鬼は酒を求む   作:テリーヌ

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二話

 

「……すまん…酒は……ないな」

 

「なっ!?」

 

少女は打ちひしがれ手を地につけ絶望する。その落ち込みようにうろたえながらも一団の先輩は慌てて弁明を入れる

 

「だ、だか、街の方に行けば酒場があるぞ」

 

「なに!?ここからその街は近いのか!?」

 

「ファミリアも知らなければここがどこなのかも知らない……

おまえ、ここにはどのようにきたのだ?」

 

「んー、いやー、気づいたらここにいたんだよな

それ以前のこともよく思い出せん」

 

「……モンスターに襲われ記憶障害を起こしたのか?

過去にもそのような事例は聞いた事はあるが…………

 

ひとまず……」

 

男は後ろを振り返ると腰を抜かし立てないでいる新人三人を指差しながら

 

「こいつらを連れて行くのを手伝ってくれないか」

 

「「「す、すみませんー!」」」

 

「酒場を教えてくれるのだったら喜んでやってやるよ」

 

「そういえば名前を言っていなかったな

俺はボリス・アーリス

 

おまえ、名前は覚えているか?」

 

「わたしは………」

 

ここにいる以前の記憶は全くなく自分が何者かも思い出せない

だが、自分の名前を聞かれたとき自然と湧き出てきた

 

「わたしは……すいか、そう、伊吹萃香

 

だと思う」

 

「曖昧だな。まあいい、少しだけよろしく頼むぞ萃香」

 

「おうよ、ボリス」

 

 

 

 

 

 

 

無事にダンジョンから地上に帰還した一行は腰が抜けた新人をファミリアまで送り届けたあと、すぐにでも萃香は酒場に向かおうとするがボリスが金はあるのかと聞かれてウキウキしていた足がピタリととまる

 

一つため息をついたあとボリスは懐からぎっしりと何かが詰まった布袋を取り出し中から小さな結晶を取り出す

 

「これはおまえが倒したゴブリンからドロップした魔石だ。これをギルドで換金して収入源にしている」

 

どうやらボリスは萃香が無視していたゴブリンの魔石をこっそりと回収していたようだ

そのことに気づいた萃香は不満そうな目でボリスを見つめる

 

「はっはっは!!そんな目で見るな

ファミリアに所属していなけりゃギルドで換金なんてしてくれねえよ

代わりにやってきてやるからこれは手数料だ。………そうだな、半半でどうだ」

 

確かに今の萃香では魔石を持っていたとしても換金はもちろんあれにどれくらいの価値があるのか分からず宝の持ち腐れである

 

「……いいだろう。

でも、メシはおごれよ!」

 

「ふっ。交渉成立だな」

 

萃香が稼いだ魔石は相当な量があり3日は豪遊できるほど出会ったため半半でメシを奢っても大量のお釣りが出るとふんだボリスは満面の笑みで萃香を案内するのであった

 

しかし、そんな笑みはすぐに消え失せた

 

「んぐっんぐっ……ぷはっ!!!

最ッ高!!

これだよ!!これ!!」

 

気持ちよく飲む萃香の机には何重にも積み上げられたジョッキで埋め尽くされていた

しかも、まだ飲むらしく従業員に追加の酒を頼んでいた

 

止めたい。もう切り上げて帰りたい

 

「……………おい、聞いているか?」

 

「ん?ああ、聞いてるよ、聞いてる 

ファミリア、オラリオ、冒険者、ダンジョン

なかなか興味が惹かれるねぇ」

 

なにも知らない萃香のためにボリスはこの世界の常識を萃香に教えていた

 

「何をするにもまずはファミリアに入らなくちゃいけないか

おまえさんのファミリアとかどうよ?」

 

「残念だが募集はしてないな

新人三人もいるんだ。これ以上は世話しきれないよ」

 

「あらら、それは残念だ。

まあ、それは置いておいて今は飲もうぜー。

ねーちゃんー酒を一つ、……いや5つ追加ー!」

 

「………勘弁してくれ」

 

「おいおい、私の酒が飲めないのかー!」

 

「俺の金だよ!」

 

萃香との飲みは明けることを知らず結局朝まで付き合わされお釣りどころか自らの財布からも出す羽目となってしまったという

 

 

 

 

 

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