寄宿学校の異端者   作:S・Y・O・U

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第5話 変化と王女

ペルシア達と過ごした外出日から翌日、士狼はクラスメイト達からは、話せば意外と面白い奴と認識されて積極的に士狼に話しかけてくるようになっていた

 

最初は戸惑っていた士狼だったが、話すこと自体は嫌いではないため悪くない気分だと思っていた。

 

だが、そんな穏やかな空気を壊すかように白猫の寮生達が慌ただしい雰囲気になっていた。

 

「大変だー!シャル姫が復学されたぞ!」

 

「なんだと!急いで出迎えの準備をしろ!」

 

「赤絨毯を敷け!」

 

(本当に面倒なことになったな…)

 

慌ただしくシャル姫の迎えの準備を進める様子を見て士狼は思わずため息をつく

 

「士狼!考え事してないで蓮季達も行くゾ!」

 

机に頬杖をついている士狼を蓮季が腕を引っ張って犬塚達と共に中庭に向かった

 

 

 

「お帰りなさいませシャル様ー!」

 

「やっふ〜」

 

中庭に着いてすぐに見覚えのある黒い高級車から降りたウエスト公国の暴姫(タイラントプリンセス)ことシャルトリュー・ウェスティアが白猫寮生達に盛大に歓迎されながら赤い絨毯の上を歩いていた。

 

「あらスコット久しぶりね」

 

「ハッ!」

 

「ねぇスコット〜一発芸して〜つまらなかったら〜殴る♡」

 

「へ?」

 

突然の無茶ぶりと理不尽な要求にスコットは固まる

 

「シャルのおねがい〜」

 

「は、はい!では不肖ながらスコット、一発芸をさせていただきます、メガネ宇宙へ…ヘゴォ!ま、まだ途中で」

 

「存在がつまらなかったから殴っちゃった♡」

 

「ひどい!」

 

(噂にたがわぬ暴君ぶりだな)

 

「相変わらずですねウエスト公国の暴姫(タイラントプリンセス)、お久しぶりシャル姫」

 

「あらペルシアちゃんじゃない相変わらずお人形さんみたいねウフフ」

 

「あっあのシャル姫…髪が」

 

「あらごめんなさいそ・れ・よ・り、私は全員で出迎えろって言ったのに、黒犬が歓迎してないのはどういう事?」

 

シャル姫が犬塚達に指をさして不満を言う

 

「知るかよ俺達はテメェの臣下じゃねぇ。何されようと言う事なんて聞かねぇ」

 

犬塚は強気にシャル姫に反論する

 

「そう…ウフフ…ならそこのそっぽを向いている黒犬の男子、私の犬になりなさい」

 

シャル姫は士狼に指をさして犬になるように命令した

 

「まっ待ってくださいシャル姫!アイツは危険過ぎます!お考え直し下さい!」

 

スコットは士狼の実力を知っている為、シャル姫に止めるように説得する

 

「いきなり何を言ってるんだ!士狼は渡さないゾ!」

 

「テメェ!士狼に何するつもりだ!」

 

「さっきから誰の話だ?」

 

「あなたのことよ!」

 

「士狼のことだゾ!」

 

「お前のことだ!」

 

三人が一斉に士狼にツッコミを入れた

 

(なんか私だけ除け者…ムゥ)

 

ペルシアは除け者にされているように感じて拗ねていた

 

「面倒だな…まあちょうどいいか」

 

「士狼!」

 

「大丈夫だ蓮季、少し話すだけだ」

 

士狼はシャル姫の近くまで歩いて行った

 

「君、ペルシアと」

 

「シャルトリュー・ウェスティア、お前に聞きたいことがある」

 

「なによ?」

 

士狼の発言にシャル姫は怪訝な顔をする

 

「なぜ東和の男を探しムグッ」

 

話の途中でシャル姫が手で士狼の口を押さえた

 

「ちょっちょっとなんで貴方がその事を知ってるのよ!?」

 

シャル姫は焦った様子で小声で士狼に聞く

 

「なんだ?聞かれて困ることか?ただ東和の…」

 

「ちょっと声が大きいわよ!…はぁもういいわ」

 

シャル姫は慌てて再び士狼の話を止めた

 

「少しだけ聞こえたが俺に犬になれとか言ったな」

 

「そ、それが何よ」

 

「お前が俺の猫になれ」

 

「なっ!」

 

「「ダメー!!」」

 

士狼の発言にペルシアの携帯武器の攻撃と蓮季の飛び蹴りが同時に襲ってきた

 

「おっと危ない」

 

「し、士狼はいきなり何を言ってるんだ!シャル姫に一体何をさせる気なんだ!この変態!」

 

「はぁ?」

 

突然蓮季から変態呼ばわりされた士狼は困惑する

 

「どうせ…その…む、む」

 

「はぁ〜」

(シロー君ってそんなに大きい方がいいの?)

