あの後、すぐに雷が来た。
雷は怒るわけでもなく、慰めるわけでもなく、ただ妹の姿を見つめていた。
ーーーー30分後ーーーー
レッカーされて運搬される自分の車を、電は涙をぼろぼろと流しながら座りこんで見ていた。
しばらくすると、雷が電のもとにより、
「帰ろ。」
と小さく囁いた。
電はそれにうなずき、乗ってきた雷の86に乗り、帰って行った。
ーーーー新和家リビングーーーー
家に着くと、雷に抱えられながら電は階段を登っていった。
リビングにつくと、電はソファーのほうに走っていった。クッションに頭を突っ込み、すすり泣くような声が聞こえた。
雷「……すこしは落ち着いた?」
電(ズルル…)「う、うん。」
雷「それで、どうするの?今度のバトル。」
電「お姉ちゃんが受けてよ…私、多分ダメ。」
雷「まぁ無理もないわ。とにかく、今日は部屋で休んでなさい。」
電「わかった…」
そういうと、フラフラとした足取りで上へ向かう階段に向かった。
ピタリと止まる
ぷ「すまない…姉さん。」
雷「別に気にしてなんかいないわよ。」
階段を駆け上がっていく。
雷は一人、ガレージへと向かった。
86をのドアに手をかけたとき、野太いクラクションの音が聞こえた。
顔を上げると、派手なオレンジのレガシィが見えた。
雷はちょっとため息をつくと、レガシィに乗った。
ドアを閉める音がすると、レガシィは静かに走り出した。
雷「来てたのね。今日は大学じゃないの?」
??「今日は久々のお休み。しかも、バイトもないしね。ここぐらいしか来るとこないのよ。」
雷「それもそれでどうかと思うわよ…夕張。」
夕張「いいじゃない。授業だって自分でくんでるんだし。」
レガシィの運転手は 三隅夕張(21歳)。
雷とは大学の同級生で、彼女は年齢からわかるとおり二浪している。そのためか車の知識も多く、中古屋でアルバイトを始めたが店長に『君はこんな所じゃ勿体ないぐらいだよ。』と言われたほどだ。
だが、彼女曰わくあまりチューナーとかになるつもりはないらしい。
雷「私を連れてくってことはなんかまたあったの?」
夕張「ええ。今度のバトルってやつにちょうどいいのが、ね。」
雷「ちょっ、何で知ってるのよ!」
夕張「別に。妹から聞けば当然わかるわよ?」
雷「…え?」
それと、彼女は深雪の姉だ。
夕張「深雪のやつ、確かスターレット連れ出すって言ってたから。それでなんかないかって言われて、中古屋の店長にちょっと言ったところ見つかったのよ。」
雷「なにが?」
夕張「ドノーマルのER34。エアロ、内部に至るまでね。パワーは恐らく、フルチューンのあんたのハチロクには到底及んでないわ。」
雷「どのくらい?」
夕張「うーん…ER34のノーマルだと280馬力だけど…まだ正確には出てないわね。」
雷「280…無理ね。まだハチロクで行った方がいい。」
夕張「そういうと思った…まぁ見れるだけみていってよ。別にお金もそんなに取らないし。」
ちょうど中古屋に着いた。
車を降りると二人は隅のガレージに向かう。
シャッターが開くと、そこに真っ赤なER34があった。
夕張「店長もデモカーにするにも向いてないとは言ってたし、もらうんだったらもらっといたら?あんたんとこのガレージ、もう一台入りそうだし。」
雷「夕張…以外ところに素が出まくってるわよ…。」
夕張「別にいいじゃないの。」
雷「あ…今いいこと思いついた。」
夕張「なに?」
雷「夕張…あんたのレガシィ、帰り道ちょっと乗らせてくれない?ERってほら、4ドアじゃん?」
夕張「あー…うん。まぁいいわよ。全然。」