銀色に懐いた最強の白   作:マリユリ

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やっと、原作入れる〜♪♪
めっちゃ嬉しいでっす!ひたすらコピペしてた日々(一日)・・・。
疲れましたよ、凄く。頑張りましたよ、凄く。

PS.銀魂世界に来てから、美桜は一度も呼吸を使ってません。




賑やかな日常
第一訓 天然パーマに悪いやつはいない──らしいよ、銀。じゃあ、家賃払ってからパフェ食べに行こうか。え?パフェだけ?


暮らしている中で、嫌でも知ったことがある。それは、銀が無類の甘いもの好きだということだ。かくいう私も甘党であり辛党である。どっちかにしろと言われるが、どっちも好きなのである。なので、今日も今日とて銀と二人でパフェを食べに来ていた。

注文したパフェが届き、いつものように銀にスプーンを手渡された。さっそくクリームを口に運んで、久しぶりのパフェを味わっていたときだ。

 

「おめっ、今どきレジ打ちなんてチンパンジーでも出来るよ!!」

 

レジのほうから男性の叫び声が聞こえてきた。どうやら、新人の覚えが悪いのを叱っているらしい。

 

「オメー人間じゃん!一年も務めてんじゃん!何で出来ねーんだよ!!」

 

・・・前言撤回。新人ではなかったらしい。割と長く勤めてたようだ。一年も勤めてて覚えられないのは、ある意味驚異の脳みそなのでは?

あまりいい気持ちにはならない会話に、少し眉が寄ってしまう。

 

「どーした?美桜。パフェまずいか?」

 

「んん、違う。店員さん可哀想」

 

「あぁ〜なるほどな」

 

そんな会話をしてるうちに、テーブルに大きな衝撃が来た。それと同時に、手元のパフェが行方不明になってしまった。

 

「銀、私のイチゴパフェどこ?」

 

「あー・・・床に落ちちまった・・」

 

「え・・・そっか・・・」

 

まだ半分も食べてなかったのに、残念だ。銀の口ぶりと声音からして、銀のチョコレートパフェも無事ではないようだ。いつものように食べ合いっこはできないらしい。久しぶりのパフェ、チョコレートパフェも含めて楽しみにしてたのだが・・・。

 

「美桜、ちょっとここで待ってろよ」

 

「ん」

 

落胆していると、銀が立ち上がって行ってしまった。心配はしていないが、何をしに行ったのだろうか。

 

「おい」

 

「がふっ!!」

 

銀の冷たい声が響いた直後、さっき叫んでいた店長さん(?)が飛んで行った。どうやら銀が殴ったらしい。店長さんには悪いけど、少しスカッとした。

 

「なっなんだァ!?」

 

「何事だァ!!」

 

猫頭(らしい)のお客さんが驚いているようだ。まあ、いきなり目の前で人が吹っ飛んだのだから当たり前か。

 

「なんだ貴様ァ!!」

 

「廃刀令の御時世に木刀なんぞぶらさげおって!!」

 

これは銀のことだろう。木刀をぶらさげている人なんて、そうそういない。

 

「ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ。発情期ですか?コノヤロー」

 

気だるげな銀の声が店内に響く。こういう声は久しぶりに聞いたかも。

 

「見ろコレ・・・てめーらが騒ぐもんだから、美桜のイチゴパフェと俺のチョコレートパフェがお前コレ・・・」

 

そこで、銀は一呼吸おいて──

 

「まるまるこぼれちゃったじゃねねーか!!」

 

──思いっきり猫頭のお客さんを木刀で殴った。

 

「・・・きっ・・・貴様ァ何をするかァァ!!」

 

「我々を誰だと思って・・・」

 

強気な声でそう言うお客さん。でも、そんな気休めにもならない言葉では、銀は止まらないと思うんだが。

 

「俺ァなァ!!医者に血糖値高過ぎって言われて・・・」

 

ほら、止まらない。

案の定、銀は木刀を構え直したようだ。

 

「パフェなんて週一でしか食えねーんだぞ!!」

 

銀は甘味のこととなると、タカが外れる時がある。悪い癖だとは分かっているのだが、いかんせん執着が凄いため、放置状態である。今回ばかりは私もイライラし始めていたので不問にしておこう。

 

「それになァ!!美桜は俺に合わせてパフェを週一で我慢してくれてんだよ!!それをお前、こんなに台無しにしやがって!!」

 

お、おお。どうやら我慢してたのもバレていたようだ。甘いもの好きとしては、この世界のパフェという食べ物は好きにならざるを得ないだろう。美味しいもの、パフェ。というか、頑張って隠してたつもりなのに、バレてたのか。なんか、恥ずかしいのだが。

 

一人で色々と考えているうちに、銀の用事(?)は済んだらしい。私の傍に戻ってきた。

 

「よし。美桜、帰るぞ」

 

「ん」

 

手を引かれて立ち上がり、出口に向かう。歩いてると、背中に視線を感じた。それは銀も同じなようで、私は銀と同時に振り向いた。

 

