【RTA風味】ガンダムビルドファイターズ・古鉄チャート【スパロボ】   作:装甲大義相州吾郎入道正宗

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昔、ログインID忘れて更新不能になった小説が別サイトで「前作者から許可をもらって改定しました」と嘘をつかれたので初投稿です。


ホトギ・モトハルという男 with珍庵

その青年と出会ったのは珍庵が新しい弟子にせがまれて地元商店街の小さな大会に顔を出した時だった。

 

ガンプラバトル黎明期。その高すぎる技術によってイオリ・タケシ、ラルと並んで世界中にその勇名を馳せていた彼だったが、第一線を退いて久しい身である為か、開催場所のプラモデルショップに紛れていても存在に気付く者はいない。

 

そこに一抹の寂しさが胸に去来するが自分の手を繋ぎ、もう片手に自分で作ったガンプラを抱き締めてキラキラした瞳を向ける弟子の姿を確認して、ホッと息を抜く。

 

ガンプラバトルは楽しくあるべき。

 

自分が掲げる思想は間違いなく次世代、次々世代へと受け継がれていくのを確信している故の安堵。たまには指導者としてではなく、単なる保護者として、この子のバトルを見届けるつもりでここに訪れたのだった。

 

しかし、

 

(何や、あの坊。明らかにお遊びの大会に挑む雰囲気と違うで)

 

老若男女が楽しげに大会前から盛り上がる中で1人だけ浮いた印象の青年がいた。

 

これといって特徴の無い顔つきに服装。立ち振る舞いにも異常は無い。参加証を首に下げている事からバトルに出る一般人なのは間違い無いだろう。

 

けれどもかつて世界中の強豪ファイターと鎬を削った経験を持つ珍庵の目には彼が漏れ出す執念のような感情を敏感に嗅ぎ取ったのだ。

 

手に持っているのは頑丈そうなアタッシュケース。オモチャやイミテーショングッズでは無い本物の貴重品入れから取り出すのは、もちろんガンプラだ。

 

彼はソレを取り出すと慣れた手つきで稼働チェックを始める。接着のガタ。接続の確認。塗装の剥げ。関節の緩み。一抹の漏れも許さぬとばかりに念入りに行われる行為は病的なものすら感じる。

 

珍庵はソレを視界に納めたと同時に子供のお守りという役目を瞬間的とはいえ忘れてしまう。

 

(なんちゅう…なんちゅう完成度や!モビルゲイツの曲がらない肘や膝をくり抜いて二重関節に置き換えたんか!?首も脚もジョイントを僅かに延長して充分な可動域を確保しとる。あれならモビルファイターとしても十分戦えるレベルや。しかもほぼ全身をリファインしとるのにも関わらず形状も塗装にもムラが一切無い。…こりゃあガチのガンプラやで…!)

 

何より気になるのはそれだけの完成度を誇るにも関わらず、後付けとしか形容できない異物感を放つシールドだ。ここからではよく見えないが明らかにスケール違いの武器を流用した無骨さの塊に謎が尽きない。あのシールド?に機体バランスを損なう程の価値が本当にあるのかどうか。

 

ゴクリと息を飲む珍庵の様子を不審に思ったのか、弟子であるサカイ・ミナトは不安げに顔を伺った。

 

「ししょう? なにかあったんか?」

 

「……いや、何も無いで。ほらお前さんも準備せい」

 

手に持ったガンプラ…1/100MG版ウイングガンダムゼロを変形させ遊び半分で弄るミナト。

 

(この大会は本当にお遊びや…。明確なレギュレーションは設けられず、参加者の年齢制限も無ければガンプラの仕様も問われない。公式記録にすら残らん野良試合なんや)

 

それなのに全力を尽くそうとする謎の青年。

 

珍庵の注目は試合前から彼に向けられていた。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

商店街大会第1試合。

 

 

(やっぱり只者や無かったか…)

 

彼のガンプラ。ゲイツ・アイゼンと名付けられたそれは正しく桁違いの実力で勝利を収めた。

 

第1試合。ウイングガンダムゼロ(TV版)との戦いだ。

 

ミナトと同い年くらいの少年は純粋にガンプラが動かせるのが嬉しくて堪らないのか、あまり彼を見てはいなかった。そんな明らかな格下相手に容赦の微塵も無く攻め立てて来るなど誰が思おうか。

 

