…トラブルが琳の下に行くのか?琳からトラブルのところにいくのか?
オリキャラも登場の白玉楼編 第3幕、スタートです!
「ふぅ…」
俺は今、幽々子の朝食を作り終え、縁側で休憩をとっていた。…すると、お手伝いの幽霊が来て
「お疲れ様、はいお茶」
「あ、ありがとう御座います…」
「どうだい琳君、姫様の食べっぷりは?」
「…聞いてた以上でした…特にカレーに関しては…」
…まるで飲み物を飲んでるみたいだったぜ…
「…料理人達が成仏する訳ですねぇ…」
「ましになった方よ…姫様がお父様の桜を封印した直後なんか…」
「…その話、詳しく聞かせて貰って良いですか?」
…要約するとこうだ、幽々子の父親はかつて、多くの人に慕われた歌聖で、死んだ後本人の要望通り白玉楼にある桜の下で眠りについた。
だが、その桜が満開に咲くと、彼女の父同様、そこで死んでいく者が後を絶たなかった。その血を吸い続けた桜は、後に人を死に誘う妖怪桜となり、西行妖と呼ばれる様になった。今はもう幽々子の肉体が多くの人間と共に桜の木の下で眠り、西行妖を封印してるという…
「………。」
「…幽々子様が封印されてから、西行妖が満開に咲く事は一切なくなりました。同時に、桜の木の下で人が死ぬ事も無くなりました。」
お手伝いさんの話が終わるや否や、俺はすぐさま立ち上がった。
「…その桜…何処にあります?」
「やはり…行かれるんですか?」
お手伝いさんの問いに、俺は決意を込めて答えた。
「…えぇ…俺が行った所で何も出来ないかも知れない…でも、俺が行く事で何か出来たら儲けです!」
「…貴方の決意、見せてもらいました。…案内します。」
そう言うとお手伝いさんは立ち上がり、「付いて来てください」と言って歩き出した。…因みに、このお手伝いさんの名は『加奈(かな)』というらしい。
「…此処です。」
案内されたのは、屋敷から歩いてすぐの所だった。その西行妖は、遠くから見たときは、花弁も散り、緑の葉ばかりだったが、俺達が麓まで来た瞬間、突然ピンクの綺麗な花を満開に咲かせた。
「…やはり、力のある者同士は惹かれ合うのでしょうか?」
「…与える力…ってやつか?」
「…この場合はそうなるでしょうねぇ」
そう、俺の霊力は他の霊能力と違い、相手を倒すだけでなく、自らの力を分け与える事ができるのだ。…最も、この力に気が付いたのは幽々子なんだが…
「…聞こえますか?この地に眠る者たちの声…」
「あぁ、嫌になる位聞こえるぜ…」
この地に縛られた者達の嘆き、昇天出来ない悲しみが俺の心に伝わって来る。
「…此処の者達を昇らせてやる事は俺には出来ない…だが…怨み、憎しみを取り払い、安らぎを与える事は出来る…」
そう言った直後、俺は懐から笛を取り出した。
「それでは…お願いします。」
そういった加奈さんは、離れる準備をした。
「…何で離れるんだ?」
「いえ…お邪魔にならない様にする為です。…それに、貴方の笛の音は私のような者よりも、もっと大切な方に聞かせて欲しいですから…」
「…解った。」
加奈さんが安全圏に行ったのを確認した俺は、笛を吹き始めた。…何故だか、笛を構える少し前から、頭の中には楽譜が広がっていた。
************
「―加奈さん!」
「おぉ、これは姫様…一体どうされたのですか?」
「…加奈さんと琳が西行妖の方に行くのが見えましたので、つけて来ました!」
「全く…相変わらずですねぇ…♪」
「うふふ♪。ところで…琳は一体何を?」
「何でも、西行妖に囚われた者達を慰めるとか…」
「!?…何で…そんな難しい事を…でも…彼なら…」
「姫様、琳様の演奏が始まったみたいですよ…」
「そのようですね…琳の笛は、幻想郷の住人の楽しみでもあるようですから…心して聞きましょう♪」
「かしこまりました。」
♪~♪~♪~
「おお、これはこれは…♪」
「…流石は琳です。…とても穏やかな気持ちになります。」
************
♪~♪~♪~
俺は笛の音を奏でながら、心で西行妖に呼び掛けた。
