龍牙「仮面ライダービルドこと 桐ヶ谷晴夜 は、キングジコチューによって大量のジャネジーを植え付けられてしまったレジーナを止める為に、禁断のアイテム『ハザードトリガー』を使うのだった」
和也「しかし黒くなったなあいつ、まるで日焼けサロンにでも行ったみたいだな、
そして真夏の海で『イェーイ!』って感じで満喫するのか?」
ありす「日焼けサロンに行ってもあそこまで黒くはなりませんわよ?」
六花「いや、アレどう見ても『ヤベーイ!』って感じの雰囲気しか感じないじゃない!?
真夏の海で肌が黒くなって『イェーイ!』ってエンジョイしている感じじゃないよね!?」
真琴「どうなる!第25話!!」
黒いビルドこと、ハザードフォームへと変身したビルドの姿に、レジーナとジコチュー達が驚く。
「何なの、あの姿……!」
「知るかよ!あんなのがあるなんて僕達聞いてないぞ!」
「ご安心を、我々で直ぐに片付けます」
「面倒だけど、仕方ないわね」
ベール達三人がビルドに向かって行き、攻撃をしてきた。
「っ!」
彼らはさっきの連携で再びビルドを倒そうすると、ビルドの動きは先より早くなり、ベール達三人の連携を崩しながら蹴り飛ばす。
「なんだと?」
「動きが先よりも早いわ!」
「このぉー!」
イーラが後ろから攻撃をしようとする。だがすぐにビルドは躱し、カウンターで吹き飛ばす。
「パワーも先より上がってるぜ……」
仮面ライダービルド・ハザードフォームの強さにベール達三人は驚き、手も足も出なかった。
「何やってのんよ!使えないわねぇ!」
今度はレジーナがビルドへ向けて光線で攻撃してきた。
「レジーナ!」
ビルドが避けると今度はレジーナは距離を詰め、殴り掛かろうとする。
「やめろ!レジーナ!!これ以上お前と戦いたくない!」
「言ったでしょ!アタシとパパ以外は必要無いって!だから、アンタも消えないさいよ!」
「目を覚ませ!」
「うるさいわね!」
レジーナはビルドの言葉に聞く耳を持たず、再び攻撃してくるが、ビルドはレジーナの攻撃を防御する。
だが、ビルドは抵抗があるのか一度も攻撃せず、レジーナから距離を取るために離れる。
「くっ⁉︎ どうすれば……あっ⁉︎」
突然、ビルドが頭を抑え出した。
「晴夜君!」
「どうしたの、急に……!」
「頭が痛いのでしょうか……?」
(何だ、急に意識が……⁉︎まさか……これが……!)
ビルドは悟った。これがハザードトリガーによる、『戦闘が長引けば脳が刺激に耐えきれない』と言うことなのだと。
――このままだと、まずい!
(や、やめろ……!)
