学校かったりいなぁ・・・。
「しるかボケェェェ!!金がねーなら腎臓なり金玉なり売って金つくらんかいクソッたりゃー!!」
「家賃如きでうるせーよウンコババア!!こないだアレ・・・ビデオ直してやったろ!アレでチャラでいいだろが!!」
昼間からくだらない言い争いをしているのは、言わずもがな、銀とお登勢さんである。ちなみに私は銀の少し後ろで、その会話を聞いている。
早いもので、新八が万事屋で働き始めて半月がたった。特に仕事という仕事もなく、いつも通りに暇を持て余している。新八の道場の借金は帳消しになったとはいえ、生活がカツカツらしい。そんな時に
というか、銀、家賃五ヶ月も払ってなかったの。そりゃ怒るよ。
いい加減止めようかと思った時、新八の気配が近づいていることに気づいた。どうやら、階段を上ってきているところのようだ。
「とぅおりゃぁぁぉぁぁ!!」
私がそちらに気を向けた隙に、お登勢さんが銀を階段下に投げ飛ばした。元気がいいのは何よりだが、その先には新八が・・・。
「「ぎゃああああ!!」」
案の定、階段の方からは二人の絶叫が聞こえてきた。新八、恨むなら家賃を払わない銀をうらんで。
「はぁ、まったく・・・どうしようもないロクデナシだねぇ。美桜、アンタもさっさと見切りをつけたほうがいいよ」
「んん。私は銀がいい・・・です」
私は他の人の所へ行く気はない。たとえ誰に何か言われても、それだけは間違いないと胸を張って言える。二十二年の人生で、誰かを恋愛的な意味で好きになったのは銀が初めてだから、できることなら銀が嫌だと言うまでは傍にいさせてほしい。
「はぁ・・・あんまりアイツを甘やかすんじゃないよ」
「それはもちろん分かって・・・ます」
「そうかい。なら、あたしゃ何も言わないよ」
お登勢さんはため息を一つついて、階段の方へ歩いていった。私も、銀の所へ行こうと思い、玄関から出て階段へ向かう。下からは新八と銀の声が聞こえてくるので、まだ階段は上っていないのだろう。階段の一段目に足を慎重に下ろした。もちろん、落ちたところで受身は取れるので害はないが、痛いものは痛いので慎重に一段ずつ下りていく。
「ってて、あのクソババア・・・・・・は!?おい美桜!!何一人で階段降りてんだ!!危ねェだろーが!!」
どうやら、私が階段を下りているのに気づいたらしい。というか、そこまで怒ることだろうか。確かに目は見えないが、何度も上り下りしているのだ。感覚は掴めているから、そう簡単には転ばないだろうに。
銀は、私の手を取ってゆっくりと階段を上り始めた。後ろからは新八が着いてきているようなので、玄関の戸を閉めるのは新八に任せて靴を脱ぐ。それでも銀は私の手を離さず、そのままソファ(銀の足の間)に座らせられた。要するに、後ろから抱きつかれる体制である。恋仲になってから、よくこの体制になる。肩に銀の
「はあぁぁ・・・ビビったぁ・・・・怪我したらどうすんだよ・・」
「大丈夫。あそこの階段は慣れた」
「そーゆー問題じゃねェの」
なら、どうゆう問題があるのだろうか。しっかり説明して欲しい。
私が首を傾げていると、
「イチャイチャしないでくださいよ・・・僕が空気になるじゃないですか・・・」
向かいのソファから新八の声が聞こえた。なんというか・・・ごめん。完全に忘れてた。
「邪魔すんなァ新八ィ・・・俺は今、美桜不足なんだよ」
「んなはずないですよ。僕の記憶が正しければ、アンタは一日中美桜さんにくっついてます」
そうですね、ほぼほぼ一日中一緒にいますね。というか、私不足って何?
「もう・・・今月の僕の給料、ちゃんと出るんでしょーね。頼みますよ?僕んちの家計だってキツいんだから」
手際よくお茶を入れながら、銀にそう言う。ん、ありがとう新八。
私は、まだ熱いお茶を息を吹きかけて冷ましてから、口に含んだ。すると、何故か二人はいきなり静かになった。しかも、その視線はどうにも私に向いているようだ。え、何?
