銀色に懐いた最強の白   作:マリユリ

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書き上げ、急いだのヨ。
誤字脱字あると思うのヨ。

テスト、色んな意味で終わったのヨ・・・
_( 」∠)_バタッ




第四訓 第一印象がいい奴にロクな奴はいない──そうなの、銀?私はどうだった?・・・言えないんだ・・・へぇー・・・。私?銀の第一印象は・・・・強い人・・・かな。

 

「おかわりヨロシ?」

 

「てめっ何杯目だと思ってんだ。ウチは定食屋じゃねーんだっつーの。ここは酒と健全なエロをたしなむ店・・・親父の聖地スナックなんだよ。そんなに飯食いてーならファミレス行って、お子様ランチでも頼みな!!」

 

「ちゃらついたオカズに興味ない。たくあんでヨロシ」

 

「食う割には嗜好が地味だなオイ!ちょっとォ!!銀時!!美桜!!何だいこの娘!!もう5合も飯食べてるよ!!どこの娘だい!!」

 

「5合か・・・まだまだこれからですね」

 

「もうウチには砂糖と塩しかねーもんな。美桜、大丈夫か?」

 

「ん。平気」

 

この状況を説明すると、しなくてもわかるだろうが、ウチに新たなる問題が発生した。金欠に加え、食費が今までの倍以上に膨れ上がったのだ。というのも、夜兎は大変な大食らいなため、それに属する神楽もそれに漏れず、まあ食べる食べる。一度、甘露寺と食べ比べをして欲しいと思うほどに、それはもうたくさん食べる。

これにより、元からカツカツだった万事屋の生計が赤字に染まった。赤字を超えて血で書きなぐりたくなるほどに赤くなった。

その結果、銀や新八がどんどん憔悴していっている。さっきから、二人ともソファにぐったりげっそり座り込んでいる。ちなみに私は、任務と鍛錬で食べないことが一週間続くこと普通にもあったので、水と塩があれば平気だ。なのでピンピンしている。

 

「ちょっと、誰か、止めてェェェ!!」

 

ごめんなさい、お登勢さん。死活問題なんです。

お登勢さんの叫び声に謝りつつ、私は手元のお茶を啜った。

 

 

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「へェ〜。じゃあ、あの娘も出稼ぎで地球(ここ)に。金欠で故郷に帰れなくなったところを美桜が預かるって言ったわけ・・・銀時、アンタ家賃もロクに払えないのに大丈夫なのかい?」

 

「オレだって好きで置いてる訳じゃねぇよ。あんな胃拡張娘──」

 

─ガシャン─

 

「なんか言ったアルか?」

 

「「言ってません」」

 

銀が神楽の悪口を言った瞬間、何かが銀の頭にぶつかった。物の飛んできた方向からして、神楽だろう。だから、特に止めることはしなかったのだが・・・

 

「いだだだ」

 

「銀、大じょ「アノ、大丈夫デスカ?」・・・・」

 

銀に声をかけようと口を開いたが、横から誰かが声をかけてきた。

・・・・誰?

 

「コレデ頭冷ヤストイイデスヨ」

 

「あら?初めて見る顔だな、新入り?」

 

「ハイ、今週カラ働カセテイタダイテマス。キャサリン言イマス」

 

スナックの新入り、キャサリンさんが銀に何かを手渡した。おそらく、おしぼりだ。なら、私が手を出す必要もないと思い、銀の頭に伸ばしかけた手を下ろした。・・・少し、胸がモヤモヤする。何だろうか、コレは。

 

「・・・っ!」

 

手を机に下ろしたのがいけなかった。手に小さな痛みが走った。すっかりガラスの破片のことを忘れていた私は、机に散らばる破片で手を切ってしまったのだ。

懐かしい鉄の匂いとヌルッとした生暖かいものが手を伝う。

その感触に嫌気がさして、私は心の中でため息をついた。銀の怪我を心配して、結局血を流してるのは自分じゃないか。

 

(・・・私は、何もしてあげられない)

 

銀が怪我したとき、一番に駆けつけるのは私でありたい。傷の手当をするのも、そばに寄り添うのも、治って良かったと共に喜ぶのも、常に私でありたい。

けど、それは私の自己満足以外の何物でもないのだ。その時、私がそばにいて何ができる?