その時、父親の言葉が脳裏に甦る。
『その瞬間、目に見える全てを破壊するだろ……』
(やめてくれ……!――――)
それを最後にビルドは頭を抑えていた腕をだらんと下ろす。
「晴夜君……」
「どうしたの……?」
「おい!晴夜、どうした!」
「おかしい、反応がねえぞ!」
マナ達が叫ぶが聞こえるはずもない。
今のビルド……晴夜には自我がない。
「これで終わりよ!」
レジーナがビルドに光線を放つ。
「……」
しかし、ビルドはレジーナの光線を避けると、あっという間にレジーナとの一気に距離を詰めた。
「えっ⁉︎」
『マックス!ハザードオン!』
トリガーのスイッチを押し、ビルドはいつもより早い勢いでレバーを回す。
『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!』
『Ready go!』
『オーバーフロー!ヤベーイ!』
ビルドの黒く包まれたパンチがレジーナに命中し、レジーナを吹き飛ばした。
「きゃあああああー!」
「レジーナ!」
「そんな、晴夜君がレジーナに攻撃するなんて……」
「まるで、いつもの晴夜さんじゃないような気がします」
いつものビルドとは違う事に驚くマナ達。だが、驚いていたのはマナ達だけじゃなく、ベール達三人も同じだった。
「ば、バカな……!」
「嘘でしょ!ジャネジーを取り込んだあのレジーナを簡単に……!」
「今のビルドやばくねぇか……!」
レジーナが涙を浮かべて悶え苦しんでいる様子を見た三人が話していると、ビルドはベール達の方を見て、三人に向かって歩き出した。
「ど、どうすんだよ!」
「あれ、絶対ヤバいわ!」
「に、逃げるしかない・……!」
逃げようとしていた三人だが、話してる間にビルドが既に彼らの前にいた。
「「「えっ?」」」
『Ready go!』
『オーバーフロー!ヤベーイ!』
ビルドはそのまま三人に一撃ずつ蹴りを入れ、あっという間に吹き飛ばし、三人共岩へと激突した。
「何だよ……この、パワーはよ……」
「どうして、急にこんな力を……」
「ま、不味い……今のあいつは危険過ぎる……」
ベール達三人がビルドへの怯えを感じ出した。
「何だよ、強ぇけどこれは……」
「ああ、今のあいつ絶対おかしい!こんなのあいつの戦い方じゃねぇ!」
「ええ!一体どうしちゃたのよ……」
「晴夜君……」
マナ達は今のビルドの強さと戦い方に不審感を感じ出す。
「くぅ〜!許さない!」
ビルドに吹き飛ばされたレジーナが殴られた部分を押さえながら立ち上がり、宙に浮いてビルドを見る。
「アンタなんか、絶対許さない!」
叫ぶと、レジーナが再び巨大なエネルギーの玉を作り出した。
「みんな!消えちゃえー!」
「やめて、レジーナ……レジーナーーー!」
レジーナがエネルギー球をビルドに投げつけたその時、謎の光線がエネルギー球を打ち消した。レジーナは飛んできた光線を方を見る。
それを打ち消したのは、赤いプリキュアだった。
「赤の……?」
「……プリキュア?」
「何なの、アナタ!」
「愛の切り札!キュアエース!」
赤いプリキュアは岩に着地し、自らキュアエースと名乗った。
「キュア……エース……?」
「初めて見る戦士だビィ!」
(何なのアイツ……!?見てるだけで胸の奥がムカムカする!)
キュアエースを見てレジーナが胸がムカムカすると呟き出す。
「アタシの前から、消えろ!」
そう叫んで放った光線がエースの着地していた岩に命中し、岩が崩れ去った。
「どこを見ているのかしら?」
だがエースは既に躱していて、すぐさまレジーナに迎撃に移った。
エースの力はレジーナを圧倒し、着々と追いつめていた。
「速い!」
「一気に決めさせて頂きますわ!」
「彩れ!ラブキッスルージュ!」
エースは手に持ったルージュを唇に塗り、相手に向かってキスを投げると、前方にハート形のエネルギー体が生成される。
「ときめきなさい!エースショット!ばきゅ~ん!」
両手持ちして頭上に掲げたラブキッスルージュを振り下ろし、エースショットを放ち、レジーナへと命中した。
