【RTA風味】ガンダムビルドファイターズ・古鉄チャート【スパロボ】 作:装甲大義相州吾郎入道正宗
第2ピリオド翌日の休息日。
熱気収まらぬ世界大会で設けられた憩いの時に、選手だけでなくファンやサポーターも含めて、会場に併設されたレジャー施設や販促コーナーでお祭り騒ぎ。誰もが明日からも続く大会を期待しながらガンプラへの愛を高めていく。
しかし一部の選手達にとって今日という時間は今後を左右する大事な幕間だった。
ある者は、油断なく本戦での戦いを振り返り、自らのガンプラに強化や修復作業の時間を割き。
ある者は、豊富に備え付けられた施設内の遊戯施設に身を委ね、思いっきり羽根を伸ばす事で精神をリラックスさせ。
またある者は、今後起こり得るだろう事態に備える為、暗躍めいた秘密の会合を今まさに開かんとしていた。
「それで…ワザワザ私達を集めて何を話し合いたいっての?」
夏の日差しを適度に緩和しつつ、心地よい風がウッドデッキに流れ込む涼しげなカフェテリアのテーブルで、とある共通の目的を持った女性達が円卓を囲むように勢揃いしている。
「ならさっさと帰ってもいいですよ? 僕たちだけでモトハル君について話し合いますから」
イオリ・セイ。
いきなり女性ではないが、この会合の発起人であり重大な議題があるとして以下の彼女達を呼びつけた張本人である。
注目すべき服装はパーティで見せた女装姿…では無く、意中の相手にお気に召さなかったのを反省して少年らしい半袖短パン姿でいる。…微妙にサイズが小さいのか、肌にピッタリと張り付いた上着に妙な色気を感じるのは偶然なのか意図してなのか、周囲の者は判断に迷う。
「ご主人様関連で私が離れるとでも? とっとと言いなさい!」
ガンプラアイドル・キララ。本名ミホシ。
今日はオフなのかショッピングピンクで染めていた髪を地毛の黒に戻した地味衣装で参戦。バレないのをいい事に普段より屈折した雰囲気を醸し出しているので、一般人に気付かれる心配は無いだろう。
そして理由は定かでは無いが、モトハルとは初対面の時は嫌悪といって差し支えない関係から、いつの間にやら一転。彼を公共の場でご主人様と声を張り上げるMっ気を隠さない残念な人になっていた。
その事情を怖くて誰も聞けていない上、偶に「婚期が…」と瞳のハイライトが消えた無表情で呟くので、もはや歯止め役であるはずのテレビ関係者も、触れぬが花状態となった無敵の人でもある。
「あの…その、2人とも落ち着いて、ね? 私のフロートソーダ飲んでいいから」
セイのクラスメイトにして委員長、コウサカ・チナ。
おかっぱ頭と大きなメガネがチャームポイントの物静かな性格の彼女は話し合い前から剣呑な雰囲気を見兼ねて、苦し紛れに飲み差しのドリンクを差し出してしまった。
はっきり言ってこれから行われる議題について無関係な人選だが、この時のために呼び寄せた、ある人物と懇意であり、またセイも含めた同級生という繋がりからも、この会合に参加しているお人好しだ。
無論、本人以外隠し切れていないセイへの恋心から、彼の目を覚ます手掛かりを求めているのは明白だった。
「えっ、いいの委員長! ちょうど喉が乾いてたんだ」
「あっ!? あぁ…うぅ〜〜〜」
ドリンクを遠慮なく嚥下するセイの姿に、間接キスという甘酸っぱい単語が過った委員長は真夏の日差しにも負けないほど顔を赤くしてモジモジと顔を俯かせてしまう。
あまりの純粋さに、ここだけ霊水が流れる秘境かのような清らかさが溢れている。
そう思わずにはいられないのは、もう一人の参加者。
「ちょっとチナさん。そこはもっと積極的に押しなさいな!」
特別アドバイザー兼議長。ヤジマ・キャロライン。
彼女もまた、この会合には無関係だが、内心は友達として気にしている委員長の悩む姿を気にして、相談に乗る形でこの場に同席している。
