晴夜「仮面ライダービルドであり、てぇんさい科学者の卵 桐ヶ谷晴夜は、マナ達の元に届いた春のカーニバルの招待状を受け取った事により、仲間達と遠い島にある妖精の国『ハルモニア』へと訪れていた」
龍牙「そんな中、プリキュア達を一網打尽にしようとする盗賊“オドレン”と“ウタエン”の暗躍によって、マナ達やめぐみ達と言った他のプリキュア達、更に新しいプリキュアである“プリンセスプリキュア”のメンバーを加えた特製ミュージカルを行わせ、その隙に彼女達の変身アイテムを盗んでいたのだ!」
エボルト「その作戦にいち早く気付いた晴夜だったが、かつて俺と同じブラッド帝国の王として君臨していた俺の兄、“キルバス”の所為で捕まってしまったァーーッ!
マヌケにも投獄された上に変身アイテムを奪われた役立たずの晴夜と、バカと脳筋と能天気の三拍子が揃った仮面ライダー筋肉バカは、果たして2組の野望を打ち砕くことは出来るのかぁーーー!!」
晴夜「誰が役立たずだよ!ていうか、なんでお前がここに居るんだよエボルト!」
エボルト「な〜にいってんだよ晴夜ァ?この話は龍牙ことクローズが主役の話である、Vシネ『ビルドNEW_WORLD 仮面ライダークローズ』が元ネタの物語。そしてVシネクローズといえば、クローズエボル。クローズエボルといえば、この俺。
つまり!この話ではみんな大好き、星の破壊者・エボルト様が大・復・活!するってわけだァァーーー!フッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」
晴夜「ふっ。さぁ〜て、それはどうかな?
それでは皆さん、上城龍牙が主人公の『仮面ライダー筋肉バカ&春のカーニバル!』後編、ぜひ最後まで見てくれよな!」
龍牙「おいお前らァ!なんでキルバスがこいつの兄だって事と、俺のライダー名が『筋肉バカ』で定着していることにツッコマねぇんだよ!正しくは『仮面ライダークローズ&春のカーニバル!』だからな!?」
クローズへと変身した龍牙がブラッド帝国の王と名乗る男・キルバスに戦いを挑む一方で、行方が知れなくなった晴夜を、一人の少女──相田マナが必死に探していた。
「はぁ、はぁ……晴夜、どこなの……?」
「マナ!」
彼女はステージ裏に落ちていたジーニアスボトルを握り締めながら晴夜を探しに走り続けていたが、其処へキュアブラックのなぎさが息を整えながら呼びかけて来た。
「なぎささん、どうしたの⁉︎ なんか焦ってるみたいだけど…」
「うん、実は……」
そして彼女が探している晴夜は今、何処にいるのかというと──
「──うっ……うぅ……?」
「桐ヶ谷君」
「国王……ここは……牢屋……?」
キルバスの不意打ちが原因で、盗賊であるオドレン達に捕まってしまった晴夜は、目が覚めると牢の中に居たのだった。
なんで此処にいるんだと驚いていると、オドレンとウエタンの正体を見抜いて問い詰めようとした際に背後から何者かによる攻撃を受けた事を思い出す。
「大丈夫です。すぐに……!?」
晴夜はすぐに牢から脱出すべく、コートに仕舞っておいたビルドドライバーを取り出そうとするが…
「フルボトルとビルドドライバーがない!」
「「えっ!?」」
持っているはずのロイヤルとシャドウ以外のフルボトルと、ビルドへと変身するためのビルドドライバーが無くなってる事に気付いた。
「……まさか」
あの時、不意をつかられ気を失わされたときにボトルとドライバーを奪われてしまったみたいだ。
「くそぉッ!」
ボトルとビルドドライバーがなければ、彼は武器を出す事は愚か変身することも出来ない。
今の晴夜はただの無力な少年でしかなく、鉄格子を強く握りながら叫ぶことしかできなかった。
そしてクローズへと変身した龍牙は、謎の敵キルバスに向かって鋭い拳のラッシュを繰り出すも、キルバスはまるでダンスでもしているかの様な巧みな動きで躱し続ける。
「くそぉ!」
「ふぅ〜!……攻撃を受けてばかりじゃつまらないなぁ……ならァ〜?」
「それは!?」
そう言ってキルバスは、自身が取り出したモノを見てクローズと真琴が驚いている姿を見ながら、晴夜から奪ったビルドドライバーを腰に装着する。
『ラビット!タンク!ベストマッチ!』
そしてまたもや晴夜から奪ったラビットボトルとタンクボトルをドライバーに装填すると、ドライバーから兎と戦車のシルエットが浮かび。二つのシルエットが『R/T』というマークに変化すると、そのままレバーを回してスナップライドビルダーを前後に出現させながらアーマーを形成する。
『Are you ready?』
「変身‼︎」
『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』
そして形成されたアーマーに身を包まれながら、キルバスは仮面ライダービルド・ラビットタンクフォームへと変身した。
「なんで、てめえがビルドに……」
「ンッン〜〜、まぁまぁだなァ〜……ハァ!」
「っ!?」
クローズがなんでビルドに変身出来たのかと驚いている間に、キルバスの変身したビルドの先制攻撃がクローズの顔面に炸裂し、クローズは後ろへと倒れる。
「龍牙!……こんな時に、ダビィが居れば!」
真琴は苦戦するクローズを見て戦おうとするが、パートナーのダビィがドリンクを取りに行ってしまって現在ここにいないので、変身することが出来ない。
「くぅ!……真琴!お前はダビィを探せ!」
「はぁ!」
クローズはドリルクラッシャーによる攻撃を繰り出すビルドに、ビートクローザーで応戦しながら真琴にダビィを探す様に叫ぶ。
「早くしろ!こいつは何とかする!早く行け!」
「……わかった!龍牙、待ってて!」
真琴はクローズに言われた通り、急いで自分のパートナーの妖精を探す為に走り出した。
「いいね〜!なかなかのもんだなぁ〜!」
「お前……それは晴夜のもんだろ!」
ビルドドライバーの力を気に入ったのか悦びながた武器を振るうキルバスに、彼の言葉に怒ったクローズがドリルクラッシャーを弾き飛ばして、キルバスが変身したビルドを後ずさせる。
そしてクローズが連続でラッシュを繰り出し、最後に放ったパンチでビルドの顔面を殴り飛ばした。
「どうだ!」
「……う〜むぅ………どうにもしっくり来ないなァ」
クローズは自信満々にキルバスが変身したビルドを見入るが、キルバスは何事もなかったように起き上がり、何かの違和感を感じながらボトルを取り外すと、後ろへ放り投げて変身を解除した。
「こいつを試してみるかぁ〜!」
「それは、晴夜の試作品……」
そう言ってキルパスが手に出したのは、晴夜がここに来る前に見せた蜘蛛型ペットロボと名付けた試作品のガジェットだった。
しかしその色は最初に見せてくれたカラーリングと違い、赤く変色していた。
「ハハハ……フゥンッ!」
『キルバススパイダー!』
キルバスは自らの力で生成した赤いボトル『キルバススパイダーフルボトル』をロボットに挿すと、そのままガジェットの脚を上げながらドライバーに装填してレバーを回転させる。すると前後に赤いクモの巣のようなランナーが形成される。
『Are you ready ?』
「変…身!」
『スパイダー!スパイダー!キルバススパイダー!!』
変身の呟きが放たれると同時にランナーが重なって、中心の空間がキルバスの姿と一緒に歪んだと思うといきなり蜘蛛の脚が出現し、それがキルバスの身体を覆いながらアーマーを形成。
そのまま顔と胸部装甲が前から見たクモのような意匠となり、腕や脚等に真っ赤な毒が泡立っているかのような模様が見られ。肩や腰にはクモの脚のような飾りが付いた姿となった真っ赤なライダー、仮面ライダーキルバスへの変身を遂げる。
「マジかよ……」
その光景を目にしたクローズは、ビルドからいきなり違うライダーとなったキルバスに、あの時戦ったエピオンとは比べ物にならない程の威圧感を感じた。
「さぁ……全てを滅ぼす前菜として、先ずお前から壊そうかァ!」
晴夜が捕まり、龍牙がキルバスと戦っているその頃。プリキュア達が歌って踊るカーニバルの方は順調に進んでいた。
「御疲れ様っす。妖精のみなさんには飲み物を用意してまーす」
「では、御先に失礼して」
「すぐ戻ってくるから待っていてくれ」
そんな中、リボン達妖精達はウタエンに呼ばれ、飲み物を取りに先に行っていた。
「私ー♪メロンソーダね♪」
それを聞いたひめは飲み物はリボン達に任せて、手を振って見届けた。
その後スイートプリキュアとハピネスチャージプリキュアのステージが終わり、満面の笑顔と達成感に満ちた表情で戻ってきた。
「最後は確か、はるかちゃん達よね?」
「みんなで応援してあげましょう」
「うん!」
「いや~~みなさん、お疲れ様です。とても貫禄のあるステージでした」
ゆうこといおなとめぐみがプリンセスプリキュアの出番を楽しみにしていると、オドレンがスイートプリキュアとハピネスチャージの元にやって来ていた。
「ありがとうございます」
「コンクールみたいで緊張したけど、音を楽しめば、ありがとうの気持ちが伝わるかなって」
「そうか。響ちゃんってピアノ上手なんだよね」
「うん、私の伴奏で歌ってみる?」
