彼の人は   作:後生さん

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顛末は終息していく。
短いです。






七人

 

 

夢の終わりは、もうすぐ。

そうぼんやりと思ったのは、鳴女が産屋敷邸を発見したと告げてから。

無惨様は嗤い、俺は目を瞑った。

 

彼はしっかりと身なりを整えてから、俺に言いつける。

 

 

「鬼卿。無限城から決して出るな」

 

「お望み通りに。──無惨様」

 

「なんだ」

 

 

少しだけ嫌な予感がしたのは、心に押し留めた。

だって、無惨様ならきっと大丈夫だろうと信じていたから。彼は鬼の王。頸を斬られても死なないのだから。

 

 

「…お気をつけて」

 

「──フン。すぐに杞憂だと知る」

 

「うん……それでも、お気をつけて」

 

 

いつだって、現実と理想はすれ違ってしまうのだから。

これが、長く伴に居たからこその弊害だと言うのなら、どうかそのままでいさせてほしい。

 

 

「…鳴女」

 

「何でしょう」

 

「危ういと感じたらすぐさま無惨様を帰しておくれ」

 

「肝に命じております」

 

「頼んだよ。…俺は、何も出来ないからさ」

 

 

不老なんて、何の役にも立たない。

ああ、これならば鬼になれば……なんて。そんなこと、考えたって更なる苦痛が生まれるだけだ。

鬼である彼等には申し訳ないけれど、誰だって、更なる痛みなんて欲しくは無い。欲しくは無いのになぁ。

 

 

「……嫌な予感がする」

 

 

どうか、気の所為であるように。

まだ夢の中でいたいんだ。

 

 

 

 

 

 

◇◇ ◇◇ ◇◇

 

 

 

 

 

 

 

「…そうだ、もう一つだけ聞きたい。鬼舞辻無惨、君は人間を守ってるらしいね」

 

「……」

 

 

鬼卿の事かと直ぐに思いつく。

産屋敷耀哉は病に伏しながらも、微笑みを決して外さないまま私の居る方向を包帯に隠された瞳で見据えた。

 

 

「理由を教えてくれないかい?それが不可解で、どれだけ思考しても分からないんだ…」

 

 

その疑問に、私は鼻で笑った。

 

 

「朽ちて死にゆく貴様には、到底理解出来ぬ。だが、手向けとして一つだけ答えてやろう」

 

 

あれは、人間では無い。

 

 

「……」

 

「あれは私と同じだ。そして……貴様とも。

 

──あれを人間として扱ってはならない。しかし化け物としても扱えぬ。あれは夢だ。変えられぬ夢だ」

 

 

人間であるのに人間として生きられない鬼卿。

人間として長らえたかったのに鬼にされた、私。

 

この男を見て、気付いた。

この安堵感も、この気持ちも。

 

──全て彼奴の傍に居れば味わうもの。

 

 

「……そう……そうなんだね、鬼舞辻無惨。その人を、君は愛したんだね」

 

 

その言葉に、思わず眉間に皺を寄せた。

何をくだらぬ事をと。世迷言だと、口を開けるも。

 

 

「…」

 

 

私は何も言わなかった。

「愛」などという不確かで偽善でしかないものを、彼奴の事を思い浮かべればどうにも否定は出来なかった。

だがそれを認める訳にもいかず、私は面白そうに笑う産屋敷耀哉を睨み、奴との会話に終止符を打つ。

 

 

「話は終わりだな?」

 

「ああ……こんなに話を聞いてくれるとは思わなかったな…。──ありがとう。無惨」

 

 

男は。産屋敷耀哉は。

仏のような顔を貼り付けたまま、己と、妻と子供諸共。

私に致命傷を与えるために。

 

 

 

──爆薬で消し飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、唐突に知らされた。同時に嫌な予感が的中してしまったことを安易に教えてくれた。

 

 

「鬼狩りが無限城に……?なら、無惨様は…」

 

「鬼卿様、直に此処にも辿り着かれます」

 

「ッ…!」

 

 

鳴女は動けない。俺は行かなくてはいけない。

無惨様の元に。友の元に。一刻も早く!

 

 

「っ鳴女、鳴女」

 

「さようなら鬼卿様。

叶うことならば、貴方の娘になりたかった」

 

「なきっ」

 

 

──ベベン!

 

琵琶が鳴り、俺は月が美しく見える庭に居た。

 

 

「っ!?違う、違うぞ鳴女!此処は違う!!」

 

 

此処は無惨様に遠い!

此処は鬼に遠い!!

 

 

「此処はっ、外じゃないか……ッッ!!」

 

 

ああ叶うことならば。

まだ夢を見ていたいのに。

 

 

 

 

 





ちょっと短いですけど、
私程度、まぁ、詰め込んだらこんなものか…。

如何でしたか?
感想・評価あると嬉しいです。ではでは。

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