「店長に言っとけ、味は良かったぜ」

 

「ん、美味しかった。伝えておいて」

 

そして店をあとにした。銀にヘルメットを被せて後ろに乗っけてもらい、それから前に座った銀の腰に手を回す。

 

「じゃ、出すぞ?」

 

「ん」

 

原チャリは、緩い風を切って走り出した。頬や髪を撫で、梳いていく風が心地いい。

少し走って、ある違和感に気づいた。

 

「銀、木刀は?」

 

「ん?ああ、店員にあげてきた。にしても、やっぱりダメだな──」

 

あげてきた?あの、お客さんを殴った凶器と化した木刀を欲しがったのだろうか。あの店員さん、なかなかに、とてもな趣味を持っていたようだ。

そこで私は、後ろからとてつもない速さで追いかけてくる気配に気づいた。

 

「?」

 

「どしたー?美桜」

 

私が首を傾げたのに気づいたらしい銀は、前を向いたまま聞いてきた。誰かが追いかけてきてると言おうとしたが──

 

「おィィィィ!!」

 

──後ろからの声にかき消された。

 

「よくも人を身代わりにしてくれたなコノヤロー!!アンタのせいでもう何もかもメチャクチャだァ!!」

 

聞き覚えのある声だ。当たり前か、先ほど散々怒られていた店員さんなのだから。店員さんは、手に銀の木刀を持っているらしく、かすかに木刀から血の匂いがした。

そして私はここで、ハッキリと理解した。

銀、あなた、このいたいけな男の子を逃げるための囮にしたんだな。

 

「律儀な子だな。木刀返しに来てくれたの。いいよ、あげちゃう。どうせ修学旅行で浮かれて買った奴だし。な?美桜」

 

銀、誰も暴力犯罪の凶器になった血濡れの木刀なんていらないと思う。

 

「違うわァァ!!役人からやっとこさ逃げてきたんだよ!!」

 

木刀を振り上げながら走って追いかけてくる店員さん、体力はとてもあるようだ。

 

「違うって言ってんのに、侍の話なんて誰も聞きゃしないんだ!!しまいにゃ店長まで僕が下手人だって」

 

なんと・・・それは酷い。それほどまでに店長さんは、この店員さん──少年を解雇したかったのだろうか。

 

「切られたなそりゃ。レジも打てねェ店員なんて、炒飯(チャーハン)作れねェ母ちゃんくらいいらねーもんな。ま、俺には料理上手な彼女がいるから良いけどな!」

 

「アンタ母親をなんだと思ってんだ!!あと、ついでに彼女自慢してんじゃねェ!!」

 

本当に少年の言う通りですよ、銀。母親を何だと思ってるの。あと、自然にそういうこと言うの止めてください。言われるほうも、聞くほうも、いたたまれなくなる。

 

「バイト、クビになったくらいでガタガタうる──」

 

「今時、侍雇ってくれるところなんてないんだぞ!!明日からどーやって生きてけばいいんだチクショー!!」

 

「っ」

 

銀の言葉を遮って、少年が木刀を振り上げる。木刀の長さと少年との距離を考えて、咄嗟に開いていた目を瞑って銀の腰に回している腕に力を込めた。

すると、キィィィィと音を立てて原チャリが急停止した。と、同時に後ろを走っていた少年が止まりきれずに原チャリと衝突。ゴッキンとすごい音がなった。

 

「ギャーギャーやかましいんだよ腐れメガネ!!美桜に木刀当たるとこだったじゃねェか!!」

 

どうやら銀は私を庇ってくれたらしい。が、少年は無事ではないようだ。衝突してから地面に倒れて起きない。と、思っていたらゆっくりと起き上がった。意外と体は丈夫らしい。

 

「自分だけが不幸だと思ってんじゃねェ!!」

 

起き上がったばかりの少年に、銀が原チャリを降りて叱咤する。でもね、銀、その子を不幸にしたのは銀だと思う。

 

「世の中にはなァ、ダンボールをマイホームと呼んで暮らしてる侍もいんだよ!!お前そーゆーポジティブな生き方できねーのか!?」

 

「あんたポジティブの意味わかってんのか!?」

 

よく分からない言葉ばかりだが、銀がまともな事を言っていないのだけは分かった。

少年の言葉の直後、そばに建っていたスーパーの扉が音を立てて開き、中から人が出てきた。

 

「あら?新ちゃん?」

 

その人はどうやら女性らしい。とても綺麗な声をしている。

 

「こんな所で何をやっているの?お仕事は?」

 

どこか圧のある声で、誰かに話しかけている。気のせいだろうか、背中に汗が・・・。

 

「げっ!!姉上!!」

 

どうやら、少年のお姉さんのようだ。姉に会って『げっ!!』と言う理由は分からないが、どうやら少年にとってはマズイことらしい。

 

「あ・・・どーも」

 

「こ、こんにちは・・・」

 

とりあえず、挨拶をしておく。

 

「仕事もせんと何ブラブラしとんじゃワレボケェェ!!」

 

