人生記録が視える少女   作:魚料理最高!

3 / 5
そのうち1回くらいオリ主の推理ショーとかしたい。


大学院生への助言

 柳原優衣の趣味の1つに映画鑑賞がある。

 正確には観た映画の感想や評価するのが、だ。

 それを動画サイトでまとめて発表するのが高校に入学してからの趣味だった。

 それに、やはりスクリーンで観るのは迫力が有って好きだ。

 だから夏休みも終わろうとしている今日、この夏でまだ見てない映画の鑑賞に来ていた。

 そして観終わった感想としては。

 

「うん……アレはない……アレはないよ……」

 

 あまりの酷さに陰鬱とした息を吐く。

 別段作品全てが悪かった訳ではないのだ。むしろ後半に入る辺りまではとても面白かった。

 ただ、オチで全てを台無しにしたのだ。

 話の内容としてはSF物。

 銀河を旅する宇宙船に未知のウイルスが寄生し、乗員が次々と怪物に変わっていく。

 そんな中で若手のクルー達が結束し、知恵を絞り、生き残るために足掻くストーリーは手に汗握った。

 戦闘シーンの迫力は本当に素晴らしいの一言。

 

 ただ────。

 

「あそこまで盛り上げておいて夢オチはないよ……」

 

 主人公達がこれからウイルスの本体を消そうとした時に画面がぶつ切りなり、寝かされている主人公が映される。

 そして実は今までの話は昏睡状態の主人公に機械が見せていた夢、というオチで、しかも主人公の両親が亡くなり、入院費が払われなくなったので生命維持装置を切って終わりという金をかけて視聴者をおちょくってるのではないかと思うほど酷い最後だった。

 しかもこれ、原作があり、所謂人気漫画を実写化した作品で原作者すら酷評したらしい。

 その原作を読んでない優衣ですら唖然とした最後だった。

 

「映像の良さだけで評価2、かなぁ……」

 

 そんな事を考えていると聞いたような声が聞こえた。

 

「あれ~? もしかして優衣お姉さん?」

 

 声の方へと視線を向けると最近何かと縁のある眼鏡の少年とその友達。そして知らない男性が後ろにいた。

 その眼鏡をかけた細目の男性が近づいてくる。

 

「初めまして。沖矢昴です。今日は、彼らの引率役を仰せつかってます」

 

「どうも……」

 

 軽く頭を下げると歩美がスカートの裾を軽く引っ張る。

 

「ねぇ。お姉さんも今日は映画観に来たんでしょ? 何を観たの?」

 

「あ、うん。あの映画を……」

 

 優衣はさっきまで観ていた映画のポスターを指差す。

 それを見て灰原が目を細めた。

 

「これ、評判があんまり良くなかった映画よね」

 

「うん。実際見てみたらお勧めには出来ない映画だった……」

 

 先程見た映画を思い出して疲れたように息を吐く。

 そこで昴が声を話に入ってくる。

 

「ハハ。どうやら好みではない映画を引いたようですね」

 

 昴が話し始めると灰原が怖がるように優衣の後ろに隠れてしまう。

 

「? えぇ、まぁ……」

 

 もしかして沖矢さんが苦手なのかな? と思いつつ話題を変える。

 

「みんなは何の映画を観に来たの?」

 

「えぇ。アレを!」

 

 光彦が興奮したように映画のポスターを指差す。

 それはかなり昔からシリーズ物として続いている怪獣映画。その最新版だった。

 

「あぁ。それなら私も8月の始めに観たよ。面白かった」

 

「優衣お姉さんも観たんですか!」

 

 光彦の問い返しに優衣はうん、と返す。

 

「私、映画とかはよく観に来るから」

 

 そんな風に子供達と話していると、沖矢から提案する。

 

「どうですか? 今からそこのカフェで皆でお茶でも」

 

「さんせーいっ! オレ、映画観て腹減っちまった!」

 

「優衣お姉さんも行こ! ダメ?」

 

 昴の提案に元太が賛成し、歩美が質問する。

 

