Re.ドキドキ&サイエンス   作:yu-ki.S

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前回までのあらすじ!

龍牙「キュアソードこと 剣崎真琴 は、キュアエースこと 円亜久里 に『迷いあるアイドルは、アイドル失格』的なことを言われ、引退まで考えてしまいました!」

晴夜「その後、龍牙の必死の説得と鏡に映った王女様の励ましによって真琴はこれからもアイドルを続けていくことを決めたのでした!」

和也「やったぁぁぁぁぁぁ!!まこぴー引退しなくて良かったぁぁぁぁぁぁ!!」

晴夜「いや、うるさいよ!ちょっと静かにしなさいよ!」

和也「よーし!前回の話を『まこぴー引退しなくて良かった記念日』にしよう!
それじゃあ、早速マネージャーにまこぴーの抱き枕カバーを作って貰おう!」

龍牙「なんでだよ!?ていうかそんなことマネージャーが許すわけが……」

DB「じゃあ、前金で10万ね♪」

晴夜「許しちゃったよ!?しかも結構お金取るし!!」

DB「当たり前でしょ?アイドルの純潔はどんな物より価値の高い物なんだから♡」

晴夜「これ抱き枕の話だよね?」

和也「よっしゃぁぁぁぁ!!早速ATMに……あっ、第28話、始まるぞ!」


第28話 登場⁉︎ ジコチューヒロイン!

突然だが、大貝空港に飛行機ジコチューが現れた。

 

「いつもニコニコ、疲れちゃう!」

 

そう叫び、周りのものを壊して行く飛行機ジコチュー。

 

「あそこだ!」

 

そこに既に変身したビルド達七人が現れた。

 

「立ちっぱなしで足がパンパーン!」

 

ジコチューはそう言って、今度はイスを踏みつぶす。

 

「何なの、あのジコチュー?」

 

「キャビンアテンダントのつもりでしょうか?」

 

「随分勝手なキャビンアテンダントだな」

 

「ジコチューだから当然だろ」

 

「とりあえず、止めるぞ!」

 

「お客様の中に、王女様はいらっしゃいませんかー⁉︎」

 

王女様がいないかと飛行機ジコチューが叫ぶ。

 

「王女様を探してるんだわ!」

 

「その通り。王女はどこへ隠したの?」

 

声が聞こえる方を振り向くとリーヴァが現れる。

 

「知ってたって教えない!」

 

「もし、知ってたとしてもアンタには絶対教えねえよ!」

 

ハートとビルドが教えないとリーヴァに言い放つ。

 

「だったらアンタ達に用は無いわ。ジコチュー!」

 

「アテンション、プリーズ!」

 

リーヴァの指示で飛行機ジコチューのエンジンから火弾を放つ。

 

「プリキュア!ロゼッタリフレクション!」

 

ロゼッタがロゼッタリフレクションを発動し、火弾を防ぐ。

 

「なら、このベストマッチだ!」

 

ビルドは、ボトルを差し替えた。

 

『フェニクス!ロボット!ベストマッチ!』

 

音声と同時にレバーを回し、前後からアーマーが形成された。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

ビルドが叫ぶと二つのアーマーが装着された。

 

『不死身の兵器!フェニクスロボ!イェーイ!』

 

右腕と左複眼部分がフェニクスのモチーフとなり、左腕にロボットアーム『ディストラクティブアーム』が装着された、フェニクスロボへとフォームチェンジした。

そしてジコチューの放った火弾をビルドの火炎で相殺し、更に連射してダメージを与えた。その隙にドライバーのレバーを回す。

 

『Ready go!』

『ボルテックフィニッシュ!』

 

ビルドの身体が炎に包まれ、フェニクスの翼――『エンパイリアルウィング』を開き、飛行機ジコチューに体当たりし、かなりのダメージを与えた。

これに怒ったジコチューが今度は火炎放射を放った。

それに対してロゼッタはロゼッタリフレクションを出して防御した。

 

「プリキュア!ロゼッタリフレクション!」

 

