誤字脱字あると思うのヨ。
テスト、色んな意味で終わったのヨ・・・
_( 」∠)_バタッ
「おかわりヨロシ?」
「てめっ何杯目だと思ってんだ。ウチは定食屋じゃねーんだっつーの。ここは酒と健全なエロをたしなむ店・・・親父の聖地スナックなんだよ。そんなに飯食いてーならファミレス行って、お子様ランチでも頼みな!!」
「ちゃらついたオカズに興味ない。たくあんでヨロシ」
「食う割には嗜好が地味だなオイ!ちょっとォ!!銀時!!美桜!!何だいこの娘!!もう5合も飯食べてるよ!!どこの娘だい!!」
「5合か・・・まだまだこれからですね」
「もうウチには砂糖と塩しかねーもんな。美桜、大丈夫か?」
「ん。平気」
この状況を説明すると、しなくてもわかるだろうが、ウチに新たなる問題が発生した。金欠に加え、食費が今までの倍以上に膨れ上がったのだ。というのも、夜兎は大変な大食らいなため、それに属する神楽もそれに漏れず、まあ食べる食べる。一度、甘露寺と食べ比べをして欲しいと思うほどに、それはもうたくさん食べる。
これにより、元からカツカツだった万事屋の生計が赤字に染まった。赤字を超えて血で書きなぐりたくなるほどに赤くなった。
その結果、銀や新八がどんどん憔悴していっている。さっきから、二人ともソファにぐったりげっそり座り込んでいる。ちなみに私は、任務と鍛錬で食べないことが一週間続くこと普通にもあったので、水と塩があれば平気だ。なのでピンピンしている。
「ちょっと、誰か、止めてェェェ!!」
ごめんなさい、お登勢さん。死活問題なんです。
お登勢さんの叫び声に謝りつつ、私は手元のお茶を啜った。
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「へェ〜。じゃあ、あの娘も出稼ぎで
「オレだって好きで置いてる訳じゃねぇよ。あんな胃拡張娘──」
─ガシャン─
「なんか言ったアルか?」
「「言ってません」」
銀が神楽の悪口を言った瞬間、何かが銀の頭にぶつかった。物の飛んできた方向からして、神楽だろう。だから、特に止めることはしなかったのだが・・・
「いだだだ」
「銀、大じょ「アノ、大丈夫デスカ?」・・・・」
銀に声をかけようと口を開いたが、横から誰かが声をかけてきた。
・・・・誰?
「コレデ頭冷ヤストイイデスヨ」
「あら?初めて見る顔だな、新入り?」
「ハイ、今週カラ働カセテイタダイテマス。キャサリン言イマス」
スナックの新入り、キャサリンさんが銀に何かを手渡した。おそらく、おしぼりだ。なら、私が手を出す必要もないと思い、銀の頭に伸ばしかけた手を下ろした。・・・少し、胸がモヤモヤする。何だろうか、コレは。
「・・・っ!」
手を机に下ろしたのがいけなかった。手に小さな痛みが走った。すっかりガラスの破片のことを忘れていた私は、机に散らばる破片で手を切ってしまったのだ。
懐かしい鉄の匂いとヌルッとした生暖かいものが手を伝う。
その感触に嫌気がさして、私は心の中でため息をついた。銀の怪我を心配して、結局血を流してるのは自分じゃないか。
(・・・私は、何もしてあげられない)
銀が怪我したとき、一番に駆けつけるのは私でありたい。傷の手当をするのも、そばに寄り添うのも、治って良かったと共に喜ぶのも、常に私でありたい。
けど、それは私の自己満足以外の何物でもないのだ。その時、私がそばにいて何ができる?
