたの?」

「理由は知らないな。そもそも、オレたちが受けた報告では単なる翼竜種だった」

「ふむ、なるほど」

「……その反応。何か心当たりが?」

「えっ? あ、いえ! ふむ、なるほどって口癖で……何も分かんない時も何か理解した感じが出るから、滅茶苦茶おすすめですわよ?」

「タチの悪い口癖だな! 何も分かっていないなら素直に黙っていればいいだろう!?」

「それだとカッコがつかないんですの!」

 

 馬鹿みたいな言い合いをしている間にも、邪龍は距離を詰めてきている。

 巨体は遠方では山のようだったが、迫るほどに視界を埋めていく様は、自分たちを轢き潰す神の車輪に見えた。

 

 

ひれふせ! かみはしっついする! だいちのいぶきがてんをこがす!

 

 

「来ましたわね──手はずはさっき言った通り、広範囲殲滅を一点に集中させます。照準を絞るために、邪龍を15秒間くぎ付けにしてください!」

「…………!」

 

 知らずのうちに唾をのんだ。腕が震えるのを必死に抑え込もうとした。

 真っ向から激突する形になる。

 斃れていった仲間たちの顔が脳裏をよぎった。誰もかれもが、真剣に王国を守るべく訓練を積んでいた。そんなもの意味などないとあざ笑うかのように、殺されていった。

 

(違う! オレが考えるべきはそんなことじゃない!)

 

 頭を振って、キッと正面を睨む。

 接敵まで僅かに数十秒。

 

(なんのために騎士になった! オレが騎士を志した理由はなんだ!?)

 

 全身に力を込める。腰を落とす。

 師に叩き込まれた、絶対不動の構え。

 

(戦えない人の代わりに戦う! 力なき者たちの代わりに力を振るう! それが誇り高き近衛騎士の役割!)

 

 チラと後ろを見た。

 両腕を振るい魔法陣を展開し、額に汗を浮かべて禁呪の準備を進める少女。

 

(オレを信じてくれた人の信頼に応える! そうでなくては、騎士だとは名乗れないッ!!)

 

 顔を前に向ける。

 邪龍が。

 人々の安寧を脅かす悪しき存在が。

 騎士が打倒すべき敵が、眼前にいる!

 

「う、ぉぉおおおお────────────ッッ!!」

 

 聖女の祝福を全開に、人間の限界を超えた膂力を以て大剣を思い切り叩きつける。

 突撃してきた邪龍の頭部に、狙い過たず唐竹割が吸い込まれた。

 刃と歯が真っ向からぶつかった。火花と呼ぶには激しすぎるスパーク。視界が灼かれる中、ジークフリートは両足を地面にしかと突き立て全身で踏ん張った。

 

(耐え──耐えられて、いる! あの邪龍相手に、押し留められているッ!)

 

 実感はなかった。だがすぐに、自分が普段以上の力を発揮している理由が分かった。

 背中に温かい感触。手が置かれていた。マリアンヌの手だった。

 彼女は禁呪を構築しながらも、片手間に大気中の魔素を片っ端から取り込み、魔力に変換し、そしてジークフリートの身体に強化魔法として流し込んでいるのだ。

 

「────おバカさん」

 

 いやにクリアな声だった。

 自分のすぐ真後ろで、マリアンヌの貌が悪魔のように歪んでいるなどと、ジークフリートには見えるはずもなかった。

 

「もっと素直になればよろしいのに」

「素直、だと」

「ええ、ええ。くだらない偽善など捨ててしまいなさい。アナタ自身が、アナタをどうしようもなく縛ってしまっていますわ」

「馬鹿を、言うな……! オレは、騎士として!」

「いいえ、違いますわ。そうではなくってよ」

 

 あろうことか身を乗り出し、マリアンヌの顔がジークフリートの目のすぐ横にまで迫った。

 肩越しに邪龍を見据える彼女は怒り狂う大自然の使者を相手に、まるで眼中にないと言わんばかりに首を横に振り、間近で騎士を見つめた。

 

 

 

「わたくしの見立てでは、アナタはもっと利己的(エゴイスティック)になれるはずですわ」

 

 

 

 その言葉。

 いやにストンと、ジークフリートの胸の中に落ちた。

 

(……ああ、そうだった)

 

 壮絶な負荷が他人事のように、身体が軽い。

 思い出せ。思い出すんだ。自分はどうして、騎士を志した。

 適性があると言われた。稼ぎが良いと知った。他人のためになると思った。

 

 違う。

 違うのだ。

 

 

(証明したかったんだ。オレが最強だと)

 

 

 カチリ、と。

 

 何かが嵌る音が響いた。

 

 引き金が引かれる。

 

 撃鉄は今ここに落ちた。

 

 

「照準完了。思いっきり、()()()()()()()()()()()!」

「お────おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」

 

 満身の力で、思い切り大剣を振りぬいた。

 マリアンヌによる加護、それはもう祝福と言ってよかった。

 

「オレは誰にも! 何が相手でも! ドラゴンだろうと神だろうと────負けたくないッッ!!」

 

 押しのける、ではすまなかった。

 文字通りに巨体が浮いた。邪龍はジークフリートの大剣に打ち上げられて、あおむけに転がされた。

 地面に沈むと同時、激震が広がる。

 