しかし、ロゼッタリフレクションが火炎放射に耐え切れずに砕け散り、直撃を受けそうになる、その時だった。

 

「ときめきなさい!エースショット!ばきゅ~ん!」

 

エースが現れ、両手持ちして頭上に掲げたラブキッスルージュを振り下ろし、エースショットを放った。

飛行機ジコチューは浄化され、プシュケーは持ち主の元に戻り、周りも元に戻った。

 

「フン、覚えてなさい!」

 

負け惜しみを言ってからシルクハットを投げつけた。

 

「させるか!」

 

ビルドがロボットアームで防ぎ、シルクハットを打ち返した。

直撃する寸前で引き上げたので、リーヴァには当たらず、シルクハットも消えた。

七人は人が居ない場所へと移す。

 

「申し訳ございません!

私の守りが弱いばかりに、危険な目に遭わせてしまい……!」

 

ロゼッタは攻撃を防げなかった事に責任を持ち、みんなに謝る。

 

「そんな事無いって!」

 

「ロゼッタが悪いわけじゃない」

 

「責任は私達みんなにあるわ」

 

「俺も防御に強いベストマッチに変えればよかったと思ってる」

 

「もう一人の責任じゃねぇよ!」

 

だがそれはロゼッタの責任ではないと、ビルド達が言う。

 

「ですが……」

 

ロゼッタはエースの方を見る。

 

「わたくしから特に言う事はありません。

あなたは自分で気付く子です。頑張って成長なさい」

 

そう言ってエースは何処かへ行ってしまい、ロゼッタはエースの方をしばらく見ていた。

 

「ありす……」

 

 

 

その後、ありすは四葉邸へと帰宅するが、あまり元気が無い様子だった。

 

「はぁ……」

 

「ありす、さっきからため息ばっかりでランス~」

 

「お嬢様、一息お入れ下さい」

 

「ありがとう、セバスチャン」

 

セバスチャンが紅茶の入ったカップをありすの前に置く。

 

「キュアエースの導きで、マナちゃんと真琴さんは自らを高め、龍牙さんも更に力をつけました。私も三人のように自分を高めなければなりません」

 

「お嬢様は日々努力なさってます」

 

「でも、まだまだ足りないのですわ。もっと頑張らないと……」

 

ありすが呟くと、立ち上がって何処かへ行ってしまった。

 

「お嬢様……」

 

セバスチャンが呟くと、インターホンが鳴り、セバスチャンは映像を見る。

 

 

その頃、四葉邸の武道場では、ありすが道着に着替えて座っていた。

 

「お願いいたします!」

 

ありすが礼と同時に、畳が飛んで来た。

 

「はあっ!」

 

飛んで来た畳を蹴り飛ばすと、六つの腕を持ったロボットが出て来た。

 

「拳が雲っておるわ!」

 

ロボットの反撃を受けたありすは吹き飛び、背中から壁にぶつかった。

 

「こんな事では、皆さんをお守り出来ませんわ!もう一本!」

 

「久しぶりに見たな、お前のその姿」

 

ありすが叫ぶと、入り口の前に和也がいたのに気付く。

 

「今日のこと、気にしてんのか?」

 

「はい、今日は皆さんを守れなかった。ですから……」

 

「俺も付き合ってやるよ」

 

「えっ?」

 

和也がありすの特訓に付き合ってやると言った。

 

「俺も、もっと自分のレベル上げねぇと、晴夜と龍牙に置いていかれるからな」

 

「和也さん……では、お願いします」

 

ありすは和也と共に再び特訓を始める。

 

「お嬢様……」

 

セバスチャンは扉の影から頑張るありすを見て号泣していた。

 

 

そしてセバスチャンは一人、四葉邸の研究室にいた。

 

「遂にこれを手にする時が来たようです」

 

トランクを開けると、そこにあるのはビルドドライバーだった。

 

「科学の推移を結集し、作り上げた私が用意した専用ビルドドライバー!

