「ロシー。海軍の状況を即時確認なさい。時間を掛けすぎましたわ。私も、この子達も」
「!!分かった!」
舞台袖に早足で向かうロシーを見送り、私は改めてこの場にいる全員を確認する。
魚人。麦わら海賊団。ハート海賊団。キッド海賊団。冥王。そして、天竜人にロシーを含めれば海軍……どれもこれも何とまぁ奇妙な巡り合わせ。物語で知っていたとはいえ、この立場から考えると…本当に溜息を吐きたくなる。
「……やはり、これは拙いのでしょうねぇ…」
海軍にはもう情報は渡ってるでしょう。彼等は良くも悪くも伝達が早い。ロシーが此処に向かった時点で、此処にどんな人間が集結しているのか把握したはず。
肩を竦める私と同じように、海兵と連絡を取っていたであろうロシーが顔を顰めさせ戻ってきた。
どうやら、
「母上。──黄猿が動いた」
「大将……私では本当に足止めにしかなりませんわね。──海賊の皆様、それでも貴方方ならば乗り切れるでしょう。いえ、乗り切って貰わなければ困りますもの」
「?」
特に、貴方にはね。ルフィ。
「ハッ!!つくづく天に住まう神らしい女だ」
「あら、嬉しいですわぁ。ユースタス・キッド」
「…チッ、鼻につく女だ。利用出来るもんは利用してやるが、利用される気なんざもっぱらねェ」
ああなんだか、ああいう子を見ていると……とてもお行儀を良くさせたいのは何故かしらねぇ。ドフィのツン状態に似ているかしら?いえ、あの子はもっと品があったわ。
私の何を感じ取ったのか、ロシーが顔を青ざめたのは見なかったことにしましょう。私は彼に、彼等に微笑んだ。
「ええ。ですから私をどうぞご利用下さいませ。ただ誤解なさらないで欲しいのは、貴方方を利用するには価値も理由も私には有りはしないということだけ。私には其れだけを視る余裕はありませんの。……ああ、お気を悪くされないで。視野の広さなどそれぞれですものねぇ」
「アァ゛…?」
「フッアッハッハッハ!!やはりどうにも私には読めん!ローザ宮、君は一体何を視ているのだろうな?」
レイリーの楽しそうな視線に、私も上品に笑ってみせる。それはとてもとても、素敵なものだと確信しているから。
『あ、あー。犯人は速やかにロズワード一家並びにドンキホーテ・ローザ宮を解放しなさい!じき、大将が到着する!早々に降伏する事を勧める!!』
「「「「!!!」」」」
『どーなっても知らんぞォ!!ルーキー共ォ!!!』
その時、外から海軍による警告が響いた。
どうやら本当に間に合いそうにないらしい。私はあらあらと苦笑して、ロシーと共に入口の方へと歩き出した。
「俺たちは巻き込まれるどころか、完全に共犯者扱いだな…」
「麦わらのルフィの噂通りのイカレ具合を見れたんだ。文句はねェが、今大将とぶつかるのはゴメンだ」
「ローザ宮、すまないが君が出た方が事態は丸く収まりそうだ。私も見つかりたくはないのでな」
「ええ。私達が先に出ますので、引き付けている間にどうぞお逃げ下さいな。ただ、大将は難しいですけれど」
「ん?いいよおれは別に。ようは蹴散らしゃいーんだろ?」
呑気な声に、ピタリと足を止めた。
私が固まるよりも先に、彼の航海士さんが耳を掴んだ。
「ルフィ〜〜〜???あんたねぇ、まさか今までの会話全部分かってなかったとか言わないでしょうねぇ!?!」
「??外にいる奴ら全員ぶっ飛ばすんだろ?」
「「お前アホか」」
ルフィの回答にまさかキッドとローが突っ込むとは思わないだろう。私は何とか足を動かして、ルフィの両頬を両手で包むようにして私と顔を見合わせた。
「──ルフィ」
「!?おっ、おう、なんだ……?」
「私が、
「!!」
貴方が後悔する前に、私が道を作ってあげるから。
……不思議な子。
「よろしくて?」
「……分かった!俺は船長だからな!」
「ふふふ。では船長さん、お元気で」
「お前もな!ローザ!!」
「母上を……名前呼び……?」
「曲がりなりにも天竜人に向かってなんて奴だ…」
「ルフィ〜〜〜……!!!」
「あれが……女神か……っっっ」
「あたし、あの人のこと一生忘れないと思うわ…」
「ル、ルフィが素直に聞いてるなんて初めてだ……!!」
各々が私達の様子に様々な感想を述べる中、冷静な考古学者さんが微笑みを浮かべて至って冷静に状況を見据えて言う。
「感極まっているところ悪いけれど、天竜人さんの言う通り逃げる準備をしないといけないんじゃない?」
途端に慌て出す面子にクスリと笑って、最後にルフィの麦わら帽子を撫でてから私はロシーの隣に戻った。
「…随分気に入られたようだな、あのルーキーを」
むくれたロシーに私はまた笑い、その手を握った。
「そう拗ねないで、私の可愛いロシー」
「、可愛いはやめてくれ…」
あら、照れた。
繋ぐロシーの手に導かれながら、私は外へと姿を現す。
すると銃を構えていた海兵達は慌てて銃を降ろし、一斉に片膝をつくが、その前に手で制した。
「!!ろ、ローザ宮!!ロシナンテ中将!!」
「ご無事でしたか!?!中の海賊共はっ」
「──あら?なんのこと?」
「、っは?いや、中に億超えのルーキー達が…!」
「ロシー?そんな者達に見覚えは?」
「さぁ……俺は母上ばかり見つめていたものだから」
「まぁ!この子ったら…」
「えっ、は……??」
呆気に取られる彼等に微笑んで、私は嘯く。
「さぁ皆さん、私を見送って下さるのでしょう?このシャボンディ諸島は危険ですもの。ふふふ、こんなに大勢の海兵さんには驚きましたけれど、ご厚意は受け取らなくては海軍に申し訳たちませんものねぇ」
「いやっ、我々は…」
「あぁ、ロズワードご一家ならもう天竜人とは縁は無いのでお気になさらず。それに彼等はとうに此処には居りませんわ。ですから、どうぞご安心して此方にお集まり下さいませ。余計な人動はなさらないように」
ねぇ?とリーダーであろう海兵に目を向ければ、冷や汗を流しながら、ガックリと頭を項垂れた。
困らせてしまったかしら?そうよね、困らせてしまったわ。私ったらどうしてこう権力に物を言ってしまうの?
