よろしくお願いしますです。
駄作ですんでよろしくお願いしますです。(o_ _)o
序章・一
暗い森を、木の幹に手を突きながらゆっくり進む。木に突く手に弱々しく刀を握り、ボタボタと腹から血を流し、全身血まみれで呼吸も乱れている。もはや、基本中の基本である【全集中・常中】も維持できていない。
それもそうだろう。なぜなら──
──目が見えていないから──
先刻、上弦の参の鬼に遭遇し、両目を潰されてしまったのである。視覚にだけ頼っていたわけではないが、やはり損失は大きい。動きにくいことこの上ない。
幸いなのかは分からないが、猗窩座という鬼は女を喰わないと決めているらしく、致命傷を負わせるのみだった。
せめてもと、情報共有のためお館様に鎹鴉を飛ばした。これで、上弦の参の対策はできるだろう。
自分ができる最大限のことを終え、気が緩んだからかもしれない。足にも手にも力が入らなくなってしまった。
「──っ」
目が見えず、体を満足に動かすことすら叶わない。ついに、体を支えきれなくなりその場に膝から崩れ落ちた。さっきまでとは比にならない量の血を流し、呼吸も浅くなっていく。
(ここまで、か・・・)
息をしようとしても、片方の肺を潰されたせいで酸素をうまく取り込めない。足も手も使い物にならず、ここがどこかも分からない。
(ごめん・・・
最後に思い浮かぶのは、一人にしてしまう妹のこと。
必ず家族の敵を討つと約束したのに、自分はここまでなのだと悟った。走馬灯のように、妹との思い出が頭を走る。
春のお花見、夏の花火、秋の紅葉狩、冬の雪だるま作り・・・。
何気ない幸せな日々は、二度と戻らない。今思えば、あの子にはだいぶ我慢をさせてしまっていた。
父と母、そして兄が殺されたのは私が十一歳の頃だったか。家族を亡くして、鬼殺隊に入隊するために育手のもとへ修行に行き、最終選別を受けて。ずっと夏羽は心配してくれていた。
死んでほしくないと、ずっと一緒にいたいと、そう言ってくれていた。
妹に継いで、親しかった仲間たちの姿や家族の姿、私に意志と願いを託していった者たちの姿が次々と蘇っては巡る。
様々な者を犠牲にし、看取ってきた。身近な者、何度か任務を共にした者、一度しか顔を合わせることがなかった者。
毎夜必ず何処かで死人が出る。
私の目の前か、あずかり知らぬ場所でか。
隊の仲間か、顔も知らない一般人か。
いずれにせよ毎夜必ず悲鳴が上がり、血が宙を舞う。
誰かが怒り、悲しみ、涙する。その影で笑い、楽しみ、我を忘れてしまう悲しき鬼がいる。
自分の望みだけを求めて、理不尽に呪いを撒き散らす鬼がいる。
せめて安心して眠れる夜を少しでも増やしたい。せめて誰かに降りかかる理不尽を少しでも減らしたい。
身に余る自己中心的な理想を掲げて、大切な者の言葉を聞き流してきた。
(それがこのザマ・・・)
目の前の鬼を斬ることに身を委ね、大切なものが見えていなかった。自分の力を過信し、結果、目と内臓を潰され虫の息。自分の身を案じてくれた妹を一人置き去りにしようとしている。仲間たちの心配を水の泡にしようとしている。
(ごめん・・・ごめんなさい・・・本当に駄目だな・・私は・・・)
人生最後の懺悔として、心の中で仲間や妹にひたすら謝り続ける。
そのとき───
「お姉ちゃん!!」
「っ!」
ここにあるはずの無い声が聞こえてきた。悲痛な感情を乗せて。
夏羽は私の体を見て僅かに悲鳴をあげた。当たり前だろう。確認できないが、かなりグチャグチャなはずだ。
「お・・ねぇ・・・ちゃん・・・・・お姉ちゃん!!」
放心状態だったようだが、すぐにハッと意識を取り戻したようで、私を抱き上げた。
夏羽に支えられても尚、私の体には力が入らず、腕も足もだらりと垂れる。
「いや・・・いやだ・・・・お姉ちゃん!ねえ!お姉ちゃん!」
夏羽は、私の手を持ち上げて涙に濡れた頬に押し当てた。止めどなく流れ、手を濡らす涙を止められないことがとても苦しい。
「ごめ・・・んね・・・・な・・は・・・」
力を振り絞って出す声も、掠れて言葉にならない。
「ダメ!!喋らないで!助けるから!死なせないから!」
私の体を見れば、助からないことは一目瞭然。だというのに──
(本当に、優しい子・・・)
まだ諦めず、助けると言ってくれている。死なせないと叫んでくれている。手を取って必死に、私を生かそうとしてくれている。
でも、もう駄目なんだ。
「・・・なつ・・は・・・」
「無理しないで!」
「わたし・・・あ・・なたの・・あね・・・・よか・・た・・・」
「っ・・・」
「もう・・・いっしょ・・に・・・は・・・・・いれな・・・けど・・・あな・・・・は・・・・しあわ・・・に・・・・」
もう、私はここまでだけど。
あなたには、まだ
大丈夫、あなたには頼もしい仲間が沢山いるのだもの。
きっと大丈夫。
「いや・・・・いや・・・・・」
──でも、もう少し贅沢をいうなら──
「いやだよぉ・・・お姉ちゃん・・・」
──
「あ・・・ああ・・・・・」
──手を繋いで歩きたかった──
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
妹の絶叫を最後に、私の意識はプツンと途切れた。
これは鬼滅の世界にいた頃の夢主の隊服姿です。見ても見なくても大丈夫です!