レジーナはダメージを負い、そのまま倒れた。
「凄い……!」
すると、レジーナが倒れ込んだ所にビルドがやってきて、レジーナを掴んでいた。
「晴夜の奴、何にする気だ……?」
『マックス!ハザードオン!』
龍牙が呟くと、ビルドはトリガーのスイッチを押し、ドライバーのレバーを握ろうとしていた。
「ま、まさか……⁉︎」
「ヤベェぞ!止めろ!」
「だめ……ダメだよ!晴夜君!」
ビルドに向かってマナが叫ぶが、意識のない今のビルドには聞こえはしない。
「…………あ……う……」
「……」
『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!』
「やめろ!晴夜!」
龍牙が立ち上がり、ビルドに向かって走り出すと、スクラッシュドライバーを装着し、ドラゴンスクラッシュゼリーを差し込んだ。
『ドラゴンゼリー!』
「変身!」
『ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!』
クローズチャージへと再変身した龍牙はツインブレイカーにクローズドラゴンを差し込む。
『クローズドラゴン!』
『Ready go!レッツブレイク!』
『 Ready go!』
「……い…………や……!」
そしてビルドは、レジーナにトドメを刺すための準備を終え、全身から漆黒の強化剤を黒いオーラのように噴出しながら腕を上げた…
『オーバーフロー!ヤベーイ!』
「やめろぉぉぉーー!!」
クローズのツインブレイカーが間一髪、ビルドに命中し、レジーナを離した。吹き飛ばされたビルドの変身は解除されると、クローズも変身解除し、龍牙と倒れていた和也も立ち上がり晴夜の元に駆け寄る。
「おい、大丈夫か?おい!」
「?……俺は………何をやっていたんだ……
まさか……!」
「……覚えてねぇのかよ?」
その隙に倒れていたレジーナを、ベールが介抱した。
「キュアエースと言ったな。覚えておこう」
ベールがキュアエースに向けてそう言う。
「待って……!レジーナを連れて行かないで!」
レジーナが居なくなってしまうと思ったマナは傷だらけの体に鞭を打ち、ベールにレジーナを連れて行かないでとお願いする。
「プリキュア……絶対許さない!」
だがレジーナがマナに向けたのは、憎しみの瞳だった。
「それと……」
レジーナがベールから降りるとフラフラと晴夜の元へと近づき、晴夜の顔を叩く。
「アタシを倒そうしたアンタなんか、もっと許さない!!……くぅ!」
フラフラのレジーナをベールが支える。
「ビルド、俺たちもお前に受けた痛み、今度は数倍して返してやる!」
「覚えてろよ!」
「ここまでされたからには絶対許さないわ!」
レジーナ達が晴夜に恨み言を言うと、そのまま引き上げて行った。
「レジーナぁっ!」
その姿に衝撃を受けたマナは、あまりの悲しみに涙を流した。
(俺が……レジーナを……倒そうとしたのか…………俺が、この手で……?)
そして晴夜は、自分がレジーナを手にかけようとしていたと言う実感に、押し潰されそうになっていた。
「泣けば、悩めば、あの子が戻って来るとでも言うのですか?」
急にエースが口を開いた。
「さあ、立ちなさい。あなたには立ち止まっている余裕などありません」
そして、七人に立ちなさいと言う。
「ちょっと待って下さい!」
「あなたは知らないのよ!マナがどれほどレジーナを思いやって来たか!」
「どこのどなたかは存じ上げませんが、マナちゃんの気持ちをないがしろにするのは許せません!」
六花達がエースにそう話すが、本人は気にせず再び口を開く。
「プリキュア五つの誓い!」
「一つ!プリキュアたるもの、いつも前を向いて歩き続ける事!もっと、強くなりなさい」
「無理だよ……!あたし……もうこれ以上強くなんてなれない……!」
エースは今より強くなれと言い放つが、マナは泣きながら強くなれないと叫ぶ。
「仕方がありませんね」