──けれど、
「ふふふ……なぁんて」
「…ローザ宮?」
「あら?そういえば私の船は何方だったかしら?」
「はっ。ご案内致します!」
「ごめんなさいね。お願い致しますわぁ」
これで7割は誘導出来るかしら?頑張ってもこれ以上は私では動かない。天竜人の名が泣いてしまいそう。
それでは海賊さん、頑張って生き残ってみせて頂戴?
「困りますねェ〜ローザ宮〜〜。勝手に動かれちゃ〜」
「あら?きちんと海軍の方にはお話を通しておきましたのに、勝手だなんて……」
「すっとぼけないでくださいよォ〜〜。ロズワード一家の天竜人剥奪なんぞ聞いていませんが〜〜??」
「ふふふふ……それに、何か困り事でも?」
紅茶の香りを楽しみながら、小首を傾げて黄猿ボルサリーノに聞けば、彼は頬を掻いてから肩を竦めた。
「わっしにはありませんが、上にとっては困るんですよ〜〜。貴女だからこそ鎮まるとは思いますがねェ〜〜」
「ふふ、彼等には申し訳ないですけれど、まだまだ付き合って貰います。貴方にもまたお願いする事があるかもしれませんね」
そう伝えれば、ボルサリーノは思い出すように上を見上げる。彼が私と話す時、一段と困った顔をすることに申し訳なさを感じるのはもうやめた。何故なら彼は大将であるし、何よりもそれ以上にまたそんな顔をさせるものね。
「お願い、ですかぁ〜〜……貴女のお願いは少々わっしには荷が重いんですがねェ〜〜……まぁ頑張りますよ〜〜」
「ふふふ。ごめんなさいね」
「そう言って楽しそうにするのやめてもらえませんかねェ〜〜??」
呆れた顔に、私はニッコリと微笑み返しておいた。
「……そうそう、あともう一つ〜〜」
「あら。お話は終わりかと思ってましたのに」
「わっしにも立場ってのがありますからねェ〜〜〜」
ボルサリーノは口調や見た目に反して本当に真面目な人。まぁ比べる対象が過激か怠惰だったら、それよりも融通が利くってだけだけれど。彼は彼で個性が強いものねぇ。
「ローザ宮、貴女海賊を庇いましたね〜〜??」
「少し紅茶が冷めてしまいましたわ。容れてくださる?」
「畏まりました」
「ローザ宮〜〜〜???」
「そう怒らないで、ボルサリーノさん」
垣間見える怒気に苦笑して、新しいカップに手を伸ばす。
「恩を返しただけですわ」
「恩〜〜?そりゃあどういう…」
「それに」
カップを揺らし、紅茶に水面を作る。
こんな風に、簡単に響けばどれだけ楽であるのか。
「私には、海軍にも海賊にも隔てはありません。私が見据えるものに、双方は入っていませんもの。私の敵は、私を邪魔する者だけ。私を邪魔する者は、
うっそりと微笑めば、彼は暫く無言になる。
けれどその視線は私にずっと突き刺さっていた。
「区切りましょうか。貴方もお疲れでしょう?どうぞお休みくださいな。聖地まではまだ時間はありますから」
「……ふぅ〜……いやいや、まだ少〜しやることがありましてねェ〜〜。ドジな中将に説教せにゃならんのですよ〜〜。海兵としての責務の全うに関してねェ〜〜〜」
「まぁ…」
それを指すものに目を瞬かせて、苦笑した。
「…是非ともお願い致しますわ」
可愛い子供の我儘は、やっぱり最後にはこうなるのかしら?なんにせよ、ちゃんと反省なさいね。ロシー?
お待たせしました!
さて、次は何処から書くべきか。
うーん……何処がよいですかね?
というか黄猿って一人称わっしなんか…直しときまーす。
因みにルフィ達のこの後の状況については、黄猿との後しっかりと情報ゲットしますので。情報万歳。
とても眠いです。誤字とかあったら報告お願いします!
感想・評価あると助かります。ではでは!