今こそ、お嬢様の右腕となる時!」

 

セバスチャンが白いラビットボトルとタンクボトルを取り出した。

元々は人工コミューンを考えていたが、ビルドとクローズとグリスの力を見て、こっちを選んだ。ちなみにボトルは晴夜が作ってくれた。

セバスチャンに頼まれた晴夜は、ドライバーのデータをセバスチャンに渡し、セバスチャンは一人で研究していた。

 

セバスチャンが作っていたビルドドライバーは、晴夜達が使っている様な変身するのにハザードレベル3以上を必要とするドライバーではなく、セバスチャンの様にハザードレベルが足りない、もしくはなくても変身出来るドライバーである。

 

そして、つい最近完成したのだ。

 

謝礼をいくらか出すつもりだったが、晴夜はあまりいらないと言った。その代わりにデータはコピーしないと言う約束とマシンビルダーを乗るのを大貝町の中では問題ないとかわした。

振り返ると、セバスチャンは白いボトル2本を入れたビルドドライバーを装着する。

 

「変身!」

 

セバスチャンに形成されたアーマーが装着され、白いアーマーで鎧のようなモノを纏い、マントを付けた姿となった。

 

「お嬢様のためならば、このセバスチャン、鬼にも悪魔にもなる覚悟!

いざ、実践テスト開始!」

 

セバスチャンが凄いスピードで走り出した。

 

「加速は上昇、各所の違和感も無い!これならばお嬢様の役に立てる!」

 

セバスチャンは必殺技を放つ為にドライバーのレバーを回す。

 

『Ready go!』

 

「いざ!セバスチャンアタック!」

 

セバスチャンアタックは地面に小型のクレーターを作った。

 

「はぁ…はぁ……!」

 

しかし、いくら四葉家の執事とはいえ流石に歳だったので、息を切らしていたのだった。

 

 

 

その頃、町の方ではイーラとマーモが王女様を探していた。

 

「いねーなー、王女」

 

「真剣に探してから言いなさいよ」

 

「お前にだけは言われたくない!大体何だその帽子、マダムか!」

 

「日焼けはお肌の大敵なのよ。あそうだ、マイナスイオン浴びに行こう!」

 

マーモはマイナスイオンを浴びにどこかへ向かった。

 

「あ、コラコラ!リフレッシュ休暇か!」

 

イーラはツッコムが、既にマーモはリフレッシュしに行ってしまった。

 

 

 

一方、滝ではセバスチャンが滝修行をやっていた。

セバスは「浸透目客、爽快なり」と滝にうたれながら呟く。

 

「マイナスイオン、カモーン!」

 

そこにマイナスイオンを浴びに来たマーモが現れ、滑るのと同時に持っていたトランクを落としてしまう。

そのトランクはセバスチャンが持っていたのと同じで、セバスチャンのトランクの近くに落ちてしまった。

 

「むっ、こんな時間か!急がねば!」

 

セバスチャンは時間を確認し、自分のとは気付かないままマーモのトランクを持って行ってしまった。

 

「もう、どこ行っちゃったのよ?」

 

 

そして、セバスチャンは再び変身する為にトランクを開けた。

 

「四葉家筆頭執事の名に賭けて、お嬢様をお支えする!……んん⁉︎」

 

トランクを開けると、中に入っていたのは専用ビルドドライバーでは無く、化粧道具が入っていた。

 

「何ぬぅ⁉︎」

 

 

滝の方では、マーモが自分が落としたトランクを拾う。

 

「いっけない、日焼け止め日焼け止め……何これ?」

 

中に入っていたのは専用ビルドドライバーだった。

 

「どこかで見た事あるような……」

 

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

 

 

マーモが思いだそうとすると、ビルドの使うビルドドライバーだと思い出す。

 

「まさかと思うけど……変身?」

 

腰に付けたビルドドライバーにボトルを2本セットし、変身と呟いた。

すると姿を変え、何故かライダーに変身してしまった。

 

「ええっ⁉︎」

 

 

その頃、ドライバーが消えたことに驚いているいるセバスチャンが美顔ローラーを持つ。

 

「一体これは……?」

 

「こうするでランス~」

 