「ぐふゥ!!」

 

挨拶が言い終わるか否か、お姉さんは少年に向かって飛び蹴りをした。あまりの勢いに私と銀も仰け反って驚く。

 

「今月どれだけピンチか分かってんのかてめーはコラァ!!アンタのチンカスみたいな給料もウチには必要なんだよ!!」

 

そのまま少年に馬乗りになり、遠慮なく拳を下ろす。ガッ、ゴッ、とすごい音がする。少年は無事だろうか。

そんな中銀は危険を察知したようで、急いで原チャリにまたがろうとしている。

 

「まっ・・・待ってェ姉上!!こんな事になったのは、あの原チャリの前に乗ってる男のせいで・・・あ"ー!!待てオイ!!」

 

ガチャガチャと音を立てながら原チャリに乗り込む銀に気づいたらしい少年は、こちらを指さしているようだ。

銀が座る直前、私はお姉さんに手を引かれて原チャリから下ろされ、荷物を手渡された。とりあえず、地面に下ろすわけにもいかないので片手で持ち、少年に歩み寄った。

 

「大丈夫?立てる?」

 

荷物を持ってないほうの手を差し出す。

 

「あ、はい。すみません」

 

少年は私の手をとって立ち上がった。「ありがとうございます」と言ってくるあたり、育ちがいい子なのだろう。こちらが悪いことをしたというのに、本当にできた子だ。

ふと気になり、銀の方へ意識を向けると、かすかに銀の血の匂いが漂ってきた。

 

 

 

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「いや、あの、ホント・・・スンマセンでした」

 

銀の情けない声が、部屋に響いた。

ここは少年──志村新八くんとその姉、志村妙さんの家。恒道館道場という場所、その道場だ。銀はその部屋の真ん中で正座させられ、私はその後ろで座っている。

 

「俺もあの・・・美桜の前だったんで、カッコつけてたっていうか・・・調子に乗ってました。スンマセンでした」

 

「ゴメンですんだら、この世に切腹なんて存在しないわ。アナタのおかげでウチの道場は存続すら危ういのよ」

 

銀の謝罪も、何だか怖い理由で足蹴にされた。

お姉さん、手に持ってるのは短刀だろうか。

私は膝立ちで銀の傍により、懐からハンカチを取り出して銀の顔に付いた血を拭う。目が見えないから、ちゃんと拭けているかはわからないが。

 

「ありがとな、美桜」

 

「ん」

 

そのまま銀の隣に腰を下ろして、お妙さんの話に耳を傾ける。

 

「鎖国が解禁になって二十年・・・方々の星から天人が来るようになって、江戸は見違える程に発展したけれど、一方で侍や剣・・・旧きに権勢を誇った者は今、次々に滅んでいってる。ウチの道場もそう・・・廃刀令のあおりで門下生は全て去り、今は姉弟二人でバイトしてなんとか形だけ取り繕ってる状態。それでも父の残していった、この道場を護ろうと今まで二人で必死に頑張ってきたのに・・・お前のせいで全部パーじゃボケェェ!!」

 

短刀を振り上げて襲いかかろうとするお妙さん。銀が私を片手で抱き寄せて、後ろに後ずさる。新八くんが止めてくれなかったら、今頃あの短刀は血にまみれているだろう。

どうやらこの姉弟、なかなかに厳しい世渡りをしているらしい。

 

「新八君!!君のお姉さんゴリラにでも育てられたの!!」

 

銀、なぜこの後に及んで煽るような言葉をかける。

 

「待て、待て待ておちつけェェ!!切腹はできねーが、俺だってケツぐらいもつってホラ」

 

そう言って銀が何かを差し出した。

 

「?・・・なにコレ?名刺・・・万事屋 坂田銀時?」

 

どうやら名刺のようだ。

 

「こんな時代だ。仕事なんて選んでる場合じゃねーだろ。頼まれれば何でもやる商売を美桜と二人でやっててなァ。この俺、万事屋銀さんがなんか困ったことあったらなんでも解決してや──」

 

銀が自分を指さしながらそう言う。でも銀、たぶんこの姉弟は──

 

「だーからお前に困らされてんだろーが!!」

 

「仕事紹介しろ仕事!!」

 

──ほら、この姉弟は銀に困らされたから怒ってる。だというのに、何で煽るようなことばかりするのだろうか、私の恋人は。

予想通り、二人に足でボコボコにされている銀。私は暴力が始まる直前に銀に避難させられていたため無傷である。

 

「おちつけェェ!!仕事は紹介できねーが!!バイトの面接の時、緊張しないお(まじな)いなら教えてや──」

 

「「いらんわァァ!!」」

 

ん、それは私もいらない。

二人の大きな声が道場に響き渡った直後、バキッと音がして銀の血の匂いが鼻に届いた。足の音も止んだので、銀に近づいて再び血を拭う。

 

「姉上・・・やっぱりこんな時代に剣術道場やってくのなんて土台無理なんだよ」

 

新八くんが諦めたような声で話し出した。

 