「いいの!?うわぁーー♪楽しみだな~~♪」
「私もー♪すごごごーく聞きたーーい♪」
響がピアノを得意としている事を聞いためぐみとひめが楽しそうに会話している光景を見ながら、オドレンは会話に夢中になっている響の懐にあるキュアモジューレに手を伸ばそうとした。
「おい!」
「うお!?」
しかしそこへ和也が現れ、オドレンの右手首を掴んだ。
「和也?オドレンさんも…」
「なんでここにいるの?」
響とエレンがなんで此処にいるんだと驚いていると、和也と一緒に居た幻冬が前に出て口を開く。
「晴夜さんと龍牙さんが中々戻られないので、探しに行こうとしてたんです。
そしたら……」
どういう訳か二人が観客席に戻らないと話しながら、幻冬も同じくオドレンを睨みつける。
「おい、その手はなんだ?」
「手?」
「その手って?どんな手?」
和也は響に向けて伸ばしてた手を掴みながら、さっきの手はなんだと問うがしかし、オドレンは何の事かと誤魔化そうとする。
だがライダーとして幾千もの戦いを繰り広げ、日々畑を守る為に害獣・害虫の動きを常に監視する和也の目は誤魔化せなかった。
「とぼけんな。さっき、響の懐に手を伸ばして何をしようとしてたんだ!」
「「え!?」」
「や、やだな~~ただ声をかけようとしただけですよ?」
図星を突かれたオドレンは手を振り解き、和也から離れながら後ろへと下がる。
「何で声かけるのに、わざわざ手を伸ばす必要があるんだ。しかも、モジューレに触ろうとしてたじゃねえか!」
さっきのオドレンの動きが不審に思えていた和也から睨まれたオドレンは、冷や汗を垂らしながら誤魔化そうとしていた。
「オドレンさん!」
「ギクッ!!」
だがオドレンを更に追い詰める様に、なぎさと咲、のぞみ、ラブ、つぼみ、マナのピンクチームが駆け寄って来ていた。
「遅すぎ!なんで見てくれなかったのよー!」
ピンクチームを見かけたひめは自分達のパートで彼女達を見かけなかった事を思い出しながらそう怒る。だが彼女達が非常に心配そうな表情でオドレンに詰め寄って来ている様子を見ためぐみは、ただ事では無いと判断して「どうしたの?そんなに慌てて」と聞く。
そしてそんな彼女達を見てまさかと思ったオドレンは、自身を睨み付ける幻冬を押しどけながらマナ達に近づく。
「こ、これはみなさん。どうなさいましたか?」
「飲み物を取りに行ってくれたシャルル達が戻らないの!それに晴夜もいないし……!」
「みんなで手分けをして探してるんだけど、見つからなくて」
「「「「ええっ!?」」」」
「オドレンさんは、みんなを見かけなかった?」
マナと咲の口から、妖精達(と晴夜)が行方不明になっている事を知ったハピネスチャージプリキュアとスイートプリキュア、和也と幻冬が驚くが。妖精達が見かけない事にもう気付いたかと焦りを感じながら、オドレンは更に詳しく聞こうと近寄ってくるみゆき達を相手に「い、いえ…」と額に汗を流しながら否定する。
「マナ!みんな!大変!龍牙が……」
「まこぴーー!」
だがキルバスと戦う龍牙の助けを求めに来た真琴を見た和也は、さっきまでのシリアスな表情から一変して目にハートマークを浮かべながら、一目散に彼女の前へ近寄って行った。
「まこぴー!さっきのステージ!さい…」
「そこのけ!そこのけーーー!」
すると和也の言葉を遮る様に、ウタエンが大きなダンボールと風呂敷を担ぎながら走って来た。
「そこのけ!そこのけ!オイラが通るっすよ!」
「ウタエンさん!待って!」
「ストーップ!」
「オイラは急に止まれないっすーーー!どわぁぁ!!」
「ああ…」
ラブとのぞみが止めようとするも、ウタエンは止まり切れずに転んでしまい。その拍子にダンボールの中身をばら撒き、オドレンは顔に手を置きながら声を漏らした。
そしてウタエンが転んだ拍子にばら撒かれた中身を、驚きながら目にしたプリキュア一同。
そこには、各プリキュア達が持っていた筈の変身アイテムが散らばっていた。
「これ、プリキュアの変身アイテム!」
「何であなたが持ってるですか!」
「あ、ああ…こ、これにはワケが…」
「その後ろの袋は何?」
「⁉︎ こ、これまたマズイっす!」
和也と幻冬に追求されるウタエンがなんて誤魔化せばとオロオロしていると、真琴にウタエンの背負っている大きな風呂敷の中で、ナニカが慌ただしく暴れている事を指摘される。
「ひめ~~~」
袋の異変に気付いたウタエンは必死に袋を抑えようと乗しかかろうとするも、風呂敷からリボンの声が聞こえたひめは「リボン!?」と驚愕しながら彼女の名を叫ぶ。
「みんなの声が…どうして!?」
「さっきの部屋に入ったら、こいつらがいきなり……」
『ええ!?』
「しかも、みんなの変身アイテムを盗んで!!」
「何だと!?」
幻冬は何故リボンが袋の中にいるのかと呟いていると、更に袋の中からはぐらさんの声まで聞こえる。ぐらさんとリボン曰く、オドレンらによってこの袋の中に閉じ込められてしまったらしく、その上彼らはプリキュアの変身アイテムまで盗んでいったと言う。
それを聞いた和也は、響だけでなく他の変身アイテムまで盗んでいた事に驚く。
「あなた達、一体何ですか!?」
「〜〜ッ!このバカ!なにやってるんだ!?」
「すみませんっす!」
「とにかく逃げるぞ!」
幻冬に何者か追求されたオドレンとウタエンが散らばったアイテムを一生懸命拾うと再びダンボールに詰め、妖精達が入った風呂敷を担ぎ。更にウタエンはすかさず懐から紫色の玉を取り出すと地面に叩きつけ、煙玉による煙幕を起こしてその場から逃走しようとする。
「ゲホッゲホッゲホッ!クソっ、何処だあいつら!」
「残りのプリキュアの変身アイテムも頂戴したっすー!」
和也達がウタエンの放った煙幕に咽せていると、ウタエンらはドサグサに紛れてプリチェンミラーとフォーチュンピアノ、スマイルパクトにキュアモジューレを持ち去って逃げていた。
「ッ⁉︎ 待ちやがれ!」
和也達が変身アイテムを持って逃げた二人を追いかけに行ったその頃。春のカーニバルのステージでは、はるか達“GO!プリンセスプリキュア”の3人が歌とダンスの準備を整えてステージに堂々と立っていた。
「ふぅ〜……」
はるかはさっきまでのオロオロしていた表情とは違い、めぐみ達からのアドバイスを思い出し、ここに集まってきている妖精達の為にと覚悟を決めた表情を浮かべて意気込んでいた。
「(大丈夫、大丈夫……歌とダンスの力を信じて…)──え?…うん?」
しかしはるかはその意気込みの為、自分の緊張が更に酷いものになっている事に気付いていなかった。だがそれを見たきららとみなみは、はるかの緊張を解くべく詰め寄る。
「はるはるならできるよ」
「心を込めて大きな声」
「──うん!!」
きららとみなみがアドバイスを送り、はるかの緊張が解けて覚悟を決めようとした時…
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
空からクローズが何者かに攻撃を受けて飛ばされて来たかの様に、はるか達がいるステージの上に現れた。
「くそぉ……」
「龍牙君?何?」
「何があったの……?」
キルバスから攻撃を受け続けた為に、クローズが強制変身解除となってしまう中。突如ステージにいきなり現れた龍牙を見たはるかとみなみは、彼の身に何があったのか頭の処理が追いつかずいた。
「待てーーーー!!」
「「「!!」」」
だがそんな彼女達を更に混乱させる様に突然めぐみの大きな声がステージ中に響き、三人は思わず声のした方へと顔を向ける。
「はっ…はっ…はっ…はっ……!」
「うへっ…うへっ…うへっ……!」
そこには、プリキュアの変身アイテムを詰めた袋を持ったオドレンと、妖精達を閉じ込めた鉄格子の檻を風呂敷で包んで担いでいるウタエンが、めぐみ達に追いかけられている光景が映っていた。
「あれって……オドレンとウタエン?」
「みんな?」
「ど、どうしたんですか?」
はるか達はどういう状況なのか把握できず困惑していたが、ステージ上にやって来たひめやめぐみはオドレンとウタエンが何をしでかしたのかを説明する為に口を開いた。
「そいつら、私達みんなの変身アイテムを盗んだの!」
「リボン達も、その二人に捕まっているの!」
「「ええ!?」」
「どういう事なの!!」
はるかときららが驚愕する中、みなみにどう言う事だと問いかけられたオドレンとウタエンの口から、衝撃的な事実を突きつけられる。
「はぁ…はぁ……そいつらの言っていることは、本当さ!」
「オイラ達はハルモニアの大臣でもなんでもないっす」
『ッ!?』
「あんた達、何者なの!?」
きららがハルモニアの大臣じゃないと告白したオドレンとウタエンの正体を真っ先に問いかけると、二人は立ち止まって不敵に笑っていた。
「ふっふっふっふ……聞いちまってもいいのかい?俺様に心まで盗まれちまっても知らねぇぜ?」
「知るかよ!何者だ、お前ら!」
カッコつける様に言うオドレンに龍牙が突っ込むも、二人は気にせず話を続けた。
「空に輝く太陽も!」
「水面に揺れる月すら盗む!」
「「七つの海をまたにかけ!」」
「世界のすべてを手に入れる、無駄にイケメンな憎いやつ!