当初はよそ者を加えるべきではないと意見されたが、彼女の手腕…ニルス・ニールセンという天才少年を一夏で恋人にしてしまった経緯から是非アドバイスを受けたいと全員から依頼されたのだ。調子に乗りやすい彼女は煽てられるままにモトハル関連の話を聞いていたが、既に心はグロッキー状態である。
「やれやれ…これだからお子様達は…フッ」
そして今回の議題そのもの。コシナ・カイラ。
平均身長から頭一つ分は小さい身なり。フラットで華奢な体つき。太眉、三白眼、八重歯…というよりギザ歯の顔立ちは、睨み一つで気の弱い人間を黙らせる悪人面だが、今日は何というか…かなり表情が柔らかい。
服装も、普段は男物を着用しているのに第2ピリオド当日辺りから、ヘソ出しシャツにお尻が出そうな際どいミニのホットパンツ。パーカーを羽織っているのは変わらないが、脇を晒すように着崩している姿に彼女を知るユウキ・タツヤやアラン・アダムスも道端でフリーズしていた程だ。
そこまでするのは【彼のため】というのを知っているセイは、今日の議題に必要だとして強制的に着用を義務付けて呼び出している。
「えー、それでは。言うまでも無いと思いますがカイラ…さんが何故こんな、あからさまなメスになったのかを弾劾します」
「セ、セイ君!? そんな言い方はよくないよ!?」
「いいえ委員長ちゃん。この中で一番大人の私には分かるわ…ご主人様と何かあったでしょ」
野獣の如き眼光で指摘するミホシ。
そこに心の中で(いや今回の議題的に確実にあの男ですわよね)と突っ込むキャロライン。
「おいおい勘違いも甚だしいぜ? 別にモトハルとアタシの関係は変わってないさ…フッ」
「それ! さっきから喋る度に鼻で笑うのは何なの!?」
おかしい。単に意中の相手と仲が進展しただけならば、カイラが多少羽目を外して戯けるのは分かる。しかし、今の彼女はどこかタガが外れたように、そう、浮かれているのだ。
その疑惑にそもそも男で恋愛経験が乏しいセイと、年齢のせいで色々性癖を拗らせたミホシは、ある事実を直感的に予想はしているが真実が怖くて聞き出せていない。なお、委員長は大体予想が付いているが恥ずかしくて言い出せない模様。なので当然、キャロラインは首を傾げて口を開く。
「え? 普通にご本人から聞けばよろしいのでは?」
「何でそんな残酷な事を言うの!?」
「いきなりトップギアで叩くのはマナー違反よ!」
「…らしいの」
「うーん絵に描いたようなチキンと変態さんですわね」
オブラートに包まなければ事実を飲み込めないと、幼子ばりのワガママを捏ねられ、流石に溜息をつく。自分としてはサッサと話を切り抜けて恋人のニルスを早急に婚約者まで担ぎ上げたい所なのだが、ここで離席すれば悪く思っていない友人関係の委員長が、延々と話に付き合わされて不幸になる未来が目に見えているので、議長役として仕方なく話を合わせる。
「それでは、コシナさんでしたっけ。同じ女性として服装のコーディネートが急に変わるのは何らかの心変わり…変える必要があったと考えますが、そこら辺は如何ですの?」
「あん? 心変わりとかそういう訳でもねぇが…まぁ何だ…惚れた相手の趣味に合わせるのは…【恋人】として当然だろ」
「はい議長! 彼女は嘘をついています、断罪を」
「真偽不明なので却下」
「ぐぅぅ…!」
「はい議長! 断罪の内容について詳しく」
「今すぐここから叩き出しますわよ」
こんなの絶対おかしいよ…と。セイは握り拳を作る。普段のカイラならばこの手の話題は瞳に闇を浮かべていない限り、人前で恥ずかしがって…言いたくないがウブな反応が返って来る可愛さがあった。しかしいざ地獄の釜を開けてみれば、まさかの豪速球。インコーズ高目を見せ球無しで投げ込まれた気分だ。