「この先、剣が復興することなんてもうないよ。こんな道場、必死に護ったところで僕らなにも・・・」

 

新八くんの言葉も一理あるだろう。あんなに罵倒されながらバイトをして、僅かにしか得られない給料。そして、それは全て道場の復興につぎ込まれる。己の手元には一切何も残らないのだから。

 

「損得なんて関係ないわよ」

 

新八くんの言葉を、お妙さんが凛とした声で制した。

 

「親が大事にしてたものを子供が護るのに、理由なんているの?」

 

真っ直ぐな芯のある綺麗な声。見返りなど求めない。それどころか護るためなら不幸すらも背負おうと言う。私も見に覚えがあるのだ。このような魂を持った鬼殺隊の隊士を何人も見てきた。そして、どのように死んでいくのかも。

少し負の感情に浸っていた時だ。扉の向こうからする微かな足音が耳に届いた。日本の家では靴を脱ぐのが一般常識なのに、コツコツと靴の音が近づいてくる。どうやら、余程の無礼者か余程の常識知らずのようだ。その足音に苛立ちを隠せない。

 

「?・・・美桜?どうし──」

 

─ドカァッ─

 

私の様子がおかしいことに気づいたらしい銀は、どうした?と聞こうとしたのだろうが、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。

突然、道場の扉が大きな音とともに蹴破られたからだ。

 

「くらァァァ!今日という今日はキッチリ金返してもらうで〜!!」

 

(・・・三人・・・"人"じゃない・・・天人・・・?)

 

道場に入ってきたのは三人で、三人とも天人のようだ。道場に靴の音が響く。どうやら本当に常識知らずのようだ。道場に入るときは、一礼するのが基本だろう。まして、土足は厳禁だ。

あまりの態度に私の怒りの度合いが、高くなっていく。

天人の話を聞いてみれば、この二人の父が借金を作り、そのまま他界。残った借金は子どもである二人に引き継がれた。だが、待っても待っても返済されないので、取り立てに来た、ということらしい。

 

「こっちはお前らのオトンの代からずっと待っとんねん!!モォーハゲるわ!!」

 

お、おお。どうやら、相当頭にきているようだ。頭の毛根に直接的な被害が及ぶまでにイライラしているようだ。

 

「金払えん時は、この道場売り飛ばすゆーて約束したよな!!あの約束守ってもらおか!!」

 

「ちょっと!!待ってください!!」

 

「なんや!!もうエエやろ、こんなボロ道場!!借金だけ残して死にさらしたバカ親父に、義理なんて通さんでエエわ!!捨ててしまえ、こんな道場・・・おぶっ」

 

「この(あま)ッ!!何さらしとんじゃ!!」

 

あまりの言われようにお妙さんが手を出したようだ。

当然の結果だと思うのは、私だけだろうか。というか、少しスカッとした。

だが、体格の差でお妙さんが男に敵うはずもなく、床に押さえつけられてしまった。勢いがあったためか、大きな音がなる。

 

「このォボケェ・・・女やと思って手ェ出さんとでも、思っとんかァァ!!」

 

─プツリ─

 

何かが私の中で切れた。

腰に差していた木刀を右手で握り、殴ろうとしている天人とお妙さんの間に体を滑り込ませる。同時に、左袖から()()()を出して左手に持つ。殴ろうとしている天人に木刀を、お妙さんを押さえつけている天人にくないを突きつけた。

 

「そのへんにしとけよ。ゴリラに育てられたとはいえ、女だぞ」

 

「いい加減にして・・・」

 

銀が天人の拳を抑えてくれたようだ。良かった。あのままだったら、天人の拳を叩き割っていた。本当にありがとう、銀。

 

「はいはーい。美桜ちゃん、もう大丈夫だから殺気をしまおうね?」

 

「・・・ん・・」

 

納得はしていないが、仕方なく殺気をしまう。木刀とくないも、それぞれ腰と袖にしまった。銀に抱き寄せられて、頭を撫でられる。銀のおかげで体に入っていた力が抜くことができた。

天人は、銀の手を振り払って道場の件はなしにすると言った。色々な意味でホッとした。だが、それもつかの間。

 

「せやけどなァ姉さんよォ。その分アンタに働いて返してもらうで」

 

どうやらこの天人は、新しく風俗店を経営し始めたらしく色々な星から美人を集めていたらしい。なんというタイミングだ。

 

「ふざけるな!そんなの行くわけ「わかりました、行きましょう」え"え"え"え"え"!!」

 

「こりゃたまげた孝行娘や」

 

確かに。とても賢い選択だとは思えない。が、私に置き換えても同じ選択をしたと思うから不思議だ。

 

「ちょっ・・・姉上ェなんでそこまで・・・もういいじゃないか!ねェ!!姉上!!」

 

「新ちゃん、あなたの言う通りよ。こんな道場、護ったっていいことなんてなにもない。苦しいだけ・・・でもねェ、私・・・捨てるのも苦しいの。もう取り戻せないものというのは、持っているのも捨てるのも苦しい。どうせどっちも苦しいなら、私はそれを護るために苦しみたいの」