その様子を見たエースは、マナが髪留めとして使っていたキュアラビーズを取り上げる。
「あなたが愛を取り戻すまで、これはわたくしが預かります。それと……」
エースは晴夜と龍牙と和也の方を見る。
「……何だよ?」
「俺達にも何か言いたいことがあるのか?」
「あなた方二人では、ありません。私はこちらの方に用があります」
エースは晴夜の方に用があると語る。
「いつまで下を向いているつもりですか!」
エースが晴夜に喝を入れると、晴夜はエースの方を見るために顔をあげる。
「あなたは、自分の力に飲み込まれて、挙げくの果てには暴走するとは……戦う者としては最悪です!」
「ッ⁉︎」
エースの発言が、晴夜の心に強く響く。
――その通りだ、さっきまで間違いなく晴夜はハザードトリガーの力に飲み込まれて、自我を失っていた。
「それでは、アデュー」
「ちょ、ちょっと!」
そのままキュアエースはどこかへと行ってしまった。
「行っちゃったビィ……」
「ごめん……みんな……あの人の言う通りだよ……
あたしには、プリキュアの資格なんて無い……!」
「マナちゃん……」
「マナは何も悪くない!だから……泣かないでよ……!」
プリキュアの資格が無いと言うと、マナを六花とありすが慰めようとする。
同時に、晴夜が口を開く。
「なぁ…………俺は……本当に暴走していたのか……?」
「そ、それは……」
「もし、本当なら……俺は、俺は……う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
晴夜は頭を抑え、自分のしでかした事を思い出し、発狂した。
「落ち着け、お前はレジーナを止めようとしただけだ!」
「そうだ!だから、自分を責めるな!」
和也と龍牙が懸命にフォローするが、晴夜の叫びは止まらなかった。
ジャネジーを植え付けられたレジーナはまた敵となり、マナはキュアエースにキュアラビーズを取り上げられ。そして、晴夜は自分が暴走し、レジーナを手に掛けようとしたことによる罪悪感で戦意喪失となった…
その頃、トランプ王国へと戻ったベール達はレジーナをキングジコチューに渡していた。
「うっぅぅぅ〜!」
「かわいそうな我が娘よ……今は眠れ。深く、もっと深くに」
キングジコチューは自らの力でレジーナを深い眠りへとついてしまった。
「そのキュアエースとは何者なのだ?」
「分かりません。ですが、恐ろしい相手です。それに、ビルドも……」
「随分と手こずってるみたいじゃない?ベールちゃん」
後ろを振り向くと、二人のジコチューが立っていた。
「その呼び方は止めろリーヴァ!」
「アンタ達、あれからまだ一つも世界を攻略出来ていないんですって?」
「俺達はもう世界を三つ滅ぼして来てやったぜ」
ベール達の前に新たな幹部、リーヴァとグーラが現れた。
「グーラ!」
「ヘッ、どーせサルしか住んでないようなチンケな世界だろ」
「言ってくれるじゃない」
「お前も頭から食ってやろうか?」
「食えるもんなら食ってみろ!」
「止めんかぁ!」
キングジコチューが叫ぶとジコチュー達は黙った。
「リーヴァ、そしてグーラよ、プリキュアと仮面ライダーの殲滅はお前達に任せる!」
「「ハハッ!」」
「……ん?仮面ライダー?誰なのそれは?」
リーヴァは聞き覚えのない名を聞いて、疑問に思った。
「奴らはプリキュアに手を貸している。それが仮面ライダーと言う邪魔者だ。
名をクローズ、グリス。そして、ビルドの三人だ」
「何だそいつ?強いのか?」
「ああ、テメーらなんかよりもな!特にビルドがな!」
「ビルド?その仮面ライダーがそんなに強いの?」
「ああ!ビルドは、ジャネジーを取り込んだレジーナ様さえも倒してしまう強さを持っている」
「へぇ、面白いじゃない」
「そいつもプリキュアと一緒に食ってやろう!」
リーヴァとグーラがビルド達にとっての新たな強敵として現れることとなったが、その横でベールはここにいない人物について思い出した。
「失礼ですが、キングジコチュー様」
「なんだ?」
