桃鳥の親鳥   作:後生さん

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※母親の名前は勝手に作りました。だって名前分かんないから。
一話ってどこまで区切ったらいいか分からないので、勘です。




私がそれを許すとでも?

 

 

 

 

綺麗な服、綺麗な靴、綺麗な髪、綺麗な家。

──そして穢い(きれいな)天竜人(わたし)達。

 

何故、なんて疑問はもう捨ててしまったわ。

それは可哀想な奴隷をこの目で見た瞬間に。

 

 

「貴方、(わたくし)のモノとなりなさい」

 

 

外見とは裏腹の性格だとはよく理解している。

だって、(わたし)は私であって(わたくし)ではないから。

 

 

「母上!!」

 

「母上ぇ!!」

 

「おいでなさい、愛しい息子達」

 

 

抱き着いてきた可愛い息子達の頭を撫でる。

ああ、なんて愛らしい子供達。

 

けれど同時に、なんて寒気のする子等かしら。

私の、実の子供ではないからかしら?

 

──いいえ。私がよく分かってるはずよ。

 

 

「決して、力の使い方を間違えてはなりませんよ。

いいこと?素晴らしい人間というのは、飴と鞭を使いこなす方を言うのです。両方に偏っては駄目」

 

「分かったえ!」

 

「はい、母上!」

 

「良い子ね……けど、悪い子よ」

 

 

私の、可愛い所有物に手を出したわね?ドフィ。

そう微笑んで柔らかな頬を掴むと、ドフィは目に見えて青ざめた。ええ、そうよ。悪い事をしたの。

 

 

「お仕置きよ。貴方は一ヶ月奴隷達に近付く事を許しません。三ヶ月の間奴隷を買う事も認めません」

 

「!!そ、それはやり過ぎだえ!?」

 

「あら…もっと長くしたいの?仕方ないわねぇ…」

 

「!?そっそれでいい!!それがいい!!」

 

「そう。お話を分かってくれて嬉しいですわ」

 

 

にこやかに微笑めば、ドフィは顔を引き攣らせた。不安がるロシーの手を握り立ち上がる。

 

 

「さぁ、食事に致しましょう」

 

「!おれも手を繋ぎたいえ!!」

 

「ええ、一緒に行きましょうね」

 

 

傍から見れば仲睦まじい親子。

けれど、ならば下々民からは、奴隷からはどう見られるのかしら。どう思われるのかしら。

 

 

「私は、下界に降りようと思う」

 

「………何を仰られてるのかよく分かりませんわ」

 

「ローザ。私は下界に降りようと思うんだ」

 

 

この、甘ちゃんは……本当に頭が湧いている。

私は食事の手を止め、夫を見据えた。

 

 

「どういう事か、勿論お分かりですわね?」

 

「勿論だとも!なに、皆が団結すれば他愛のない生活になるよ。だから着いてきて欲しいのだ」

 

 

穏やかに私に話す夫は、どうやら反対がないと思ってるらしい。

本当、恵まれた人だこと。

 

 

「遠慮しますわ。貴方だけでお行きなさいな」

 

「そうか遠慮………え、今なんて言った?」

 

「貴方お一人でどうぞ、と言いました」

 

 

口許を指で押さえて首を傾げれば、夫は顔を引き攣らせた。私の隣でロシーとドフィが顔を見合わせる。

私の冷めた視線に夫は狼狽えた。

 

 

「私、甘い事を言う殿方は好きませんの」

 

「あ、甘い事……い、いやそんな事はないぞ!確かに粗末な暮らしになるかもしれないが、きっと素晴らしいものになる!私達は同じ人間同士なのだ。下界で暮らす者達と何ら変わらない生活を過ごす事に何の恐れがあるのだろうか?なぁ、だからローザ」

 

「遠慮しますわ。お一人で降りなさいな」

 

「ローザ!!」

 

 

困惑と怒りを混ぜ合わせた夫の一喝に、私は尚更冷めきった瞳を向けて淡々と言葉を突きつける。

 

 

「甘いですわ。ミルクに砂糖と蜂蜜を大量に呑み込ませて更に砂糖飴を食べるくらいに甘々ですわ。

 

──いいこと?下界と聖地を同じものだとお考えになられないでくださいませ。タダでさえ道徳に唾を吐き捨て蔑む天竜人(わたくし)達の非人道的な行いに下々民は腹を煮え滾らせ呪詛という呪詛を吐き捨て憎悪を抱いておりますのに、そんな所に天竜人の称号を返却した私達がのこのこと降りて行けば格好の餌。すぐに暴力によって迫害されてしまいますわ。同じ人間だとお思いになるのなら、下々民達がどれほど私達を怨んでいるのかもお分かりになられますわよね?