 

「・・・・・・・」

 

「美桜?」

 

悲しげで、それでも決意の籠った声。私は目が見えないから、皆がどんな顔をしているか分からない。だけど、少なくとも私はお妙さんを行かせたくないと心から思った。銀の着物の袖を掴んだまま、何もできない自分が嫌になる。

 

「そうや、そこの白い髪のべっぴんさんもどうや?」

 

「はっ!?」

 

「私?」

 

"べっぴんさん"ではないと思うのだが・・・

 

「待て待て待て待て!!ダメ!!絶対にダメ!!銀さんが許しません!!確かに美桜は可愛いけど!それはわかってるけど!絶対にダメです!!」

 

銀、いきなりどうした。大変だ銀の何かが壊れた。誰か、急いで修復をしてください。

 

「銀、私行く」

 

「だから、美桜が行く必要なんてないだろ!!」

 

私の肩を掴んで離そうとしない銀。私は肩にある銀の手に自分の手を重ねて口を開く。

 

「でも、お妙さんが一人になる。それに──」

 

私は肩の手を銀の頬に移して、もう一度言い直す。私だって、行きたくはないけど、きっと銀なら──

 

「それに、来てくれるでしょ?」

 

「っ・・・ああ、絶対迎えに行く」

 

「ん、待ってる」

 

大丈夫、少し離れるだけだ。銀なら一日とおかずに迎えに来てくれるだろうから、安心できる。でも、やっぱり少し寂しいかな。

 

「何モタモタしとんねん!!さっさと行くでェ!!」

 

天人に肩を掴まれて、道場を連れ出される。

 

「美桜!俺が行くまで、大人しくしてろよ!!」

 

どこまで過保護なのだろうか。大丈夫だというのに。さすがにアレだったら手と足を折るかもしれないが、そうでなければ大丈夫だ。たぶん。

 

 

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=side:銀時=

 

 

白いクリームを黄色のパンケーキの生地にタップリと塗っていく。そばにはトッピングのイチゴも用意してある。やはり、定食屋でパフェを食べられなかったのは痛かった。糖分が足りずにイライラパラメーターがどんどん向上していく。美桜がそばにいないのが、その理由の大半だろうが・・・。

ちなみに・・・

 

「んだよチキショー!!バカ姉貴がよォォ!!」

 

姉をかっさらわれたメガネは先程からブツブツと文句を言いながら木刀を振って鍛錬している。真面目なのか、やさぐれているのか、わからない奴だ。

コイツらの父親は、ハゲていて、ときどきオセロをしてくれるだけだったらしい。

つーか、どんな父親!?道場とか剣術とか関係なくね!?

 

「父ちゃんハゲてたのか」

 

「いや精神的にハゲて・・・ってアンタまだいたんですか!!しかも人んちで何本格的なクッキングに挑戦してんの!!」

 

「いや定期的に甘い物食わねーとダメなんだ俺」

 

「だったらもっとお手軽なもの作れや!!」

 

メガネのツッコミはさておいて、台所から持ってきておいたフォークでケーキを口に運ぶ。甘いクリームが口いっぱいに広がって、僅かながらにイライラが収まる。

美桜、ケーキ好きだからなぁ。可愛い顔して食うんだろうなぁ。あ、ヤバい、またイライラしてきた。

 

「・・・ねーちゃん追わなくていいのか」

 

「・・・知らないッスよ。自分で決めて行ったんだから。姉上もやっぱ父上の娘だな、そっくりだ。父上も義理だの人情だの、そんなことばっか言ってるお人好しで、そこをつけこまれ友人に借金しょいこまされてのたれ死んだ」

 

ほおほお、そりゃ相当なお人好しだ。俺なら金の切れ目が縁の切れ目で速攻でソイツとはサヨナラするな、永遠に。待てよ、その理屈でいったら俺も美桜に捨てられんじゃね?あぁぁ、やっぱ今のなしなし。あなたのお父さんはとっても素晴らしい人です!!

 

「どうして、あんなにみんな不器用かな。僕はキレイ事だけ並べて、のたれ死ぬのは御免ですよ。今の時代、そんなのもってたって邪魔なだけだ。僕はもっと器用に生きのびてやる」

 

「そーかい・・・でも──」

 

ケーキを口に運びながら新八の話に耳を傾ける。だが、どうにもそれがコイツの本心だとは思えない。もし、コイツの言うキレイ事が邪魔で、それを捨てたものが器用なのだとしたら──

 

「俺にはとても、お前が器用になんて見えねーけどな」

 

──ねーちゃん攫われて泣きそうな顔してるお前は、器用なんかじゃねーよ。

立ち上がって、頭をボリボリとかく。どうにもコイツは難しく考えているようだ。

 

「侍が動くのに理屈なんていらねーさ。そこに護りてェもんがあるなら剣を抜きゃいい」

 

そろそろ俺も、美桜を迎えにいかなきゃならないしな。コイツはついでだ。

 