「それは、別に構わないけど……」

 

 子供のお願いにとっさに曖昧な肯定を口にする。

 その返答にコナンが誰にも見えない位置で笑みを深めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは私が出しますよ」

 

「いえ。自分の分くらいは自分で」

 

「そうですか? こちらから誘ったのですから遠慮する必要はないですよ」

 

「そういうわけには」

 

 流石に今日会ったばかりの男性に奢って貰う度胸はなく、頑なに断る。

 席には男女が向き合う形で座っていた。

 それぞれ飲み物と歩美、元太、光彦はそれぞれパフェなどを頼んでいる。

 アイスコーヒーをストローで飲みながら優衣はお勧めの映画をネタバレしない範囲で子供達に話していた。

 特に、名作だが小学生が観ないような洋画等は強く関心を持たせた。

 

 その話も一段落したところでコナンが話しかける。

 

「ねぇ、優衣お姉さん。ボク、お姉さんに訊きたい事が────」

 

 そう話しかけてきた瞬間。

 

「キャァアアアアアッ!?」

 

 店内に突然悲鳴が響くトイレから出てきた女性客が怯えた表情で訴えている。

 

「誰かっ!? 救急車を! ト、トイレで人が血を流して倒れてるんです!!」

 

 その言葉を聞いてコナンがバッと席を飛び出した。

 

「ちょっと、コナンくん!?」

 

 現場へと飛び出したコナンを追いかける優衣。

 迷わず女子トイレに駆け込んだコナンを追うと、開かれた2つある個室の1つから女性がお腹を刺されて血を流していた。

 その光景に顔をしかめて口元を押さえる優衣。

 

「優衣お姉さん。警察に連絡して。この人、もう死んでる」

 

 冷静に告げる眼鏡の少年を気味悪く思いながらも言われたことをやることで吐きそうになるのを堪えた。

 そうしないと、映画館で食べた物を本当に吐いてしまいそうだった。

 そして、この夏休みで3回もこうした事件に遭遇した事からこうも思った。

 

(私、何かした?)

 

 その巡り合わせの悪さに怪我人の心配よりそう考えてしまったのは責められる事だろうか? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 警察が到着してコナン達が刑事に近づく。

 沖矢を含めた彼らから事件のことを聞いていると、目暮警部が優衣に気づく。

 

「君は……柳原警視の娘の……」

 

「お久しぶりです、目暮さん……」

 

 目暮警部に小さく頭を下げる。

 

「知り合いなの? 目暮警部」

 

「ん? あぁ。彼女はワシの上司の柳原警視の一人娘だよ。前に会ったのは彼女が中学に入学したくらいだったか」

 

「もしかして、前に現場を指揮してた警視のおじさんが優衣お姉さんのお父さん?」

 

「えぇ、まぁ。あの、目暮さん。あまりそういうことを話されるのはちょっと……」

 

「あぁ、そうだな。すまん」

 

 あっさり他人に自分の家族構成をバラされた事を苦言する優衣に目暮も公衆の場ということもあり、迂闊だったと謝罪する。

 話を聞いて回っている警察。その中で従業員の女性を見たときに、例の頭痛が起きた。

 顔をしかめて額を押さえる。

 

(今回は被害者から視えなかったから油断した……!)

 

 何せ今回は犯人の行動が丸わかりになってしまった。

 

(犯罪者とはいえ、他人(ひと)のプライベートの覗き見とか、最悪……)

 

 自分の能力に嫌悪しながらも、知ったからには黙っても要られない自分の性分にも嫌気がする。

 優衣はこの場にいる背の高い細目の刑事に今視た物を断片的に話す。

 正確には使われた凶器と、被害者をトイレに行かせる為に使われた薬物の隠し場所を、だ。

 

「本当ですか、それは?」

 

