ポケットモンスター レポート 作:サトシ
『ポケットモンスター、縮めてポケモン。
この星の、不思議な不思議な生き物。
海に森に町に。
その種類は、100,200,300。
いや、それ以上かもしれない。』
そんな、ポケギアのラジオアプリから流れる定番の言葉を聞きながら、俺は読書をしていた。俺の頭の中には、何百というポケモンの『データ』が確かに存在している。ポケモンがどのタイプを持っていて、どのような技を覚えるか、その指標にはなっている。
でも、まだこいつのことを知ることに精一杯なのだ。さっきまで走り回っていたのに、疲れたらすぐ寝る。まるで寝る子は育つということを実践しているかのように。
「ほんと、重いな……」
かわいいけれど、一緒に暮らすなら電気ショックでビリビリにされる覚悟をしなければいけない。ケチャップが大好きで無邪気なこいつには、毎日手を焼かされている。膝の上で寝ているときに、寝ぼけて放電することもある。慣れたけど。
「ピチュ?」
膝の上ですやすやと眠っていたピチューの長い耳が、ぴょこぴょこした。俺よりずっと気配に敏感なピチューは立ち上がって、キョロキョロと周囲を見渡す。
俺もそれに倣って、周囲の警戒を始める。
「ニョロ」
目の前に、まんまるなニョロモが1匹はねていった。仲間とはぐれたのだろうかと思い、荷物を片付けて追いかけることにした。
舗装もされていない茂みをかきわけ、森の中を進む。
田舎なマサラタウンの近郊とはいえ、どくを持ったスピアーやアリアドス、怪力のニドキングやニドクインなどが生息する。まあ、マサラタウンの子どもたちにとっては遊び場ではあるから、ポケモンサマーキャンプといえど、オーキド博士の近くから離れて自由に行動している。
「えっと、君は?」
「……え?」
麦わら帽子の女の子が先に見つかった。
転んだときに擦りむいたのか、膝を怪我している。
「俺はサトシ、こいつはピチュー」
「ピチュ!」
頭のピチューに意識を向けさせ、女の子の気を紛らわせる。かつて習ったデータのように、ハンカチを傷口を保護するように結んだ。
「いたっ!」
「ごめんな。立てるか?」
彼女は小さく首を振った。おんぶするといっても、今の小さな身体では厳しいものがある。
「じゃあ! おまじないしてやるよ!」
いたいのいたいのとんでけーって大げさにやったものの、俺には疲労感が押し寄せてくる。まだまだ使いこなしているとは言えない証拠だ。
「ほら、がんばれ」
「うん……」
俺の手を取って、女の子は立ち上がった。
「さっ、キャンプ場に一度帰るか」
不思議そうに自分の膝を気にしながら、俺の手に引っ張られるように歩く。
「ピチュー、周囲の安全確保よろしくな」
「チュッ!」
どこで覚えたのか、敬礼をするピチューに女の子も微笑んだ。
「この子は、きみのポケモン?」
「ああ。相棒だよ」
もちろん、まだゲットしたわけではない。でも、10歳になったらポケモントレーナーになって手持ちに入れたいと思っている。ポケモンバトルが大好きなこのピチューに釣られて、俺はポケモントレーナーを目指していた。
「どこまでも強くなろうな、いっしょに」
目の前に確かにいるピチューは嬉しそうに笑った。
昔もこれからも、俺はポケモンが好きなのだろう。転生しても変わらないものは確かにあった。
そして、人生は有限な時間だと意図せず思い知らされた。その人生を俺は相棒と共に歩める。確かに、この世界で生きている実感を得ることができていた。何もかも与えられたチャンスなのだから、神様に感謝は尽きない。何も返すことができないが、信仰心でいいのだろうか。
帰宅してからはいつものように。
レポートに しっかり かきのこした。 ▼
このレポートを見ていてくれるだろうか。
俺たちの冒険はこれからだエンド。
まあ、後書きとして。
神様転生+憑依のジャンルについて、二次創作で書かせていただきました。どちらかと言えば、流されるままに神様転生です。
人によって適する世界、適する特典は神様ならわかるかなと思って。また、憑依転生が選ばれたことにも理由があるように書いてみて……
自分なんかよりずっと賢い神様でしょうから。自分より賢いキャラクターを書くことは難しいことを実感。