「はぁ・・・ヤバい・・・可愛い・・・つーか新八、見んじゃねェよ」
「理不尽にもほどがありますよ!!見せつけられてるの間違いです!!」
「うるせーよ。俺は美桜がいねぇーとダメなんだよ」
「それは嫌というほど知ってますよ。そうじゃなくて!!僕の給料の話!!ちゃんと出るんでしょーね!!」
「・・・腎臓ってよォ・・・二つもあんの、なんか邪魔じゃない?」
「売らんぞォォ!!何恐ろしーこと考えてんだ!!」
本当に何考えてるの、銀。怖いよ、銀。
というか、
「お金、私が払おうか?」
「え?」
そうだ、簡単なことではないか。私が払えばいいのだ。銀か言うにはかなり貯まっていたようだし、私が使う予定もない。持っていても使わないなら、誰かにあげても──
「ダメだ」
しかし、それは銀に止められてしまった。とても真剣な声音で。
「?・・・何で?」
「あれは、お前が色んなもんを削って稼いだ金だろ。お前が使わなきゃ意味がねェ」
いや、確かに、結構痛い思いはしたけど、大きくてもせいぜい全治六ヶ月ほどのもので、大したことはなかった。それに、私の力が及ばなかったから負傷したのであって、誰が悪かったわけでもない。私が弱いのがいけなかったのだ。
というか、私には使う意思が無いと何度言えばわかるのだろうか。家賃は私が払うと何回も言っているのに、全く聞かない。銀、頑固すぎる。
「・・・・なら、私が腎臓、売ろうか?」
「それもダメに決まってんでしょーが!!論外、論外です!!」
「いい加減にしろバカップル!!見てるこっちの身にもなれや!!」
お、おお、新八が大変お怒りのようだ。
「カリカリすんなや」
「誰のせいだと思ってんだァァ!!・・・はぁ、ウチ、姉上が今度はスナックで働き始めて、寝る間も惜しんで頑張ってるんスよ・・・」
新八、申し訳ないけど銀は話聞いてないと思う。テレビをつけて・・・
「アリ?映りワリーな」
「ちょっと!きーてんの!?」
ほら、やっぱり。銀は私の頭を撫でてから立ち上がり、テレビの方へ向かっていった。すぐに、ガンッガンッと何かを叩く音が聞こえてくる。
銀、何してるの?
「オ・・・・はいった」
どうやら、テレビを直していたようだ。・・・テレビって、叩けば直るのだろうか。
すぐに戻ってきて、また同じ体制になった。だから、恥ずかしいんだって・・・。
《現在謎の生物は新宿方面へ向かっていると思われます。ご近所にお住まいの方は速やかに避難することを──》
テレビから聞こえる音声は、不穏な国の状況を知らせてくる。女性の声からも現場の悲惨さは分かるが、瓦礫が崩れる音や周りにいる人の声も僅かながらに入っているので、余計に生々しい。
「オイオイ、またターミナルから
「ん」
「
どうしよう、この
─ピンポーン─
無機質な来客の知らせが響いた。もはや拭えぬ癖のため、玄関先の気配を探る。・・・どうやら、人間の男が三人いるようだ。
─ダダダダダ─
何を思ったのか、銀が玄関に走っていった。・・・何で?
「金ならもうねーって言ってんだろーが腐れババア!!」
そのまま玄関の戸ごと玄関先にいる相手を蹴り飛ばした。・・・だから何で?というか、その人たちお登勢さんじゃないよ、銀。
「あれ?」
「局長ォォ!!」
「貴様ァァ!!何をするかァァ!!」
どうやら、お客が絶大な負荷を負ったらしい。銀、今すぐ謝りなさい。
「スンマセン、間違えました出直してきます」
うん、謝ってとは思ったけど、そんなに軽い謝罪で終わり?もっと他にあるでしょ他に。あと、出直すって何?何も直せないと思うよ。蹴り飛ばしたことには変わりないもの。
心の中で文句を言いつつ、とりあえず、新八と玄関に向かう。
銀の元気の良さと、お客との絡みのせいで油断していた。倒れていた男が起き上がり、銀の頭に
・・・おそらく、銃だ。
私はすぐに腰の木刀を引き抜いた。男を睨みつけ、少しだけ殺気を出す。銃を持ち歩いているのだ、これくらいで倒れたりなどしないだろう。
「貴様らが万事屋だな。我々と一緒に来てもらおう」
「・・・わりーな、知らねー人にはついていくなって美桜に言われてんだ」
軽々しく嘘をつく癖を直しなさい、銀。『知らない奴にはついて──いや、俺以外にはついていくなよ』って言っているのは銀だろうに。
ん?私、何歳?
