銀色に懐いた最強の白   作:マリユリ

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帰りたい。ダルい。ゲームしたい。推しに会いたい。

最近の私の口癖なり。By蝶華




第三訓 ジャンプは時々土曜に出るから気をつけろ──へぇ、ジャンプの発売日って変わるんだ。銀、今週号は月曜?土曜?

銀と原チャリのハンドルの間に挟まれて、風を感じる。髪を梳いていく風は、とても心地いい。

今日の夕飯は、なんとスキヤキだ。考えられるだろうか。あの私たちがスキヤキである。あの金欠の私たちが。

上機嫌の私と違って、銀はどうやらお悩み中らしいのだが、どうしたのだろうか。

 

「しまったァ、今日ジャンプの発売日じゃねーか」

 

・・・・・明日でよくない?銀の甘味とジャンプへの執念はどこから来ているのだろう。しまいには戻るとまで言い出した。嫌だ。絶対に嫌だ。あの人ごみに戻るなど・・・絶対に嫌だ。

 

「もういいでしょ。スキヤキの材料は買ったんだから」

 

「ん」

 

新八に心から同意して頷くが、男は死ぬまで少年だとかわけのわからないことを言い出した。

 

「スンマセン、恥ずかしい葛藤は心の中でしてください」

 

これも新八に同意だ。銀、あなた私よりも年上でしょうに。

二人で家に帰ろうと説得するが、銀はそれでも戻ろうか一人で頭を悩ませている。戻った方が早いのではと思い始めたときだ。右側から誰かが走ってくる気配を捉えた。止まる気はないようで、どんどん走ってくる。このままでは衝突してしまうと思ったが、時すでに遅し──

 

「あぶね!!」

 

激しいブレーキ音と、大きな衝突音が辺りに響いた。傍に倒れているのは、少女のようだ。すぐに私は駆け寄って、脈をみる。

 

(・・・脈は正常・・・弱まる様子もない・・・体が丈夫な子なのか・・・)

 

血の匂いはするものの、脈は弱まることはなく正常だ。生きているようで、ホッと息をつく。

この私の行動の間に、銀は()()()()()()を探しに自動販売機には頭を突っ込んでいた。どうやら、相当動揺したらしい。

少女の無事を伝えようと口を開くが、

 

「だ、大丈夫だよ・・・お目覚めテレビの星座占いじゃ、週末の俺の運勢は最高だった」

 

話を聞かず、意味がわからない理由で自分を元気づけている。だから、その()無事なんだって・・・。

 

「なァ、オイ。お嬢・・・・・・!!」

 

血の匂いが一気に濃くなった。銀が肩を掴んで動かしたせいで、余計に傷口から血が流れ出たようだ。

銀と新八は、すぐにどこからか縄を取りだし、新八の体と少女の体を縛って固定した。どうやら、病院へ連れて行くらしい。

この間、私はずっと少女の気配を探っているが、体に変化は無いようだ。というか、血の匂いが薄れてきている。傷口が塞がりかけているのだろうか。

ずっと考えていた私は、銀と新八の会話を聞いていなかったが、世の中というのは聞きたくないことばかりが耳に入ってくるらしい。

 

「──!!いや、でもお天気お姉さんかわいんだよな」

 

 

 

「え」

 

 

「「あ」」

 

 

 

正直、聞きたくなかった・・・。そっか・・・銀はお天気お姉さんの方がいいのか。・・・そっか・・・。そっかぁ・・・。

 

「銀、私降りる。新八、銀のことお願いね」

 

「美桜ちゃァァん!!冗談!冗談だから!!俺には美桜ちゃんだけだからァ!!」

 

「新八、大変だろうけど、お世話よろしく」

 

「美桜さん!無理です!!こんなロクデナシを押し付けて逃げる気ですか!!」

 

「次、止まったら降りるから」

 

「止まるかァァァ!!新八ィ!!病院の前に着いたら飛び降りろ!!」

 

「無理に決まってんでしょーが!!痴話喧嘩は他所(よそ)でやってください!!今はそんなことしてる場合じゃないですよ!!この娘、ピクリとも動きませんよ。早く医者に連れてかなきゃ」

 

「チクショー・・・お目覚めテレビ!!」

 

「降りる」

 

「ストォォォップゥ!!動かないでェ!!お願いィ!銀さんの一生のお願いィ!!」

 

「アンタらいい加減にしてくださいよ!!」

 

道路の真ん中で激しい(?)口論が繰り返される。

大丈夫、速いけど降りれないほどじゃない。私が原チャリから飛び降りようとしたときだ。

 

(・・・狙われてる!!)