「…これではもう、話を迂遠にする必要はありませんでしたわね。つまり相思相愛と解釈しても?」
「まぁ……ヘヘッ」
「わぁ! おめでとうございます」
魂がコアファイターとなって飛んだセイとついでにミホシは虚空を見つめながら、呆然としている。
「お話はチナさんから聞いていましたが、長年の想いが叶って良かったですわね。なら今日は何処かで遊んだりは……」
「あー、モトハルは部屋で改造と弾作りで【集中】してるから話しかけた事すら気づいてねぇな。…アタシは足引っ張るより、あいつを支えてやりてぇからよ」
アンニュイな表情でカラリとドリンクの氷を揺らすカイラ。そこには真夏に刺す一筋の光のように強い乙女の感情があった。
「まぁまぁ! 微笑ましい話じゃありませんの。幼い頃に別れた幼馴染同士が再会。同棲しながら愛を深めあいゴールイン。恋愛小説みたいで羨ましいですわ」
「うふふキャロちゃんってば。でもホトギ君も一途だよね。カイラさんの話なら今まで親しい女の人も作らずにずっと待ってたなんて」
「まぁ? そこは愛の差っていうか。同じ幼馴染でも格の違いがあるというか、アタシ以外に惚れないように躾けてきたからな」
「「………ん?」」
「同棲してからはエロ本の類は全部貧乳物にすり替えて、胸がでかい女はあらかじめ排除してきたな。それとアイツ凄い格好いいからな。変な女に捕まらないよう前髪を伸ばして顔を隠したのもアタシだ。というか存在そのものが尊いだろ? たしかにぶっきらぼうに見えるけどそういう判断を下す奴は本当見る目がないというか愚かだよこんないい男が隣にいるだけで女としてはもう即堕ちレベルだろガキの頃になんで押し倒さなかったのか今じゃ理解に苦しむねそれとリハビリがてら身体を鍛えてるせいで胸板とか凄いんだぜ? 抱かれるともう安心が凄いっていうかお姫様になった気分を味わえちまうんだ。だからもう絶対離さないし離させない。
ーーーモトハルはアタシのモノだ」
「ふぁ……」
「チナさん!?」
闇に呑まれた委員長は気を失いかけて椅子にもたれ掛かる。
濃い人ばかりに好かれますわね、ホトギ・モトハル…。そう思わざるを得ないキャロライン。
一名は現実を受け入れられず、
一名は目の前が真っ暗になり、
一名は闇に晒され、気絶、
一名はその介護に回った。死屍累々の会合はこれにて閉廷大団円……とはならない。
唯一の勝者であり、最後までマトモ(?)でいられたカイラは、やや腑抜けていた顔を引き締め直すと自分の分のドリンクを飲み干し、勢いよく氷を噛み砕いて息を飲む。
ガリゴリと荒々しく口の中が冷やされて、夏の日差しと思い人への感情で熱くなった思考が徐々にクールダウンされていき、それをしかめっ面で嚥下すると、意を決してセイに話し掛けた。
「で、だ…。ここからが本題なんだけどよ」
「?」
真っ直ぐ見つめる瞳がセイを射抜く。
「ーーー頼む。これからもモトハルの友達で居てくれ」
そして垂直になるほど頭を下げて、願いを告げるカイラ。そこに先程までの戯けた様子や巫山戯た態度は何処にも見当たらない。今までが嘘のように真摯に言葉を向けられているのが直感的に分かった。
ここに来てセイは彼女がモトハルにしか見せないはずの服装を着た理由に察しがついた。彼女にも、どうしても伝えたい事があったからこそ恥を忍んで付き合ってくれたのだと。
「……それはどういう意味ですか」
「ーーーお前も知ってるようにモトハルはガンプラが好きだ。才能云々を抜きにしてもアイツはいつだってガンプラ馬鹿で、それに関わっている時が一番笑っていられるんだ。…まぁ顔には出ないけどな」