「
「オメーら、幕府の・・・!?」
「入国管理局の者だ。アンタらに仕事の依頼に来た、万事屋さん」
幕府の人が依頼・・・か。まあ、仕事なら受けるしかないだろう。ただ、一つだけ言わせて欲しい。
鼻血、出てますよ。
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高級感あふれる車に乗せられて、どこかへ連れて行かれている。とりあえず、銀に言われて殺気と木刀はしまった。何かあれば、すぐに手は出す所存だ。ちなみに、私が座っているのは座席ではなく銀の膝の上である。しかしながら、幕府のお偉いさんとはいえ、一般人を拉致するのはどうかと思うのだが。
「コソッ)入国管理局の
「何の用ですか、おじさん」
銀、直球にも程があるでしょうに。
でも、要件は気になるので黙っておく。
「万事屋つったっけ?金さえ積めば何でもやってくれる奴がいるってきいてさ。ちょっと仕事、頼みたくってね」
「仕事だァ?
銀の言うとおり、今朝のニュース以外でも天人の行動には目に余るものが数え切れないほどある。その例が新八の一件だ。天人による違法営業に加え、剣を持つものに対しての差別が色濃く浮き出ている。それが人間にも表れ始めているのだ。天人の影響は、良いものも悪いものも浸透しすぎている。
「こりゃ手厳しいね。俺達もやれることはやってるんだがね。なんせ江戸がこれだけ進歩したのも奴らのおかげだから。おまけに
長谷川さんの話の途中だが、車に揺られたからか睡魔が襲ってきた。仕事中なので目をこすって必死に耐える。が、だんだんと侵食されていき、銀の胸に頭をあずけた。
「眠いなら寝てていいぞ。着いたら起こしてやるから、遠慮するな」
「・・・ん」
髪を梳くように頭を撫でながら、優しい声で言ってくれる。そろそろ限界なので、甘えさせてもらおう。
私はそのまま銀に体重をあずけて意識を手放した。
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=side:銀時=
美桜の体から力が抜けて、静かな寝息が聞こえ始めた。白い綺麗な髪を指で梳きながら、顔にかかっている長い髪をどかした。
「美桜さん、本当にどこでも寝ますね・・・」
新八が呆れ半分感心半分といった様子で呟いた。美桜は俺がいないと寝れないようなのだが、反対に俺がいればどこでも寝る。以前の仕事は夜に働くものだったようだし、疲れもなかなか取れない環境だったのだろう。それの反動か、美桜は昼寝をすることが少なくない。ストレートに言ってしまえば、これが日常なのだ。
「その
「必要ねェよ。俺たちは絶対に離れないって決めてんだ」
「・・・そうか」
それっきり、車内では美桜の寝息しか聞こえなくなった。新八や重鎮にとっては居心地が悪いかもしれないが、俺としては美桜が寝れる環境になったので特に文句はなかった。それから目的地までずっと美桜の寝顔を見て過ごした。
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❀side:美桜❀
「余のペットがの〜いなくなってしまったのじゃ。探し出して捉えてくれんかのォ」
目的地について、目的の人物から発せられた一言で、銀に肩を掴まれて回れ右をさせられる。そのまま来た道を戻るように進もうとする銀と新八。いきなりどうした二人とも。
「オイぃぃぃ!!ちょっと待てェェェ!!君ら万事屋だろ?何でもやる万事屋だろ?いや分かるよ!わかるけどやって!頼むからやって!」
「うるせーな、グラサン叩き割るぞ、うすらハゲ」
「ああ、ハゲでいい!!ハゲでいいからやってくれ!!」
縋るような形で銀に頼む長谷川さん。どれだけですか。幕府からのペット探しの依頼など聞いたことも見たことも受けたことも無い。初めてで例外すぎる案件だ。
長谷川さんは銀の首に片腕を回し、コソコソと話しかける。
「ヤバイんだよ。あそこの国からは色々金とかも借りてるから
「しらねーよ。そっちの問題だろ。ペットぐらいで滅ぶ国なら滅んだ方がいいわ」
し、辛辣・・・。銀、それは辛辣すぎではないか。
「ペットぐらいとはなんじゃ。ペスは余の家族も同然ぞ」
「だったらテメーで探してくださいバカ皇子」
「オイぃぃ!!バカだけど皇子だから!!皇子なの!!」
「アンタ、丸聞こえですよ」
本当です。自分で探してください。国からのペット探しとか、楽なのか重いのか分からない仕事、胃がもたれます。
「大体そんな問題アンタ達だけで解決できるでしょ」
確かに、と新八の言っていることは正しく思えるが。よく考えてみて新八。解決できてたら、わざわざ万事屋まで来ないよ。幕府が国民にそんな情けない姿を見せるとは思えない。ということは、解決したくても解決できない──そう簡単には捕まえられないペットということになる。
そこまで考えて私は、こちらに近づいてくる
「銀」
思わず、銀の袖を引っ張って声を出してしまった。ついでに、気配の方向を指さす。
「どう──」
─ズゴン─
とてつもない大きさの生き物が、手足をうねうねとさせながら広い庭に侵入してきた。
「おぉーペスじゃ!!」
驚いて混乱している私たちをよそに、皇子は一人で喜んでいる。
(これが・・・ペット・・・?)
