蜘蛛山編 (笑) ですよ。
展開早いとか心の中だけにしてください。
ざり、と土を踏み抜く音が聴こえ振り向いた。
そこには白衣で顔を隠す男が居た。警戒し刀を抜くが、まるで此方に敵意を向けない様子に眉を寄せる。
「──その子は俺の鬼だよ。触るな」
「!ッ、…人、間…?」
「なに…?」
炭治郎の鼻は人間の匂いと判断したらしい。斬滅対象では無いのかと男を見遣るが、男は動じること無くまた喋る。
「退け。その子を踏むな」
「……もしや、この鬼のことか」
俺が踏む先程の鬼の残骸。炭治郎が必死で俺を退かそうとしていたが、それと同じようにこの男も言うのか。
炭治郎を見下ろせば、気付く炭治郎も強く俺を見抜く。
「ハァ…もう鬼は斬った。その後はどうしようと勝手だ」
「!…ありがとうございます!義勇さん」
感謝される謂れはない。それよりも。
「何故人間が此処にいる?此処は鬼の巣窟となっていた。先の発言だと、お前は鬼に加担していることになるが」
「ありがとう坊や。その子を俺に渡しておくれ」
「ぇっ?あ、はい」
「……おい」
あろうことか俺を無視し、炭治郎から鬼の着物を受け取る男は先と変わらず慈しい声口調で炭治郎に感謝を述べた。
そしてそのまま去ろうとする男に刀を向ける。
「待て。此処に居ろ」
「拒否しよう。君達に関わる気は無いのでな」
「認められない。お前には聞かなければならない」
「黙秘しよう。ではまたな、鬼狩りの諸君」
その台詞に追いかけようとしたが、此方に向かってくる駆け足に気付き、咄嗟に炭治郎の前で刀を奮う。
ガキンッ、と火花が散ると身軽に距離を離す者は、胡蝶。
「──どうして邪魔をするんです?富岡さん。鬼とは仲良く出来ないって言ってたくせに、何なんでしょう?」
「……」
チラリ、と男が去った方角に目をやったが、その姿は何処にも見えない。逃げられたかと胡蝶に視線を戻せば。
「そんなだから皆に嫌われるんですよ」
あの男、後で調べるか。
ただ、その前にまず言わなければならないのは。
「……俺は嫌われてない」
「、ぇぇえ!?」
◇ ◇ ◇
累が死んでしまった。
手元の遺物である累の着物に目を向けて、苦笑する。
「言ったろ。死ぬまで時間があるって」
鬼は難儀だ。感情と記憶を何処かに置き去りにしてしまえば、後に待つのは獣の本能と抑えきれない空腹感、そして人から忌み嫌われ迫害される膨大な孤独感しか残らない。
「鬼と人には何か違いがあるのか。差があるのか」
寿命。食物。数。……種族?
うんと唸れば、ベベンッ、と琵琶が鳴った。
「──それはお前が人では無いからだ」
「おや。やっとお越しになったか、無惨様」
「出迎えする気があるのか?鬼卿」
いつもと同じ姿形。綺麗に髪を束ね、着物に身を包まれる無惨様は、厳かな雰囲気を醸し出して俺を見下した。
「俺が人間でないとは、また変わらぬ冗談だなぁ」
「執拗い。不老の分際で、人間を語るなどあるものか」
「あははっ。ただ長生きなだけさ。俺も、無惨様も」
そうだろう?だって俺は、失くなった左眼も再生しない。喪った物は戻らない。それこそ俺が、人間である証。
「私は崇高なる鬼だ。下等な人間と同列にするな」
「累が死んだよ」
「……知っている」
俺の持つ累の着物を、無惨様は凍える眼差しで見下した。
俺も着物を撫でながら、目を瞑る。
「──鳴女。下弦の鬼共を喚べ」
ベベンッ、と再び鳴る琵琶に、俺は無惨様を見上げる。
「なんだ、粛清するのか?」
「私の配下に弱い鬼など要らぬ。お前は傍らにでも居ろ。だが、その場で発言は許可しない」
「…一気に駒を喪うのは、何とも勿体無いと思うけど?」
「口答えするな」
一蹴され苦笑する。仕方ないなと立ち上がると庭に配置されている篝火に近付き、累の着物をくべて、燃やした。
燃え滓が天に舞う様子を暫し眺め、さっと視線を翻す。
…どうか累が、両親と再会出来るようにと密かに願って。
義勇はあの台詞がないと締まりませんよね〜?
胡蝶さんふつくしい。
無惨様公認の人間じゃない主人公。
因みに多分完結しません。完結ってなに??
短編みたいな感じですからこれ。銀○みたいな。
ではでは!