超人?いいや──神だ   作:後生さん

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本編開始です。
いつか神様を実物で拝んでみたいですね〜。
存在の有無はともかく。
出会った瞬間多分私卒倒するんじゃないですかね。



#1 自由神降り立つ

 

 

「リーベルタース!!」

 

 

 遥か天空、次元を越えた神聖なる聖地。

 神々が暮らす神界の一角にて、炎に巻かれた神がパチパチと火花を散らして大聖堂を歩いていた。

 その美麗な顔は不機嫌に眼が釣り上がっていて、その口からはその原因の名を呼び叫んでいた。

 

 

「リーベルタース!居ないのか!?」

 

 

 そんな神の元に、対称的な穏やかな微笑を浮かべている海の神が現れた。炎の神は更に眉を顰める。

 

 

「フランマ、彼は居ないよ」

 

「はぁ!?どういう事だモーリェ!!」

 

「下界に降りたのさ。興味が沸いたみたい」

 

「…………ッ!?げ、かい……?」

 

 

 唖然としたフランマに、モーリェは困り顔で苦笑する。あの自由な神が興す事案を毎回笑って見送るモーリェが、その呆れを表に出した事にフランマは口元を引き攣らせた。

 だが、それもそうだろう。

 なんせ下界、そう見過ごしていい筈がない。

 

 

「な、にを考えてるんだ彼奴は……ッ!!?そんな勝手な事を創造神が許す筈が、」

 

「許したみたいだよ。置き手紙に書いてある」

 

「!?っんな、」

 

 

 モーリェが掲げる紙をぶんどって、フランマは有り得ない気持ちで一字一句逃さずに眼に焼き付ける。

 そして、その紙はジュ…、と燃え尽きた。

 

 

『下界に降りる。追伸、ゲネシスにはとっくに許可貰ってるから言っても無駄だぞ。特にフランマ』

 

 

 いつもながらの短い文章と余計な一言に、火の粉を撒き散らしたフランマが炎の一柱を噴出させた。

 

 

「……ぁんの…ッッ──根無し草がぁああッ!!」

 

 

 絶対次逢ったら灰にしてやる、という私怨の篭った木霊と熱気が大聖堂を突き抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それと同時に、大海にて小舟に乗っていた一人の人間が──いや、神が首を傾げて辺りを見渡した。

 

 

「……ふむ。誰かに噂された気がしたな」

 

 

 フランマ辺りか?と確信的に笑った神は、紛うことなく彼の怒りを買ってしまった本神だ。

 

 

「ま、手紙も残してるから文句は受けつけん。それよりも──そうだな、一体何処に行こうか」

 

 

 360度何処を見渡しても海ばかり。

 モーリェの支配海でもある大海を、別に船で移動する必要もなかったがそこは気分。人間の真似事をしたかったのだ。

 ニヤニヤと綻ぶ口端を引き締める事もなく、自由神は──リーベルタースは瞳を輝かせた。

 

 

「今や大海賊時代となったこの世界、謳歌せずに何が自由神か!お前達のお蔭で俺は存在している!」

 

 

 自由を愛するこの時代に、リーベルタースはずっと降りたかった。神を信ずる人間達ではないが、けれど夢を、希望を求めて生きているのだ。それは単にリーベルタースを信仰しているのと同義ない。

 自由という心念を信ずる人間達から貰う信仰心を身に受けながら、リーベルタースはふと思った。

 

 

 そんなにもこの世界は楽しいのか、と。

 

 

 それからは執拗いぐらいに創造神に掛け合った。

 人間界に行きたいのだと、人間達の想いを直接知りたいのだと、この世界を見て回りたいのだと。

 何十何百年経って、苦笑されながらも降りる事を許可された時は思わず興奮のあまり人間達の欲望のタガが外れる所だった。瞬時に慌てて調節したが。

 

 

「確か悪魔の実…とかいう突然変異したモノを食した人間が居るんだったか……何それ面白そう」

 

 

 降りた時の為にと下界を覗かない様にしていたから、楽しみが何倍にも膨れ上がって高揚感に押し潰されそうだ。

 勿論冗談だが、ただ海を漂っている今の状況でさえも楽しくてしょうがない。末期だ。

 

 

 手漕ぎも何もせず、本当に自然のままに進む姿を人間が見たら、恐らく遭難だなんだと言われるな。

 此方としては人間に逢えるならそれでもいいが、と思ってると青い火の鳥が上空から飛んできた。

 

 

「フランマ…いや、神ではないな。なら人間……!!能力者か!悪魔の実のっ能力者かっ!!」

 

 

 キラキラとした瞳で見上げていると、何やら気まずそうな雰囲気で俺の元に降りてくる。

 どうやら俺に用があった様だ。

 炎を消して人間姿へとなった人間は、驚きもしない俺に少し面食らった表情をしながら尋ねてくる。

 

 

「あーー…いきなりで悪ィよい。ちょいと気になったもんでねい、あんた遭難者かい?」

 

「(………よい…………??)」

 

 

 俺は珍生物でも見たかのように人間をじっと見つめた。

 うっと引け腰になる人間に、俺は問う。

 

 

「よい、とはなんだ?」

 

「っ?ぁ、ああ…俺の口癖だよい」

 

「口癖……人間、いや他の者も同じなのか?」

 

「いや……俺だけだと思うよい。もう抜けねぇ癖だから気にすんなよい」

 

 

 そんな真面目に突っ込まれてもなァ…、と複雑な顔を浮かべる人間を、俺は面白そうに眺めた。

 人間は個性豊かで喜怒哀楽に至っては勿論、その生き方もそれぞれなのは知っている。けれどやはり神ではない生物を見慣れない為に新鮮だった。

 

 

「心得た。先程の質問だったな、答えは是でもあるし否でもある。だが遭難だと思われたらそうなるな。そういう状況に見られるだろうとは予想していた」

 

「はぁ…?…まぁ、逢ったのも何かの縁だよい。島を探してるなら一時だけ俺達の船の後ろに着いてきてくれても構わねぇよい。どうする?」

 

「──それは人間が沢山居ると言う事か!?」

 

「うおっ、あ、あぁ…」

 

 

 思わず顔を寄せてしまったが、その頷きに表情を輝かせた。こんなにも早く人間に逢えるだなんて!と興奮し、その申し出に快く是を示した。

 

 

「それは是非頼みたい!申し遅れたな、俺はリーベル。自由を愛する者だ!」

 

 

 真名は長いからなとさっき考えついた名前だ。

 因みに今後は挨拶もこれで締めるつもりだ。

 

 

「わ、分かったよい。俺はマルコだ、よろしくな。…そうと決まったなら俺が舟を押してやるよい」

 

「押せるのか!?」

 

 

 後ろに回り、器用に足だけを炎へと変化させたマルコに俺は目を輝かせる。今度フランマにもやらせようと決めたところで、舟がグンッ!!と進んだ。どうやら炎でジェット風圧を出しているらしい。

 まるでおもちゃ箱の様な人間の具合に、俺は面白そうにマルコを眺めていたが、少しずつ近づいてきた気配の多さとその信仰心の巨大さに振り向いた。

 

 

「………でかいな…」

 

「アレが俺達のホーム、モビーディック号だよい」

 

 

 船の甲板から幾人もの人間が手を降っている。

 マルコはそれに返しつつ、自慢気に笑った。

 

 





無邪気な自由神は、どうやら問題児のご様子。

冒頭こんなんですけど如何でしょうか? 
これもまっっっったり書いていくと思うので、なっっっっっっがい暖かな視線で、見守っていてください。
でもご安心を…あと二話くらいなら出せますから…。

ではでは!
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