いやはや、恐ろしい世界だ。このような危険生物もペットと呼ぶのか。
え?これを捕まえる?無傷で?無理、ヤダ、絶対。
と、私が密かに反抗している間に、皇子がペスに弾き飛ばされた。本人曰く、懐いているという話だったのだが、微塵も懐かれてはいないらしい。それどころか認識されているのかも危ういのではなかろうか。
そうこうしているうちに、ペスは再びどこかへ行こうと動き出した。これでは街に被害が出てしまう。咄嗟に木刀を抜き、ペスの進行方向へ駆け出した。
「っ!美桜!!」
「美桜さん!!」
ペスの目の前にたどり着き、木刀を構える。
その場で全集中の呼吸を使い、全身に酸素を巡らせる。
しかし
「勝手なマネはしないでもらおう」
後頭部に銃を突きつけられて、身動きがとれなくなる。その一瞬、不覚にも私はペスから意識を離してしまった。
「うわァァァァ!!」
「「!!」」
すでに聞きなれた声に、私と銀は声の主を
「新八っ」
見えないが、新八がペスに捕まってしまったようだ。さすがに我慢できない。木刀を握る手に力を込めたとき、
「だから、勝手なマネするなって言ってるでしょ」
今度は力強くゴリっと押し付けられた。
・・・コイツ、斬ろうかな・・・。
「テメェ・・・美桜から離れろ!!」
銀、新八の心配してあげようか。私より大変なのあの子だから。命かかってるのはあの子だから。
「無傷で捕獲なんざ不可能なのは百も承知だよ。多少の犠牲が出なきゃ、バカ皇子はわかんないんだって」
「だから新八を
「どーやら
銀がゆっくり近づきながら木刀を引き抜く。長谷川さんは、私から銀に銃口を変えた。
「言ったろ、俺達は奴等と共生していくしかないんだってば。腐ってよーが、俺は俺のやり方で国を護らしてもらう。──それが俺なりの武士道だ」
この人はこの人なりに、国を護ろうとしている。それは分かった。けど、新八が犠牲になるのなら、私がその武士道を斬ろう。
「・・・ごめんなさい」
「!!」
私は銀に銃が向いているのを確認し、ペスに向かって走り出した。銀なら銃弾くらい避けるだろう。もしくは撃たせないはずだ。
真正面から襲いかかる手足を避け、ペスの頭部を目指す。
「待てェェ!!」
・・・ん?