その名も神出鬼没の大盗賊、オドレン!」
「その相棒、ウタエンっす!」
オドレンとウタエンのかっこよすぎる(?)決めポーズに、観客席に座ってた妖精達は驚愕していた。
「いや~~決まったな」
「練習した甲斐があったっすね~」
いや練習してたんかいお前ら。
「盗賊!?」
「私達を騙していたのね!」
「そういうこと。この国を盗んだついでに成りすましていただけさ」
「この国を盗んだ?どういうこと!」
はるかが驚き、みなみが自分達を騙していたオドレンらに怒りを抱いていると、国を盗んだと語った彼の言葉を聞いたきららはどう言う事だと追求。
「言葉の通りだよ、ハルモニアは既にこのオドレン様の物ってわけだ」
「えら~~い人達は全員、牢屋行きっす!」
「そんな…」
「なんてことを…」
「この国が盗賊に乗っ取られていたなんて…」
めぐみといおなとひめが今のハルモニアの現状に驚愕を露わにする中、オドレンとウタエンの正体を知った観客席からは、妖精達の怒りと不満によるブーイングの嵐が起きていた。
「チッ…うるさいお客様どもだぜ。“この国は俺様の物”って聞こえなかったのか?」
オドレンはそんなブーイングにも怯まず、懐からゲームのコントローラーキーを取り出して次の悪巧みを始めようとしていた。
「行くぜ!大回転!!」
オドレンがコントローラーキーのボタンを押して作動すると同時にカーニバル会場自体が揺れ出し、彼女達は突然の地響きに思わずよろけてしまいそうだった。
するとカーニバル会場が高速大回転を始め、高速大回転が止まると壁が先までの空の太陽も透き通る、明るいガラス構造とは裏腹に、薄暗く不気味な怪物や植物が彩る、まったく楽しくない物へと変貌。更に反転したカーニバル会場の周囲にはイバラの蔦が張り巡らされて、誰も近づけないように施されてしまう。
「ふふふふ」
反転した壁にオドレンは大満足だが、龍牙達全員の他に妖精達はそうはいかない。
「わっ!なんだよ、このステージ!」
「何ですか!ここは!」
「この会場は、お前らを閉じ込める巨大な檻だ!」
「観客もお前らも、二度とここから出られないっすよーん♪」
どうやらこの趣味の悪いステージは妖精達やはるか達を閉じ込める物らしく、ウタエン曰く観客を含めた全員はもう二度と出られないらしい。尚、このカーニバル会場はオドレン達が夜鍋して作ったものらしい事が、彼ら自身の口から語られた。
「そんな!?」
「なによ!それ!」
「そんな事させないわ!はるか!きらら!変身よ!」
「はい!」
「わかってる!」
事態の重さを知ったみなみはとっさにはるかときららへ変身する様に叫び、三人はまだ奪われていないドレスアップキーとプリンセスパフュームを持って変身しようとする。
「させるか!ドロボーン!!」
「「「あっ!!」」」
だがその変身を阻止するようにドロボーン3人が上から降りてきて、はるか達の前で阻んで怯ませた。
「隙アリ!!」
「「「ああっ!!」」」
はるか達が怯んだ隙を突いて三叉の杖を取り出したオドレンにプリンセスパフュームは奪われてしまい、プリンセスパフュームを奪ったオドレンは高笑いをしていた。
「ふふふふふ……あーっははははは!!これで全てのプリキュアの変身アイテムが、俺様のものになったというワケだ!」
変身アイテムと妖精を奪ったオドレンは勝利宣言したかのように高々と笑う。
(フフッ……面白いね〜こいつ。もう少し遊ばせてやるかァ〜〜?)
そんな中クローズを追って来ていたキルバスはステージ舞台の上にある、プリキュア達やオドレンらが座っていたひな壇型ステージと一緒に設置してある木の上で、この状況を面白いと呟きながら楽しんでいた。
「まだ、終わってねぇ!」
オドレンがプリキュアへの勝利を確信している中、龍牙はキルバスから受けたダメージを振り切ると、力を振り絞って叫びながら起き上がる。
「ここには、まだ仮面ライダーがいる!」
龍牙が仮面ライダーがいると叫ぶと、後ろから和也と幻冬も隣に揃う。
だがオドレンは目を細めながらその光景を嘲笑う。
「あぁ〜?たった三人で、何が出来るってんだぁ?」
「確かにここには三人しかいません。でも……」
「そんなのは関係ねぇ!俺達はお前達から、この国を取り戻す!」
「それにあいつがここにいるなら、絶対に諦めねえ!この国を救える為に最後まで戦う!
それが俺達、仮面ライダーだ!」
龍牙と和也と幻冬はビルドドライバー、スクラッシュドライバーを手に取り、オドレン達と戦う覚悟を見せる。
「あーっはははははは!!あーっはははははは!!」
「うわっ!」
「「「ドロッ!」」」
オドレンは全員から奪ったアイテムを詰めた袋をウタエンやドロボーンに当たりそうになるのも気にせず振り回して、何かを始めようとしていた。
「はははは!!見よ!俺様の新しい姿をーーーー!!」
何をするのかと警戒する三人がドライバーを腰に装着してボトルを構える中、オドレンが袋を持って叫ぶと、変身アイテムを詰めた袋が突如光り出し。激しい閃光と共に彼の体が光に包まれていき、確信を得たオドレンは口をニヤリと歪めながら笑う。
「世界はぜーんぶ俺様のもの!悪いこと大好き!!キュアシーフ!!」
「……はぁ?」
「……えっ?」
「キュアって……あの……」
そうしてオドレンがスポットライトを浴びながらキュアシーフと名乗ると、三人は気が抜けたかのように口をぽかんと開けながら彼を見つめる。
「……あれ?」
「──あん?何も変わってねえぞ」
それもそのはず。オドレンの姿は至って何も変わっておらず、オドレンが変身しようとしていた光景を高みの見物していたキルバスもそう呟いていた。
「ど、どうして何も起こらねぇんだよ?」
どうして何も起こらないと叫ぶオドレン。
すると変身アイテムと閉じ込められた妖精の声がした風呂敷の袋から…
『ミスマッチ!』
「ん?」
「「はぁ?」」
「ミスマッチって……」
『ミスマッチ!ミスマッチ!ミスマッチーーー!』
ミスマッチという音声が流れると同時に、袋にある変身アイテムと妖精が姿を変えた。
「一体何が…………な、何だこりゃぁぁぁ!」
オドレンが風呂敷の中を改めて確認すると、変身アイテムが石に変わっており、更にはその中にカード型の機械が入っていた。
「「はぁぁ!」」
「な、何だてめえら!」
動揺するオドレンの背後から、プリキュア5のパートナーで人間体に変身しているココとナッツが現れ。はるか達や他のプリキュア達の変身アイテムを取り返して彼女達に渡した。
「ココ!」
「のぞみ。遅れてごめん」
ココがのぞみに駆け寄ると、龍牙がカード型の機械を拾う。
「……何だよこれ?」
「俺だって、一体何が起きてんのか訳わかんねぇよ!」
捕まった妖精が現れたかと思うと、急に風呂敷の中のものが石に変わり。更に袋の中からこんな物が現れ、龍牙は何が何だかわからなかった。
「そもそも!お前なんかが変身できるわけないメポ!!」
声が聞こえて全員が別方向を向くと、そこにはプリキュアの妖精達が変身アイテムを持って立っていた。
「メップル!」
「みんな無事だったの!」
なぎさやほのかを筆頭に、プリキュアのみんながパートナーの妖精を見て、直ぐに駆け寄り無事で会ったことに喜んでいた。
「どうやって脱出したの?」
「晴夜が助けてくれたんだ」
「晴夜が!」
だがのぞみはどうやって脱出したのかを疑問に思っていると、ココは晴夜が助けてくれた事を説明した。
それは少し遡る事、晴夜がキルバスの所為で牢屋へと送り込まれる少し前。
晴夜は国王から事情を聞き、まずは妖精達の救出を試みた。
『急がないと!待たせたら怒られるっす!』
そんな中晴夜はダンボール箱に変身アイテムを詰めて走るウエタンを見かけ。後を追っていると彼が部屋に変身アイテムをしまい、そのままカーニバル会場へと戻っていくのを確認して部屋の扉へと近づく。
『あそこか……はぁ!』
ドリルクラッシャーで鍵穴を破壊し、扉を開けた。
『みんな!大丈夫!』
『晴夜!』
『助かったミポ!』
晴夜が中でメップルやミップルといった、縄に縛られて捕まった妖精達と変身アイテムを見つけると、みんなの縄を紐解して変身アイテムを取り返した。
『間に合って良かったよ』
晴夜はみんなにオドレンとウエタンの正体を話し、このカーニバルを開催した本当の国王が今捕らえれている事を話した。
『なんやと!あいつら盗賊やと!』
『早くみんなに伝えに…!』
『いや、ここでみんなの所へ戻るのやめた方がいい』
タルトやメップルが早く伝えようとするが、晴夜はここで戻るとオドレンとウエタンは恐らく言い逃れし、しらを切るやもしれないと判断していた。
『そこでこれを使おう』
そこで晴夜は、コートからカード型の機械をいくつか見せた。
この機械は以前に晴夜がクリスマスの風景を見せる為に開発した立体映像を改良し、カード型にした機械である。
『これを使って、あの二人の計画が思い通りに進んでいると思わせるんだ』
後は晴夜の計画通り開放された妖精達が新たに連れ来られた妖精を開放し、立体映像によりいかにも捕まったと見せておき、二人がみんなの前でボロを出す機会を伺っていた。
「で、でも、こ、声が……」
そこへウタエンは、ならばあの時聞いたリボンらの声は何なのだと呟く。
「その声は録音だ。振動がすると声が出るようにしていたらしい」
今龍牙が持っている機械には録音のボイスレコーダーがあり、衝撃により声が出るように開発したとナッツは聞いていた。
要するにあの時ウエタンが転んだ衝撃により、二人の声が鳴ったのだ。
「そ、そ、それじゃあ……桐ヶ谷晴夜と会った時は……」
「あ、あ、あ……あの、ガキィィィィィィーーー!!」
つまり、晴夜に正体を知られたあの時から既に妖精達と変身アイテムは奪い返されていたというわけで、それを察したウタエンとオドレンは深いショックを受けた。
「あいつ……俺達に内緒にカッコつけやがって!」
龍牙はそんな一連の流れを見ながら、相棒ながら手際の早いことだと知る。
「それにそもそも、変身できるのは伝説の戦士プリキュアだけロマ!!」
「なにーーーーーーーーー!?」
更にアロマから聞かされた驚愕の事実に、オドレンのヒゲがピロピロ笛の如く横に伸びた。
「そんな事も知らずに盗んじまったのか?」
「しかも、こんな大掛かりな事までして…」
「……あっ!?お前らもしかして、バカか!!」
それを始めから知っていた龍牙達は、オドレンが本気でプリキュアに変身しようとしたのかとぐらさんやリボンを筆頭に皆んな呆れ。更には馬鹿の代名詞と(晴夜に)称される龍牙からバカと言われ、生き恥をかいた彼の心はさらに傷つく。
やめてあげてぇ!オドレンのライフはもうゼロよ!
