桃鳥の親鳥   作:後生さん

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ドフラミンゴ兄弟の会話と、留守番するパピーのお話です。







番外 気持ち

 

 

 

 

いつもの如く海軍本部へと訪れると、偶然かな、七武海会議に訪れていた兄上と出逢った。

 

 

「よォ、ロシー。また訓練か?」

 

「久し振りだな兄上。ああ、いつもの事だ」

 

 

二人きりだからこそ家族として話せる訳だが、第三者が居た場合は此処は華麗にスルーしてしまう。

その時はすれ違いざまに視線で会話するのだが、やはりこっちの方が気が抜けるな。

 

 

「また暴れていたみたいだな、兄上」

 

「フッフッフ、なぁに。いつもの事だ」

 

「あんまりやり過ぎると捕まるぞ。母上に逢えなくなっても良いのか?」

 

「度は弁えてる。王となっても非道な事はしてねぇだろうが。何だロシー、心配してくれてるのか?」

 

「ああ」

 

 

素直に頷けば、兄上は面白そうに肩を震わした。

 

 

「お前は本当に母上に似たなァ」

 

「そう、か?自分じゃ分からないが…」

 

「フフフ…そのドジ癖さえ無けりゃあイイとこまで行くんだがな。なんだってそんなに酷でぇんだ」

 

「それこそ俺が聞きたいんだが…」

 

 

あまり己のドジに突っ込まないで欲しい。自分でもほとほと参ってるんだ、主に体力的に。

察してるのか否か、兄上はずっとニヤけている。

 

 

「最近の母上はどうだ?」

 

「…母上の事ばかりだな。毎日の様に連絡し合ってるんだから分かるはずだろう」

 

「毎日じゃない、週五日だ」

 

 

いや、週五日は毎日の様なものだぞ。

無駄に真摯じみた顔に引き攣りながら苦笑した。

 

 

「上手く隠されてはいるが、少し疲労気味みたいだ。やはり頭の足りない連中との会話は疲れるみたいだからな、近々息抜きをさせる予定だ」

 

「そうか……」

 

 

あ、眉間に皺が寄った。

これは良くないなと苦笑しながら肩を竦める。

 

 

「母上の事はしっかりと見ておくから、兄上も自重してくれよ。母上もいつも気にしているからな」

 

「…フフ、分かってるさ。母上の為だ」

 

 

兄上はいつも通りに口角を上げると、俺の横を通り過ぎる。それを視線で見送って俺も歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□ □ □

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の妻、ローザは少々変わり者だ。

いや…私が言える事でもないし言った事を気付かれてもならないのだが、やはり何処か格が違う。

それは単に性格とも言えるし、人格とも言えるし、何より視ている世界とも言える。

 

けれどもやはり、何をとっても私の愛すべき妻だと胸を張れるが……私も男だ。いつまでもなよなよした姿ばかりでは、流石にローザに飽きられるかもしれないと日頃からビクビクとしているのだ、実は。

 

 

「はぁ…今日も視察か、ローザは」

 

「はい。奥様からは言伝を頼まれております」

 

「言伝か。なんだね?」

 

 

いつもの如く、颯爽と下界に降りていく妻に不安と心配を滲ませていると、ローザの召使が告げた。

 

 

「“私のお出掛け中に不埒な者が現れたのなら、私の召使達にお任せ下さいね”」

 

「………………」

 

 

私は子供か。…は、まさか召使達は私の子守…?

バッと不甲斐なさに顔を手の平で覆ってから、チラリと召使達を見遣ると僅かに苦笑された。

 

 

「ッローザ……っ!!」

 

「旦那様、お気を確かに」

 

「我々は決して旦那様の子守役では御座いません」

 

「何故分かった!?ぃ、いやそれならいいんだ…」

 

フォローしてくる召使達に動揺しながら、息を落ち着かせる。しかしやはりやるせない気持ちは残るもので、どうしたものかと頭を抱えた。

 

 

「日に日にローザからのおんぶに抱っこが増してきている気がする…私は本当に大の大人なのだろうか。いや、そもそも夫として認識されているのか…」

 

「心中お察し致します」

 

「ああ、私の情けない所を使用人にまで同情されている事に、もはや何も言える気がしない…」

 

 

頭を抱える私に、召使達が生暖かい目を向けてくるのだが一体どうしたらいいんだろう。その主であるローザの事を想うとやはり私の立場が無かった。

 

 

「はぁ……ローザは賢い女性だ。私も共に居る故に、何をしようとしているのか解らない訳でもない。彼女が如何な想いで取り組んでいて、それがどれほど大変なのかも知らない筈が無いのだ。なればこそ、私にも手伝える事があるんじゃないのかと常日頃から思っているというのに、そこで私を巻き込まない辺り、もう諦めた方が良いんだろうか……」

 

 

長々と語ってはみたものの、結局締めは溜息を吐くばかりでどうしようもない。というかむしろこういう姿ばかりだからこそ気遣われているのか…。

 

 

「はぁ……私はどうすればいいのだろう」

 

「旦那様。奥様からの言伝には実は続きが御座いますが、聴いていただけますか?」

 

「…なんだね?」

 

 

いつまでも不甲斐ない姿ばかりなのを見越してか、召使が助けとばかりに物申してくる。

ローザからの伝言というと凄まじく疲労してしまうのだが、実はこれもローザの思惑なのだろうか。

いかん、これは私の気の小ささが原因だった。

 

 

「では奥様から旦那様に向けまして。

“私が帰宅する際には、玄関にてお待ちくださいね。貴方がいるからこそ、私は帰ってきたのだと安心するのよ”」

 

「……」

 

「言伝は以上で御座います。では私共は昼食の準備に取り掛からせて頂きますので、失礼致します」

 

 

綺麗にお辞儀する召使達を、私は呆然と眺めていた。

そのまま静かに去っていき、扉が閉まる音を聴いてから暫くして、私は顔を両手で覆った。

 

 

「本当に……っ、本当に……!!」

 

 

両手を下ろし、窓から見える景色の向こうからローザの姿を思い浮かべると、私は苦笑した。

 

 

「早く帰ってきてくれ」

 

 

何処までも彼女には敵わないなと溜息を吐きながら、そんな彼女の為に今日も帰りを待ち侘びる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ドフィ、お前弟に呆れられてるぞ。
まぁなかなか会えないからね。しょうがないね。

そしてホーミング。彼ならではの悩みもあるんです。
しかしちゃんとフォロー出来る母様素敵。
そんな妻を愛するパピーも素敵。素敵家族かよ。

本編も、更新はながああい目で見てやってください。
後生ですから…ではでは!
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