 

後ろから猛スピードで追いかけてくる車に気づいた。窓が開いて、こちらに何かを向けている。その先にいるのは、私たち──

 

「新八っ、後ろ!」

 

「え?ちょっ・・・何ィィィ!?」

 

新八の背後からこちらに向けられているのは拳銃。

私の声によって、新八が振り返った直後、

 

─パンッパンッ─

 

銃声が耳に届いた。咄嗟に()()()を取りだし、銃口に向かって投げつける。カンッという音を立てて銃の弾の発射口を塞いだ。が、放たれてしまった弾はどうにもできない。

 

(弾はどこに!誰に当たった!!)

 

私は鼻に意識を集めて、血の匂いやガソリンの匂い、火薬の僅かな匂いも逃さないために必死に辺りの匂いを探った。

が、どこからもそれらしき匂いはしなかった。原チャリに不具合は無いようだし、私以外の三人からは血の匂いがしない。もちろん、私も痛みなどない。

何故だと考えているうちに、風の流れが不自然だということに気づく。後ろに流れていく風が、何かに跳ね返っているのだ。

 

(分からないことが多すぎる・・・仕方ない・・・)

 

「コソッ)【(ケダモノ)の呼吸 漆ノ型 空間識覚】・・・」

 

片手を()()の方へ突き出し、触覚を極度まで引き上げる。伊之助(あの子)独自の呼吸だから、どこまでできるかは分からないが、半径数メートル程度なら私にも分かるはずだ。

頭の中に、模型のような映像が流れてくる。自分を含めた人型が四体、その最後尾にいる一体が持っているものは──

 

(・・・傘・・・?)

 

──紛れもない、傘だった。

銃弾を傘で受け止めたのだろうか。さらに触覚を研ぎ澄ませ、傘の中の構造も限界まで引き出す。

 

「・・・っ」

 

「美桜?」

 

銀にしがみついて後ろを向く、という無理な体勢をしているからか、上手く呼吸ができない。無理やり肺に空気を送り込み、さらに触覚の感度をあげる。

大丈夫、私なら見えるはずだ・・・。傘の中にあるのは──

 

 

 

──銃弾っ!

傘の中身が分かった時点ので呼吸を停止させる。咄嗟に使ったために完全ではなかった呼吸と無理な体制だったせいで、上がらないはずの息が上がった。

 

「っはっは!ッゴホッゴホッ!」

 

「おい!どうした!美桜!!」

 

「美桜さん!?」

 

急に咳き込んだものだから、二人が驚いて声を上げた。が、今は少女が持っている傘の向きだ。現在、傘は後ろの車に向いている。

 

間違いない、撃つ気だ。

 

かと言って、肩で息をして咳き込む私が、どうにかできるはずもない。少女の銃声はすぐに耳に届いた。

 

─ガシャコンッ──ドドドドドドッ──

 

・・・思ったより、弾数があったようだ。威力も想像の上をいっている。あのような武器、どこで手に入れたのだろうか。

私たち三人が混乱している中、少女は銃口から出る煙にフッと息をふきかけていた。

 

 

とりあえず、意識が戻ってよかったです。

 

 

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「お前ら馬鹿デスか?私が・・・スクーターはねられた位じゃ死なないヨ」

 

ここは路地裏。少女の銃撃によって木に衝突した車を置いて、逃げてきたのだ。

 

「コレ奴らに撃たれた傷アル。もうふさがったネ」

 

どうリで血の匂いが薄くなっていくはずだ。血が止まるどころか、傷がふさがっていたとは・・・。私は呼吸で止血はできるが、さすがに傷の治癒はできない。羨ましいといえば羨ましいが、まあ、怪我がなくて(?)何よりだ。

 

「お前、ご飯にボンドでもかけて食べてんの?」

 

