海風 光(うみかぜ ひかり)と申します。
設定本等を読み、少しでも東方の世界観が出るようにしたつもりではあります。
つたない文章ではありますが、読んでいただければ幸いです。
非日常…それは、予期せぬ時に突然訪れる…そう、今の俺みたいにね…
「………。」
今俺の前に広がっているのは、俺がいつも見ている景色じゃ無いという事が解った。
「…とても…綺麗だ…」
今見える景色を簡単に説明すると、辺りは沢山の山々に囲まれ、目の前には見事なまでの満月があった。
(…一体此処は何処なんだ?…それから、俺は誰だ?)
「…確か…急に、激しい光に包まれて…気が付いたら此処に…その前は確か…くぅ…あ…頭が…」
だ…駄目だ…思い出そうとすると頭に強烈な痛みが…唯一解る事と言えば、俺の服装くらいだ。
…俺の服装と髪には、何故だか少し違和感があった。
…真っ黒なフード付きのローブに身を包み、そのローブの下はスカイブルーの着物に紺色の袴を穿き、腰に小刀を差していた。…顔を隠す様に深く被ったフードの下から少しだけ見える、エメラルドを連想させるような緑色の目が、怪しく光っていた。
…髪の色は銀色で、フードから零れた髪が月の光を反射して光っていた。
「―其処に居られるのは誰ですか?」
不意に、後ろから凛とした声が聞こえた。…振り返ると其処には、青いメイド服を着た銀髪の女性が立っていた。
「…俺の…事ですか?」
「そうです。ここはわが主人、スカーレット様の屋敷、紅魔館の敷地内です。…どうやって侵入されたのですか?」
…成程…月に目を奪われていた為に、気付かなかったが、俺の後ろには見事な屋敷が聳え立っていた。
「…解りません。…俺も気が付いたらこの場所にいたので…」
「ふっ…見苦しい言い訳ですね…貴方には悪いですが…死んで頂ます!」
…そういうや否や、彼女は両手に数本のナイフを持ち、それを俺目掛け投げ付けた。…一体何処に隠し持っていたんだ?
―ビュン
「うわっ、危ね!」
目にも留まらぬ速さで飛んで来たナイフを何とかかわした俺だが…
…不味い…かなり不味い…彼女は確実に俺を殺す気だ…その証拠に俺の左腕からは数滴の血が流れていた。
―気を抜けば死ぬ―
俺の脳裏に其の言葉が浮かんだ瞬間
「…なかなかやりますね…ですが、これは無理でしょう!」
そういうと彼女は少し動いたと思ったら俺の背後に回りこんでいた。…一瞬だが、少しぶれて見えた…
「…まさか…時を…止めた?」
「ほぅ…よく解りましたね…なら、これはどうですか?」
彼女の言葉が終わった直後に俺の真上には、針の隙間も無い程空を埋め尽くす量のナイフが俺目掛けて浮いていた。
「…も一つおまけの…」
そう言うと空にはさらにナイフが追加され…ナイフが完全に俺を取り囲んだ状態になった。…脱出は不可能か…
そして、その全てのナイフが俺の方向かって飛んできた。
俺はそのナイフを腰に差していた小刀で、次々と地面に落としていった。
キンッ、キンッ、キンッ…ザシュッ…
「くそ、刀だけじゃ捌け―ぐっ…」
刀で捌けなかった一本のナイフが俺の右足を貫き、俺はその場に跪いた。
グサッ、グサッ、グササッ
…それを皮切りに次々と、俺の体にナイフが突き刺さっていく…ローブも所々が破け、フードに隠した銀髪が見え隠れしていた。
「俺は…もぅ…死ぬのか…?」
俺が死を覚悟すると同時に俺の心の中では別の思いがあった。
―死にたくない―
―ブオッ
『!?』
ナイフの女はとても驚いた顔をしていたが俺の方がもっと驚いていた。
「わ、私のナイフが…消えた…?」
なんと、さっきから俺に向かって飛んできていたナイフが消えたのだ。空中に浮かんでいた物、俺の体に刺さっていたものも全て…
「この力…まさか、貴方―」
「うりゃ!」
ボンッ
俺はナイフの女が気を緩めた瞬間、懐に入っていた煙玉を地面に叩きつけた。煙は辺り一面に広がり、俺たちの視界を奪った。
「待って…貴方の名―」
「逃げるが勝ちだ!」
俺はそういい残すと急いでその場から去った。
「―咲夜さ~ん!…何か騒がしかったみたいですが、何かあったんですか~?」
「あ、美鈴(メイリン)。…不思議な方が居たのですが…逃げられました。」
「…不思議な方?…一体、どんな人だったんですか?」
「…黒いローブを纏い。…私と同じ、銀色の髪をした方です…」
―勿論、逃げることに必死の俺には、そんな会話なぞ聞こえるはずも無く、俺はただひたすらに、走り続けていた。
他の東方作品(主に二次創作)を見ていると、大抵の場合(例外あり)が博霊神社から始まる事が多いので、紅魔館から始めてみました。
最初に登場する東方キャラを決める時、少し悩んだりもしましたが…咲夜さんにしました。(わからなかったという人すみません…)
理由は、私が咲夜さんが大好きだからです。
さて、この時点ではまだ主人公の名前がまだ名乗られていません…理由は、次の話で明らかになります。
次の更新はいつになるかわかりませんが、なるべく早く更新したいと思います。