長谷川さんの制止の声が後方から聞こえる。が、それは別に予想の範囲内、正直どうでもいい。問題は・・・
「しったこっちゃねーな、んな事!!つーか!美桜!危ねェから止まれ!!」
ものすごい速さで追いかけてくる銀である。それに、何やらご立腹の様子だ。・・・捕まったら怒られる。絶対怒られる。
銀に意識を向けすぎたせいだろう。足元に忍び寄る一本に気づかなかった。
「わっ」
足に巻き付かれ、しまいには体をぐるぐる巻きにされた。
「美桜!!」
「いいから!!先に新八!!」
銀は私の方に来ようとしたけど、私より危ないのは新八だ。口に入れられ、咀嚼される寸前である。
「ちっ!新八ィィィ!!気張れェェェ!!」
「どちくしょぉぉ!!」
「幕府が滅ぼうが、国が滅ぼうが、関係ないもんね!!俺は、自分の
銀がペスに突っ込む直前のタイミングを見計らい、私は呼吸を使った。
「【水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦】・・・」
体を極限までねじり、ペスの手を回転斬りする。さすがに返り血は避けられなかったので血まみれだ。こんなに血に濡れたのは久しぶりだな。
「うるせーって言ってんだ!!このムツゴロー星人!!」
ペスの死体から降りて長谷川さんのもとへ行こうとすると、長谷川さんが大きな声とともに皇子を殴り飛ばしていた。・・・大丈夫なのだろうか、色々と。
「あ〜あ!!いいのかな〜んな事して〜」
「しるかバカタレ。ここは侍の国だ、好き勝手させるかってんだ」
何科が吹っ切れたようだ。良かった、私は今の長谷川さんの方が好きかな。でも、でもさ・・・
「でも、もう天人とり締まれなくなりますね。間違いなくリストラっスよ」
「え?」
だよね。そうなるよね。仮にも
「バカだな。一時のテンションに身を任せる奴は身を滅ぼすんだよ」
「・・・頑張って、長谷川さん」
応援はするから・・・ね。数秒後、長谷川さんの叫び声がその場を包むことは誰もが予想し、そして当たった。
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万事屋について、私はすぐにソファに座った。すぐに銀が隣に座る。だが、私はいつものように頭をあずけなかった。
(つか・・・れた・・)
主に精神面で。使った呼吸は一つだけだし、体の疲労はそこまで重くない。が、精神の疲労が半端ではない。何故か?決まっているだろう。
「・・・・・」
さっきから私の隣にいる人物の機嫌が、どうにも急降下しているようだからである。誰かに助けを求めたいが、何かを察した新八は万事屋に入る前に自宅へ逃げていった。そんな卑怯な、とも思ったが原因は私にあるようなので何も言えない。
とりあえず、体についた血を洗い流したい。そう思った私は、立ち上がって風呂場へ向かおうとした。
「美桜、風呂なら一緒に入るぞ」
後ろから銀の声がする。いつもなら安心できるのだが、状況が状況だ。私の顔からは血の気が引いていく。ギギギと音がなりそうなほどぎこちなく、銀の方を向いて拒否の意を示した。が、そのまま肩を掴まれて風呂場へ連行された。新八よ、前言撤回する。忘れるまで恨んでやる。
❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀✿❀
=side:銀時=
腕の中で寝息を立てる美桜の頬を、指の背で撫でる。眠りは深いようで、少しも反応はない。
今日は、肝が冷えてばかりの一日だった。朝の階段から始まり、
ヒヤヒヤした分、疲れさせてしまったのは許してほしい。
自分の身を顧みず、他のために命をかけて戦う。
それが日常だったのだろう。隊の中でも強かった美桜は、守られるのではなく、守る側だった。だから誰も頼らず、他を助けようとするのだ。自分が他より強いために、他を頼れない。それはどれほどの重みなのかは計り知れない。ましてや、鬼という想像もつかない生き物を狩る仕事だ。何かを犠牲にしなければならないこともあっただろう。美桜のことだ、その都度己を犠牲にしてきたはずだ。その癖が今も抜けきらず、体が動いてしまう。盲目になった今も、己が死んだことを
"己が死んだことで誰かを悲しませてしまった"
この事実において悔いてはいても、自分が
(こんなに小せェのになァ・・・)
自分に比べて、明らかに低い背、小さい手、弱い筋力。が、今日は見逃さなかった。新八のときは美桜の剣技を見ずに終わってしまったが、今日は遠目だが見ることができた。
特殊な呼吸音。
体のねじりを利用した回転。
あの高さから難なく着地する身体能力。
全てが頭に染み付いている。美桜が本気を出せば、間違いなく自分より強いのだろう。人より遥かに強い鬼を狩ってきたのだ。そんな事実は軽く予想できる。
だが──
(俺は・・・お前を護りたい・・・)
──この気持ちも事実だ。たとえ美桜が自分より強かろうが関係ない。この愛しい存在だけは必ず己の手で護りぬく。その決意を伝えるように、美桜の体を強く抱きしめた。決して離さない、たとえ嫌われても、刀と殺意を向けられても、絶対に。
コピペ間違ってました・・・。
すみません・・・。
(*・ω・)*_ _)ペコリ