「姉ちゃんは好きか?」

 

新八は涙を一筋流して、力強く頷いた。

 

 

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*side:美桜*

 

 

お妙さんと知らない船に乗せられて、知らない女の人たちに着替えさせられた。重くて動きにくい着物だ。知らない人にベタベタと触られたから気分と機嫌が悪い。特に機嫌が急降下している。ほぼ直角で急降下中だ。さらに、木刀と袖に仕込んであった()()()も没収されてしまったので、降下スピードがグングン上昇していく。

 

「お妙でございます。可愛がってくださいまし」

 

「美桜でありんす。可愛がってくださんし」

 

「だから違うゆーとるやろ!!お前の口調は何やねん!!」

 

「吉原の遊郭の口調。風俗ならこれがいいかと思って」

 

一度、鬼を狩るために遊郭に潜入したことがある。そのときに覚えたのだ。何故か、潜入して二日と経たずに帰還命令が下った。あのときの夏羽は凄かった。柱の男性陣を全員正座させて、しのぶと共に怒っていた。とても怒っていた。アレはいったいなんだったのだろうか。

 

「そ、そうかい・・・ほんで次はお前や!!そこでもっと胸の谷間を強調じゃボケッ!!」

 

─メキィッ─

 

「胸の谷間なんて十八年生きてきて一回もできたことないわよ」

 

どうやらお妙さんは体型を気にしていたらしい。生々しい音と共に、天人のくぐもった声が聞こえる。痛そうだ。

 

「まァエエわ!!次、実技!!パンツを脱ぎ捨ていよいよシャブシャブじゃー!!」

 

ああ、ノーパンシャブシャブってそういうことか。やっと理解した。この商売、本当に成功するのだろうか。というか、やることへの抵抗がありえないくらいに大きい。銀はまだだろうか。

 

「どないした!?はよ脱がんかイ!!今さら怖じ気づいたところで遅いゆーねん!!」

 

「くっ!!」

 

天人がお妙さんの両手を掴んで、無理やり下着を脱がそうとしているようだ。

銀、そろそろ限界だから少しだけ手を出す、ごめん。

 

「手、離して」

 

そう言って、天人の左手を掴む。

 

「ああ?お前さんの出番はまだや!!まっと「離して」ギャッ」

 

一言では離してくれなかったので、仕方なく捻りあげて壁に投げ飛ばした。そんなに力は入れてないから、そんなに痛くないはず。

 

「あ・・・ありがとうございます」

 

「お礼はいらない。あなたも、あなたの弟も、私が護りたいと思った。それだけ」

 

「私と・・・新ちゃんを・・・?」

 

「ん。あなたの弟、バイト先で酷いイジメにあってた。それを、涙ひとつこぼさずに耐えてた」

 

おそらく、新八くんも道場を護りたいのは同じなんだろう。でも、それ以上に大切なものが彼にはあった。

 

「新八くんは道場を蔑ろにしてるわけじゃない。ただ・・・道場よりも、今亡き人に託されたものよりも、今そばにいる人を護りたい。そう思ってると思う。彼が何より護りたいのは、あなたなんだよ、お妙さん」

 

「っ!!」

 

お妙さんが息を呑んだのがわかった。そう、姉弟も姉妹も同じだ。意外とお互いの気持ちを知らないことが多いのだ。私もそれを最後の最後で知ったからよくわかる。

 

「何さらしとんじゃ!この(あま)ッ!!」

 

天人が怒って、拳を振り上げる。しかし、私は窓から微かに聞こえる音に耳を澄ませていた。

 

─ゴゴゴゴゴ──ドゴンッ─

 

大きな音と大きな振動が船を襲う。大きく揺れたため、お妙さんが体制を崩した。床とお妙さんの間に体を挟んで、お妙さんの体が叩きつけられるのを防ぐ。天人?知らない。勝手に痛がってろ。

すぐに天人がゾロゾロと部屋に流れ込んできて、さまざまな会話を交わす。違法な商売なため、警察の車を見て役人が来たのかとか言っていたけど、たぶん、いや絶対に違う。

土煙に混じって、嗅ぎなれた匂いが鼻をかすめる。随分派手なお迎えだ。

 

「どーも万事屋でーす」

 

「姉上ェ!!まだパンツははいてますか!!」

 

やはり、お迎えが来たらしい。というか、突っ込んできた場所私とお妙さん凄くギリギリ。一歩間違えたら大怪我してた、お妙さんが。

 

「・・・新ちゃん!!」

 

「おのれら何さらしてくれとんじゃー!!」

 

「美桜、大丈夫だったか?怪我してねーか?変なことされてねーか?」

 

銀、落ち着こう。質問は一個ずつにして。頭が混乱するから。

 

「ん。着替えるときに触られたくらい」

 

「・・・大丈夫じゃなさそうだな。顔色悪ィぞ」

 

そうだけど、今は二人を逃がさないと。逃げる時間を稼がないといけない。少し気分が悪いだけなので、問題ない。ついでに機嫌も悪いけど。

 