セバスの元に現れたランスが美顔ローラーの使い方を教える。

 

「ああ、なるほど……って……この際使い方はいいのです。

それより何故専用ドライバーと人工ボトルがこのような物に変化してしまったのか……」

 

「ベルトとボトル」

 

「あっ!」

 

何かに気付いたセバスチャンは滝の方へ向かった。

 

「?」

 

「あった!」

 

すぐさま滝へと向かい、トランクを見つける。だが開けると中は空だった。

 

「ドライバーとボトルが無い!無いーっ!」

 

「セバスチャン?」

 

後ろにいたありすが、セバスチャンに声をかける。

 

「お嬢様!和也様はどうしたんですか?」

 

「先程帰られましたが、所で何をしてるんですか?」

 

「ドライバーとボトルがどうとか言ってたでランス~」

 

「ドライバーとボトル?」

 

「あ、いや、その……」

 

セバスチャンは誤魔化そうとすると、ランスが着信が鳴った。

 

「あっ、通信でランス」

 

通信が入り、ランスがコミューンの姿になる。

 

『ありす、四葉デパートにジコチューが現れたよ!』

 

「すぐ向かいますわ!」

 

マナから四葉デパートにジコチューが現れたと連絡が入った。

 

「今度こそしっかり皆様をお守りしなければ!」

 

ありすがそう呟きながら、四葉デパートへと向かう。

 

 

そして、四葉デパートの地下街で現れたつまようじジコチューは試食品をバクバク食べてた。

 

「食い尽くせ!」

 

「皆さん!避難して下さい!」

 

セバスチャンの避難誘導に従い、その場にいた店員と客が避難する。

既に変身完了していた六人がジコチューに応戦していた。

 

「試食品を食べまくってる……」

 

「食いしん坊みたいだな……」

 

「試食品で腹いっぱいになれば、金払わずに済む!」

 

なんとまあ、セコイ考えのジコチューである。

 

「何て器の小さいジコチューなの⁉︎」

 

「ガキみたいに、小さな奴だな!」

 

「小さい言うな!」

 

ジコチューがカップを投げつけるが、特に何も起こらなかった。

 

「攻撃まで小さいわ」

 

「器の小さいジコチューって、こんなにも弱いんだな」

 

「言われてんぞ、ジコチュー」

 

「大きくなる!」

 

グーラにそう言われるとジコチューが叫びと同時に巨大化した。

 

「成長早っ!」

 

「なら……」

 

ビルドがボトルを差し替えようとすると……

 

「おーっほっほっほっ!」

 

そこに高笑いが聞こえ、姿を変えたマーモが階段を降りながら現れる。

 

「どなたですの?」

 

「問われたからには名乗らないワケには行かないわね。

我が名は……えっと……」

 

 

『みなぎる愛!キュアハート!』

 

 

マーモはハートの変身後の台詞を思い浮かべる。

 

「そうそう、あんな感じで。みなぎる美しさ!キューティマダムよ!」

自らをキューティマダムと名乗るマーモ。

 

「ティーマダム?」

 

「キューティマダムよ!」

 

「キューティって感じには見えねぞ……!」

 

「失礼ねえ!」

 

ハートとクローズの発言に、マーモはツッコミを入れる。

 

(あのドライバー、確かセバスチャンさんが作った……)

 

マーモが今使っているビルドドライバーを見て、セバスチャンが作った奴だと思うビルド。

 

「どちらの奥様でしょう?」

 

「いやいや、マダムじゃ無くてマーモだし」

 

「お前、何かおかしなモン拾って食ったのか?」

 

どうやら、全員マーモだと気付いているようだ。

 

(なんと言う事だ……!あれは間違いなく私が作ったドライバーとボトルによる変身……!

よりによって敵の手に渡っていたとは……!)

 

敵にドライバーとボトルが渡っているのを知り、凄い勢いでセバスチャンから冷や汗が流れ出した。

 

「どうする?」

 

「どうするって言ってもな……」

 

「なんか、ツッコミ所が多過ぎて、どこから突っ込んでいいか分からない……」

 

「どういうつもりかしら……?」

 

(これは一大事……!)

