十刃たちが千年血戦篇まで生き残ったようです。 作:あたらんて
ここは、有り得なかった世界。もしもの世界。IFの世界。
零番隊が藍染に危機を感じ、戦いに参加した結果BLEACHは少し違う道を歩んだ。
これは、そんな世界のお話。
「――陛下。
真っ白な服に身を包んだ男が玉座に座る男に首を垂れる。
その男の名はユーハバッハ。
「よろしい。では始めようか。世界を取り戻す戦の幕開けだ」
その日は、何ら変わりない一日だった。藍染に代わり
「なあリリネット。今日は何をする?何だってできるぜ」
「何だいスターク。アンタ藍染サマが負けてから
「そりゃあお前だって一緒じゃないか」
「…生き残った
バラガン・ルイゼンバーンは言葉で表しようのない虚無感に耐えていた。新しく
何よりかつての屈辱を晴らさなければいけないのにその晴らすべき相手がいないのだ。
自身の体に刻まれた数字を見る度に少し前の、自分の生涯から見れば僅かな期間のことを思い出す。
大帝である己が何故
ティア・ハリベルは
「ハリベル様!今日はどうされますか?いつものように鍛錬で?あたしらも付き合いますよ!…ハリベル様?」
「ちょっとアパッチ静かになさい。アナタが騒ぐからハリベル様も迷惑に感じているわ」
「あぁ!?何だとスンスン!」
「おいお前ら本当に静かにしておけ…ハリベル様?大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」
「…ああ、すまない。少し、あの戦いのことを思い出していたんだ」
「……今日は鍛錬、お休みしましょうか」
「いや、構わない。何も問題は無いさ」
「そ、そうですか!あ、そういえばですね、この前ミラ・ローズが…」
何事もなかったかのように歩き出した4人の顔は、見た目だけは明るく見えた。
ウルキオラ・シファーはヤミー・リヤルゴの部屋を訪ねる。
「…留守、か…」
とあるルートで現世の物品を入手したため共に楽しもうと思って訪ねたのだが、無駄骨であった。また後で来ようと踵を返す。
その行動に、果たして心は関係しているのかいないのか。
関係しているとしたら、その心はどこで手に入れたものなのか。いつかの戦いをウルキオラもまた、思い返す。
ノイトラ・ジルガは鎌を振るう。
戦いの中で死すことを望んだというのに、むざむざと生き残ってしまった自分に怒りを抱きながらも最強を目指し、鎌を振るう。
今となってはかつて手にかけたネリエルをどうしたいのかも分からない。あの戦いの中で死ねていればどれだけ幸福であったことか。
「9998…9999…10000…」
今更何のために力をつけるのかも分からないまま、ノイトラ・ジルガは鎌を振るう。
グリムジョー・ジャガージョックはかつての部下のことを思い返す。自身は王であると、確かに心に決めた筈であった。それが今では部下を失い、かつて従っていた藍染も打倒されて、のうのうと
戦いを求め、強さを求め、各地の虚を狩る。今まで何度かまともに戦える
ゾマリ・ルルーは主の帰りを待ち続ける。陶酔した主が囚われの身となってより常に己が無力を恨み続けていた。
果たして今の自分は何をするべきなのか。そんな疑問の答えを探すも藍染の命令を失った今、答えが出ることは無い。
死神が
ザエルアポロ・グランツは必死の形相で研究を進める。
「ダメだ、これもこれもこれも……!」
かつての戦いにて自身の「完璧」を否定されたザエルアポロは、誰もが認める「完璧」を作ろうと躍起になっていた。
「クソッ、クソッ、クソッ…!何が完璧は無い、だ…僕は、僕は…!」
完璧など無いと、完璧など無意味だと、完璧とは絶望だと理解した筈であったというのに完璧を追い求める。その様はまさしく、空いた穴を埋めようとする虚そのものであった。
「…不味イネ」
「我慢しろ。もっとまともな強さの虚ももう少し探せばいるだろう」
アーロニーロ・アルルエリは
「今日ハモット良イ虚に出会エルト良イネ」
かつての戦いの時に喰っていた虚の数は三万三千六百五十。今では優にそれを越える数を喰らった。
かつて藍染は言った。自分について来ればあらゆる苦痛から解放されると。あの時を越える強さを手にした筈だと言うのに、寂しさを感じるのは周りに誰もいないからだろうか。
「あっちに3匹いるな」
「全員食ベヨッカ」
しかし、己に出来るのはただ喰らうことのみ。無限に進化する
「おい、バカ犬!あんま走るんじゃねえ!」
「アン!」
ヤミー・リヤルゴは犬の散歩を行っていた。彼はあの戦いの後も特別変わることなく日々を過ごしていた。むしろ、戦いから解放された今こそが彼の望んでいた生活だったのかもしれない。
「チッ…もう俺は走りたくねーぜ。行きたいなら勝手に行け」
「クゥ~ン」
足を止めたヤミーの下へ先を走っていた
「何だよ、勝手に行きゃあいいって…チッ。わかったよ、行くぞ、ほら」
「アン!」
「はしゃぎやがって…ん?何か空に…」
それ故、侵入者に最初に気付いたのもヤミーであった。
「じゃ、あの建物をぶっ壊せばいいのね?」
「うん!そしたら戦いの始まりだヨッ♡」
空に浮かぶ白い服を身に纏った集団の一人が手をかざす。
その手から放たれた霊子が
唐突に始まる戦。
元々が一見平和だっただけに変化は劇的だった。
早速命の奪い合いが行われる中、
「ああ、ホント、嫌になる――でも、仲間を失わないためには、戦るしかねえんだよな…」
「へえ、アンタが相手?意外とイケメンじゃない。まあでも――アタシの前じゃ、その顔がいつまで原型を保っていられるか、わかんないけどね!」
「おいお前!おれの能力は
「誰ダイ、君ハ…?」
「敵か。丁度良い、喰らってやる」
「……儂の部下が怯え、逃げ惑うか…中々面白い能力を持っておるな」
「フフフ、怖イ?僕ノ矢ヲ受ケた者は皆恐怖に憑リツカレル。君モスグ同ジ様ニナルヨ…」
「…恐怖?ク、クハハハハハ!儂は王!儂は神!儂が司るは“老い”!来るが良い小僧。その恐怖とやら、儂に打ち込んで見せよ!」
「私が藍染様より承っている命令は外敵の排除…私は
「ん~?ミーはペペだけどぉ~外敵なんて言っても意味無いんだよぉ~?どうせみ~んな、ミーのトリコになっちゃうんだから!」
「お前たち、他の敵を任せたぞ」
「オイオイオイ、このバズビーさま相手に一人でやろうってかあ!?大人しく4対1でかかって来ておいた方が良いぜえ!!」
「…構わん。すぐにお前を倒して増援に向かう。私も仲間を失いたくはないのでな」
「…テメエ」
「…陛下。ご命令通り10名の
「それではあの山本重國めにも宣戦布告を果たしておけ」
「はっ」
こうして滅却師の