 流石に疑いの視線を向けられたが、念のために調べて見てくださいとだけ頼む。

 少し考える素振りを見せてその刑事が失礼しますと厨房に入って行き、砂糖と書かれてやたら中身の減った器を回収すると、犯人の女性が顔を青くする。

 ついでに犯人が犯行に使って洗い戻されて一見普通の包丁を調べると、血液反応が出る。

 それだけ解れば犯人の割り出しは容易く、犯人の女性はすぐに判明した。

 動機は今回の被害者に付き合っていた男性を取られた挙げ句、それを毎回店に来る度に自慢気に話してくる彼女に我慢が出来なかったとのこと。

 被害者が常連客だった事から今回の計画を立てたらしい。

 

「もう少し……もう少しで全部が上手くいく筈だったのに……」

 

 何を思ったか、隠していた果物ナイフを取り出す。

 犯人はキッと優衣を睨んだ。

 

「貴女の所為でっ!」

 

 果物ナイフを優衣に向けて走ってきた。

 マズイッと体が緊張で動かないでいると、沖矢が優衣を守るように前に立つ。

 そのまま果物ナイフを取り上げて腕を捻り上げた。

 

「どれだけ理屈をこねようと、貴女のしたことは犯罪行為。彼女を恨むのは筋違いです」

 

 そのまま警察に取り押さえられて連行される犯人の女性。

 緊張が解けてテーブルを支えに腰を落とした優衣に沖矢が話しかけてくる。

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、はい。助けていただいてありがとうございます……」

 

「いえいえ。こちらからお誘いしたのに怪我をされたら立つ瀬がありませんから」

 

 そう言って差し出された手を掴み、姿勢を戻そうとする。

 

(あれ? この人……)

 

 手から流れ込むように視えた映像に動きが止まる。

 

「どうしました?」

 

「あ、いえ……何でもないです」

 

 愛想笑いを浮かべて誤魔化す優衣に、コナンが話かけてきた。

 

「ねぇ、優衣お姉さん。どうして凶器の場所が解ったの? 白鳥刑事にそれを教えて上げたんでしょ?」

 

 訊かれると思っていたのが実際訊かれると疲れた息が漏れた。

 

「勘」

 

 手っ取り早くそれで誤魔化すことにした。

 しかしコナンは当然納得していない様子だ。

 

「え~、でもぉ」

 

 この件に関しては取り合う気はなく早々に帰ることにした。

 逃げる、とも言う。

 

「ごめん。今日はもう疲れちゃったから。帰らせて。ね?」

 

「う、うん……」

 

 有無を言わせない強い口調で話を切り、帰ろうとしたが、その前に沖矢にだけ聞こえるように小声で話す。

 

「あの……失礼かも知れませんけど、そんなメイクしなくても素顔で充分に格好良いと思いますよ」

 

「!?」

 

 それだけ告げてペコリと頭を下げると店を出ていく。

 

「昴さん。優衣お姉さんに何を言われたの?」

 

「いえ、何でも……」

 

 静かに誤魔化す沖矢は、優衣が出ていった扉をその細目を険しくさせて見ている。

 沖矢昴が柳原優衣を警戒対象としてマークした瞬間だった。

 

 




ボツ案。
沖矢の手に触れた瞬間にある映像が流れる。
それは、灰原と知らない男性が行っている会話を沖矢は盗聴している姿だった。

優衣「気持ち悪っ!?」

沖矢「!?」

バッと沖矢から優衣は手を離した。

というのが初期案でしたが、優衣の能力も大概ですし、次の話が作りにくいのでボツに。

この後の赤○さん。

(何故この変装がバレた!?ボウヤの言うとおり、彼女は組織と関係があり、俺の正体に気付いているのか?)

こんな感じです。
優衣を喫茶店に誘ったのもコナンから相談されて組織と関係があるか遠回しに聞き出そうとしたからです。
話している内は今回はコナンの早とちりと思い始めたのに最後に不意打ちを食らいました。
優衣は助けてもらったお礼にそんなメイクしなくても格好良いと教えただけですけどね。
そしてFBIにもマークされるという。自分から無自覚に危険な状況に追い込まれてます。

次は安室さんか女子高生3人と絡ませたい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。