 

(ふふっ、悪くないわ。生まれ変わったあたしに釘付けね)

 

「うるさいジコー!」

 

「髪が乱れたらどうするの!お下がり!」

 

マーモの高笑いにイラっと来たジコチューが襲い掛かるが、持っていた扇子から風を起こし、ジコチューを吹き飛ばした。

 

「みんな!行くよ!」

 

『Ready go!』

『ボルテック フィニッシュ!』

 

ビルドが放物線でジコチューを捕獲し、ボルテックフィニッシュを放った。

 

「「「「プリキュア!ラブリーフォースアロー!」」」」

 

ハート達はラブハートアローの弓を大きく展開させ、台尻部分の引き金を引き絞ると同時に、前にハート形のエネルギー体を生成される。

そして相手にウインクして、ラブリーフォースアローを放った。

ボルテックフィニッシュとラブリーフォースアローが命中したジコチューは浄化された。

 

「いい気味だわ。おーっほっほっ!」

 

「オイ!お前味方じゃないのかよ!」

 

マーモとグーラはそう言いながら引き上げていった。

 

「はて……」

 

「どういう事?」

 

「何考えてるのか、全然わかんねえ……?」

 

「マーモは心を入れ替えたのかな?」

 

「それは無いんじゃないか?」

 

ビルド達はマーモの意図が全然読めないでいた。

 

(何としても、ドライバーとボトルを取り返さなくては……!

しかし、私一人では難しい……ここは晴夜様に協力を仰がねば……!)

 

「セバスチャンさん、ちょっといいですか?」

 

変身解除した晴夜がセバスチャンに尋ねる。

 

「せ、晴夜様……」

 

「分かってます。場所を変えて話しましょう」

 

 

そして、晴夜は四葉邸の研究室へと場所を変えた。

 

「じゃあ、やっぱりあれはビルドドライバーとボトルで変身したんですね」

 

「はい。不覚にも敵の手に渡ってしまいました……」

 

セバスチャンにドライバーの事情を聞く晴夜。

 

「でも、なんでマーモの手に?」

 

「おそらく、私が滝で修行してた間に……」

 

「滝?」

 

セバスチャンが修行していた滝へと晴夜を案内した。

 

「この辺に滝ってあったんですね……」

 

滝があったことに驚く晴夜。

 

「私は何とかしてマーモを探します。くれぐれも他の皆さんには内緒でお願いします」

 

「分かりました。ですが無茶しないで下さいよ」

 

 

 

それから数日経ち、ソリティアへと全員が集まっていた。

 

「ご覧なさい。この記事を」

 

亜久里が晴夜達にある記事を見せる。

 

「黒い貴婦人、キューティマダム現る……⁉︎」

 

「キューティマダムって、この前のマーモだよな……」

 

「あちこちに現れては、人助けをしているようで」

 

記事の内容を六人に話す亜久里。

 

「マーモったら、どうゆうつもり?」

 

「心を入れ替えたとは思えないけど……」

 

「なんか、企んでるんじゃねえか?」

 

六花と真琴がそんな話をしていると、龍牙はマーモが何か企んでいるのではないかと睨む。

 

「でも、人助けしてるんだし、あの人の中で何かが変わったんじゃない?」

 

「見た目も大分変ったシャル」

 

「ちょっとかわいくなったでランス~」

 

「女性ファンが急増中って噂ケル」

 

「ダビィは趣味じゃないビィ」

 

マナとシャルルはそう言っていると、亜久里が口を開く。

 

「いずれにしても、マーモが何を考え、どういった力で変身を遂げているのか調べる必要がありそうです。手分けしてマーモを探しましょう」

 

「「「うん」」」

「おお!」

 

マナ達が頷く一方、ありすだけが悩んでいる様子だった。それに気づいた和也がありすに尋ねる。

 

「ありす、どうした?」

 

「いえ、何でもありませんわ」

 

ありすが何でもないと言う。

一方、晴夜もドライバーのことを考えていた。

 