人間的な生活をお望みになる、それは素晴らしい事ですとも。しかし天竜人として産まれたからには、相応の立場をよぉく脳味噌に刻み込んでから物をお言いになってくださいませ。甘言とは時として綺麗事だと馬鹿にされる事をいい加減自覚なさい。

 

私は死ぬ為に貴方に付き合ってる訳ではないわ」

 

 

一息つかぬ説教という名の常識を語れば、夫は唖然とした様に力を抜かしていた。二人の可愛い息子達も青ざめた顔で私を見上げていて、私は笑う。

 

 

「ですので、私は聖地から出て行きません。私は今の生活を気に入っておりますの。息子達を危険な目に合わせたくもありませんので、行くのならどうぞお一人で行きなさいな。それとも、その心優しい良心は私の告げた言葉全てを無くすおつもりなの?」

 

 

そう締めれば、夫はもはや何も言えまいと肩を落とした。代わりに、息子達にその意思を尋ねる。

 

 

「お前達は私と共に来てくれるかい?」

 

「!!ぃっ、嫌だっ!」

 

 

ロシーは頭を激しく横に振って拒否した。

当然でしょう、私の言葉がとても恐ろしかった様だから。臆病なロシーは迫害される事に怯えてしまった。

 

 

「そうか………ドフィ、お前はどうする?」

 

 

夫の視線にドフィは横目で私を見上げると、夫に向かって少し不機嫌そうに鼻を鳴らした。

 

 

「俺は行くえ!!下々民如きが俺に逆らう筈ないえ!!母上もロシーも怯え過ぎなんだえ!!」

 

「うむ……!?い、いやローザは違うぞ!」

 

 

肯定し掛けた夫を睨めばすぐに撤回した。

ドフィが決めた事に私は何も言わないけれど、──そうよね。貴方は、ドフラミンゴなのだから。

 

 

「貴方、いつ下界に降りるのかしら?」

 

「ぁあ…一週間後だと決めていたよ」 

 

「そうですか。もしやとっくに私達を含めて…」 

 

「!しっ、してないっ!!流石に勝手に進めてはいないぞ。…進めようとはしていたが……」

 

「──あらぁ」

 

「!?っしてただけだ!!してただけ!!」

 

 

青ざめるを通り越して白くなった夫に、そうですかと微笑む。何事も計画通り……と言えば悪女感漂うけれど、そうならない様に生きているのだから見逃して欲しいわ。そう、これが私の選んだ道なのよ。

 

 

「ドフィ、その勢いは良いけれど、下界に降りれば貴方は天竜人ではなくなるわ。それでも良くて?」

 

「それでも俺は俺だえ!問題ないえ!!」

 

「そう……愛していますよ、ドフィ」

 

 

抱き締めた小さな体は、照れ臭そうに抱き締め返してくれた。

 

ああ、悲しいわ。とても寂しい。

貴方を運命【物語】に沿わせてしまう事が、辛い。

 

──けれど、私は引き留めない。

引き留めてしまえば貴方を白い道に連れ戻せるでしょう。

 

だけれどね、ドフィ。ドフラミンゴ。

 

私は、貴方の辿る黒い道が好きなのよ。

 

 

 

 

 

 

 






一人称は、心の中では私(わたし)。外面は私(わたくし)。
と読みます!読みづらいですかね?でも区別なんで…。

ミンゴ好きなんですよ、ミンゴ。ロシーも大好き。
ロシーは初っ端から死ぬ線消してやりました。どんなもんよ。

ハッピーエンド、これに尽きる。
感想・評価・ツッコミありましたら是非!嬉しす嬉しす。
ではでは!
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