十刃たちが千年血戦篇まで生き残ったようです。 作:あたらんて
スタークとバンビエッタの戦いにおいて先に仕掛けたのは、スタークであった。
「
それは
並みの死神程度ならそれだけで屠れる一撃をバンビエッタは――
「何よ今の、早いだけじゃない!全然効かないわよ!」
無傷。それはひとえに
流石にそれは予想外か、スタークも驚きを見せる。
「お返しね!てやああっ!」
今度はバンビエッタ・バスターバインが動き出す。霊子によって刀を生成し、スタークへと斬りかかる。スタークも腰の刀を抜いて応戦する。
刃を打ち合うこと数合。バンビエッタは白兵戦では自身が不利であることを悟る。思っていたより己の相手は強いらしい。パワー・スピード両方で劣っている以上このまま斧で斬りかかっていても勝てはしない。
そのため一度距離を取って自身の能力を発動することを決める。その能力の名は『
霊子を打ち込んだものを爆弾と化す能力。能力が相手に露見していないこの状況において、この一手で勝負が決するということも有り得るだろう。
バンビエッタは斧を捨て、スタークから距離を取る。
「もういいわ!あたしの
バンビエッタが霊子の弾をバラ撒く。その弾数実に五十。弾幕となって襲い掛かるその攻撃を回避するのは幾ら
「残念、後ろだ。
「なっ…!」
スタークの
「これで終わってくれると嬉しいんだがな…」
自身の
その予想通り、煙幕の中で霊圧が高まって、巨大な光の柱が立つ。正確に言うのなら周囲から霊子を集めているのか。
「ああああっ!!!ふざけんじゃないわよ!全部、まとめて、ブッ壊す!」
「!」
煙の中からバンビエッタが姿を現すより早く、ドーム状の衝撃波が中から広がっていく。その衝撃波は触れるもの全てを爆破させていく死の領域を生み出す。
辺り一帯を壊滅させた後、出て来たバンビエッタの背からは1対の羽が生えていた。
「おいおいおい…何だよその姿は」
「『
その姿を形容するならば天使が相応しいか。周囲の霊子を従えたその姿は目にした者を自身は断罪を受ける罪人であると錯覚させる程の威容を誇っていた。
「ちょっと待てよ。もうちょっと前の形態でやり合ってても良かったんじゃねえか?」
「悪いわね。これを使ってあたしの前で原型を保ててた奴はいないわ」
バンビエッタの周囲に先程とは比べものにならないほどの密度と数の霊子の弾が浮かび上がる。
「冗談じゃねえな!」
「これでさよならねっ!」
全てを灰に帰す天使が、その力を振るい始める。
一方、ゾマリ・ルルーは初めての経験に困惑していた。
外敵を排除しようと敵の前に現れ、
ここまではよい。「愛」というフレーズには気になるところがあるがこのまま倒せると感じていた。
ある程度敵に傷を負わせてきた頃、敵もこのままでは敗北することを悟ったか、逃げ出し始めた。当然追ったが、
これでは、まるで
「ゾマリ様、何故抵抗するのですか!?我々はペペ様のた――ぐぼぇっ」
自身に斬りかかってきた破面を斬り捨てる。元より仲間意識など無いにも等しい集団だ。特に何も感じないが、腐っても
「おやおやおや?仲間をそんな簡単に斬るなんて愛が無いのかなあ~?ミーへの愛に溢れた良い子ちゃんばかりなのに~♡えい!え~い♡」
次々と放たれるビームによって続々と敵が増える。ゾマリは一転、自身が不利になったと認識を変える。
「なるほど…あなたの能力はそのビームに当たった者にあなたへの愛を植え付ける…そんなところですか」
「うん♡ミーの能力の名前は『
斬っても斬っても敵が湧いてくる。終いには敵の
「…では、アナタは何故愛を説くのに私たちを襲うのです?」
「んっん~?違うよ。戦いはいつだって愛のために起こるんだヨネッ♡だからこそ戦いは哀しく、だからこそ戦いは美しいんだヨネッ♡」
その言葉にゾマリは目を見開いて足を止める。
「なるほど…驕りが過ぎますね。そしてそれ以上に湧いて来る嫌悪感。これは…同属嫌悪、というものですか」
「ん~?足を止めちゃって良いのかい?ミーの下僕たちがキミを囲んじゃったよ♡これでミーの愛を躱せないね♡ らあ~ゔ キッス!」
「鎮まれ 『
思わずペペの動きも止まる。
「……あれ?何でミーの下僕たちまで動きを止めてるのかな?」
「――全てのものには、『支配権』があります」
「!!」
今までゾマリを襲っていた
「部下は上官の支配下にあり、民衆は王の支配下にあり、雲は風の支配下にあり、月光は太陽の支配下にある」
紋章を浮かべたものたちはまた一斉に武器を構える。今度は、ペペに向かって。
「我が『
常に浮かべていたペペの笑顔が消えていく。
「私はこの力を『
遂に完全にペペの顔から表情が消える。
「――
同時に上空にて巨大な光の柱が立つ。
「…どうやらバンビちゃんが
そう呟くと、ペペの周囲から霊子が集まって来る。
それを黙って眺めているゾマリでは無く、
「
光の柱が消えた後に現れたペペは1対の羽根を生やし、生まれたての赤子の如く純真無垢な姿であった。
これこそがペペの
「どうだいこの姿!思わず、愛したくなっちゃうダロ~?」
「……醜いですね」
「良いのかい、そんなことを言っていて。君の
「!!」
その言葉を言うか言わぬかの間に
「…何故っ!完全に私が支配した筈…!」
「良いことを教えてあげようか?いつの時代だって王様の支配を乗り越える愛の物語があるように、愛っていうのは、支配なんかで抑えられないものなんだヨネッ♡」
「なん……ですって……」
自身の支配を上回って動く敵にゾマリは愕然とする。
支配を越える愛を司る天使が、愛を使って支配を行う悪魔の下へ現れた。