(不味いな、早く取り返さないと)

 

 

その頃、セバスチャンはマーモを一人で探していた。

 

「どこだ?どこにいる、キューティマダム?いや、マーモ!」

 

セバスチャンが車の中でタブレット端末を操作してマーモを探す。

 

「む?そこかっ!」

 

建物の中にマーモの反応を捕え、急いで向かった。

 

その頃、マーモが店から出てくると…

 

「探しましたぞ」

 

「誰?って言うか何?」

 

「鋼鉄の執事と呼んでいただこう」

 

鎧を纏ったセバスチャンがマーモの前に立ちはだかる。

 

「鋼鉄の……何?」

 

「いいから私の専用ドライバーとボトルを返して下さい!」

 

「ふーん、あれ、あなたのだったんだ。てっきりビルドのかと思ってたけど」

 

「さあ、お返しを!」

 

「ヤダって言ったら?」

 

「力ずくで取り返すまで」

 

「望む所よ!」

 

「であれば御免!」

 

鎧を着たセバスチャンがマーモに立ち向かうが、指から放った光線を受けて吹き飛ばされてしまう。

 

「何のこれしき……!」

 

立ち上がり、もう一度立ち向かうが、また光線を受けてしまう。

 

「やらせはせん!やらせはせんぞ!」

 

盾で防ぐものの、力の差は歴然で、返り討ちにあってしまった。

 

「セバスチャンさん、大丈夫か!」

 

偶然近くに来ていた和也が倒れたセバスチャンを揺する。

 

「おーほっほっ!御免あそばせ!」

 

「セバスチャン!」

 

マーモが引き上げたのと同時にありすも駆けつけた。

そして、三人は四葉邸へと戻り、セバスチャンを手当てする。

 

「申し訳ございません、お嬢様、それに和也様」

 

「無茶はしないでくださいよ……」

 

和也がセバスチャンの手当てを行いながら、ドライバーの事情を話した。

 

「謝らなければならないのは私の方ですわ」

 

「えっ……?」

 

「ありす……」

 

「セバスチャンは、非力な私を助けたい一心でドライバーとボトルを開発して下さったのでしょう?情けない主でごめんなさい」

 

ありすがセバスチャンに頭を下げて自分が不甲斐ない事を謝る。

 

「とんでもございません!お嬢様はわたくしにとって最高のご主人様でございます!」

 

セバスチャンがテーブルを叩くと同時に紅茶が跳ね、手にかかってしまう。

 

「あちゃちゃちゃ!」

 

「……思えば、セバスチャンはいつも私を守ってくれていましたね。

小石につまづけば下敷きになり、お化け屋敷が怖いと泣けばお化け達を追い払い、寂しくて眠れない夜は笑わせてくれて……

今度は、私があなたを守る番ですわ」

 

そして、ありすの話を聞いていた和也も立ち上がった。

 

「俺も協力するぜ、こうゆう時こそ協力して行こうぜ!」

 

「和也さん……はい!」

 

 

 

そして翌日、遊園地のヒーローショーにマーモが割り込んで来た。

 

「我が名はキューティマダム!強く美しい貴婦人よ!(悪くないわ。もう一暴れしちゃおう)」

 

マーモは自分がヒーローだと思い、調子に乗っている。

 

「そこのお前!ここがお前の墓場となる!さらばヒーロージャー!」

 

マーモがヒーロージャーも吹き飛ばした。

これを見ていた子供達は泣き出した。

 

「我こそが正義!我こそが最強よ!」

 

自分が正義だと主張するマーモ。

しかし、遊園地にたどり着いたありすと和也は…

 

「いい加減になさい!子供達が泣いてるじゃありませんか!」

 

「一つだけ、教えてやる!自分を正義だと決めつける奴は、それは、正義じゃない!」

 

和也とありすがそう叫ぶがマーモは…

 

「今日のヒーローはこの私。私より目立つ奴は許さないわ!この力は全て、私の欲望を満たすためにあるのよ!」

 

「ヒーローが欲望なんて言うんじゃあ…本当に終わりだな。コラっ!」

 

「もし、そうであれば、私は鬼にでも悪魔にでもなりますわ!