私だけでは、手当ても、そばに行くことも、本当に治っているのかさえ分かりはしない。

結局、私は何もできずに棒立ちするしかないのだろう。手を出したところで、今のように自分が血を流して、誰かの手を煩わせる。足でまといだけは、御免だ。

 

「ちょっ、美桜さん、血出てますよ!」

 

「平気。今止血する」

 

いけない。自業自得で怪我を負い、さらには心配をかけるなど。柱として、あってはならない失態だ。やはり、私は甘えすぎていたのかもしれない。銀に、頼りすぎていたのかもしれない。

自分の膝の上の怪我をしていない手を強く握りしめる。己の不甲斐なさに加え、自分の存在自体が嫌になる。久しぶりの感覚だ。

 

(・・・違う。今は止血・・・心配をかけてはいけない・・・)

 

口を開き、肺に空気を送り込む。全身が熱くなり、特殊な呼吸音が空気を震わせる。今、集中するのは手の指先一点のみ。全ての神経を指に集中させて、指の止血を行った。だが、少し、ほんの二・三秒だが治りがいつもより遅い。

 

(・・・止まるには止まった。けど、何で・・・?)

 

自分の手を見て、ひたすら頭を回転させる。

何故、いつもより遅かった?

呼吸の精度が落ちていた?

なら、どう改善させるべきだ?

空気の薄い山に籠るか?

いや、それより全集中・常中を常に行った方が効率的か?

だが、最近は剣技の鍛錬もしていない。

どうするべきだ。何が足りない。力がないのは、努力が足りないからだ。なら、努力をすればいい。あとは何が足りない。思考か?なら、本でも読んで・・・ダメだ。私は目が見えない。

 

(・・・目・・・)

 

目とは何のためにあるのだろう。ものを見るためか。なら、役目を果たさない、この目は必要か。私の体は今、この使えない目にも栄養と酸素を送っている。それを守る瞼にも。

 

無駄。

 

役目を果たさない部品に、価値はない。

 

無駄。

 

いっそ、潰してしまおうか。

 

無駄。

 

抉って売れば、金にもなるのか。

 

無駄。

 

何の役にもたたない、こんなに汚い目など──

 

 

 

 

『紅い花の色。私は好きですよ』

 

『私も!お姉ちゃんの瞳、大好き!』

 

 

 

 

 

 

──駄目だ。捨てては行けない。

褒めてもらったのだ。

家族に、仲間に、お館様に、先生に、夏羽に、銀に。

なら、どんなに自分が嫌いでも、持っていなくては。

大切な人たちが好きだと言ってくれた物を、価値を見いだしてくれた物を、私も大切にしなければ。

 

「──さん!──ぃおさん!美桜さん!!」

 

「ん?」

 

「ん?じゃないですよ。どうしたんですか?十秒くらい、じっと手を見つめてましたけど」

 

「何でもない。考え事」

 

「そうですか。はい、血は止まったみたいですけど、これで結んでおいてください。菌とか入ったら怖いですし」

 

そう言って手渡されたのは綺麗に畳まれたハンカチだ。私が色々と考えていたのは、どうやら十数秒のことだったようで安心した。銀にも知られていない、私のもう一つの悪い癖。私の頭の回転速度はかなり早い。今のように、何気ない日常の中でも考え込むことは少なくないのだ。常に悪い方への思考が止まない。夏羽にも何度も治せと言われたが、おそらく死んでも治らない。死んだ自分が言うのだ、絶対に治らない。

 

「ありがとう、新八」

 

だけど、悟られてはいけない。私の考えていることは何の役にもたたない。誰かを救うわけでもない。なら、己で消化しなければ。

 

「大丈夫ですか?一人でできます?」

 

「平気」

 

新八にそう答えるが、モタモタしてなかなか結べない。・・・おかしい、鬼殺隊に入ってから両利きにしたはずなのに。どうにも今日はダメな日だ。何度も縛ろうとするが、思うように結べない。

 

「貸してください。僕がやりますから」

 

「ん。ありが「美桜!?」

 

新八にハンカチを差し出そうとしたが、銀の焦った声に遮られた。そして、すぐに怪我をした方の手を取られる。

 

「怪我したのか?気づかなくて、ごめんな」

 

「平気。止血はすぐにした」

 

「そーじゃねぇの」

 

なら、どうなのだ。私は、銀の考えがわからず首をかしげた。

銀はテキパキと優しくハンカチを結んでくれた。戦争の経験もあるからか、手際がいい。

 

(・・・私も、目が見えれば・・・)

 

目さえ見えれば、私も手当てはできるはずだ。鬼殺隊の経験も役立てられる。のに、目が見えないのがこれ程辛く、歯痒いとは。

 

「・・・・・」

 

「美桜?」

 

これほど優しくしてくれるのに、私は何も・・・

 

「美桜、ホントにどうし──」

 