「そ、そそそ…そんなことは、勿論わかっていたぜ?」
知らなかったのを何とか誤魔化そうとするオドレンだったが、さっき変身しようとした事実から、彼の代弁は言い訳にしか聞こえなかった。
「アッハッハッハッハッハーーーー!こりゃ傑作だァ〜!!」
するといきなり何処からか大きな笑い声が聞こえ、その場にいた全員が声の聞こえた方へ顔を向けると、蜘蛛をモチーフにした様な姿をした赤いライダー……仮面ライダーキルバスが木の上で腹を押さえながら爆笑していた。
「な、何だお前は……?」
「あァ〜〜?……あぁ。そういえばテメェ等には、まだ名乗ってなかったなァ」
オドレンに何者かを問われたキルバスは彼らの前に降りると、自らの存在を明かす。
「俺の名はキルバス!ブラッド帝国の王だ!」
「ブラッド帝国!」
「エボルトとエピオンと同じ……」
ブラッド帝国と聞き、はるかとみなみときらりの三人以外は直ぐに動揺し始めた。
「ブラッド帝国って、私達を操って晴夜君を襲ったあの人達と同じ……」
「晴夜君と龍牙君の二人で、彼らは全滅したんじゃ……」
なぎさとかれんの言う通り、晴夜と龍牙の合体『クローズビルド』でエボルト、エピオンとブラッド帝国の野望は打ち砕き、残党はもういないはず。そう思われていた。
「……ふぅん、あいつら滅んだのか。
……あぁ、何もわかってないアホウ共に言っておくが。俺が封印されていたのは、このハルモニアだったのさ」
「ここで!?どうやって封印を解いたの!」
マナがどうやって封印を解いたのかと聞くと、キルバスは仮面の下で笑みを浮かべながらオドレン達を見つめる。
「そぉ〜れぇ〜はぁ〜なぁ〜!そいつらが、俺を封印した宝箱の鎖を引き裂いたおかげさァ!」
「何!?……あっ!お前!?」
「あっ!あああぁぁーー!」
それを聞いたオドレンは、この国に来て国王達を捕らえた時にウエタンが何やら鎖が巻かれた宝箱を持っていた事を思い出した。
あの宝箱こそが、かつてこの地に住む守り神によって、キルバスを閉じ込めていた石版から大きく姿を変えた、強力な封印の遺物だったのだ。
「感謝してるぞ〜!俺をあそこから出してくれてよォ〜!」
冷たく低い声でかつ嘲笑う様に礼を言うキルバスに、オドレンとウエタンはなんて事をしてしまったのかと腰が引けていた。
「封印されていたって事は、あなたも一万年前の戦いでキュアエンプレスに、エボルトと一緒に……」
真琴の口からエンプレスによって封印されたのかと聞かれると、キルバスから愉悦そうな笑い声が収まると同時に、何かを必死に堪えているかのように震え出した。
「……違う………俺を封印したのは……」
キルバスの絞り出すような呟きと共に浮かび上がるは、今でも昨日の事の様に思い出す、忌々しくも封印された時の記憶。
自身が太古のプリキュアを追い詰めた際に現れた、あの白い鎧と巨大な剣を持つ剣士によって───
「──全て!あの剣士ィ!!
あいつが邪魔したせいで!人間界も!トランプ王国も!全ての並行世界も!何もかも滅ぼし損ねたァ!気分良く全てを滅ぼそうとしていた俺の心と絶対的なプライドをも!全部台無しにしやがったァァァアアアアアアア!!」
「剣士……」
先程の機嫌の良さそうな雰囲気から一変して大声をあげて叫び散らすキルバスの口から剣士と聞き、マナはブラッド帝国の戦いで晴夜が変身した『メサイアニックロード』と名付けたビルドになり、それを見た伊能が晴夜を見て怯えたのを思い出した。
「もしかして、メサイア……?」
「メサイア〜〜?名前は知らんが……あ" あ" ァ"ァァァァーー!!
あのスカした声を思い出すだけでムシャクシャするゥゥゥゥゥウウウウウオオオオアァアァア"ァ"ア"!!許さん許さん許さん許さん許さん許さん許さんッッッッッッーーーーーーーー!!!」
名前を思い出そうとした際、当時のメサイアの声を思い出したキルバスは身体をよじらせると、声を荒げながら奇声を上げ、怒りのオーラを辺り一面に飛ばした。
その衝撃でオドレンの持っていたコントローラーキーがショートを起こして破壊されてしまったが、此処ではあまり関係無い。
「あ"ぁ"ぁ〜〜気分ワリィィィ………手始めに、まずはこの国を滅ぼす!」
「!?……行け!あいつをやっつけろーー!」
「「「「「ドロボーン!!!」」」」
メサイアから受けた苛立ちを治すために、ハルモニアを滅ぼすと宣言したキルバス。
それを聞いたオドレンはドロボーンに命令を下す。
「………ふん!」
だがキルバスは少し落ち着いた感じで右手を上げると、手から赤いオーラをドロボーンに飛ばす。するとそれを受けたドロボーンの動きが止まってしまい、オドレンはどうしたのかと更なる焦りを見せる。
「お、おい!どうした!」
「そいつらの体内に俺の遺伝子を与えた。つまり、そいつらは俺の駒だ!」
「「な、なにぃぃぃぃぃぃーー!」」
オドレンとウタエンは自分の配下が他人に盗まれたことで、数による有意差までもが逆になってしまった。
「さ〜ら〜にィ〜」
「⁉︎ 何これ……キャァァァアアアアア!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ああ!!」
「みんな!!」
更にキルバスは左腕を地面に向け同じようにオーラを飛ばすと、めぐみ達の下から液状の物質が現れ、彼女達を巻き添えにみるみると姿を変えていく。
『うぅぅ……!』
そして液状だった物質…キルバスの遺伝子はプリキュア達を拘束する不気味な肉塊の柱へと変化し、幸いにも捕まらずに残ったはるか達三人と龍牙達ライダー組(ついでにオドレンとウタエン)は、目の前で上半身のみ出して苦しむプリキュアオールスターズを黙って見ている事しか出来なかった。
「どうだぁ〜俺の力はぁ〜?名付けて『プリキュア柱』!これでプリキュア共は何も出来ず、俺に滅ぼされるのを心待ちにするって訳だァ!!」
それを見た妖精達はプリキュアが捕まったという絶望で顔を大きく歪め、龍牙達はキルバスの力がたった一人でこの国を滅ぼす程の戦力を作り上げられる、エボルト以上の異常な力を持っていると感じていた。
「さぁ〜て、滅ぼすとするかぁ!歌だのダンスだの下らない事をしている、こんなつまらん国をなァ!」
「!?」
「下らなくねえ!」
キルバスの歌やダンスが下らないと言う発言に、はるかがショックを受ける中、龍牙が今の発言を取り消せと言わんばかりに叫ぶ。
「歌やダンスがあるから!笑顔になれるし、元気も沢山湧いてくるんだ!」
彼にとって歌は、大切な存在を守るきっかけをくれたもの。
それは、かけがえのない出会いや仲間、相棒にも巡り合わせてくれた。
だからこそ龍牙は、それを侮辱したキルバスを許すことなどできなかった。
「だから、俺はここで妖精達を笑顔にするこいつらを!この国を守る!」
(龍牙……)
「お前一人じゃねえだろ」
「僕たちもです」
守ると言う龍牙の言葉に感化し、和也と幻冬だけでなく、後ろにいるみんなも気持ちは同じだという事を表す様に覚悟を決めた表情となる。
「私!歌う!!」
「え?」
「なにっ?」
「あん?」
「だって…歌とダンスの力を信じてるから!!」
突然のはるかの言葉にみなみときららは勿論、オドレンとウタエンも驚き。キルバスは何を訳の分からない事を言ってるのだと呆れていた。
「はるはる…」
きららはさっきまでの表情とは違うはるかに、驚愕するばかりだった。
「めぐみちゃん、言ってたよね?」
「「え?」」
「歌には、凄い力があるんだって!」
はるかは今まで見てきたプリキュア達の歌とダンスを見て、歌には常識だけでは理解出来ない、強く凄まじい力が秘められているのだと思えていた。
「“ダンスも踊れば最強”だって……私達の先輩達はどんな困難にも、前を向いて諦めずに立ち向かってきた」
みんな、それぞれの想いが違っていても決して怯えず、諦めなかった事を想いを込めて歌っていた。
そんなはるかの言葉を聞いたみなみときららは、彼女の話を聞き続けた。
「だから…だから…私!歌いたい!!」
だからこそはるかは大きな決心と勇気を持って、自分の口から歌いたいと言い出す。
「「うん」」
そしてみなみもきららも、はるかの言葉を聞いて立ち上がり、今すべき事をする為にステージに立ちあがるのであった。