私だけでは、手当ても、そばに行くことも、本当に治っているのかさえ分かりはしない。
結局、私は何もできずに棒立ちするしかないのだろう。手を出したところで、今のように自分が血を流して、誰かの手を煩わせる。足でまといだけは、御免だ。
「ちょっ、美桜さん、血出てますよ!」
「平気。今止血する」
いけない。自業自得で怪我を負い、さらには心配をかけるなど。柱として、あってはならない失態だ。やはり、私は甘えすぎていたのかもしれない。銀に、頼りすぎていたのかもしれない。
自分の膝の上の怪我をしていない手を強く握りしめる。己の不甲斐なさに加え、自分の存在自体が嫌になる。久しぶりの感覚だ。
(・・・違う。今は止血・・・心配をかけてはいけない・・・)
口を開き、肺に空気を送り込む。全身が熱くなり、特殊な呼吸音が空気を震わせる。今、集中するのは手の指先一点のみ。全ての神経を指に集中させて、指の止血を行った。だが、少し、ほんの二・三秒だが治りがいつもより遅い。
(・・・止まるには止まった。けど、何で・・・?)
自分の手を見て、ひたすら頭を回転させる。
何故、いつもより遅かった?
呼吸の精度が落ちていた?
なら、どう改善させるべきだ?
空気の薄い山に籠るか?
いや、それより全集中・常中を常に行った方が効率的か?
だが、最近は剣技の鍛錬もしていない。
どうするべきだ。何が足りない。力がないのは、努力が足りないからだ。なら、努力をすればいい。あとは何が足りない。思考か?なら、本でも読んで・・・ダメだ。私は目が見えない。
(・・・目・・・)
目とは何のためにあるのだろう。ものを見るためか。なら、役目を果たさない、この目は必要か。私の体は今、この使えない目にも栄養と酸素を送っている。それを守る瞼にも。
無駄。
役目を果たさない部品に、価値はない。
無駄。
いっそ、潰してしまおうか。
無駄。
抉って売れば、金にもなるのか。
無駄。
何の役にもたたない、こんなに汚い目など──
『紅い花の色。私は好きですよ』
『私も!お姉ちゃんの瞳、大好き!』
──駄目だ。捨てては行けない。
褒めてもらったのだ。
家族に、仲間に、お館様に、先生に、夏羽に、銀に。
なら、どんなに自分が嫌いでも、持っていなくては。
大切な人たちが好きだと言ってくれた物を、価値を見いだしてくれた物を、私も大切にしなければ。
「──さん!──ぃおさん!美桜さん!!」
「ん?」
「ん?じゃないですよ。どうしたんですか?十秒くらい、じっと手を見つめてましたけど」
「何でもない。考え事」
「そうですか。はい、血は止まったみたいですけど、これで結んでおいてください。菌とか入ったら怖いですし」
そう言って手渡されたのは綺麗に畳まれたハンカチだ。私が色々と考えていたのは、どうやら十数秒のことだったようで安心した。銀にも知られていない、私のもう一つの悪い癖。私の頭の回転速度はかなり早い。今のように、何気ない日常の中でも考え込むことは少なくないのだ。常に悪い方への思考が止まない。夏羽にも何度も治せと言われたが、おそらく死んでも治らない。死んだ自分が言うのだ、絶対に治らない。
「ありがとう、新八」
だけど、悟られてはいけない。私の考えていることは何の役にもたたない。誰かを救うわけでもない。なら、己で消化しなければ。
「大丈夫ですか?一人でできます?」
「平気」
新八にそう答えるが、モタモタしてなかなか結べない。・・・おかしい、鬼殺隊に入ってから両利きにしたはずなのに。どうにも今日はダメな日だ。何度も縛ろうとするが、思うように結べない。
「貸してください。僕がやりますから」
「ん。ありが「美桜!?」
新八にハンカチを差し出そうとしたが、銀の焦った声に遮られた。そして、すぐに怪我をした方の手を取られる。
「怪我したのか?気づかなくて、ごめんな」
「平気。止血はすぐにした」
「そーじゃねぇの」
なら、どうなのだ。私は、銀の考えがわからず首をかしげた。
銀はテキパキと優しくハンカチを結んでくれた。戦争の経験もあるからか、手際がいい。
(・・・私も、目が見えれば・・・)
目さえ見えれば、私も手当てはできるはずだ。鬼殺隊の経験も役立てられる。のに、目が見えないのがこれ程辛く、歯痒いとは。
「・・・・・」
「美桜?」
これほど優しくしてくれるのに、私は何も・・・
「美桜、ホントにどうし──」