バトル開始の合図と共に、背面スラスターと肩部のブースターが勢い良く解放され、内部ノズルから噴出するバックファイアが爆発と錯覚するような推進力を生み出す。その勢いのまま平野を一直線に駆け抜ける姿は獲物を一直線に狙う狼を連想させた。

 

機体が突き抜けた後、時間差で舞い上がる砂塵は逆巻く滝の如く。押し寄せる瀑布は視覚的な圧力となって対戦相手の少年に襲い掛かる。恐怖による反射か、思わず射撃のトリガーを引くが、それは地面スレスレを飛ぶゲイツ・アイゼンの曲芸のような回転運動で避けられる。

 

更なる反撃を試みようとした瞬間。既に不恰好なシールド先端は胴体に押し付けられていた。

 

 

「この間合い…もらった!」

 

 

小さく、それでいてハッキリとした掛け声は店内全てに響き渡る炸裂音によって掻き消される。

 

その爆音の正体とは、

 

「パ、パイルバンカーやと!?」

 

思わず叫んだ珍庵は驚愕に目を見開く。ミナトの目も信じられないとばかりに口を開けている。

 

凄まじい破壊力を示すように、吹き飛んだウイングガンダムゼロの胴体は【上半身がバインダーごと粉々だった。】

 

胴体だけならまだ分かる。

 

作り込まれる程に威力や装甲に比例するガンプラは今回のバトルでは最大の結果を生むに至ったのだろう。

 

だがしかし、それを踏まえても背面ユニットのバインダーまで衝撃が貫通するなど珍庵の長いガンプラ歴を遡っても初の事態だった。一体何を仕込めばそんな馬鹿げた威力になるのか。

 

だがそんな珍庵だからこそ、推察出来る部分もあった。ゲイツ・アイゼンをGPベースから引き上げる際、飛び出した杭状のブラ棒を再び内部に押し戻すとカチリッと音がしたのだ。

 

(あれは…そうかスプリングや!バネの反発力と砲口内にプラフスキー粒子を圧縮して二重の力で加速させたんやな!? シールド内側に設置しとる意味が分からんかったが、逆やったんか……【シールド並みの強度が無ければパイルバンカーの衝撃に耐えられない】からあそこに付けたんや!)

 

その為の大型シールド。そして威力に裏打ちされた工作技術。ただプラ板を接着しただけでは基部から折れてもおかしくない衝撃を受け止める、確かな改造がそこには施されているのを確信した。

 

だからこそ、腑に落ちない。

 

(何故、子供相手にそんな大人気ない仕打ちをするんや…)

 

珍庵の疑念は、このあと続いた準決勝戦でも晴らされる事は無かった。

 

対戦相手は一回戦目の父親で使用ガンプラはウイングガンダムゼロ(OVA版)。

 

息子の雪辱を晴らさんと意気込み、スターティングゲートから飛び出す。対して謎の青年は第1試合を焼き回しするように愚直な突貫でもって距離を詰める。

 

ここまでは先程までと同じ。しかし父親はガンプラバトルに嗜みがあるのか、押し寄せる脅威の対処法について既に気が付いているようだった。

「そのガンプラ、極端な近接特化だろう!近付きさえしなければ怖くないね!」

 

バサリと、ウイングゼロの翼が躍動し機体が宙へと浮き上がる。狭い筐体のフィールド、そこでいくら高速で迫ろうとスタート地点から互いが接触するまで、ある程度時間が掛かるのは必定。

 

息子は焦ってライフルを発射してしまったが、飛行及び浮遊能力を持つウイングゼロならばフィールド上空へ躍り出て距離が保てる。

 

その指摘は実に正しかった。

 

ゲイツには空戦能力が無いのだ。原作のガンダムSEEDでは大気圏内の飛行は困難であり、専用のユニットを持つストライクガンダムか戦闘機、ザフト軍ならば専用のモビルスーツディンを開発する程であった。

 

その系譜に産まれたゲイツに飛行能力があるはずも無く、必然的に重力下の判定である平野の地ではスラスターの出力に任せた滑空か跳躍が限界なのである。

 

増設された肩部のスーパーバーニアはその弱点を補うべく追加されたかも知れないが、如何にトールギス由来とはいえ、あそこまで速度が出てしまえば急な方向転換は不可能だろう。

 

そして一撃さえ避けてしまえばツインバスターライフルのチャージ時間が稼げる。最大出力によるローリングならば外す心配も無い。父親は子供に良い姿を見せられるとほくそ笑む。

 

程なくしてゲイツ・アイゼンが間抜けな闘牛の如く眼下を駆け抜けていく。

 