『私達は♪普通の女の子♪』
はるかが歌い出すと、みなみときららも寄り添う。
『だけど、何か出来ること♪あると思う♪』
『心には♪ヒミツのドアがある♪』
『開くなら♪今こそ♪その時♪』
「ぐぅ!なんだ……これは……」
するとはるか達の歌を聴いていたキルバスが急に苦しみ始め、プリキュアオールスターを拘束する肉塊の柱が崩れ始めるが、はるか達は気にせず歌い続ける。
『『『嵐が吹き荒れても♪風向きを変える♪勇気のチカラ♪信じている♪』』』
そして光が会場を覆いつくした時、はるか達はプリンセスプリキュアへと変身を遂げ、肉塊の柱が完全に崩壊してめぐみ達を自由にしていった。
『『『イマココカラ始まる♪ココロのミラクル〜♪』』』
それに連呼する様に、プリキュアオールスターズも変身を完了してフローラ達の声に反応し、上がってくるステージと共にそれぞれ配置しに行った。
『『『運命も♪未来も♪切り開くーー♪』』』
ラブリー達ハピネスチャージもフローラ達に寄り添う。
『辛い♪時に♪グッと頑張るのは』
『いつも♪あきらめない背中見てたから♪』
『花のように♪笑うみんなのため♪』
『駆けつけて♪寄り添い♪支えたいそれぞれは蕾でも♪夢の種抱いて♪』
『『花を咲かせる♪いのちなの…』』
『イマココカラ始まる♪イノリはパワフル♪』
『涙さえ星になる♪きらきらり!』
『BELIEVE♪ココカラ始まる♪ココロのミラクル♪運命も♪未来も♪切り開くーーーー♪あなたも♪わたしも♪未来へ繋がる』
『ね・が・い♪なのーーーーーーーーー♪』
プリキュアオールスターズが揃った声は、華麗なるフィナーレを飾るのであった。
「すげぇ〜!マジ最高〜!」
「プリキュア〜〜!最高だぜーー!」
「みんな!とてもかっこいいですーー!」
龍牙達や妖精達はプリキュア達の歌に、感無量で拍手や声援を贈る。
「こ、これが…歌とダンスの力………」
「どどどど…どうするんっすか?アニキ!」
「どうするも、こうするもねえだろ!」
その近くでは、キルバスに捕まったプリキュアオールスターを歌とダンスで解放した光景を見たオドレンとウエタンの二人が、改めて歌とダンスの力を痛感していると、キルバスは胸を押さえて片膝をついていた。
「ぐうぉ……!何だ!この胸を締め付ける感覚は……」
歌を聴いて苦しみ始めたキルバスは、その原因は何か気付くことができず、更なる苛立ちを表していた。
──貴女は、エンプレスには勝てない!
その時、キルバスの脳裏に蘇ったのは、キュアエンプレスの仲間であるキュアマジシャンの台詞だった。
──何言ってんだァ?プロトジコチューとエボルトの封印に力を使い果たしたお前らに、俺が負けるとでもいいてぇのかァ?
──確かに今の私達には、力はほとんど残ってない……
それでも諦めない限り、私達が……エンプレスが負けることは無い!!
次に蘇ったのは、現実逃避でもしている様な精神論を語るキュアプリーステスの言葉。
キルバスはその言葉を嘲笑い、心底見下しながら彼女達を殺そうと牙を剥いた。
そのまま俺は二人を悠々と返り討ちにして虐殺するという結末──は、来なかった。
なんとあの小娘どもは在ろう事か、自身と──遊びで戦っていたとはいえ──ほぼ互角の戦いを繰り広げたのだ。
繰り返し言うが、あいつらはプロトジコチューとエボルトの封印で体力を使い果たしていた。
それなのに……
エボルト相手に苦戦してた雑魚ども相手に、アイツよりも強い俺と互角に渡り合うだと……?
その事実を理解した瞬間、俺は遊びで戦う事をやめて半分ほど本気で戦った。
ちょいと本気で戦った時、奴らは何も出来ずに地に伏せた。俺と戦っていた時もかなりギリギリだったのだろう、実際アイツらには指を動かす力すら残って無かった。
だが俺の中には、僅かながらも『屈辱感』があった。
今まで行って来た戦いは、いつも俺のワンサイドゲームだった。
だからこそ、エボルト以外の戦いは何時も遊びだった。
だからこそ、エボルト以外の相手に本気で戦う事には、確かな屈辱感があった。
しかし、それだけならまだ良かった。たったそれだけの屈辱なら、ほんの数日程度で忘れることができた。
──私は……弱き者に勇気を与える者。
問題は突然俺の前に現れた、白い剣士の存在だった。
奴との戦いは、互角なんてものじゃない。
俺は本気を出す暇もなく一方的に奴らのペースに乗せられ、俺のエボルドライバーが破壊され、挙げ句の果てに封印までされた。
この時点で、俺のプライドは木っ端微塵に砕かれていた。
プリキュアから受けたちっぽけな屈辱感は、この敗北を機にどんどん肥大化していった。
「───どいつもこいつも、俺をイラつかせやがってぇぇぇエエエエエエエエエ!!」
『Ready Go!』
思い出したく無かった記憶を蘇らせてしまったキルバスは、過去の苛立ちを抑えきれぬままレバーを回転させると、手から放出したクモの糸で妖精達の座る観客席を拘束する。
『わぁぁぁぁぁ!?』
「なっ!?」
「一体何を──!」
和也と幻冬の驚愕を他所に、キルバスは複数の観客席をステージの中央にまとめると、背中から巨大な蜘蛛のかぎ爪を4本出現させる。
「ま、まさか……!やめろぉぉぉーーーー!!」
「こんな最低な国を──いや!この星も、そして宇宙も、すべて破壊してやるッ!」
『キルバススパイダーフィニッシュ!!』
龍牙はキルバスが何をしようとしたのかを察するも時すでに遅く、キルバスは背中から展開したクモの脚で観客席を叩き潰してしまった。
「あ……あぁ………っ。妖精達が……」
「……て、テメェ………よくも……ッ!」
キルバスによって妖精達がいた観客席が破壊され、観客席の残骸を見て妖精達の末路を想像してしまったフローラは膝を床につけて涙を流し、龍牙はキルバスの非道な行いにかつて無い程に怒りの炎を燃やした。
「……クッ、フフフ……ハッハッハッハッハ!!
見たかお前らァ!お前らの言う歌の所為で、この国の妖精共は死んだァ!!見たか小娘ェ!雑魚どもが死んだのは、全部お前が最低な歌を歌ったからだァァァァァァ!!フッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」
「──一体いつ、妖精達が死んだの?」
「…アァ?何言って………!?」
だがブラックの呟きがキルバスの耳に届き、機嫌の良い笑い声を上げていたキルバスの目に映ったのは、プリキュア達に抱きかかえられた、キルバスに怯えながらも何事もなかったかの様に無傷の妖精達だった。
「うぇええ!?お、お前ら、いつの間にそいつら連れ出してたんだよ!」
「それは、キュアパッションのおかげだよ」
驚きのあまり二度見しながらも妖精達が無事だった事に安堵する龍牙に、キュアピーチが救出した妖精を床に下ろしながらそう語った。
では解説しよう!キュアパッションにはパートナー妖精であるアカリンの力を借りて瞬間移動できる能力があり、転移できる距離に一切制限がない上、他者や物体を強制的に転移させることも可能なのである。
この力はパッションの体力を消耗する為に1日に無制限に使える回数は限られてはいるが、数十人のプリキュアを連れて観客席にいる妖精達を助けに行って元の位置に戻る分には問題ないので、キルバスの蜘蛛の脚が観客席を叩き潰す前に妖精達を救出する事が出来るのだ。
しかしパッションの瞬間移動能力を知らないフローラや龍牙達だと、突然移動した驚きで判断が遅れてしまう可能性があったので、彼女の力をある程度把握していたハピネスチャージ以前のプリキュア達だけで救出する事になってしまった。
「よ、良かった……」
「……またかよ……貴様ら人間どもは、何度俺の機嫌を損ねれば………あ"あーーッ!イライラする!!」
「──キルバス!貴女はこの国を、私たちの歌を、最低と言った!」
フローラが安堵しているのを他所に妖精達が無事だった事を知ったキルバスは、かつてメサイアによってプリキュア二人を殺し損ねた事を思い出して再びイラついていると、ラブリーが前に出てそう叫んだ。
「だけど龍牙君やフローラが言った通り、歌やダンスがあるから私達は笑顔になれるし、元気も沢山湧いてくる!どんな困難にも、前を向いて諦めずに立ち向かって行ける!