「スタークは今どこにいるかご存知ですか?」
このお方なら何か知ってると思い、ベールはキングジコチューにスタークの場所を聞く。
「奴なら、貴様らが戻ってくる少し前に『旅に出る』と言って出ていった。我の力になるため戻って来ると言ってな」
それに対してキングジコチューは、スターク――総一郎は旅に出たとベールに言う。
「そうですか。(―――何を考えているスターク?)」
それから、数日後…
「おい、晴夜。いつまでそうしてるんだよ!」
「ぁぁ……」
龍牙が晴夜に言うと虚ろな顔でそう呟いた。
今の晴夜の姿は髪がいくつも跳ねていて、自分の作業用の椅子に座り、寝るとき以外は全然動かない。まるで魂が入っていないような状態だった。
「じゃあ、俺もう学校に行くからな!お前も明日から来いよ!」
と晴夜に言うが、晴夜は黙ったままに何も言わなかった。そのまま、龍牙は地下室を出て、玄関へと向かう。
「龍牙君」
「ん?」
声をかけられた龍牙は後ろを振り向くと、晴夜の祖父と祖母がいた。
「晴夜はどう、少しは元気になった?」
二人は龍牙に今の晴夜の状態を聞く。
「今は、ソッとしといてやって下さい、あいつは絶対立ち直る!」
龍牙が自身満々に言う。
「そうだな、晴夜なら大丈夫だ。拓人の息子だ」
「そうですね。ありがとう、龍牙君」
祖母が龍牙にお礼を言う。
「いや、寧ろ俺の方があいつに救われた……じゃあ、いってきます!」
「いってらっしゃい!」
龍牙は玄関を開け、外に出て学校へ向かった。
その頃、地下室にいる晴夜は。
(俺は、この先どうすればいいんだ……?レジーナを助けると言って、自分がこのザマか……)
レジーナを助けられなかった事、そしてハザードトリガーを使い暴走し、レジーナを倒そうとした事から未だ立ち直れずにいた。
『許さない……』
「⁉︎ レジーナ……!」
声が聞こえ、顔を上げると自分の目の前にレジーナの幻影が見える。
『許さない……アタシを倒そうとしたアンタなんか!』
幻影とはわかっているのに、レジーナへの怒りが自分の体に強く伝わってくる。
「ごめん……ごめんなさい……ごめんなさい……」
晴夜は謝る。何度も何度も嗚咽を吐きながら謝り、顔を上げるとレジーナの幻影は消えていた。
(もう……戦いたくない……)
そして、その日の昼頃。
ビルドフォンから電話が鳴り、晴夜がその電話に出る。
「何の用だ……?」
それからしばらくして、晴夜は大貝町で一番景色が見える公園に来ていた。
「よう、元気そう…ではないな」
そこのベンチに総一郎が座っていた。
「電話でこんな所に呼びつけて、何の用だ……」
気の抜けた声で電話でここに呼んだ総一郎に尋ねると、総一郎が笑い出す。
「何が、おかしいんだ!」
「まだ、わかってないようだな。
いいか、キングジコチューのジャネジーを植え付けられた以上、レジーナは完全にお前達の敵になった。
つまり、お前は自分達を襲う敵を倒そうした……それだけだ」
晴夜は、自身がレジーナを倒そうとしてしまった出来事を、「それだけ」と言った総一郎に怒りを感じた。
「それだけ?……ふざけるな!レジーナは、俺たちの友達だ!だから……」
「助けようとしたかったからか……それはまた、能転気な事だな」
だが総一郎の発言に、晴夜は何も返す言葉がなかった。
「まぁ、この先、お前が戦わないのは勝手だ。
だが、今後現れる二人の新たな幹部ジコチューには、クローズとグリスと他のプリキュアだけでは無理かもな」
「……新たな幹部?」
「リーヴァとグーラ、それが新たな幹部だ。はっきり言ってベール達より数段強い……
だから、お前が戦うしか無いんだよ!」
総一郎が晴夜に言うが、晴夜は首を無理だと横に振る。
「これを聞いたらお前にもわかっているはずだ!だから、何かを期待してここに来たんだろ!」
「うるせえ!」
晴夜が殴りかかろうとする。だが、総一郎はそれを避け、晴夜の腹を殴ると倒れ込んでしまう。
「どうすれば……どうすればいいんだよ!」
晴夜が両手で地面を叩きつける。