 役割は果たした。

 

「ドラまたマリア嬢!」

「すみませんやっぱりその呼び方撤回しますわ! マジで誰のこと呼んでるのか分かりませんでした!」

 

 自業自得の混乱に陥りながらも、マリアンヌは表情をスッと冷たいものにして、邪龍に向けて手をかざす。

 

「それでこそですわよ、誇り高き騎士。強き者ほど、自身のために剣を振るう。この世界を貫く真理ですわ。故に──アナタの騎士としての矜持に、今度はわたくしが応えましょう!」

 

 邪龍が身を起きあがらせようともがく。

 その隙に、マリアンヌが天を衝き上げるように伸ばした手を起点に、空へ魔法陣が描かれていった。

 美しい唇が静かに震える。その様子を、ジークフリートは黙って見ていた。

 

 

 ────星を纏い(rain fall)天を焦がし(sky burn)地に満ちよ(glory glow)

 

 

 十三節に及ぶ、人類史が創造した最悪の戦略魔法。

 

 

 ────射貫け(shooting)暴け(exposing)照らせ(shining)光来せよ(coming)

 

 

 かつて大陸を二分した大戦争の際に、大賢者セーヴァリスが生み出した、生み出してしまった七種の禁呪。

 

 

 ────正義(justice)(white)断罪(execution)聖母(Panagia)

 

 

 最高位の騎士、教会の聖女や教皇、そして王族。

 ごくわずかな選ばれし人々しか具体的な内容を知り得ない、世界を灼き尽くす神への挑戦。

 

 

 ────悪行は砕けた塵へと(sin break down)秩序はあるべき姿へと(judgement goes down)

 

 

 その中でも天を汚し、地に星の輝きを降り注がせる『流星』の禁呪。

 実に最大レンジとして大陸の半分すら射程に収める究極の広範囲破壊魔法。

 

 

 ────裁きの極光を、今ここに(vengeance is mine)

 

 

 マリアンヌは独自の研究から十三節詠唱を実にたった二節へ省略し、禁呪と悟られぬよう巧妙な偽装を施していた。

 その偽装が、意図的な矮小化が。

 今、封を解かれる。

 

 

 

完全解号(ホールドオープン)──虚弓軍勢(マグナライズ)流星(メテオ)

 

 

 

 ジークフリートの視界が白く染め上げられた。

 それが、邪龍討伐作戦に幕を下ろす、最後の光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴重な休日のはずだった。

 朝っぱらの雑談枠はレスバに終始してしまったが、気を取り直して馬車タクシーを使って王都まで遊びに来た。

 身体の成長とかは正直全然意識しなかったが、イイ感じにスタイル抜群の美少女に成れたのでせっかくなら着飾ってみたいのだ。

 こう、あれだ。ゲームでキャラクリする感じ。美少女アバターの色んなコスチューム買いたくならない? ああいうやつ。

 

 そういう感じで王都で滅茶苦茶服買うぞーと意気込んでいたというのに。

 

「あのですねえ! わたくしの休日を邪魔しないでいただけます!?」

「まあ、そう怒らないでくれよマリアンヌ」

 

 白い歯を輝かせて、なぜかついてきているロイ・ミリオンアークがなだめてくる。

 ざけんな。テメー女子寮の入り口で出待ちしてたじゃねえか。顔と家柄のゴリ押しで誤魔化してるけど、お前これストーキングだからな。

 

「とにかくついてこないでくださいな!」

「僕もこっちに用があってね」

「こっち、というと」

 

 周囲を見渡すと、なんかいかがわしい宿がずらっと並んでいた。

 全部連れ込み宿じゃねえか。

 

「……ここに用があるんですの?」

「違う! いや本当に違うんだ! 待ってくれ! そんな冷たい目で見ないでくれ! そんな目で……見られると、俺は、俺は……! 何かに目覚めてしまいそうだ……!!」

 

 キッモ…………

 頬を赤らめて息を荒らげるロイ相手に身の危機を感じ、わたくしはそそくさとその場を後にした。

 しばし歩けば連れ込み宿が立ち消え、開けた公園に差し掛かる。

 

「あら?」

 

 人気のない公園だったが、一人なんかやたらでかい男が草むらに寝ころんでいた。

 近づくと、寝ているわけではなく目をつむっているだけだと分かった。

 ホームレスかな?

 

「……あの人は、まさか」

 

 復活して後を追ってきたロイが、赤髪のその男性を見ていぶかし気に眉根を寄せていた。

 ロイの知り合いってことは社交界関連が濃厚だな。ダルっ。なんで公園で寝てんだよ、放蕩貴族か?

 人気を感じたのか、彼はぱちりと目を開いて上体を起こす。

 周囲を見渡す彼と、わたくしの視線が重なり──記憶がスパークした。

 

「君は……」

「貴方は──」

 

 見覚えのあるイケメンだった。

 同時、わたくしの記憶領域が最大音量でアラートを鳴らした。めちゃくちゃやばいと。逃げるか口をふさぐか、どっちかを迅速にしなければならないと。

 

「──ドラまたマリア嬢、なぜここに……?」

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 結局最速で距離を詰め、思いっきり顔面にパンチを撃ち込んで黙らせる羽目になった。

 

 

 

 







普通に一次ファンタジー書いてる感じになってきた(困惑)
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