「すんませーん。あの、こーゆもんなんだけど。ちょっと捜査に協力してもらえない?このへんでさァ、店の売り上げ持ち逃げされる事件が多発しててね。なんでも犯人は不法入国してきた天人らしいんだが、この辺はそーゆー労働者多いだろ。何か知らない?」
銀が何か言おうとしていたが、知らない男の声に遮られた。話の内容からして、警察だろう。
銀は私に何か聞こうとしていたようだから、遮ってくれて助かった。
「ウチはそんな悪い娘雇ってな・・・」
お登勢さんが警察の人に帰ってもらおうと口を開くが──
──ブォンブォンブォン──
聞いたことのある・・・というか、ほぼ毎日聞いているエンジン音が外から聞こえてきた。
これ、ウチの原チャリの音じゃ・・・
「アバヨ、腐れババア」
新入りさんの声とともに、エンジン音が遠のいていく。
あの、だから、それ、ウチの原チャリじゃ・・・
「美桜、俺らが行ってくる。大人しく待ってろよ」
私の頭を一撫でして、返事を聞かずに三人で出ていってしまった。残ったのは私とお登勢さん。私は黙ったまま、三人が走っていった方を見つめていた。
「美桜、アタシは行くけど・・・アンタはどうする?」
「・・・もちろん、行きます」
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=side:銀時=
「ねェ!とりあえず落ち着こうよ二人とも。僕らの出る幕じゃないですってコレ。たかが原チャリや傘でそんなにムキにならんでもいいでしょ」
「新八、俺ぁ原チャリなんてホントはどーでもいいんだ。そんなことよりなァ、シートに美桜との大切なツーショットが入ってんだよ。美桜は恥ずかしがりだから、二人で撮ったのなんてアレ一枚しかねーんだ。どーしよう」
「アンタの行く末がどーしようだよ!!・・・美桜さん、大丈夫だったんですか?何か考え込んでましたけど」
この眼鏡、鋭いところがあるなオイ。
美桜の怪我に気づかなかったのは確かだが、そんなことで美桜が怒るはずはない。むしろ隠そうとするはずだ。
ならどうして、あんな顔をしていたのか。
手当てを受けている時の美桜の顔は一見無表情に見えた。が、俺にはどうしても、泣くのを堪えているようにしか見えなかった。
美桜のことだから、大方予想は着く。それは、自分にとってはあまりに些細なこと。だが、もし逆の立場だったらと考えると、とても重い感情になる。
その不安をどう拭おうか。考えている間に、神楽の荒い運転で頭を窓ガラスにぶつけた。
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❀side:美桜❀
「そこまでだよ、キャサリン!!残念だよ。あたしゃアンタのこと嫌いじゃなかったんだけどねェ。でもありゃあ、偽りの姿だったんだねェ」
現場について、口を開いたのはお登勢さん。水の音がするから川の近くだろう。焦げ臭い気もする。そういえば、銀は何でここまで来たのだろう。姿が見えない。ウチの原チャリのエンジン音も近い。警戒しておかなくては。
「お登勢サン・・・アナタ馬鹿ネ。世話好キ結構。デモ度ガ過ギル。私ノヨウナ奴ニツケコマレルネ」
キャサリンはそう言うけど、私はお登勢さんのそういうところ好きだ。私みたいな者を迎えてくれたし、面倒見てくれたし。
「こいつは性分さね、もう直らんよ。でも、おかげで面白い連中とも会えたがねェ」
お登勢さんは過去の出会いを話し始めた。
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お登勢さんが語ったのは、きっと、銀との出会いの話だ。今も昔も変わらない。やはり、銀は銀なんだ。銀のことを少し知れて、僅かに胸が高鳴った。
「・・・・」
胸の前で手を握りしめた直後、激しいエンジン音が耳に届く。さらに音が大きくなり、橋が揺れる。こちらに走ってきているようだ。
私はお登勢さんとキャサリンさんの間に立った。木刀を抜いて、基本の構えを取る。
「・・・・いいのかい?」
「銀が守るものは、私も守る」
木刀を握る手に力を込める。指先の傷が開き、微かな血の匂いが鼻をかすめた。が、気にせずもっと力を込める。
あとで銀に怒られるかも。・・・仕方なかったって言おう。
原チャリとぶつかる直前、勢いよく川から何かが飛び出してきた。続いてゴンッと鈍い音。どうやら、銀が川から飛び出してきてキャサリンさんを殴ったようだ。銀、川で何してたの?