「すんませーん。あの、こーゆもんなんだけど。ちょっと捜査に協力してもらえない?このへんでさァ、店の売り上げ持ち逃げされる事件が多発しててね。なんでも犯人は不法入国してきた天人らしいんだが、この辺はそーゆー労働者多いだろ。何か知らない?」

 

銀が何か言おうとしていたが、知らない男の声に遮られた。話の内容からして、警察だろう。

銀は私に何か聞こうとしていたようだから、遮ってくれて助かった。

 

「ウチはそんな悪い娘雇ってな・・・」

 

お登勢さんが警察の人に帰ってもらおうと口を開くが──

 

──ブォンブォンブォン──

 

聞いたことのある・・・というか、ほぼ毎日聞いているエンジン音が外から聞こえてきた。

これ、ウチの原チャリの音じゃ・・・

 

「アバヨ、腐れババア」

 

新入りさんの声とともに、エンジン音が遠のいていく。

あの、だから、それ、ウチの原チャリじゃ・・・

 

「美桜、俺らが行ってくる。大人しく待ってろよ」

 

私の頭を一撫でして、返事を聞かずに三人で出ていってしまった。残ったのは私とお登勢さん。私は黙ったまま、三人が走っていった方を見つめていた。

 

「美桜、アタシは行くけど・・・アンタはどうする?」

 

「・・・もちろん、行きます」

 

 

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=side:銀時=

 

 

「ねェ!とりあえず落ち着こうよ二人とも。僕らの出る幕じゃないですってコレ。たかが原チャリや傘でそんなにムキにならんでもいいでしょ」

 

「新八、俺ぁ原チャリなんてホントはどーでもいいんだ。そんなことよりなァ、シートに美桜との大切なツーショットが入ってんだよ。美桜は恥ずかしがりだから、二人で撮ったのなんてアレ一枚しかねーんだ。どーしよう」

 

「アンタの行く末がどーしようだよ!!・・・美桜さん、大丈夫だったんですか?何か考え込んでましたけど」

 

この眼鏡、鋭いところがあるなオイ。

美桜の怪我に気づかなかったのは確かだが、そんなことで美桜が怒るはずはない。むしろ隠そうとするはずだ。

 

ならどうして、あんな顔をしていたのか。

手当てを受けている時の美桜の顔は一見無表情に見えた。が、俺にはどうしても、泣くのを堪えているようにしか見えなかった。

 

美桜のことだから、大方予想は着く。それは、自分にとってはあまりに些細なこと。だが、もし逆の立場だったらと考えると、とても重い感情になる。

 

その不安をどう拭おうか。考えている間に、神楽の荒い運転で頭を窓ガラスにぶつけた。

 

 

 

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❀side:美桜❀

 

 

「そこまでだよ、キャサリン!!残念だよ。あたしゃアンタのこと嫌いじゃなかったんだけどねェ。でもありゃあ、偽りの姿だったんだねェ」

 

現場について、口を開いたのはお登勢さん。水の音がするから川の近くだろう。焦げ臭い気もする。そういえば、銀は何でここまで来たのだろう。姿が見えない。ウチの原チャリのエンジン音も近い。警戒しておかなくては。

 

「お登勢サン・・・アナタ馬鹿ネ。世話好キ結構。デモ度ガ過ギル。私ノヨウナ奴ニツケコマレルネ」

 

キャサリンはそう言うけど、私はお登勢さんのそういうところ好きだ。私みたいな者を迎えてくれたし、面倒見てくれたし。

 

「こいつは性分さね、もう直らんよ。でも、おかげで面白い連中とも会えたがねェ」

 

お登勢さんは過去の出会いを話し始めた。

 

 

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お登勢さんが語ったのは、きっと、銀との出会いの話だ。今も昔も変わらない。やはり、銀は銀なんだ。銀のことを少し知れて、僅かに胸が高鳴った。

 

「・・・・」

 

胸の前で手を握りしめた直後、激しいエンジン音が耳に届く。さらに音が大きくなり、橋が揺れる。こちらに走ってきているようだ。

私はお登勢さんとキャサリンさんの間に立った。木刀を抜いて、基本の構えを取る。

 

「・・・・いいのかい?」

 

「銀が守るものは、私も守る」

 

木刀を握る手に力を込める。指先の傷が開き、微かな血の匂いが鼻をかすめた。が、気にせずもっと力を込める。

 

あとで銀に怒られるかも。・・・仕方なかったって言おう。

 

原チャリとぶつかる直前、勢いよく川から何かが飛び出してきた。続いてゴンッと鈍い音。どうやら、銀が川から飛び出してきてキャサリンさんを殴ったようだ。銀、川で何してたの?