「大丈夫。今は逃げる」

 

「だな。無理はダメだぞ」

 

「ん」

 

頷いて、銀の手を借りて立ち上がる。・・・やっぱりこの着物動きずらい。

 

「オイ、俺らがひきつけといてやるから、てめーは脱出ポッドでも探して逃げろ」

 

「あんたらは!?」

 

「大丈夫。新八くんはお妙さんを護ることだけ考えて」

 

「俺たちは俺たちの護りてェもん護る」

 

「何ゴチャゴチャぬかしとんじゃ!!死ねェェ!!」

 

チャカッと拳銃が私たちに向けられる。その瞬間、銀は木刀を握って前に突っ込み、私はそばにまとめて置いてあった荷物の中から木刀を取り出した。

 

(久しぶりか・・・呼吸を使うのは・・・)

 

この人数だ。こんな重い着物を着ていては、速くは動けない。

私は木刀を構え、【全集中の呼吸】を使った。

特殊な呼吸音が空気を震わせ、全身に酸素が回る。せっかくの機会だ。他の呼吸も使ってみよう。

 

「【水の呼吸 参ノ型 流流舞い】」

 

水のごとく素早く、流れるように。

しなやかに動いて移動し、次々と天人たちの腹や足を攻撃していく。どうやら本当に全ての呼吸が使えるようになったようだ。

さて、次は何を試そうかと考えていた時だ。

 

「美桜!!そろそろ逃げるぞ!!」

 

銀から逃亡宣言が下された。もう少し呼吸を試したかったが、仕方ない。

 

「ん・・・わっ!」

 

「よし!つかまってろよ!!」

 

突然銀に抱き抱えられ、思わず声をあげてしまった。横抱きにされているので、私が暴れたら銀も体制を崩してしまう。せめてそれは避けたいと思い、落ちないように銀の首に手を回した。

 

「・・・・・。確かに、こりゃ王子様もこーゆー抱き方するわな・・・」

 

「?」

 

「なんでもないから、落ちるなよ」

 

「ん」

 

銀が何か言っていたが、なんでもないなら別に聞く必要はないだろう。というか・・・

 

「銀」

 

「何?」

 

「後ろ、いっぱい来てる」

 

「え・・・あ"あ"あ"あ"あ"!!」

 

後ろからはドドドドドドドドとすごい音を立ててすごい勢いで天人たちが追いかけてきていた。

頑張れ、銀。走れ、銀。

 

「ホントに戻ってきた!!」

 

「キツかったんだ!!思ったよりキツかったんだ!!」

 

銀、嘘はいけない。私の体を気使って途中退場したのはわかってる。だから、嘘はやめましょう。

 

「ちょっと!!頼みますよ!二分しか持ってないじゃないですか!!」

 

「バカヤロー!!作者がどんだけ頭悩ませてこのシリーズ書いてると思ってんだ!!いいから脱出ポッド探せ!!」

 

「そこは!?」

 

「あ、そこ・・・」

 

目の前にあった相手いる部屋に一同突っ込むが、音や部屋の温度からして違うと思う。たぶん、この船を動かしてるエンジンとか大事なのがある部屋。

 

「んだココ!?」

 

「動力室!?」

 

ほらやっぱり。声の反響具合も足して考えると、とても大きな部屋のようだ。機械音がそこら中から聞こえるので、私としてはあまり長い間いたくない。

 

「いきどまりや。追いかけっこはしまいやでェ」

 

拳銃を向けながら、天人が部屋に入ってきた。

 

「哀れやの〜。昔は国を守護する剣だった侍が、今では娘っ子の一人や二人護ることもでけへん(なまくら)や。おたくらに護れるもんなんて、もうなんもないで。この国も・・・空も、わしら天人のもんやさかい」

 

「国だ、空だァ?くれてやるよ、んなもん。こちとら目の前のもん護るのに手一杯だ。それでさえ護りきれずによォ、今まで幾つ取り零してきたかしれねェ。俺にはもうなんもねーがよォ。せめて、目の前で落ちるものがあるなら拾ってやりてェのさ」

 

「私も同じ。国も、空も、欲しいならあげる。私は、その箱の中にいられれば、箱の中から眺められれば充分。それでも、その箱の穴から落ちてしまうものだってある。奪われてしまうものもたくさん・・・。だから、手の届く範囲なら掬ってあげたい。それだけ」

 

「しみったれた武士道やの〜。もう、お前らはエエわ・・・()ねや」

 

そう言って、引き金に手をかけた。が、

 

「ちょっ、あきまへんて社長!!アレに弾あたったら、どないするんですか!!船もろともおっ死にますよ!!」

 

よほど大事な設備のようだ。そして、この後の銀の行動が予測できてしまう私は、ため息をつくしかない。

 

「美桜、ここから動くなよ」

 

耳元でこっそり呟いて、そっと離れていった。

 

「って・・・登っちゃってるよアイツ!!おいィィ!!」

 

