変な漢字!
弌つ
「鬼卿さんは、逃げないのですね」
ある日、珠世が影を落とした顔で俺に呟いた。
俺は首を傾げて笑う。
「うん?何から?」
「……どうして笑えるのですか?貴方は人間なのに」
「珠世は不思議なことを言うなぁ」
珠世が何かしら悩んでいたことは知っていたけど、俺はそれを追及しなかった。女性ならではの複雑な悩みかもしれないし、何より、話してくれるまで待とうと思ったから。
「俺は無惨様に出逢えてから、本当に楽しくて仕方ないからさ。全てが俺にとって大切な物となってくれる」
「……本当に、変わった人」
「よく言われる」
その通りだ。俺は変わっているんだろう。だって、誰もが恐れる無惨様は、俺にとっては優しい友人なのだから。
珠世は微笑む俺を見ると、苦虫を潰したような顔になる。
「…貴方を見ていると、分からなくなる。私だって元は人間です。今だって、心はそう……なのに、人間である貴方が、あの男の傍で平然と自由に生きてられる…!」
……珠世はきっと、俺に怒っている。
鬼となる選択肢しかなかった珠世は、鬼とならず人間のまま人生を謳歌している俺に、嫉妬を抱いている。
それを知っているから、俺は目を瞑りただ微笑んだ。
「──珠世はどれが幸福だと思う?」
「……なんでしょう」
「怪我も無く脅えも無く、しかし人を喰わねば生きられず、人から忌み嫌われ恐れられる虚しくも強い鬼か。
死に恐れ世に恐れ、集団に埋もれても尚懸命に生き小さな幸せを手に入れようとする平凡で矮小な人間か」
「、そんなの、」
「または。または、バレればどちらからも爪弾きにされる異端児だと理解しても、生に縋りつかなければ己さえ見失ってしまう、人間にも鬼にもなれない哀れな半端者か」
「……」
強靭な鬼になっても、住処は追われ満足に生きられない。
人間だろうと、小さな幸せすら手に入らない人生もある。
「珠世。生き方はそれぞれさ。どんなに不遇な環境だと嘆いても、それを変えるべきか悩むのは結局自分だろう?珠世はよく頑張っているけれど、何も心まで縛り付ける必要はないさ。自分のしたいように生きなさい。たとえ、どんなに辛くてもその先を望むのなら……。あはは、ただ甘受してるだけの俺に言われても、説得力はないか」
「鬼、卿さん……っ、ごめんなさい…」
「謝ることないさ。怒りも全て、君の感情なんだから。俺に出来るのは、君達を心から愛するだけだよ」
涙を一筋零す珠世に微笑みながら、その涙を拭う。
それから彼女はよく俺に笑顔を見せてくれるようになった。それに俺に危険があれば真っ先に逃がしてくれるようにも。
いつの日か、彼女が無惨様に抗い、逃れたとしても。
俺は珠世の幸せを願ってるよ。
何気にオリ主の地雷を踏んでる珠代さん。
如何でしたか?
それぞれから見てもやはりオリ主は可笑しな存在でした。
どちらも無惨様がネックですね。無惨様ェ……。