銀、失礼。でも、本当に頑丈な体をしている。普通なら、原チャリにはねられたら骨折くらいするだろうに。

 

「・・・銀、離れて」

 

私は少女の体のことを考えつつ口を開いた。原チャリを降りてから、ずっっっっっと後ろから抱きつかれる形でくっつかれている。いい加減に離れて欲しい。嫌なわけではないが、ここは外だ。

 

「ダァメ。逃げるでしょ?」

 

どうやら、先程の一件を気にしているようだ。私としては、聞きたくなかったのは本当だが、銀に大切にされているのも身に染みて感じているので大して気にしていない。強いて言うなら・・・からかいたかった。

 

「逃げない」

 

「もう怒ってねェの?」

 

「最初から怒ってない。からかっただけ」

 

「・・・・・」

 

「本当にからかっただけ」

 

頬に手を当てて、そう言えばやっと信じてくれた。良かっいてててててて。銀、強く抱き締めすぎだから。

 

「とりあえず、怪我がなくて良かった」

 

「だな」

 

銀は私の言葉に同意すると、原チャリに乗せてヘルメットをかぶせてきた。・・・・・ん?

 

「そーゆーわけで、大丈夫そうだから俺ら行くわ。お大事に〜」

 

銀は素早く原チャリにまたがり、新八もヘルメットをかぶって後ろに乗った。

え、あの車の奴らのこと何も聞かないの?

二人を止めようと口を開くが、原チャリが動いてないことに気づいた。前にも後ろに進まず、エンジン音とズガガガという音だけが響いている。

 

「アレ?新八、お前急に重くなっ!?」

 

「銀、後ろ」

 

「ヤクザに追われる少女見捨てる大人、見たことないネ」

 

「ああ、俺心は少年だからさァ。それに、この国では原チャリ片手で止める奴を少女とは呼ばん。マウンテンゴリラと呼ぶ。少女になりたいなら、美桜くらいの可憐さを身につけてこい」

 

少女が原チャリの後ろを持って、止めているらしい。体が頑丈なだけではなく、筋力も人一倍強いらしい。

というか、コレ、鍛錬になりそう。最近、体を動かしていないから、今度銀に頼んでみようかな。

体力が落ちていることに少し焦っり始めた時だ。目の前を数名の男が通った。なんということだろう。私達を見るやいなや、路地裏に入ってくるではないか。

 

「おっ、いたぞォォ!こっちだァァ!!」

 

明らかに標的は私達。銀は私を横抱きにして走り出した。慌てているのか、私のヘルメットを脱がせてくれない。新八は新八で"ろりこん"とかいう訳の分からない言葉を話しているし、少女はそれを"ぽりごん"と聞き間違えている。どちらも知らない単語なので、後で銀に聞いてみよう。

というか、銀?

 

「銀、自分で走れる」

 

「駄目だ。さっきから咳き込んでたろ」

 

「・・・・・」

 

それを持ち出されたら何も言えないが、あれは呼吸の反動なので何ら体に異変はない。息だって整っている。だから走れるのだが、どうにも下ろしてくれそうにない。

 

ので、追いかけてくるやつの妨害だけで我慢する。

 

銀の首に回していた手を、両方とも銀の片方の肩に置いた。それから全集中の呼吸を使って体を銀の手から持ち上げて、横に並んでいたゴミ箱を蹴って後ろに転がした。このままだと落ちるので、勢いのまま銀の反対の肩に片手を移して、逆立ちから倒れ込むように銀の手の上に戻る。

 

「っぶね!!」

 

銀が慌てて私を抱え直す。後ろからは、いきなり転がったゴミ箱に、転んでいる者や驚いて者の声が聞こえる。

 

「美桜ォ・・・・」

 

頭から降ってくるのは、恋人の怒りの声。どうやら、銀を怒らせてしまったらしい。

 

「・・・下りては、いない」

 

「それで逃げれると思ってんの?」

 

「・・・・ごめんなさい」

 

「はァァァ・・・説教は後な。今は隠れるぞ」

 

「ん」

 

説教は免れないのですね、銀。今回の説教は二時間以内に終わることを祈ろう。頑張れ、未来の私。

 

 

