時は2059年、世界は二つの勢力に分かれていた。
一つは『リベリオン』を筆頭とする資本勢力、もう一つは『帝国』が筆頭の覇を唱える勢力。
そんな二つの勢力が有るなか、唯一中立を保つ蒼桜皇国。
その国防軍も二つの派閥、帝国側の勢力に属そうとする『勢力加入派』(以後過激派)、今のまま中立を保とうとする『中立派』(以後穏便派)に分かれていた。
そして一年後の2060年、並行線を辿る互いの主張に痺れを切らした過激派が自らを新蒼桜連邦と名乗り大規模な軍事クーデターを起こし首都を除く殆どの主要都市を占拠した。
そして穏便派や同じく中立を望む現政権に対し、政権を取って代わろうとしたのだ。
このことに対し政府と国防軍穏便派は新蒼桜連邦及びそれに属する部隊を反乱軍とし鎮圧に乗り出した。
そして……
西暦2061年9月1日
蒼桜皇国首都から数十海里離れた海域では八咫烏率いる正規軍艦隊と戦艦『播磨』率いる新蒼桜連邦軍艦隊による海戦が繰り広げられ、その局面は終盤に差し掛かっていた。
「主砲弾命中!駆逐艦複数撃沈‼︎残りは戦艦のみです!」
複数の駆逐艦が46cm砲弾の直撃を受け爆発しながら沈んでいく。
「敵艦発砲!あぁ・・・⁉︎チクショウっ‼︎敵艦の砲撃で朱雀が轟沈!」
報復とばかりに放たれた砲撃が先行する巡洋艦に命中し、船体が真っ二つに折れ沈没する。
「朱雀がやられたか・・・副長、現状報告!」
「はっ!先程の砲撃で朱雀が撃沈され、残存艦は本艦のみになりました。そして本艦もこれまでの戦闘で被害を受け飛行甲板は大破、武装も殆どが使用不能です。それに対し敵戦艦は中破、状況はこちらの方が不利です」
副長からの報告を聞き、艦長が状況の打開策を考えていると、敵艦から通信が入った。
「艦長!敵艦から通信が入りました!」
「読み上げろ」
「はっ!<こちらは新蒼桜連邦軍艦隊、戦艦播磨だ。我が艦は貴艦に対し、降伏を勧告するするものである。降伏すれば乗組員の生命の安全は保証する。>とのことです」
「そうか・・・味方の援軍は?」
「到着には最低30分以上掛かると」
「間に合わないな、そこまで持ちこたえれるとは思えない。しかしここで降伏してしまうと奴らは首都官邸を砲撃するだろう。それだけは阻止せねばならない。・・・ならばここでやれることをやるだけだ。砲雷長‼使用できる武装は?」
「左舷速射砲と1番、3番主砲及びCIWS2基のみです」
八咫烏は数時間前からの戦闘でVLSは玉切れ、2番主砲と右舷速射砲は大破という損害を負っていた。
その報告に艦長は顔を一瞬顰めるが。
「まったく、まさか昔ながらの砲撃戦を空母でやることになるなんてな、副長」
「はい。私もこんなことになるなんて思いませんでした。」
「確かにな!」
「おっしゃ!俺の主砲が火を噴くぜ!」
「お前のじゃねーよ」
「それもそうだった」
少しの間、CICは笑いに包まれた。そして━━
「副長、本当にいいんだな?」
「艦長、とっくに我々の準備はできています。ご命令を」
その返事に艦長は一度深呼吸をすると。
「艦首そのまま、最大船速!砲戦用意!反航戦だ!それと同時に敵艦に返信!バカめと言ってやれ‼ここから先へは行かせない!」
「「「了解‼」」」
その思いに同調するように八咫烏の機関は唸りをあげ、敵戦艦へ突撃する。
「敵弾飛来!艦橋に被弾!レーダーマスト破損及び艦橋からの通信途絶!」
「気にするな!これしきの事でこの艦が簡単に簡単に沈むか‼」
倒れていくマストや甲板に大穴があくのも気にも留めず、CICでは艦長は次々に指示を出す。
甲板では主砲や速射砲から46㎝砲弾や127㎜砲弾が発射され敵の装甲に穴をあけ、火災を起こす。そして今度はお返しとばかりに砲弾が返ってきて艦の各所に浸水を起こし、CIWSが破壊される。
それはまさに、火力と火力のぶつけ合い。軍艦同士の殴り合いであった。
そうして軍艦と軍艦が互いにすれ違う瞬間、事態は動いた。
「・・・‼あそこだ!敵の側面、主砲下のあの装甲が歪んでいる場所を狙え‼」
「了解!」
「これでとどめだ!主砲、撃てっ!」
その瞬間、主砲の中で炸薬が破裂して砲身から2発の砲弾が飛び出した。その砲弾は指示された場所、側面のひしゃげた装甲を確実に打ち抜き弾薬庫を直撃。敵戦艦は大爆発と凄まじい轟音を残し、沈没した。
「て、敵戦艦撃沈!我々の勝利です‼」
「やったぁぁぁぁぁ!」
「ザマアみやがれ!」
激しい砲撃戦の末、敵艦の撃沈に成功しCICは歓喜に包まれた。しかしそれを覆すような一報が副長の元に届いた。
「艦長・・・ダメコンセンターより連絡。八咫烏大破、航行不能。先程の砲戦で浸水が多数発生、復旧は無理だそうです」
「そう、か。全艦に通達。本艦は大破し、航行及び復旧は不可能と判断。融合炉を停止させ、総員直ちに退艦せよ」
「艦長、やれることはやりました。退艦しましょう」
「副長、わかっているよ。全員に救命胴着をつけ救命ボートを用意次第、重傷者から順に収容してやってくれ」
そう命令した艦長も救命胴着を身に着けて海へ飛び込み救命ボートへと乗り移る。
そして全員が乗り移った。その時、船体が大きな音を立ててゆっくりと夕日を背に艦尾から沈み始めた。その様子を見ていた乗組員は涙を堪えて見守る中、艦長は無言で敬礼を送り乗組員もそれに倣った。
そうして空母『八咫烏』は就役からちょうど3年という短い艦生を終えた━━
はずだった。
次回予告!第一話「異世界の海」!
???「ここは、どこだ?」
次回も( `・∀・´)ノヨロシク
※次回予告というより次回予定ですのであしからず。