「(…桜に集う者達よ…俺の声が聞こえるか?…俺は、あなた方の声を聞いた。だが、俺はあなた方を成仏させたり、転生させる事は出来ない…その代わりに…俺が、貴方達の怨み、憎しみを全て受ける。だから…俺の笛を聴いて欲しい。…みんな、一人も漏れずに笑顔になって欲しい。…どんなに辛くても…笑い、楽しむ事を忘れなければ、必ず何とかなる。だから―)」
「―よくぞ言ってくれた若者よ。」
頭上から突然、とてもダンディな声が聞こえてきた。…俺が声の方を見るとそこには…幽々子と同じ色の髪をして、顎に立派な髭を生やし、緑の着物を着た、体格の良い男の人が降りてきた。
「(あ、貴方は…?)」
「申し遅れた。私は、西行寺 幽々子の父だ。…娘が世話になってるようで…」
「(いえいえ、お世話になってるのは俺の方です(汗))」
「まぁ、挨拶はこのぐらいにして…息、大丈夫か?」
「(その点ならご心配なさらずとも大丈夫です。会話のほうも、テレパシーで出来るので!)」
「そうか…では、本題に入る。君が奏でた曲だが、とてもいい曲だ。見て見なさい、桜の樹の者達も皆、感動している。」
西行寺さんに言われて見てみると、桜の幽霊達が皆、笑顔になり、涙を流したり、俺に感謝する者までいる。
「(そ、そんなに感動しなくても…俺はただ、皆に笑顔になって貰いたいだけ―)」
「そう、その気持ちが大切なのだ。…私も君の様に、桜の樹の者達の魂に安らぎを与え様にも、天界からでは届かない。他の者に頼むと、『亡者に聞かせる曲は無ぇ!』と言う者ばかり…だが君は違う。
君は、相手が誰であろうと差別等せず、笛の音を聞いた者、全てが幸せになって欲しいと願う。これは人として、とても大切な事なんだよ。…桜の樹の者達の怨み、憎しみについては、私が何とかする。だから、君が犠牲になる必要は無い。なに、素晴らしい曲を聞かせてくれたせめてものお礼さ。」
「(でも…この曲にはまだ、名前が無いんです)」
「なら、『桜の雫』と言うのはどうですか?」
『!?』
突然、幽々子の声が聞こえ、俺と西行寺さんは、驚きを隠せなかった。俺に関しては、口が笛から離れてしまう程で。
「ゆ…幽々子…何時の間に…確か、屋敷にいた筈じゃあ…」
「つけて来ちゃった♪」
「全く…このおてんば娘は…」
そんな俺達の事は無視して、幽々子は、さらに話し続けた。
「ねぇ琳、もっかい吹いてくれない?私が歌詞を付け加えるから!」
「別に…いいけど…」
俺はもう一度笛を構え、吹き始めた。
♪~♪~♪~
「今宵~桜が~舞い落ちた~」
俺の演奏に合わせ、幽々子は舞を始めた。すると、急に風が吹き、幽々子の周りを花吹雪が舞い、とても美しかった。
「…今夜は、夜桜の下で花見でもしませんか?お父様もいらっしゃいますし!」
…という訳で、今夜は冥界に咲く桜の下で、白玉楼の皆と共に花見をしている。…さっきから、チラチラと黒い羽や、黒い三角帽子が見えるのは、俺の気のせいであって欲しい。
「…琳君、だったか?」
幽々子の父が急に畏まって、俺の向かいに座った。
「はい、何でしょうか?」
「こうゆうのは…幽々子本人に決めさせる方が良いのだが…君さえ良ければ、娘を…幽々子を宜しく頼む。」
と言った幽々子の父は、俺に頭を下げた。俺は、少し悩んだ後、自分の正直な気持ちを伝えた。
「…気持ちは嬉しいのですが…俺は修行中の身。なので、お父様の期待に応える事は出来ません。…確かに、幽々子さんはとても可憐な女性です。…だからこそ、俺なんかより、もっと素敵な人が見つかると思うんです。」
「ふふふふふ…はーはっはっはっ!」
俺の答えを聞いた幽々子の父は、豪快に笑い出した。
「琳君よ、やはり君は噂通りの男だ!うむ、ますます息子にしたくなったよ!」
「………。」
俺が唖然としてる時、突然ほろ酔い状態の幽々子が俺の隣に座った。
「ねぇ、琳…」
「ん?どうした?」
「…さっきの言葉…本当?」
「?…さっきのって?」
「…私が…とても可憐…って…」
「あぁ、本当だ。さっき、幽々子が桜の下で舞ってる時も思わず見惚れちまったよ。」
「そ、そう…えへへ…」
俺の正直な気持ちを聞いた幽々子は、顔を真っ赤にして何処かに歩いて行った。…酒の飲み過ぎか?