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男達をゴミの影から見送り、少女の話に耳を傾ける。

要約すると、少女の家はお金が無いので出稼ぎに来た。地球に来てすぐにあの男達に頑丈な体を買われて誘われ手を取るも、喧嘩の内容は過激になっていき、最近では殺せと言われるようにもなったらしい。

 

「私もう嫌だヨ。江戸、とても恐い所。故郷(くに)帰りたい」

 

寂しそうな口振りで、故郷へ帰りたいと言う少女。可哀想だという気持ちと返してやりたいという気持ち、そして自分でなんとかさせた方がこの子のためなのではという思いが交差する。

 

「バカだなオメー。この国じゃよォ、パンチパーマの奴と赤い服を着た女の言うことは信じちゃダメよ。まァ、てめーで入りこんだ世界だ、てめーでおとし前つけるこったな」

 

言うが早いか、銀は私を抱えて歩き出した。新八は呼び止めたけど、銀は無視して足をとめない。新八の気配が遠ざかっていくので、あの少女に着いていてくれるのだろう。銀も話を聞いたからには放っておかないだろうし、今はこれでいいはずだ。

 

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「銀、どこに行く?」

 

「ん?病院に決まってんだろ」

 

何故だ。何故(なにゆえ)病院へ行くことが決まっているのだ。

 

「銀・・・まさか、ついに糖尿病・・・?」

 

「違うからね!?銀さんまだ糖尿一歩手前だからね!!」

 

なら何だというのだ。私は首を傾げて、銀に問う。

 

「お前、さっき咳き込んでたろ」

 

銀の真剣な声に納得がいった。そうか、あれが原因か。だが、あれは特にどこが悪いからという理由では無いので、病院へ言っても医者が困ると思う。

 

「銀、大丈夫」

 

「んなはずねェだろ。あんなに苦しそうに咳き込んで」

 

「違う。あれは技の反動。だから、問題ない」

 

「技?・・・鬼を狩るためのか?」

 

「ん」

 

呼吸とは、肺にたくさんの酸素を送り込んで身体能力を極端に上げるために編み出された技だ。

人間の身体能力を遥かに凌駕する鬼を狩るには、その鬼と同等もしくは上の身体能力でなければならない。そのため、人間のまま鬼のように強くなれる方法が必要だった。そこで使われ始めたのが呼吸だ。それぞれの体つきに合った技を派生させ、最後には頸を斬れるように、その瞬間まで体をもたせるために──

 

「鬼は特殊な刀で頸を斬るか、日に当てなければ決して死なない。ましてや、能力は格段に鬼が上」

 

「鬼のように強くなる技ってか・・・」

 

「この技は"呼吸"。肺に酸素をたくさん送り込んで身体能力を上げる。さっきのは無理な体制で使ったから、酸素が体の中で渋滞して体が混乱しただけ」

 

「・・・体はどこも悪くないんだな?」

 

「ん」

 

最終的に銀が知りたかったのはそこなのだろう。数刻前の浮気事件が霞むほどに、愛されていると自覚できる。良かったとつぶやき、抱きしめられる。もちろん抱き抱えられたままなので、逃げ場はない。く、苦しい。

 

「それより銀、新八とあの()は?」

 

「・・・美桜、そこらのコンビニでジャンプ売ってると思うか?」

 

「んん、売り切れ」

 

あれほど人気の雑誌だ。もう既に売り切れているだろう。

 

「だよなァ・・・駅にならあるかもな・・」

 

「ふふっ、私もそう思う」

 

まったく、どこまで不器用なのだろう。私は銀の優しさに頬が緩んだ。

 

 

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急いで原チャリを拾いに行き、駅へ向かった。電車と並行して走るように銀が原チャリを、走らせる。真っ先に聞こえてきたのは新八の叫び声で、曰く電車が来たのは()()()()()()()()()()()()らしい。これも後で銀に聞いておこう。というか、二人がいるの線路の上ではなかろうか。・・・うん、やっぱりそうだ、このままだとあの二人引かれる、電車に。

 

「銀」

 

「ったく手間かけさせんじゃねーよ!!」

 

「銀さん!!」

 

「歯ァくいしばれっ!!美桜はしっかり捕まってろよ」

 