 

蓮季は赤面しながら何かを言いかけ、ペルシアはため息をついて士狼をジト目で見る

 

「影村が巨乳を手に入れたぞ!」

 

「はぁ?」

 

「何だと!?羨ましい!」

 

「でも白猫だぞ?それはどうなんだ?」

 

「…なるほどそうゆう事か」

 

士狼はようやく蓮季達が考えていることに気付き、頭を抱えながらシャル姫の方を見る

 

「な、何よ!?」

 

士狼の視線に気づいたシャルが赤面して胸を隠した

 

「おいやめろ、誤解が深まる」

 

「やっぱりそうゆうことなのか!」

 

「だから」

 

「士狼のアホー!」

 

蓮季が飛び蹴りするが士狼は軽々と避ける

 

「避けるな!」

 

「だから違う…って!」

 

弁明しようとした時に背後からペルシアが携帯武器で攻撃するが士狼は避け、振り返ると膨れ顔のペルシアがいた

 

「シャル姫に何しようとしてるの!」

(な、何よ!そんなに大きいのが良いの!?シロー君のバカ!スケベ!エッチ!)

 

「避けないで受けなさい!」

 

「待て、話を聞け」

 

「うるさい!大人しく受けろ!」

 

話が通じないと悟った士狼はその場から逃げ出した

 

「待ちなさい!影村士狼!」

 

「待てー!逃げるな士狼!」

 

─────────────────────

 

「はぁ何とか撒いたな…まさかこんな事になるとは」

 

士狼は物陰に隠れて蓮季達を何とか撒いた

 

(ちょっとからかうつもりがこうなるとはな)

「二人の誤解だけでも解かないと厄介だな…」

 

「やっと見つけたわ」

 

後ろから声が聞こえ振り返るといつの間にかペルシアがいた

 

「ま、待てさっきのは」

 

「分かってる、よく考えたらシロー君はそんな事本気で言わないことくらい」

 

「ふぅ、分かってくれて何よりだ」

 

「でもねシロー君、ひとつ聞いても良い?」

 

「なっ何だ」

 

士狼はペルシアから凄みを感じた

 

「シロー君って大きい方が好きなの?」

 

「はぁ?…興味無いと言ったら嘘になるが、個人としては胸の大きさはあまり重要じゃない」

 

「ほ、本当?」

 

「本当だ」

 

「そう、良かった」

 

「ん?」

 

「何でもないわ、それと」

 

「どうした?」

 

「か、顔が近いから離れて…そんなに見つめないでよ、恥ずかしいから…」

 

「ッ!わ、悪かった」

 

士狼はペルシアの恥じらった顔にときめきながら離れる

 

「俺からもひとつ聞いていいか?」

 

「何?」

 

「シャルトリュー・ウェスティアについてだ、幼馴染だと言ってたな」

 

「そうだけど」

 

「そのことについて詳しく聞きたい、俺にはその情報が必要なんだ」

 

「分かったわ…昔はシャル姫のお目付け役として一緒に時間を過ごしてたの、けれどなぜか最近は冷たくて…」

 

「最近はってことは今より仲が良かったのか?」

 

「うん、今はシャル姫って呼んでるけど、昔はシャルちゃんって呼んでたわ」

 

「今でもそう呼びたいと思っているか?」

 

「うん、シャルちゃんとはどんなことがあったって

私の1番の親友だから…」

 

「そうか、教えてくれてありがとう、だが悪かったな言いづらいことを話せて」

 

「いいえ…大したことないわ。今と昔では立場も何もかも違うもの…」

 

ペルシアは仕方ないと言っているが士狼には自分に言い聞かせるように言っているように見えた

 

「俺がなんとかしてみる、だから」

 

「待ってシロー君」

 

「ん?どうした」

 

「これだけは言わせてシロー君、絶対無茶はしないで。シロー君が危ない目に遭うのは嫌なの…だから」

 

「大丈夫だ自分の身くらい自分で守れるから、な」

 

士狼はジュリエットを安心させるように優しく頭を撫でて笑いかける

 

(シロー君が笑った!?か、かっこいい…)

 

ペルシアは士狼の微笑みに見とれていた

 

「ん?どうした?」

 

何も言わずになんの反応もないペルシアに士狼は声をかける

 

「な、何でもないわよ!シー君、じゃあね!」

 

「お、おい」

 

ペルシアは恥ずかしくなって走り去って行き、その日はペルシアが士狼に姿を見せることは無かった

 

────────────────────────

 

誰もが寝静まった夜の白猫寮の一室で窓を開けて頬杖をついているシャル姫がいた

 

「はぁ…おかしいわね。これだけ人員も時間もかけても何の情報も掴めてないのは」

 

シャル姫は憂鬱そうに夜空を眺める

 

「一体どこにいるのかしら…あの時、私を助けてくれた青い瞳の東和民の男の子は」

 

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