やっぱり・・・。銀はどうして、こうも突飛な行動ばかりするのだろうか。

 

「ちょっ待ちィィ!!アカンでそれ!!この船の心臓・・・」

 

「お妙さん、新八くん。お互いに離れないようにくっついてて」

 

「えっ!?」「へっ!?」

 

「客の大事なもんは、俺の大事なもんでもある。そいつを護るためなら、俺ぁなんでもやるぜ!!」

 

銀が叫んだ瞬間、ズゴンッと大きな音がなり、後ろの大きな機械がビキビキと音を立てて割れていく。直後、体が浮き上がり、気持ち悪い浮遊感に襲われる。

 

「美桜!!」

 

銀に呼ばれ、声の方に手を伸ばす。伸ばした手を掴まれて、グイッと引き寄せられて腕に収められる。

 

「落ちてんのコレ!?落ちてんの!?」

 

そうです新八くん。落ちてます。

銀、護るためになんでもするのはいいけど、護る対象まで巻き込んじゃダメでしょ。

 

 

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船が落ちたのは海の上だったようで、すぐに私たちは引き上げられた。天人たちは違法な商売を営んでいたため、そのまま警察に連行されていく。その脇で私と銀は、ある警察につかまっていた。

 

「んだよォ!!江戸の風紀を乱す輩の逮捕に協力してやったんだぞ!!パトカー拝借したのくらい水に流してくれてもいいだろが!!」

 

「拝借ってお前、パトカーも俺もボロボロじゃねーか!!ただの強盗だボケ!!」

 

警察の人の言う通りだよ、銀。パトカーはレンタカーではありません。というか、なんでこの人ボロボロなの?

 

「元々ボロボロの顔じゃねーか!!かえって二枚目になったんじゃねーか」

 

「マジでか!!どのへん!?」

 

あの、警察の方、そんなはずは──

 

「冗談に決まってんだろーが!!バカかテメーはよォ!!」

 

あぁぁ、銀、だから何故そんなあおるような言葉をかける・・・。

 

「キーッ!!腹立つ!!お前みたいな奴に美人な彼女がいるとかまた腹立つ!!」

 

「へっ」

 

そろそろ方向がおかしくなってきた二人の会話を止めようか悩んでいると、海の方から誰かが走り寄ってきた。

 

「銀」

 

「ん?」

 

銀の袖を引っ張って、誰かがこっちに来てることを知らせた。

 

「あ、あの!僕、志村新八です!」

 

「知ってる」

 

ん、私も知ってる。

あっさりとした冷たい態度に、しどろもどろになりながらも万事屋(ウチ)で働きたいという氏を伝えてきた。

 

「ヤダね、ヤダヤダ。俺ぁ気楽にやってきてェの。それに、お前が来たら美桜と二人っきりになる時間が減るじゃねェか」

 

「いやアンタ、それでも社会人ですか。じゃなくて、どうかお願いします!!」

 

「オイィィ!!誤魔化しきれてねェぞ!!ハッキリ聞こえてたからな今の言葉!!しっかりグッサリ刺さったからな!!」

 

そうだけど、実際社会人かどうか怪しいところだよ、銀。それに、私としては是非とも新八くんに万事屋に来てほしい。

 

「銀、私は新八くんと一緒に仕事したい。ダメ?」

 

「よし、志村新八君。君は今から万事屋の一員だ!よろしくな!」

 

「チョロすぎませんか?大丈夫なんですか?この人」

 

確かに。いきなり意見を変えるから怪しまれてるよ、銀。

 

「ん、大丈夫。よろしく、新八く・・・新八」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

お互いに握手をして、手を離す。が、私の手はそのまま新八の顔へと伸びた。

 

「へ!?」

 

「ちょっ・・・美桜ちゃん!?何!?浮気!?」

 

「んん。あ、新八は眼鏡?」

 

手探りで、新八の情報を頭に叩き込んでいく。

 

「え、は、はい。僕は眼鏡かけてますけど・・・え?」

 

どうやら、相当混乱してるようだ。いきなり、触ってしまったからだろうか。

 

「言ってなかったか?美桜は目が見えねェの」

 

「ん」

 

「え、ええええええ!?だ、だってあんなに普通に・・・」

 

そうか、そういえば伝えていなかった。目が見えないことも、気配である程度の物の位置はわかることも。

 

「大丈夫。ある程度は普通に生活できる。家の家具とか物の位置も決まってるから、覚えてる」

 

「す、凄いですね・・・」

 

そんなにすごいことなのだろうか。

まあ何はともあれ、万事屋に新しい仲間が加わった。その事実に喜びを感じつつ、帰りは銀に横抱きにされて眠りながら帰路についた。

 

翌日の朝、風呂も着替えも済まされた状態で起きて、泣きそうになったのは言うまでもない。

 

 




読んでいただきありがとうございます!!
誤字脱字がありましたら、遠慮なく優しく教えてください!!アンケートも作りましたので、答えていただけたら幸いです。

それでは、また次の話で・・・m(_ _)m

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