「ん」

 

言われた通りに銀にしっかりしがみつく。すぐに銀は木刀を振り上げたのが分かった。銀は、二人を助けるために殴り飛ばすようだ。

 

「え!?ちょっ・・・待ってェェ!!」

 

大丈夫だ、新八。電車にはねられるよりはマシだよ。痛いのは少しの間だけだから。ん?これは助けたうちに入るのだろうか。

 

「ぎぃやぁあああああああ!!」

 

なんというか・・・・

 

うん。

 

 

 

 

 

 

 

新八、お疲れ様。

 

 

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「助けにくるならハナから付いてくればいいのに。わけのわからない奴ネ・・・シャイボーイか?」

 

「いや、ジャンプ買いに行くついでにな。美桜が気になるって言うからよ。死ななくてよかったね〜。美桜、ジャンプ読んでやるからな〜」

 

「ん」

 

「僕らの命は二百二十円にも及ばないんですか」

 

「おっ。電車来たぜ、早く行け。そして二度と来るな災厄娘。美桜はどれがいい?最初は王道の●ンピースにしとくか?」

 

銀、新八の話を聞いてあげて。すごく可哀想。

え、いろんな技が出てくるのがあるの?何?なると?へぇー、それ読んでほしいかな。

 

「そうしたいのはやまやまアルが、よくよく考えたら故郷に帰るためのお金もってないネ。だからも少し地球(ここ)に残って金ためたいアル。ということで、お前のところでバイトさせてくれアル」

 

瞬間、銀のジャンプが裂けた。

 

「じょっ・・・冗談じゃねーよ!!なんでお前みたいなバイオレンスな小娘を・・・」

 

次に、疾風が吹いた。壁が壊れる音と共に。どうやら、この神楽という少女が壁を殴ったようだ。

 

「なんか言ったアルか?」

 

「「言ってません」」

 

銀と新八の声が同時に聞こえた。どうやら、新しい万事屋の一員が増えたらしい。

 

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「で、お前はどこに住むわけ?」

 

万事屋で机を囲むようにして座り、銀が開口一番そう言った。隣には銀が、向かいには新八と神楽が座っている。

 

「もちろんここアル」

 

「ふざけんな!!言うと思った!言うと思った!!でも、ここは銀さんと美桜の家ですぅ!お前は新八の家にでも行け!!」

 

神楽の答えに銀は叫びとも言える声で答えた。一体どうしたというのだ。というか、神楽は帰る場所がないのだろうか。

 

「神楽、家、ないの?」

 

「そうアル」

 

「ま、まさか・・・」

 

そう、そのまさかですよ、銀。女の子なんだし、いいじゃないか。私はにぎやかなのは嫌いじゃない。

 

「ここに住むといい」

 

「やっぱり・・・だよなァ・・・それが美桜だよなァ・・・」

 

「いいアルか!?優しいネ!!名前なんて言うアル?」

 

机をバンッと叩いて、立ち上がる神楽。余程嬉しいようだ。

 

「美桜」

 

「美桜・・・美桜姉!そう呼ぶアル!よろしくアル!美桜姉!」

 

「ん」

 

きっと、神楽は満面の笑顔で周りに花が咲いているのだろう。可愛い。夏羽を思い出したのは内緒だ。

 

「はァァァ・・・美桜がそう言うなら仕方ねェな。邪魔すんなよ、色々と」

 

銀からも許可がおりた。正式に万事屋の家族となった神楽。私はその容姿を知るために新八と同じことをしようと試みる。

 

「神楽」

 

名前を呼んで、手招く。神楽は「何アルか?」と嬉しそうに近寄ってきた。

私はそのまま立ち上がり、神楽の頭に手を乗せる。そこで初めて神楽との身長差がはっきりした。

 

「神楽、私より小さい」

 

だいたい・・・十センチ程だろうか。

 

「・・・え」

 

頭に乗せた手を側頭部に移動させて、頭に飾りをつけていることも分かった。

 

「コレは?飾り?髪はコレで纏めてるの?」

 

両脇でお団子にしている華奢な体だと分かり、私はソファに腰を下ろした。こんなに小さい体のどこに壁を割るほどの力があるのだろうか。

 