だからこそ!今此処に私達プリキュアと仮面ライダーがいる限り、私達に元気をくれるこの国と歌が──ハルモニアとフローラの歌が最低だなんて、もう二度と言わせない!!」
「このぉ……お前ら!やれェーーー!!」
キルバスの命令によりドロボーンが一斉に向かい、ステージにいるプリキュアと客席にいた妖精に別れて襲い始める。
「かずやん、幻冬。キルバスは俺が倒す」
「わかった。他は任せろ」
「僕達はみんなをサポートします」
「いーや、テメェらの相手はコイツらだ!」
キルバスは龍牙に任せ、和也と幻冬がプリキュア達のサポートをしに行こうとする。
それを察知したキルバスは、プリキュアオールスターを拘束する柱を形作っていた無数の肉片を液体状に変え、ある怪物を作り出していった。
「こいつは……」
「スマッシュ!」
「なぁに、お前らの記憶から生み出した只のコピーさ」
キルバスは自らの遺伝子で作った柱の肉片を使い、何十体ものスマッシュを生み出したのだ。
そしてスマッシュが散らばってプリキュア達と妖精達を襲いにいった光景を見た和也と幻冬は、キルバスの生み出したスマッシュの応戦へと向かう。
和也と幻冬がその場から離れると、キルバスの視界には龍牙だけが映っていた。
「さぁ、第二ラウンドと行こうぜ!」
『ボトルバーン!』
「面白い……!じゃあ、今度こそ!その生意気な口を潰してやるよォ!」
苛立ちを必死に抑えながら処刑宣言を放つキルバスに対し、龍牙はオレンジカラーのナックル型変身アイテム『クローズマグマナックル』を取り出すと、ドラゴンマグマボトルを装填したナックルのグリップを上げてドライバーに差し込む。
『クローズマグマ!』
マグマナックルを差し込みレバーを操作すると、後ろから巨大なナックルの形状をした坩堝『マグマライドビルダー』が作れていき、龍牙の後ろへと完成された。
『Are you ready?』
その音声が鳴り響くと龍牙は拳を手に当て構え、一度目を閉じる。
「変身!」
そして龍牙の叫びが響き渡ると、坩堝から流れ出た溶岩『ヴァリアブルマグマ』が彼の体に掛かり、流れ出た溶岩からヤマタノオロチような八体の龍が現れる。
『極熱筋肉!クローズマグマ!アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!』
そのままナックルが固まった溶岩を砕くと、全身が溶岩を想起させるメタリックブラックとオレンジの装甲に、胸部や両腕、両脚、両肩には龍の頭部モチーフの装甲、後ろには羽が装着されたフォーム、『クローズマグマ』となって現れた。
「龍牙!私も戦うわ!」
「ソード」
そこへ更にソードも参戦し、クローズの横に並んだ。
「今回はあなたと晴夜だけじゃない。私達も一緒にいる」
「おう!頼むぜ!」
「えぇ!」
「俺はいいぜぇ!まとめて相手をしてやる!」
クローズとソードは一緒に走り出し、キルバスへと向かって行く。
「よし、いく──んぁ?なんだこの花弁……ッ⁉︎」
だが彼らの目の前に赤い薔薇の花弁が横切り、なんだ今のはと思う頃にはクローズとソード、キルバスの周りには無数の薔薇の花弁が視界を覆う程に飛び交っていた。
「──あれ?どこだ此処……」
そして気が付いた頃には、クローズ達はカーニバル会場から大きく離れた原っぱの上に立っていた。
「……どうなってんだこれ……オイ、テメェら何しやがった」
「そんな事、俺が知るかよ!それより行くぞソード!」
「えっ?……えぇ、わかったわ!」
ソードはこの時、此処から離れた所に赤い髪の少女と赤い人型のドラゴンがいる事に気付いたが、瞬きした瞬間にはその二人の姿は消えており。気の所為だと思う事にした彼女はクローズと一緒に、キルバスへ挑みに行った。
今ここに、ハルモニアの明日を掴むための、ブラッド帝国の王であるキルバス達との戦いの火蓋が切られたのであった。
『──さて、俺と君に出来ることは、此処までだ。後はこの者達に任せよう』
「そのようですわね。……ありがとうございました。わたくしに、彼女達の歌とダンスを見れる様にしてくれて……」
ハルモニアの城の上で、赤い縦ロールの少女が、赤いドラゴンに向けてお礼を言っていた。
だがそこに居た両者は、どういうわけか半透明になっており、いまにも消えそうになっていた。
『……お礼はいい。今の俺では、絶望に囚われた君を助けられない……
あの怪物を倒す手助けをする為に、精神体として無理矢理目覚めさせた君には、申し訳ない事をした』
「それでも、わたくしの故郷を救ってくれようと奮闘する彼女達の歌とダンスを、一時的とはいえ見れるようにしてくれて……本当に、感謝しかありません」
『……この時の記憶は、本当の意味で君が目覚めた時には全て忘れているだろう。
それだけは、覚えといてくれ……紅城トワ』
少女が頷くと次の瞬間には、少女の姿は完全に消え去っていた。
残った赤いドラゴンは、キルバスと戦っている二人の戦士達に目を向けた。
『……頼むぞ。俺とメサイアの奴が成し得なかった事を、今此処で成してくれ……
プリキュア、そして仮面ライダーよ……』
ドラゴンの応援する様な呟きが放たれると、彼の姿も消え去り、その場には大きな風だけが残っていた。
「キュアフローラ!こんなステージ壊しちゃおう!」
「うん!」
場所は戻ってカーニバル会場。プリキュア達は妖精達の避難をリボンとぐらさんに任せ、悪趣味なステージを破壊しようと言うラブリーの掛け声にフローラが頷くと、二人は真っ先に壁に向かって飛び上がる。
「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ラブリーとフローラのキックが壁を突き破り、外へ出る為の出口を作る。
「この国の本当の王様達がどこかに囚われているハズよ!」
続けてGo!プリンセスプリキュアとハピネスチャージプリキュアが二人の突き破った壁へと飛び込んで行く中、マーメイドは本物の王様が何処にいるかを考えていた。
彼女達に課せられた最初の目的が決まると、トゥインクルはウタエンの言葉を思い出していた。
──えら~~い人達は、全員牢屋行きっす。
「そうだ!牢屋!」
「牢屋って言ってたから、きっと!お城の中だよ!」
王国の女王としてお城暮らしをしていたプリンセスが、城内に国王達が閉じ込められた牢屋が有るはずだと話すと、ハニーはそれに頷きながら「探しに行こう!」と叫んだ。
「私も行く!もしかしたら晴夜もそこに!」
「急ぎましょう!」
マーメイド達が本物の王様達を助けに行こうとすると、ハートもおそらく晴夜もそこへ閉じ込められていると思い、彼女達と共に向かう。
『ワァーーーーーーー!!!』
だがそこへ、スマッシュとドロボーンがマーメイド達の頭上から攻まり寄ろうとしていた。
「「はぁぁ!」」
しかし向かってくるところにダイヤモンドやロゼッタという、ハートの幼馴染二人が一気に吹き飛ばし道を作る。
「ハート。あなたの大切な人を見つけて!」
「あなた達の後ろは、私達が守ります」
「みんな……」
ダイヤモンドとロゼッタのおかげでスムーズに王様達の救出に行ける事を感謝しながら、ハート達は牢屋の場所を目指して走って行った。
そして別の場所では。ドロボーン達はブラックとホワイト相手にしても怯まずに大勢で立ち向かっていた。
「だだだだだだだだ!!」
だがブラックは次々と向かってくるドロボーン達をパンチで応戦し、次々と吹き飛ばしていく。
「ふっ!はっ!たぁぁぁぁ!」
ホワイトはドロボーン達の頭を踏み台にして踏んでいき、着地すると回転蹴りでドロボーン達を蹴散らしていった。
「きゃっ!ああ……」
しかしルミナスはドロボーン達に囲まれて攻撃を仕掛けられて、避ける事で手一杯な彼女はピンチに陥っていた。
「「ルミナス!」」
ブラックとホワイトが叫ぶと、横から誰かがすり抜けていくとドリームがルミナスの周りにいたドロボーン達を逆立ちからの回し蹴りで吹き飛ばしていき、次々と蹴散らしていく。
「大丈夫?」
「はい」
「ドリーム!ありがとう!」
そしてプリキュア5は次々と迫ってくるドロボーン達を、次から次へと蹴散らしていった。
すると何かが頭に浮かんだブラックは、ある事をホワイトに聞いた。
「ねぇ、ホワイト!こんな時、何ていうんだっけ?」
「え?」
「ほら、みんなで力を合わせるってやつ…」
「1人はみんなの為に。みんなは1人のために」
「うん!それ」
ブラックの言いたい事をようやく理解したホワイトは、ブラックにその言葉を思いださせると、言いたい事を思い出した彼女はドリームに向けて口を開いた。
「ここは、私達が食い止めておくから」