 

私が首を傾げた頃には、キャサリンさんは気を失って倒れていた。

 

 

 

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=side:銀時=

 

 

「今日は世話んなったからね。今月の家賃くらいはチャラにしてやるよ」

 

「マジでか?ありがとうババァ。再来月は必ず払うから」

 

「なに、さりげなく来月スッ飛ばしてんだ!!・・・銀時、美桜が何か悩んでるようだったよ。明日の美桜の顔によっては、再来月まで待ってやらんこともない」

 

ババアの言葉を聞きながら、橋の端で新八と神楽に手当てされている美桜を見る。どうやら、先ほどの傷が開いたらしい。だが、その顔は痛そうには見えず、それでいて曇って泣き出しそうに見える。

 

「・・・んなこと、言われんでも分かってらァ。来月まで首長くして待ってろクソババア。・・・おい、帰ェるぞー」

 

いつもの悪態をつきながら、俺はアイツらに声をかける。

さてと、どーしますかねぇ。

 

 

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❀side:美桜❀

 

 

銀に手を引かれ、万事屋に向かう。いつもと変わりないようだけど・・・・・なんか、通る道がバッキバキのボロボロになっている。何かの痕跡なのだろう。でも、銀はもちろん、神楽と新八も答えてくれない。何故?

 

そして、ようやく万事屋に到着。階段を上るとき、何故か銀に抱かれた。いつものように横で。足は疲れてないし、階段も登れる。なのに何故?

私は銀の雰囲気が少し変わっていることに気づき、焦りだした。

 

「神楽ちゃん、散歩に行こっか」

 

「おうネ」

 

感情に機敏な二人、早々に逃走。速い。あまりにも速すぎる。脱兎の如く、階段を一段も登らず散歩という名の逃亡。

置いていかれた・・・

 

銀は何も言わず階段を登り、玄関を通って、私を抱いたままソファに腰を下ろした。静かな部屋で二人きり。お互いの呼吸と衣服の擦れる音しかしない。とても久しぶりの感覚だ。

 

「美桜、どうした?」

 

「何でもない」

 

どうかしたのか?ではなく、どうした?と確定系で聞かれた。

どうして。なぜバレた。考えている時間が長いから?表情は変えていないはず。

 

「美桜、俺にバレてないと思ってんの?」

 

「何も隠してない」

 

バレて、また面倒をかけるのか。それだけは避けたい。ただでさえ、足でまといで手を煩わせているのに。さらに心労をかけるのか。

 

嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

私は迷惑をかけてはいけない。

強くなければ。

守らなければ。

先生との約束を。お館様との誓いを。

仲間を、家族を、大切なものを。

護らなければ。

 

「──お!─ぃお!美桜!!」

 

「ん?」

 

どうやら、また考え込んでいたようだ。気づかれないように、何ともないように、返事をする。

 

「ごめん、ボーッとしてた」

 

「・・・・だからァ、それで誤魔化せると思ってんの?」

 

まずい。銀が少し苛立ってきている。かなりまずい。

 

(・・・?)

 

 

 

 

 

 

 

 

何が・・・まずい?

 

 

何が駄目なのだろう。何で銀を怒らせるのは駄目なのだ。

夜の仕置きが嫌だから?

面倒だから?

 

そもそも、何で私は銀の傍にいたいと思ったのだろう。

寝れたから?

寝床のため?

衣食住を提供してくれたから?

自分にとって都合が良かったから?

 

(・・・違う)

 

それはきっと、私が彼を好きだから。

 

強いところも、過保護なところも、甘いのが好きなところも、意外と弱いところも、彼の全てを愛してるから。

 

(嫌われたくない)

 

彼に突き放されたら、私は、どうなるのだろう。ほとんど知らない、この世界で路頭に迷い、野垂れ死ぬのか。そこらの人斬りに斬られるのか。

 

(違う・・・)

 

銀の顔へ両手を伸ばす。

そこにいるのを確かめるために。自分を抱いているのが愛しい人だと確かめるために。

 

「美桜?」

 

私が一番怖いのは、この人の隣に自分ではない誰かがいることだ。

 

『力』

この一点において、私はこの世界の誰にも負ける気はしない。でも、それを覆すほどの(かせ)が私には着いている。

『視力』

生活する上で、人間が最も酷使する五感。どれほど力を有していても、どれほど身を削り守ろうとも、そこらにいる女子(おなご)には到底かなわない。見て判断し、見て選び、見て選択し、見て行動する。私にはそれができない。それが欠落している私には、銀を繋ぎ止めるものが何も無い。離れられれば、己の枷に足を取られて追うことすらできない。