子供達、そして愛する執事のために!」

 

「お嬢様……」

 

「セバスチャンさんは子供達を!」

 

「ハッ!さあ、今の内に逃げますぞ!」

 

セバスチャンが子供達を連れて避難したのを確認すると、ありすはコミューンにラビーズをセットした。

 

「プリキュア!ラブリンク!」

 

ありすの身体が光に包まれ、光から現れるとありすはキュアロゼッタへと変身した。

 

「陽だまりポカポカ!キュアロゼッタ!」

 

ロゼッタが名乗ると、和也はスクラッシュドライバーを装着した。

 

『ロボットゼリー!』

 

スクラッシュドライバーにロボットスクラッシュゼリーを差し込み、マーモを指差しながら叫ぶ。

 

「変身!」

 

和也が叫ぶと同時にスクラッシュドライバーのレンチを下ろし、周囲に巨大なビーカーが出現した。黄色い液体が和也を包み、ビーカーが割れると彼の身体には黄色いスーツと黒のアーマーが装着される。

 

『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボットイングリス!ブラァ!』

 

「心火を燃やしてぶっ潰す!」

 

グリスへと変身し、ロゼッタと共にマーモに攻撃する。

 

「今日はやけに頑張るじゃないの」

 

ロゼッタの蹴りがマーモを吹き飛ばす。

そこに晴夜達もヒーローショーのステージへ到着した。

 

「みんな、行くよ!」

 

晴夜達二人はドライバーを装着し、マナ達はコミューンにラビーズをセットした。

 

「「変身!」」

「「「プリキュア!ラブリンク!」」」

 

晴夜と龍牙の体にアーマーが装着され、マナ達三人は光に包まれプリキュアへと姿を変える。

 

『海賊レッシャー!イェーイ!』

『ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!』

 

「みなぎる愛!キュアハート!」

「英知の光!キュアダイヤモンド!」

「勇気の刃!キュアソード!」

 

五人がマーモに向かって行こうとすると、マーモは扇子で暴風を放つ。

 

「プリキュア!スパークルソード!」

 

ソードがスパークルソードを放ち、暴風を打ち消した。

 

「ドライバーとボトルを返して下さい!」

 

「あれは私の物よ。もう名前書いちゃったのよ!」

 

「だったら、力ずくでも取り返す!」

 

グリスがマーモに力の入った拳をぶつける。

 

「これまで私を守り続けてくれた、セバスチャンのために!」

 

ロゼッタの心に共鳴するかのように、ロゼッタから力が湧きあがって来た。

 

「愛に気付いたようですね。キュアロゼッタ」

 

「キュアエース……」

 

「あなたは守り、守られている」

 

するとそこへエースが現れ、ロゼッタに話しかける。

 

「プリキュア!五つの誓い!」

「一つ!愛する事は守り合う事!いかなる時も守り合い、愛を貫きなさい!」

 

「はい!」

 

「そして、仮面ライダーグリスあなたは自分の心の炎を燃やしロゼッタの思いに応えた。これからもあなた心を貫きなさい!」

 

「上から目線だな……だが、お前の言う通りだ」

 

グリスは自分の胸に拳を当てる。

 

「俺も心火を燃やして行くぜ!」

 

「ではアイちゃん、行きますわよ!」

 

「きゅぴ~!アーイ!」

 

「プリキュア!ドレスアップ!」

「きゅぴらっぱ~!」

 

アイちゃんから出た光から箱が現れ、その後七つの炎のシルエットに包まれ、炎から現れるとキュアエースとなる。

 

「愛の切り札!キュアエース!」

「美しさは正義の証!ウインク一つで、あなたのハートを射抜いて差し上げますわ!」

 

「彩れ!ラブキッスルージュ!」

 

ルージュを唇に塗り、相手に向かってキスを投げると、前方にハート形のエネルギー体が生成される。

 

「ときめきなさい!エースショット!ばきゅ~ん!」

 

