「────それでいい」
ドフィの眼に爛々とした光が宿った。
ああ、選んだのだと、夫もロシーも息を呑んだ。
「…そう。険しい道になりますよ」
「母上が、ついていてくれるえ。もう怖いものなんて何にもない。
──俺は、俺として生きる」
天竜人特徴の口調が消えた。
……ああ、生まれてしまった。ドンキホーテ・ドフラミンゴが。
暴虐の王が、生誕してしまった。
ああ、なんて、罪深い事を。けれどどうしてかしら?
とてつもない愛おしさで頬が緩んでしまう。
「これから何処へ行くのかしら?」
「…そうだな。取り敢えず、あの腐った町に戻ってみる。まだ彼処には何かある気がするんだ」
「そう。怪我は出来るだけ負わない様にしなさいね?貴方はまだまだ子供なのだから」
「わかった」
「それと、私の渡した紙はまだお持ちかしら?偶にで良いから連絡をくださいな。心配なのよ」
「ああ、こまめにする」
「まぁ嬉しいですわ。後は、そうね……此処でドフィと離れてしまうけれど、それだとどうしても海兵が着いてしまわれるでしょう?いっその事、貴方の成人年齢までは黙認して貰う事にしましょうか?」
ねぇ?と視線をセンゴク達に向けると、苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべていた。その意味に夫もどうやら同意見の様で、困り顔を私に向けた。
「……ローザ、それは…」
「あら、そうでしたわね。つい子供を想う気持ちで常識を弁えていなかったわ。でしたら一週間、ドフィの事を放っておいては下さらないかしら?」
「……それでしたら、何とか」
「ごめんなさいね、我儘に付き合わせてしまって」
眉を下げると、彼等は微妙な顔になってすぐに頭を下げた。きっと私の様な天竜人に慣れていないのでしょう。
「ドフィ、気をつけてらっしゃいね」
「母上も病気には気をつけてくれ。ロシー、母上の傍に居るのはお前なんだからな」
「わ、分かってるよ兄上。僕が守るから」
「まぁ」
「その心意気だ。またいつか会おう」
海軍船から降りたドフィは、私達に振り返る事無く森の奥へ去って行った。夫に何も言わなかったのは、やはり何か思う所があったからかしら。
「さて。帰りましょうか、皆様。けれどまずは、夫の身なりをどうにかしないといけませんわね」
「そう…だな。このままでは聖地には入れない」
「母上、父上にローブを着せたらどうかな?」
「そうね。顔は隠していた方が良いでしょう。お馬鹿な子達からの指摘を受けたくないもの」
私の召使いに頼めば、彼は頷きすぐに手配する。
粗方の用事が終わるまでこの場で待っている事にすると、ロシーが何か決意の固めた顔で私を見る。
「母上。お願いがあるんだ」
「なにかしらぁ?」
「…僕は強くなりたい。兄上は一人でその手段を掴もうとしてる。僕は、兄上に負けたくない」
母上を守ると誓った以上、意地でも。
ロシーの強い意思に私も夫も目を瞬かせた。
「…具体的にどうやって強くなりたいのかしら?」
「海軍に頼みたいんだ。守る為に、強くなる為に、僕はそれを実現させてくれる彼等に頼みたい」
「まぁ。海軍に?」
センゴクとガープに目を向ければ、彼等は目を見開いていた。
私は思考してから、ロシーに告げる。
「お願いする事は可能だけれど、彼等が請けてくれるかはまた別の問題よ。
私の図星な言葉に冷や汗を掻く海軍を横目に、私はドフィにした様にロシーの意思をはっきりとさせる。
思考の端に、
「──僕は、母上の息子だよ」
返ってきたのは意外な台詞で。
ロシーの真剣な瞳に、私は思わず吹き出した。
「ふっ、ふふふふ…!そうね、私の子だわ。だからきっと、そんな困難自力で乗り越えてしまうのね。良いでしょう。お話はきっちりつけてあげます」
「!っありがとう母上!!」
「子供の成長を喜ばない親など居ませんわ」
──ですから、ねぇ?お話、しましょう海兵さん?
顔を引き攣らせるセンゴクと一周回って面白くなったのか笑うガープに、私は微笑んだ。
これで過去編?は終わりです。
マザコンブラザーズ誕生ですね。それでよし。
感想・評価・ツッコミお待ちしております。もう眠いんで、また明日………いや、気が向いたらお会いしましょう。
ではでは!