 

 

 

傍にいれば、確実に枷になる。

 

 

 

 

 

あなたの傍にいたい。

あなたのことを守りたい。

あなたの傍に駆け寄りたい。

あなたの手当てをしてみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの顔を見てみたい。

 

 

 

‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦

 

 

 

=side:銀時=

 

 

俺の頬に手を伸ばし、俯いたまま何も言わず、動きもしない。心なしか、手が震えているようにも感じる。

 

おそらく美桜は、自分の目が見えないことで悩んでいるのだろう。大方、俺の手を煩わせてるとか、迷惑をかけてるとか、足でまといだとか。自分を卑下する言葉を自分に投げつけている。

 

そんなこと、天地がひっくり返り地獄から鬼が出てきてもありえないのに。

 

己を卑下し、他人の害になろうものなら否が応でも離れようとするだろう。心の優しい美桜のことだ、想像は着く。仕事柄と性格を見る限り、懐に入れても、奥の奥へ入り込まない限りは悩みを話されることは無い。周りに相談もせず、今までやってきたのだろう。己を犠牲にし、身を削り、人の命を守ってきたのだろう。

なんと健気で、優しい。それでも、最後は・・・

 

頬に伸ばされた手に、自分の手を重ねる。

 

これほど愛しく想えるのは、美桜(おまえ)で最初で最後だと思う俺はおかしいのだろうか。

 

「美桜」

 

綺麗な髪を梳くように頭を撫で、名を呼ぶ。ピクリと肩を震わせて、ゆっくりと顔を上げる。きっとこれも、俯いたままでは不審がられると思っての行動。本当なら、俯いたままでいたいのだろう。

その顔は変わらず無表情。でも、どうしても、俺には泣くのを堪えているように見えてならない。

 

「まだ・・・目のこと気にしてんのか?」

 

「・・・・・」

 

僅かに目を見開き、すぐに元の無表情に戻る。何も話さないままかと思ったが、美桜は口を開いた。

 

「今までは平気だった。・・・・平気なフリ、してた」

 

「目が見えないのを・・・か?」

 

「でも今日、思った。銀が怪我したら?私は何もしてあげられない。傍にいても手当てをする人の邪魔になる。傍にもいれない。目が見えていれば、銀に駆け寄って抱きつけるし、銀の傍にいれる。怪我に気づくことも、手当てだってできる」

 

話す度に手が震え、無表情だった顔に表情が生まれていく。

 

「何より──」

 

そこで言葉を切り、頬にある手に力が込められる。

 

「銀の顔を見ることができる」

 

その言葉と同時に、美桜の目からは涙が零れ落ちた。赤い瞳が涙で潤み、果実のように鮮やかな色になる。ホロホロと涙を流す美桜は、とても綺麗だった。

綺麗なのだ。それなのに、自分の顔が歪むのを止められない。

胸が痛い。この雫をとめたい。

 

「っ・・・一度でいいっ・・・・一度だけで、いいからっ・・・」

 

「っ」

 

美桜の腕を引き、できる限り力強く抱きしめる。すぐに美桜も背中に手を回して抱きしめてくれる。

 

「ごめん、ごめんなさい。私は何もできないっ・・・銀の力に・・・なれないっ・・・・!」

 

「バカなこと言うな。美桜がいるから真っ直ぐ生きれる、生きていこうと思えんだ。それに、俺ァ美桜を愛してる。隣にいてくれんなら、それだけで俺の力になんだよ。それだけで、幸せだ」

 

「・・・・っ!」

 

「美桜は?俺といて幸せじゃねェの?」

 

「・・・・幸せ」

 

「だろ。顔なんて見なくてもいいんだ。表情が知りたいなら、ずっと触ってろ。触って、俺がどんな顔をしてるのか確かめればいい」

 

体を離して、美桜の両手を頬に当てる。その上から、自分の手も重ねて。

 

「ほら、分かるだろ?」

 

「・・・笑ってる」

 

「そ。俺は美桜といれて幸せだから笑える。だから、俺の力になってないはずないんだよ」

 

「・・・・ん」

 

変わらず涙を流したまま、美桜はフワリと微笑んだ。雨上がりの花畑のようにキラキラと輝くその笑顔に、俺もまたつられて微笑み返す。

 

 

「銀」「美桜」

 

 

 

お互いの頬を優しく包み、微笑み合う。

 

 

 

「「愛してる」」

 

 

 





キャサリンの
登場回が
重すぎワロタ
"蝶華"

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