「お前が奴らに勝てばいい、それだけだ」
「…………無理だ……無理だ」
総一郎がそう語るが、晴夜は今の自分には、無理だと言う。
「また、自分を見失うのが怖いか。安心しろ、勝つ方法はある。それと情報を与えてやる」
「情報?」
「レジーナの事だ」
「レジーナ……!」
総一郎はレジーナの情報を話してやると言ってきた。
「今、レジーナはキングジコチューによって深い眠りについてしまっている。
キングジコチューを倒せばレジーナに植え付けられたジャネジーだって消えるかもしれない」
そう言うと、総一郎は持って来たケースを開け、それを晴夜に見せる。その中には、今まで晴夜自身も一度も使ったことのないボトルばかりがあった。
「なんだよ、このボトル?」
「トランプ王国に残っていたボトルだ。しばらくの間、このボトルを貸してやる。
ビルドドライバーの最大の特徴はハザードレベルでは計れない強さを持っている事だ」
そう言うとトランスチームガンを出し、コブラボトルを差し込んだ。
『コブラ!』
「蒸血!」
『ミスマッチ!コッ・コブラ…!コブラ…!ファイヤー!』
黒い霧を纏い、霧が晴れるとスタークへと変身した。
「立て。俺と戦えばボトルの特性を生かした新たな戦い方を探しながら、ハザードレベルを上げられるかもしれない。
レベルが上がれば、ハザードトリガーだって使いこなせるかもしれない」
スタークが言うが、晴夜は倒れたまま動こうとしない。
「何をためらっている!お前には守るべきものがあるんじゃないのか!
自分が信じた正義の為に戦ってきたんじゃないのか!それとも、全部嘘か!」
スタークに言われ続けると晴夜はケースに手を伸ばし、ボトルに掴む。
「最悪だ……こんなに苦しくても、戦うしかないのか……!
でも、もう迷ってもいられない、必ずレジーナは取り戻す!そのため、俺は強くなる……!」
晴夜が呟くと、ビルドドライバーを装着し、ボトルを振ってドライバーに差し込む。
『フェニクス!掃除機!』
ドライバーのレバーを回し、前後からランナーが出現した。
『Are you ready?』
するといつもの様にその音声が響いた。その時、ハザードトリガーを使った自分を思い出し、一瞬戸惑う。
だが、晴夜は高々と叫ぶ。
「変身!」
戸惑いながらも、晴夜はビルドへと変身した。
「うおぉぉぉぉぉぉー!」
ビルドはそのままスタークに向かって火炎攻撃をするが、スタークは避けて、スチームガンで反撃に出る。
「ダメダメだ!二つの力を使いこなしていない!」
「まだまだ!」
今度は違うボトルをドライバーに差し込む。
『ローズ!ヘリコプター!ベストマッチ!』
『Are you ready?』
「ビルドアップ!」
『情熱の扇風機!ローズコプター!イェーイ!』
赤と緑のアーマーが装着され、バラの鞭とヘリコプターのプロペラが装着された。
「どんだけ、赤と緑が好きなんだよ!」
スタークがスチームブレードで攻撃しようとするが、ヘリコプターのプロペラで攻撃し、そのままスタークに命中し、次にバラの鞭で攻撃する。
「やっぱり、ベストマッチは想像以上だな!まだまだ行くぞ!晴夜!」
『タートル!ウォッチ!ベストマッチ!』
「おぉぉぉぉぉぉぉ!」
ビルドとスタークによるハザードレベルを上げる為の戦いは、さらに激しくなっていた。
次回!Re.ドキドキ&サイエンス!
第26話 新たな誓い!ビルドとハート!
おまけ
総一郎「逆に考えるんだ晴夜……死ななくて良かったと……」
龍牙「うるせぇ!何言ってんだあんた!」
マナ「そもそも!あなたがアレを晴夜君に渡さなければ……!」
総一郎「んん〜?……レジーナが瀕死状態になったのはハザードフォームのせいで……晴夜がハザードフォームになったのはハザードトリガーの力を使ったせいで……そのハザードトリガーを晴夜に渡したのはこの俺で……ハッ!全部俺のせいだ!フハハハハハッ!
晴夜ァ!全部俺のせいだ!フフッ」
晴夜「スタァァァァァァァク!!!!!!」
こうなったのは、全部スタークのせいなんだ。
完