「みんなは、あの子達の非難をお願いね!」
「あぁ…YES!」
ドリームは意外な事を言われて思わず戸惑うも、すぐ様理解すると了解したのだった。
「あわぁぁーーー⁉︎」
「あ、アニキーーー!」
「待ってやコラァ!」
一方で、オドレンとウエタンを襲い掛かっていたスマッシュ達を、和也がボトルの力で殴り飛ばし、オドレンとウタエンの前に幻冬が和也と共に立ちはだかる。
「みんなが楽しんでいたカーニバルを、亜久里ちゃん達から大切な物を奪ったあなた達を、僕は許しません!」
「けど、お前らにはここでの事を償って貰う必要があるからな」
『『スクラッシュドライバー!』』
和也と幻冬はスクラッシュドライバーを装着し、ロボットゼリーとクラッククロコダイルボトルを取り出す。
『ロボットゼリー!』
『デンジャー!クロコダイル!』
「「変身!」」
和也と幻冬から巨大なビーカーが現れ、和也の方には黄色い液体を纏い。幻冬には紫の液体から巨大なワニの口のようなものまで出現し、その後二つのビーカーが割れると同時にその姿を変えた。
『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボットイングリス!ブラァ!』
『割れる!食われる!砕け散る!クロコダイルインローグ!オラァ!』
「心火を燃やして、ぶっ潰す!」
「大義の為の犠牲となれ!」
グリスとローグへと変身し、二人を襲おうとした一団へ向かっていく。
「おりゃ!」
「オゥオゥオゥ!ハァ!」
「ぐぁ!」
場所はカーニバル会場から少し離れた所に変わって。クローズはキルバスに連続のパンチを与えようとするが、キルバスはそれを全て避けて反撃のパンチを食らわせていた。
「どうしたぁ?…ハぁ!」
「ぐっ……!おらァ!」
「ハハハハッ!」
「がっぁ⁉︎」
キルバスはクローズにパンチを決めようとするが、クローズはそれを受け流し。今度はキックを決めようとするも、逆にキルバスから反撃のパンチを喰らってしまう。
「はぁぁ!」
「おっと……今度はお前かァ!」
後方へと飛ばされたクローズと交代する様に、今度はソードがキルバスに挑もうと前に出た。
「タァァァ!」
キルバスはソードが繰り出す手刀とキックを躱し、ソードは後ろへ下がりクローズへ声を掛ける。
「龍牙!立ちなさい!こんなのに負けるあんたじゃないでしょ!」
「あぁ……たりめえだ!」
ソードに感化されクローズが起き上がる。
「どうやら、少しは楽しめそうだな」
キルバスは向かってくる二人を見てまだ楽しめると呟くとその時、地表が酷く揺れ始めた。
「な、なんだ⁉︎」
「今度は何⁉︎」
「ほぉ〜……あいつがお怒りのようだなァ!」
クローズとソードは謎の揺れに狼狽えるが、キルバスはこの揺れの原因が何か知っている様だった。
一方で隠し通路を見つけたプリンセス達は、本物の国王と王女と晴夜が捕らえている牢屋へと辿り着いた。
「居た!」
「晴夜!」
ハニーらが牢屋への扉を開けると、其処には鉄格子を蹴る晴夜とそれを座って見ていた国王と王女、大臣がいた。
「みんな……」
「あなた達は…」
「私達、国王様達を助けに来ました!」
「王様!王女様!!晴夜!」
プリキュア達が助けに来たのを見て一安心し、牢を破壊して貰った晴夜達は直ぐにそこから脱出した。
「御怪我はありませんか?」
「ハニーキャンディはいかがですか?」
「私達プリキュアが来たからには、もう安心ですからね!」
「ああ……ありがとうございます」
マーメイドやハニー、プリキュアの言葉に王女は安堵するがしかし、牢を出てすぐにキルバスの生み出したクローンスマッシュが三体現れた。
「スマッシュ!」
スマッシュを見て晴夜は構えようとするが、ビルドドライバーがない為に何も出来ずにいた。だがそんな晴夜の悔しい心情を察したハートは、懐から青いアイテムを取り出した。
「晴夜!これ使って!」
「っ!これは、スクラッシュドライバー……」
実はここに来る前、龍牙が自分のスクラッシュドライバーを晴夜に託してくれており。ハートはそのスクラッシュドライバーとドラゴンゼリーボトルを見せ、龍牙の想いを受け取った晴夜はそれを手に取る。
「龍牙!借りるぞ!」
『スクラッシュドライバー!』
晴夜が此処にいない龍牙に礼を言いながらスクラッシュドライバーを腰に装着し、ドラゴンスクラッシュゼリーを取り出して差し込んだ。
『ドラゴンゼリー!』
晴夜の周りに巨大なビーカーが出現し、それと同時に「変身!」と高々と叫ぶ。
そのままレンチを下ろすとセットしていた袋が潰れて、晴夜の周囲をビーカーが囲むと青い液体が注入され、ビーカーが割れて彼の姿が変わる。
『潰れる!流れる!溢れ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!』
晴夜はスクラッシュドライバーで変身するフォーム、クローズチャージへと変身した。
「スクラッシュドライバーの変身は初めてだけど……何とかするよ!」
『ツインブレイカー!』
「はぁ!」
「たぁ!はぁぁ!」
スクラッシュドライバーでの変身は初めてだったが、それなりに戦えていた晴夜はビルドの時と同じ戦い方でスマッシュを追い詰める。
「よし!」
『スクラップブレイク!』
「ハァァァァァァ!」
「ふぅ〜」
慣れないスクラッシュドライバーの変身だったが、何とか撃破は出来た。
その近くで国王は、プリキュア達に春のカーニバルはどうなったのかを聞いていた。
「カーニバルは!?カーニバルはどうなりました!?」
「騙されてたとはいえ…途中までは、順調だったんです」
「それが、あの変な盗賊と赤い奴がめちゃくちゃに!」
「なっ!?なんですと!あ、ああ……っ!」
「お父様!」
「なんということだ…」
国王はマーメイドとプリキュアから、オドレンとウタエンに加え、キルバスが春のカーニバルをめちゃくちゃにした事を聞くと嘆き始め、今にも崩れ落ちそうになってた。
「どうしたのですか?」
王女に支えられながらなんとか立っていられる状態の国王に、ハニーは尋常ではない様子を感じ、どうしたのかと尋ねてみた。
「春のカーニバルは、ハルモニアの守り神に捧げる御祭りなんだ」
二人から聞いた話では、守り神はとても大きなドラゴンらしく、先ほどから王城に飾られている守り神であるドラゴンのモニュメントや、紋章に描かれているドラゴンの絵がその証拠である。
「普段は温厚な神様なのですが、それはもう~歌とダンスが大好きで…」
「カーニバルが盗賊によって
古来、この守り神によってハルモニアはどんな災厄にも守られてきたと言われる。
その守り神は歌とダンスが大好きなのだが、もし歌とダンスが汚される事があればハルモニアは滅亡すると言われている。
故にハルモニアの国民達は、この古の通りに歌とダンスを守り神へと捧げて、国を守り続けてきていた。
「とにかく。急ぎましょう!」
ここにいては拉致があかないと判断した晴夜達は、国王と一緒に牢を出て外へと急いで向かう。
その頃、大きな揺れが起こったハルモニアに大きな影が覆い尽くされたかと思うと、その影は物凄いスピードでハルモニアの上空を通り過ぎていった。
その影の正体──ハルモニアの守り神のドラゴンは怒りを剥き出しにしながら山に降り立ち、その全貌を明らかにするのであった。
「あ、あれは……」
「なにあれーー!つーかデカすぎでしょ!!」
ブロッサムやマリンといったプリキュア達がオドレンのカーニバル会場の支柱になっていたイバラの蔦を消滅させたことで、趣味の悪いカーニバル会場を破壊したのもつかの間。近くの島に聳え立つ山へ降り立った青紫色のドラゴンは、怒りに満ちた目でハルモニアを睨みつけていた。
「ああ……!」
守り神は片翼だけでもハルモニアなどすっぽりと覆いつくせる程の大きさで、ラブリーと一緒にステージを破壊していたフローラは、かつてない程の脅威と強大な力を感じ取っていた。
『グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!』
雷鳴を響かせながら暗雲に覆われた空を背景に、守り神の咆哮が強烈な衝撃波となって突風を引き起こし、ハルモニア中に爆風が覆われていく。
『ゴォォォォォォォォォォォォォォォ!!』
「「うっ!!」」
フローラとラブリー、
『わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
グリス、ローグ、妖精達も同じく吹き飛ばされないように瓦礫を縦にして免れているが、持ち堪えるのも時間の問題だった。
「「どわーーーーーー!!」」
