主に命の事。武の呼吸の解説などを載っけときます。
あれは、5年前。しのぶが最終選別に向かって2ヶ月がすぎた頃。その時に、彼を連れてきた。
それが、私と彼の出会い。
「姉さん、友達を連れてきたの!ほら!入りなさいよ!」
「…武布津命、よろしくお願いします。」
「あらあら!しのぶがお友達を連れてくるなんて!今日はお赤飯ね!」
「姉さんっ!?」
「飯くれるなら食べる。」
しのぶに半ば無理やり連れてこられたような彼は、無表情のまま淡々と挨拶をした。
どこか、眠っているように見える彼は、とても不思議で、掴みどころのない感じの人だった。
最終選別で手を取りながら助け合ったふたりは意気投合。しのぶが選別でのお礼がしたいと誘ったが、礼を言われるほどのことはしていないと断られ、その場はお開きとなったそう。けれど、初任務で再開して、鬼を狩り続け絆を育んだみたい。それで、遠慮する彼を半ば無理やり連れてきたらしい。頑固なしのぶらしいと言えばそうだったけど、男の子と仲良くなるのは珍しかったから、嬉しくなって少し舞い上がってしまった。
「────それでね!鬼に囲まれた時に、あっという間に首を切っちゃったの!強いのよ命は!」
「何故か怒られたけど。」
「そ、それは忘れて!」
「嫌だ。」
彼の話は聞いていたし、非力なしのぶを助けてくれる、好少年だった。硬い表情は変わらないけれど、所作や雰囲気から優しさを感じる子だった。聞けば、彼はその時点で既に、鬼を25程斬っているらしい。彼の鎹鴉に確認したから間違いはない。彼はあまり頓着していなかったけれど、当時居た私の継子達よりも実力は上だった。
それで、誰に剣技と呼吸を教わったのかを聞いてビックリ!
彼、自分で覚えたらしいくて、聞けば、まだ鬼殺隊に入る前、近所の剣術道場の稽古を盗み見て、剣術を覚え、ある人の技を盗む為に勝負を挑み続けたらしい。
日輪刀ですら拾い物で、最終選別後に刀を作ってもらわなかったらしい。と言うよりも、話を聞いていなかったらしく、刀を貰えることすら知らなかったとか。
けど、刀はやっぱりこれでいいって言って、そのまま。なんでも、まだ使えるのにもったいない。との事だった。
彼らしいってしのぶは笑っていたけれど、私は信じられなかったわ。
挙句の果てに、何の呼吸の使い手なのか聞いて「……?」って困り気味に反応された時は、こっちも困っちゃったわ。
全集中の呼吸は使えるし完璧なのよ?でも、型を知らなかったし、呼吸の名前すら知らなかった。
なんの適正があるのか見てみようと、私の継子の一人と稽古をする事になって、ようやくわかった。
決して、彼と立ち会った子は、弱くなかった。寧ろ継子の中でも特に強い子だったのに。彼は平時と変わらぬ真顔で9連撃を弾き返し、高速の突きを首元で寸止め。怪我をすることもさせることも無く稽古を終えた。
彼は本当に強かった。
彼と稽古をして、彼の強さがよくわかった。型なしで鬼と渡り合う剣技の美しさには、本当に目を見張った。加減していたとはいえ、私の型をただの剣技で弾き返された時はみんなして驚いたわね。
それで、寝泊まりも野宿かお世話になっている藤の家紋の家しかないらしくて、適性もありそうだから、すぐに継子に勧誘して、結構強引に継子にしたわ。
あの子は、継子の3人ともすぐに打ち解けて、姉さんって呼ばされてたわね。カナヲと仲良くなるのも早かった。
あの子達3人が…まだ鬼殺隊に居た頃の話。
あぁ、勿論亡くなってなんかないのよ?今もちゃんと元気に生活してるみたいだから。
簡単に言えば、鬼殺隊を辞めた。悲しかったけど…うん。私は賛成しちゃったわ。彼が、特に強くやめて欲しいって言っていたからね。任務で下弦ノ鬼に遭遇して、ボロボロにされて…心に傷を負って…彼と協力して、なんとか救えたけれど、心までは治療できなかった…。
蝶屋敷から去っていくあの子達を、彼は嬉しそうに眺めてたわ。
「…姉さん達には生きる価値がある。女の幸せを掴んで…それで、全部忘れて生きて行って欲しい……あぁ、そうか……俺、死んで欲しくなかったんだ。姉さん達に。」
まるで、自分には生きる価値が無いから。そう言うように語った彼は、彼女達の背中が見えなくなるまで手を振ってた。
その時から、彼はよく笑うようになった。今までの無表情は変わらないけれど、表情が豊かになった。
それから少しして、彼は私の継子として、本格的に修行を始めた。もはや癖で型を使わずに戦う事は許したけど、念の為と花の呼吸の型を教えてやらせたらあら不思議。すぐ覚えて、私が再現できなかった幻の型を再現までしてしまったのよ。
うん、本当に彼はすごいと思ってる。
あの時…私に背を向けて、上弦の弐に立ち向かう彼を。上弦の参と邂逅し、殿を勤めた彼を…私は尊敬したわ。連続で遭遇したのに、生きて帰ってきてくれた。
無力を痛感した。必死に並ぶ力をつけた。けれど、未だに彼に届く気がしない。剣技の質というものが根本から違う。
それから、夜中に逢引している二人を見て、凄く嬉しかった。
彼には本当に…感謝しかない。しのぶの為に、彼は剣を振るっている。心を奮い立たせている。それがどれだけ嬉しい事か…
彼は、私がいなくなっても、しのぶが生きることへの楔になってくれる。
いつか私が居なくなっても、彼がいてくれるから、もう私に憂いは無い。
えっ?私にとっての彼?
うーん、そうねぇ……とても出来のいい自慢の義弟かしら!
私は、その未来を願っている。
彼としのぶが、笑って子を抱えている未来を。
それだけで私にはもう、思い残す事はないわ。
えぇ、本当に…本当よ
大正コソコソ噂話①
命は今まで刀を作ってもらったことがなく、拾い物でずっと戦っていた。とてつもない貧乏性を発揮して、まだ使えるまだ使えると、拾った刀を童磨との邂逅まで使っていた!その後初めて刀を貰ってテンションが上がり、一日中見つめていたことがある。命の刃の色はまだ内緒!