セイとカイラ。幼少期を共にモトハルという幼馴染を通じて出会った人物同士は互いにどちらが上かで優劣を付けようとして肝心なところを見ていなかった。カイラはそれを第1ピリオド終了後のひと時で思い返したのだ。
「だけどアイツは、モトハルは、…親の借金を肩代わりする為に、ガンプラを道具にして過ごしていた時期があるんだ」
「えっ…待ってよ…そんなの僕、聞いて…」
「言えねぇさ。セイ、お前は…モトハルにとって、かけがいのない大切なガンプラ友達なんだよ。…アタシはそれに、なれなかったから」
「!」
「アタシも話に付き合えるくらいには勉強したけどさ。それでも動機がアイツの為だから、何処か付いていけないって思っちまう時があるんだ。…だけど、お前なら幾らでも話し合えるだろ?」
今年に入って毎週末に電話していたように、と。バツが悪そうに笑う。
「正直、何度も辞めさせようとした。アタシだけ見てれば良いって。けどな、アイツの横顔を見てると邪魔するなんて出来なかった…。あぁ、本当に楽しいんだなって分かっちまったから」
顔を上げたカイラの顔は眉間にしわを寄せているが、それでも苦笑いを浮かべて、もう一人の幼馴染にお願いをする。
「モトハルはアタシのだ。……これだけは絶対に譲れない。…だけど、お前はアイツにとって最高の友達なんだ。それだけは忘れんな。そして…アイツを救う為に、これからも付き合って欲しいんだ」
「……救う?」
不意の言葉に、忘れかけていた純粋な友情を取り戻し掛けていたセイが疑問を挟んだ。そし語られたのは彼が知らない、モトハルが意図的に隠していたカイラとの…否、暗黒の時代の話だった。
「ガンプラを道具にしてた頃。アイツが親の借金のせいで、とある塾に編入させられた時に、とんでもないトラウマが植え付けられたんだ」
それはガンプラ塾。次代のメイジンを育成する為に、狂気的な教育方法を実施された被験体。それがホトギ・モトハルという男の過去だった。
「その時期に運良くアタシは居られたけど、間に合った訳じゃない。…あの頃のモトハルはガンプラ以外の事は一切考えず、興味も持たず、それでいて不満な出来栄えならすぐさま砕いて捨てるような洗脳状態だった」
「せ、洗脳ってそんな…漫画みたいな…」
「…実際にある技術らしい。難しい事はアタシにも分かんねぇけど、エン…何とかを利用したって講師の一人が吐いたぜ。ーーーモトハルに一種の別人格を与えるテストをしている。ってな」
「何でそんな事をする必要が…」
「モトハルにビルダーの才能はあるが、ファイターとしては平均的だ。それをカバーするように短期決戦型に自分を鍛えてたが…あの講師はもっと高みを目指すといって植え付けたんだ。もう一人の、ファイターに特化した人格を」
俯くカイラは罪を告白する迷い子のように、あの時…ガンプラ塾在籍時のホトギ・モトハル。その前期時代を語り始めた。
果たしてこのまま浄化されるのか
ラブコメを目指したら難産過ぎたので失踪します。
視点切り替えに煮詰まっているので答えて頂ければ幸いです。
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ノンケパート増やせや猿ゥ!
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走者視点が基本ダルルォ!?
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第三者視点も好きなんだろぉ?
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それも1つや2つではない…全部だ
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セイきゅんとの三密濃厚接触