私が首を傾げた頃には、キャサリンさんは気を失って倒れていた。
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=side:銀時=
「今日は世話んなったからね。今月の家賃くらいはチャラにしてやるよ」
「マジでか?ありがとうババァ。再来月は必ず払うから」
「なに、さりげなく来月スッ飛ばしてんだ!!・・・銀時、美桜が何か悩んでるようだったよ。明日の美桜の顔によっては、再来月まで待ってやらんこともない」
ババアの言葉を聞きながら、橋の端で新八と神楽に手当てされている美桜を見る。どうやら、先ほどの傷が開いたらしい。だが、その顔は痛そうには見えず、それでいて曇って泣き出しそうに見える。
「・・・んなこと、言われんでも分かってらァ。来月まで首長くして待ってろクソババア。・・・おい、帰ェるぞー」
いつもの悪態をつきながら、俺はアイツらに声をかける。
さてと、どーしますかねぇ。
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❀side:美桜❀
銀に手を引かれ、万事屋に向かう。いつもと変わりないようだけど・・・・・なんか、通る道がバッキバキのボロボロになっている。何かの痕跡なのだろう。でも、銀はもちろん、神楽と新八も答えてくれない。何故?
そして、ようやく万事屋に到着。階段を上るとき、何故か銀に抱かれた。いつものように横で。足は疲れてないし、階段も登れる。なのに何故?
私は銀の雰囲気が少し変わっていることに気づき、焦りだした。
「神楽ちゃん、散歩に行こっか」
「おうネ」
感情に機敏な二人、早々に逃走。速い。あまりにも速すぎる。脱兎の如く、階段を一段も登らず散歩という名の逃亡。
置いていかれた・・・
銀は何も言わず階段を登り、玄関を通って、私を抱いたままソファに腰を下ろした。静かな部屋で二人きり。お互いの呼吸と衣服の擦れる音しかしない。とても久しぶりの感覚だ。
「美桜、どうした?」
「何でもない」
どうかしたのか?ではなく、どうした?と確定系で聞かれた。
どうして。なぜバレた。考えている時間が長いから?表情は変えていないはず。
「美桜、俺にバレてないと思ってんの?」
「何も隠してない」
バレて、また面倒をかけるのか。それだけは避けたい。ただでさえ、足でまといで手を煩わせているのに。さらに心労をかけるのか。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
私は迷惑をかけてはいけない。
強くなければ。
守らなければ。
先生との約束を。お館様との誓いを。
仲間を、家族を、大切なものを。
護らなければ。
「──お!─ぃお!美桜!!」
「ん?」
どうやら、また考え込んでいたようだ。気づかれないように、何ともないように、返事をする。
「ごめん、ボーッとしてた」
「・・・・だからァ、それで誤魔化せると思ってんの?」
まずい。銀が少し苛立ってきている。かなりまずい。
(・・・?)
何が・・・まずい?
何が駄目なのだろう。何で銀を怒らせるのは駄目なのだ。
夜の仕置きが嫌だから?
面倒だから?
そもそも、何で私は銀の傍にいたいと思ったのだろう。
寝れたから?
寝床のため?
衣食住を提供してくれたから?
自分にとって都合が良かったから?