「・・・え・・・・え?」

 

「美桜、また悪い癖が出てるぞ」

 

混乱する神楽を見て、銀に頭を撫でられた。私の悪い癖・・・。少し考えて、私は両手で顔を覆った。やってしまった・・・・。私の悪い癖、それは気になったものには、手を出してしまうというものである。目が見えないため、物事や人相を知るために触って確かめようとしてしまうのだ。銀や新八を初めとして、お妙(本人から年下だから"さん"をつけないでと言われた)という周りの人物含め、スーパーでの買い物や散歩ですれ違う猫など、様々なものに触れてしまう。

 

「・・・ごめん、神楽」

 

「どういうことアル?」

 

「美桜は目が見えねェんだよ」

 

銀の言葉を肯定するように頷いた。神楽が息を飲んで驚いているのが分かる。私は神楽の小さな丸い頭に手を伸ばした。

 

「大丈夫。大抵の事は一人でできる。銀がいるし、新八も、これからは神楽もいる。だから心配しなくていい。ね?」

 

安心できるように、できる限り優しく頭を撫でる。いつも銀がしてくれるように。

 

「珍しいな〜。美桜が笑うなんて」

 

「僕、初めて見ましたよ」

 

「美桜姉、可愛いアル!」

 

飛びつく勢いで神楽が抱きついてきた。私は慌てて神楽の体を支える。そして気づいた。

 

私は笑っていたのだ、と。

 

銀の口ぶりから察するに、私は数回は笑っていたのだろう。自覚もなしに笑っていたのは・・・恥ずかしい・・・。私は何で笑っていたのだろうか。

 

「美桜の満面の笑みはヤベぇからな。マジで可愛いぞ」

 

「んな事見れば分かるアル。というかお前、美桜姉とどんな関係アルか?」

 

「それこそ見れば分かんだろーが。俺と美桜ちゃんはラブラブのカップルですぅ」

 

「・・・・・・・・・美桜姉、悪いことは言わないネ。乗り換えた方がいいアル」

 

とても心配そうに言う神楽。どういうことだろうか、私は結構かなり大事にされている。今日なんて咳をしただけで病院に連れていかれそうになった。

 

「どうゆう意味だクソガキ!!」

 

「そのまんまアル!!お前に美桜姉はもったいないネ!私が嫁に貰うアル!!」

 

「誰がやるか!!」

 

「二人とも静かにしてください!!美桜さんが困ってるじゃないですか!!」

 

新八の言う通り、私は二人に挟まれてオロオロとしていた。二人の会話の意図が汲み取れず、ひたすらに二人を交互に見ていた。

 

「「うるっせぇんだよ眼鏡!!」」

 

「んだとコラァァァ!!」

 

なんということだ。今度は三つ巴・・・というか新八が一方的に二人に殴られている。すぐにおさまると思って止めなかったのだが、三分ほどたっても終わらない。仕方ないので私が止めに入る。

 

「はぁ・・・いい加減にして。うるさい・・・」

 

木刀を抜いて、手の腹をトントンと叩く。私は目が見えないから、その他の五感が他の人より群を抜いて優れていると言えるだろう。だから、人混みなどの不特定多数の気配や音、匂いを感じると体調が悪くなる。大きさもまた(しか)りだ。

 

(なのに・・・ギャーギャーギャーギャー・・・)

 

はっきり言おう・・・かなり怒ってます。

 

「何か、言うことは?」

 

「「「大変申し訳ありませんでした」」」

 

「ん。にぎやかなのは好きだけど、限度がある」

 

「「「その通りです」」」

 

何故か自然と三人は正座をして、私の前に座っていた。ちなみに、私は木刀を杖のようについて立っていた。

 

この後、銀に嫌というほど甘やかされることとなる。

 

 

 

***

 

「銀ちゃん」

 

「ん?」

 

「美桜姉、怒るとすんごい怖いアルな・・・」

 

「バカヤロー。それも見れば分かんだろーが・・・」

 

 

 

 

 

 

 

↑さらにこの後、神楽が新八の家に泊まりに行って、銀に昼間の説教と仕置きをされるのは、また別の話。

 

 




金魂篇と性別逆転篇を早く書いてみたい・・・

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