「勝ったな」

 

確信した父親は上空へ移動するのを止めてチャージ中のツインバスターライフルを悠々と構えて振り返る。だが、それだけの動作がやけに重い。しかもモニター画面の視界にはあらぬ方向へ砲身を向けるライフルがある。

 

「な、何が………うおっ!?」

 

鳴り響く警告音。慌てて機体のコンディションに目を向ければ【拘束】の文字が至る所から発せられているではないか。もがくように特徴的なウイングバインダーを動かすが、デタラメな方向にバーニアが向き合ってまともに動けない。

 

更には機体高度がグングンと下がっているでは無いか。原因を探る父親の目にモニターから迫り来る脅威が再び襲い掛かる。

 

「一体…何をしたんだぁ!!」

 

破れかぶれに頭部バルカンとマシンキャノンを乱射するが、一瞬でゲイツが画面下に消えたかと思えば機体もそれに引き摺られてバランスを崩す。完全優位の立場から一転、パニックに陥った父親に為すすべは残されていなかった。

 

 

「お前が考えているほど…距離は開いていないぞ!」

 

 

一撃必殺。

 

 

アッパーカット気味に放たれたパイルバンカーは胴体へ容易く突き刺さり、またもやバインダーごと破壊してしまう。破壊され仰け反る機体からは砕けた羽が降り注ぐように舞い散り、せめてもの徒花を咲かせているようだ。

 

「ししょう…なんであのごっついガンプラはこうげきできたんや?」

 

「あぁ…それはな…」

 

スッとガンプラバトルの筐体に指を指すと、プラフスキー粒子を失って立ち尽くす両者のガンプラが良く見えるようになった。ミナトが目を凝らすと何やらゲイツの腰から光の筋が伸びているのが確認出来る。

 

「……釣り糸?」

 

「正確には工業用の極細のワイヤーやな。それを発射して相手を絡め取った後、巻き上げて無理やり距離を詰めたんや」

 

ウイングゼロの足元を擦り抜けた瞬間、ゲイツは機体を半回転。仰向けの姿勢になるとエクステンショナル・アレスターを発射したのだった。

 

それが飛行能力の要となるウイングバインダーに当たったのははっきり言って偶然なのだが、珍庵は深読みして警戒を緩めない。

 

真っ直ぐ飛んだエクステンショナル・アレスターは本来ならば先端に搭載されたビームガンで至近射撃を行う武装である。それを再現した工作技術にまた感銘を受けるが、その威力は如何に接近していようと致命打にはなり得ない。

 

だからこそ複雑な形状を持つウイングに掠めるような当て方をして絡め取ったのだと珍庵は本気で思っている。

 

「トコトンまで自分の距離に持ち込む近接特化やな…男らしいと褒めたい気分なんやけど…」

 

一撃必殺。爆発的速度。戦闘スタイルを押し付ける強引さ。まるで獲物を狩り立てる獣のような姿は、一見荒々しく好き勝手に暴れているようにも思える。しかし彼がそのガンプラバトルを楽しんでいるようには、とても見えないのだ。

 

見た目から弟子の1人であるヤサカ・マオと同世代に見えるが、同じ火力偏重主義であっても、その方向性がまるで違う。…マオならば何か知っているだろうか? 帰って聞いてみてもいいだろう。

 

(しかしミナトには悪いが、いくらMGでも勝てへんやろうな…)

 

ガンプラ心形流はその名の通り、心を形にする製作術。その想いが強ければどこまでも強くなれると常日頃から教えている。しかし年端もいかない幼い子供に彼の相手は荷が重すぎる。

 

このまま進めば悪い結果になるやもしれない…。

 

失敗すれば全てを諦めかねない程張り詰めた精神性。一度、面と向かって話し合いたいと思うが、負ければミナトが愚図ってそれどころでなくなるのは目に見えている。だからこそ日を改めて、もし縁があれば、再び出会う機会があれば、問いたいのだ。

 

 

勝つ為に戦う。ただその為に遊び心を削ぎ落とした1人だけの戦い。群れからはぐれた獣。

 

 

 

【鋼鉄のような孤独な狼】に

 

 

 

ガンプラとはいったい何かを。

視点切り替えに煮詰まっているので答えて頂ければ幸いです。

  • ノンケパート増やせや猿ゥ!
  • 走者視点が基本ダルルォ!?
  • 第三者視点も好きなんだろぉ?
  • それも1つや2つではない…全部だ
  • セイきゅんとの三密濃厚接触
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