「―こんな所で何ですが琳さん、取材良いですか?」
…今度は文か…
「別に、良いけど…話す事なんかあんま無いぞ?」
「それでも取材するのが私です!」
やれやれ…
…そんなやり取りが行われた宴は、夜中まで続いた。
翌日
「…本当に、行ってしまうのですね…」
「あぁ、…皆さん、お世話になりました。」
「そんな堅苦しくしなくても良いですよ。むしろ、お世話になったのはこちらなのに…」
「…やっぱりこういうのは、キッチリしておかないとって思ってしまって…」
「次に会う時にまた、練習相手になって欲しいです。」
「あぁ、それまでに強くなっておけよ!」
「琳こそ、私に後れをとられない様にね!」
「あ、琳…」
幽々子は、俺を呼ぶや否や、俺の顔近くまで近付くと―
「ん?どうし―」
チュッ
少し背伸びして、俺の頬にキスをした。
「○×▲□★◇?」
「…気をつけてね!」
「はわわ…」
「あらあら♪」
「………。…お、お世話になりました。そ、それでは…し、し、し…失礼します(汗)」
俺は幽々子達に別れを告げ、白玉楼を後にした。
「…にしても幽々子様、本当に行かせても良かったのですか?」
「えぇ、これでいいのです。…後は、彼次第ですから…」
「でも…あれは、流石にやり過ぎでは…」
「うふふ、女は時として強引に行く時もあるのです♪」
「そういうものですか…?」
「えぇ、琳さんにしては特に…本人は気が付いてないようですが、彼に思いを寄せる人もこの幻想郷にはかなり多いようですし…何時会えるか解らないなら…強烈な印象を与える事も大事なのですよ♪」
…などと言う会話が繰り広げられてる事等露知らず、俺は自分の中の気持ちを整理する為に、全力で走っていた。
白玉楼編、遂に終了です。
やりきった反面、少し寂しい気もします。
今回も早めの裏話にしましょうか…
加奈さん:白玉楼に住み込みで働くおばちゃんの幽霊で、家政婦的な感じで考えてもらったらいい。
当初は名前もないキャラだったが、ストーリの進行上…名前があった方が色々と楽なので、即興で考えました。
幽々子の父:正式な名前は考えていないです。今回のキーキャラクターを担う人物でもあります。
声がダンディなのは、恐らく体が大きいだろうから(予想)、それに見合う声を考えた結果…「声がとてもダンディな人の方がしっくりくるな!」…っという事になりました。(苦笑)
与える力:琳がもつ霊力の特徴で、怪我をした幽霊や妖怪を治療する事が出来る能力です。
…さて、今回のラストシーンですが、ぶっちゃけると、私の願望です!(こんな展開に結構憧れてる。)
そして…琳は、格好いいセリフを言う事が多いですが、実は結構女性に対する免疫が低いため、頬にキスをされたり、隣で女の子が寝ていたりすると、無茶苦茶テンパります!
次回予告をすると…琳は走る、全力で走る、自分が魔法の森に入ってる事にも気づかず…
っという訳で、次話の舞台は再び魔法の森です!誰が登場するかはお楽しみに!
それでは次話で!