(・・・違う)
それはきっと、私が彼を好きだから。
強いところも、過保護なところも、甘いのが好きなところも、意外と弱いところも、彼の全てを愛してるから。
(嫌われたくない)
彼に突き放されたら、私は、どうなるのだろう。ほとんど知らない、この世界で路頭に迷い、野垂れ死ぬのか。そこらの人斬りに斬られるのか。
(違う・・・)
銀の顔へ両手を伸ばす。
そこにいるのを確かめるために。自分を抱いているのが愛しい人だと確かめるために。
「美桜?」
私が一番怖いのは、この人の隣に自分ではない誰かがいることだ。
『力』
この一点において、私はこの世界の誰にも負ける気はしない。でも、それを覆すほどの
『視力』
生活する上で、人間が最も酷使する五感。どれほど力を有していても、どれほど身を削り守ろうとも、そこらにいる
傍にいれば、確実に枷になる。
あなたの傍にいたい。
あなたのことを守りたい。
あなたの傍に駆け寄りたい。
あなたの手当てをしてみたい。
あなたの顔を見てみたい。
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=side:銀時=
俺の頬に手を伸ばし、俯いたまま何も言わず、動きもしない。心なしか、手が震えているようにも感じる。
おそらく美桜は、自分の目が見えないことで悩んでいるのだろう。大方、俺の手を煩わせてるとか、迷惑をかけてるとか、足でまといだとか。自分を卑下する言葉を自分に投げつけている。
そんなこと、天地がひっくり返り地獄から鬼が出てきてもありえないのに。
己を卑下し、他人の害になろうものなら否が応でも離れようとするだろう。心の優しい美桜のことだ、想像は着く。仕事柄と性格を見る限り、懐に入れても、奥の奥へ入り込まない限りは悩みを話されることは無い。周りに相談もせず、今までやってきたのだろう。己を犠牲にし、身を削り、人の命を守ってきたのだろう。
なんと健気で、優しい。それでも、最後は・・・
頬に伸ばされた手に、自分の手を重ねる。
これほど愛しく想えるのは、
「美桜」
綺麗な髪を梳くように頭を撫で、名を呼ぶ。ピクリと肩を震わせて、ゆっくりと顔を上げる。きっとこれも、俯いたままでは不審がられると思っての行動。本当なら、俯いたままでいたいのだろう。
その顔は変わらず無表情。でも、どうしても、俺には泣くのを堪えているように見えてならない。
「まだ・・・目のこと気にしてんのか?」
「・・・・・」
僅かに目を見開き、すぐに元の無表情に戻る。何も話さないままかと思ったが、美桜は口を開いた。
「今までは平気だった。・・・・平気なフリ、してた」
「目が見えないのを・・・か?」
「でも今日、思った。銀が怪我したら?私は何もしてあげられない。傍にいても手当てをする人の邪魔になる。傍にもいれない。目が見えていれば、銀に駆け寄って抱きつけるし、銀の傍にいれる。怪我に気づくことも、手当てだってできる」
話す度に手が震え、無表情だった顔に表情が生まれていく。
「何より──」
そこで言葉を切り、頬にある手に力が込められる。
「銀の顔を見ることができる」
その言葉と同時に、美桜の目からは涙が零れ落ちた。赤い瞳が涙で潤み、果実のように鮮やかな色になる。ホロホロと涙を流す美桜は、とても綺麗だった。
綺麗なのだ。それなのに、自分の顔が歪むのを止められない。
胸が痛い。この雫をとめたい。
「っ・・・一度でいいっ・・・・一度だけで、いいからっ・・・」
「っ」
美桜の腕を引き、できる限り力強く抱きしめる。すぐに美桜も背中に手を回して抱きしめてくれる。
「ごめん、ごめんなさい。私は何もできないっ・・・銀の力に・・・なれないっ・・・・!」
「バカなこと言うな。美桜がいるから真っ直ぐ生きれる、生きていこうと思えんだ。それに、俺ァ美桜を愛してる。隣にいてくれんなら、それだけで俺の力になんだよ。それだけで、幸せだ」
「・・・・っ!」
「美桜は?俺といて幸せじゃねェの?」
「・・・・幸せ」
「だろ。顔なんて見なくてもいいんだ。表情が知りたいなら、ずっと触ってろ。触って、俺がどんな顔をしてるのか確かめればいい」
体を離して、美桜の両手を頬に当てる。その上から、自分の手も重ねて。
「ほら、分かるだろ?」
「・・・笑ってる」
「そ。俺は美桜といれて幸せだから笑える。だから、俺の力になってないはずないんだよ」
「・・・・ん」
変わらず涙を流したまま、美桜はフワリと微笑んだ。雨上がりの花畑のようにキラキラと輝くその笑顔に、俺もまたつられて微笑み返す。
「銀」「美桜」
お互いの頬を優しく包み、微笑み合う。
「「愛してる」」
キャサリンの
登場回が
重すぎワロタ
"蝶華"