両手持ちして頭上に掲げたラブキッスルージュを振り下ろし、エースショットを放った。

黄色のエースショットが当たったマーモは動きを封じられた。

 

「くっ、何よこれ!?」

 

マーモが動けなくなった隙にグリスはレンチを下ろす。

 

『スクラップフィニッシュ!』

 

それと同時にツインブレイカーにボトルを2本差し込む。

 

『シングル!ツイン!ツインブレイク!』

 

大量のヴァリアブルゼリーを出して足場を作り、その上を滑走しながらマーモにツインブレイカーのアタックモードで怒涛の攻撃を加えた後高く打ち上げ、スクラップフィニッシュで地面に叩き落とす。

 

「喰らいやがれ!コラッ!」

 

グリスの合わせ技が決まり、マーモはそれを耐えるが流石にかなりのダメージを与えた。

 

「キュアロゼッタ!今ですわ!」

 

「やらせるもんですか!」

 

マーモは悪あがきとしてロゼッタ達に光線を放った。

 

「プリキュア!ロゼッタリフレクション!」

 

発動したロゼッタリフレクションが光線を吸収し、威力を増して還された。

 

「跳ね返した!」

 

「凄い!」

 

「パワーアップしてる!」

 

跳ね返した光線がマーモに命中し、ドライバーを破壊した。

 

「何すんのよ!あのキャラ気に入ってたのに!」

 

変身解除したマーモはそのまま撤退した。

 

「お見事ですわ、キュアロゼッタ。あなたは温かく、そして強い子ね。

そして、仮面ライダーグリス、あなたも」

 

 

その後、四葉邸へとありすは戻り、壊れた専用ビルドドライバーをセバスチャンに渡す。

 

「ごめんなさい、セバスチャン。ドライバーを壊してしまって」

 

「とんでもありません。あんな物、お嬢様には必要無かったのです」

 

「やっぱりセバスチャンが入れてくれるお茶が一番ですわ。末永くよろしくお願いいたしますわね」

 

「こちらこそ」

 

セバスチャンの淹れてくれた紅茶を飲み、ありすは静かに微笑む。

セバスチャンを全力で守りたいという愛でありすは、パワーアップを遂げたのだった。

 

 

 

一方、晴夜家の地下室では、専用ドライバーで使われた白いラビットボトルとタンクボトルがあった。

一応セバスチャンに残っていたと言ったら、「使って下され」と言って譲ってくれたのだ。

 

「白いラビットボトルとタンクボトルか〜」

 

白いラビットボトルとタンクボトル……後に『ローラビットフルボトル』と『ロータンクフルボトル』と名付けられる二つのボトル……

――果たしてこのボトルは一体何をもたらすのか、今の晴夜には予想がつかない。

 


次回!Re.ドキドキ&サイエンス!

 

第29話 ジャッジせよ!六花の気持ち

 

 




おまけ

仮面ライダービルド昔ばなし「本当は怖いイソップ寓話」

和也「よーし、いっぱい魚を釣るぞ〜!
・・・あっ!来たぞ来たぞ!キターー!!――ってしまった〜竿を落としちまった〜!!」

ペカーーーー!!

和也「なっ!なんだ!?」

黎神「フハハハハハハハ!」テッテレテッテッテー

和也「湖から土管と人がニョキーって生えてきた!?」

黎神「貴様が落としたのは…この『仮面ライダークロニクルガシャット』か?それともこの『ハイパームテキガシャット』か?」

和也「・・・いえ、どちらも初めて見ました」

黎神「ほーう、貴様は正直者だなぁ。そんな貴様にはこの『ときめきクライシス(inまこぴーver)』をあげよう!ありがたく受け取れぇ!!」

和也「ゑゑゑゑゑゑ!!いいんですか!?やったぁぁぁぁぁぁ!!
『ときめきクライシス(inまこぴーver)』だぁ!家宝にすっぺぇ!!」

黎神「・・・なんか怖くないか?」


晴・龍・マ・六・あ・真『・・・えっ?』


竿は気にするな。


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