オドレンとウタエンも吹き飛ばされないように踏ん張るが持ち堪えられず、そのまま吹き飛ばされてしまう。
「いいなァ〜〜!もっと暴れろォ!」
守り神の咆哮を天空に轟かせる光景を見て、キルバスは守り神の暴れ様に歓喜の声を上げる。
「崇拝する守り神によりこの国が滅びる!正に皮肉!最っ高じゃねえかァ!」
「させるかよ!」
「そんな事はさせない!」
クローズがキルバスへ向けて突進し、ソードも叫びながら後に続く。
「あいつらが何とかする!そして、俺とソードがお前をここで倒す!」
此処でキルバスを倒す。そんな決意を固めるソードはキルバスに手刀を繰り出すが躱され、クローズのマグマを纏った拳が繰り出される。
「人間風情が、俺を倒すだと…!」
だがキルバスはクローズの拳を掴み、そのまま後ろへ放り投げる。
「俺をエボルトや他の奴らのように、倒せると思うなァ!」
自身を倒すと言った事に怒りを感じたのか、倒れるクローズをキルバスは踏みつける。
「あッ……ゔあぁっ…!」
「龍牙!」
ソードはキルバスにキックをかましてその赤い足からクローズを離させると、踏みつけられた部分を押さえながら咳き込む彼を背にしながら赤い仮面ライダーを睨み付ける。
「倒せるわ!私達は絶対に負けない」
「ふん。ならやってみせろォォーー!」
「きらめけ!ホーリーソード!」
自身に向けて啖呵を切るソードを侮蔑しながら接近するキルバスに、彼女はホーリーソードの斬撃を放つ。
「そんなもの──!」
『ヒッパレー!ヒッパレー!ミリオンヒット!』
「オリャァァァァァァァ!」
余裕にホーリーソードを躱したキルバスだったが、避けたタイミングでクローズがビートクローザーによる攻撃を繰り出し、キルバスを後ろへのけぞらせた。
「っ⁉︎………人間が!調子に乗るなよォーーッ!」
キルバスは二人に受けた攻撃に怒り出し、クローズとソードに更なる牙を向ける。
一方。ハルモニアの守り神が現れて、何があったのかと状況が飲み込めないでいたプリキュア達は…
「どわっ!」
「どへっ!」
「みんなーーーーーーーー!!」
オドレンとウタエンが吹き飛ばされた場所からプリンセスの声がして、振り向くとハート達にクローズチャージになった晴夜が国王様と王女様を連れて走ってきていた。
「マーメイド!トゥインクル!」
「大丈夫!?怪我はない?」
「は、はい!」
「でも、急にあんなでっかいドラゴンが現れて…」
マーメイドらに怪我はなかったかと心配されるフローラを横に、ラブリーはそう言いながらみんなと再度守り神を見ると、守り神は喉を鳴らしながら此方を睨んでいた。
「あのドラゴンは、ハルモニアの守り神だ!」
「「ええっ!?」」
「カーニバルを汚された怒りで我を忘れてしまっているのです!プリキュアの皆様!どうか守り神を止めてくだされっ!」
「このまま暴れられては、ハルモニアが滅んでしまいます!」
『ええっ!!??』
そこへ
「止める方法はないのですか?」
「ええ…歌とダンスを披露してくれれば、守り神もごきげんに……」
「でも、ステージは…」
フォーチュンは何か方法はないかと聞くと、国王は歌とダンスを披露すれば怒りは静まると語る。だがマーメイドの言う通り歌やダンスを披露しようにも、ステージは既に壊してしまった為、とても歌とダンスを披露できる状態ではなかった。
さらにクローズとソードはキルバスに挑む中、徐々にキルバスとの差が生まれて来ていた。
「オラオラァ!どうしたーー!」
ソードがキルバスの連続パンチを必死に躱し続けていると、キルバスに受けたダメージから復帰したクローズはドライバーのレバーを二度回しながら「どけぇぇ!」と叫び走って来た。
『Ready go!』
『ボルケニックブレイク!』
「はぁ〜……オリャャャャャャャ!」
身体中にマグマを帯びたクローズは後ろからマグマを纏ったドラゴンを出現させると、ドラゴンの形をした巨大なマグマ弾をキルバスに向けて放った。
「そんなもん!」
だがキルバスはスピードを上げてマグマのドラゴンを躱し、クローズへと迫るとドライバーからドリルクラッシャーとカイゾクハッシャーを出現させる。
「そらよォッ!」
「ぐわぁぁーーッ!」
そのまま必殺技を放って無防備になったクローズに、ドリルクラッシャーとカイゾクハッシャーの攻撃を放ってクローズを強制変身解除させてしまった。
「龍牙!」
駆け寄って来たソードに支えられながら、龍牙は戦う為に再び起き上がろうとする。
だが今の龍牙の体には複数の生傷が刻まれ、骨の至る所にはヒビが入り、激痛で立つことすら困難な状況にあった。
(ここで、負けられるかよ……
俺は真琴を……ここにいるみんなを守るんだろ!)
それでも龍牙はそんな激痛を無視し、ハルモニアをキルバスの破滅の手から守り、平和な明日を作る決意を胸に立ち上がろうと、懐からクリスタルボトルを取り出す。
「一人で何、カッコつけてるの…!」
「えっ?」
しかしソードが真剣な表情でそう語りかけながら、龍牙の持つクリスタルボトルを彼の手と一緒に握り掴む。
「私は……私達は、あんた達仮面ライダーに守られるだけの存在じゃないわ……
あなた達と一緒に、戦う為にいるのよ!」
「っ!」
「だから、今度は私が龍牙を守る」
彼女は龍牙へ向けて一緒に戦うと言いながら彼の手からクリスタルボトルを放させると、今の尚淡く輝くボトルを握り締めながら胸に当てる。
「龍牙。あなたと晴夜はいつだって、守りたいって思いでここまで来れた。
だから私も、あなたやこの世界に生きる人を守りたい!」
するとソードの強い想いに連動したのか、クリスタルボトルが強く光りだした。
「これは……」
ダビィが目にしたこの現象は、今まで新しいラビーズやロイヤルクリスタルが現れた時に出現した現象と似ていた。
光が収まるとソードの手には水晶のように輝き、蒼いドラゴンの頭部の型をした宝石がはめ込まれたキュアラビーズが置かれた。
「ラビーズに変わった……!」
「マジかよ……」
クローズはクリスタルボトルがラビーズに変わるのを見て、初めて起きた現象に驚いていた。
「ダビィ!行ける⁉︎」
「任せるビィ!」
「クリスタルラビーズ!セット!」
ソードはコミューンにクリスタルラビーズを嵌めると、眩い光に彼女の身体が包まれていく。
「キュアソード!クリスタルモード!」
蒼く輝く光からソードが現れると、やや薄めのパールパープルへとなったコスチュームにクリスタルの様に輝くドラゴンの翼とクローズに似た銀のファイヤーパターンが刻まれた装甲が身に付けられ。腰には銀色に輝く透明なローブ、紫の髪には蒼いメッシュ、背中に白いマントといった装備パーツが装着されていた。
「ふん。高々が綺麗になったから何だ!」
しかしキルバスからすれば、クローズにすら劣る雑魚がピカピカ光っているだけ。
何も問題ないと判断したキルバスの放ったドリルクラッシャーが、クリスタルモードへと変身したソードの身に降り掛かる。
「はぁ!」
だがそんな彼の予想に反し、ソードは収納状態のラブハートアローから光刃を生み出すと、キルバスの殺意の篭った攻撃を受け止めた。
「何だと!?」
「まだまだよ!」
さっきまで相手にすらなっていなかった雑魚に攻撃を受け止められたキルバスが驚愕した隙に、ソードはラブハートアローから伸びていた光刃を消すと自身の左手に青い炎を纏い、そのままキルバスの腹部にきつい一撃を与えた。
「がはぁ!」
キルバスは腹部を抑えながら後ろへ下がり、ソードを睨み付けるとカイゾクハッシャーを構える。
『各駅電車!急行電車!快速電車!……海賊電車!発車!』
カイゾクハッシャーからエネルギー弾が放たれると、ソードは光刃を伸ばしたラブハートアローにラビーズをセットする。
「プリキュア!ドラグニッククリスタルスラッシュ!』
ラブハートアローから大きいクリスタルの斬激を放ち、カイゾクハッシャーのエネルギー弾を切り裂くと、キルバスへ向かってラブハートアローを握る。
「チッ!」
「はぁぁぁぁぁ!」
キルバスは慌てて躱したが、そこへソードがキルバスの懐に入り、ラブハートアローから生み出された巨大な光刃を繰り出してダメージを与えた。
「すげぇ……」
自分の持つボトルがあそこまで巨大な力を秘めている事にも、それを扱うソードが凄まじい力で戦っている事にも驚く龍牙の口からは、彼女への称賛の言葉しか出なかった。
「ぐぅ……プリキュア……一万年経っても俺の邪魔するかァ!」
『グウォォォォォーーー!』
だがキルバスがあれだけの攻撃でくたばる筈もなく、プリキュアという存在に三度怒りを抱きながら起き上がるとその時、守り神の雄叫びが三人の耳に大きく響き渡る。
「ああ〜〜……けど、あいつがこのままこの国を滅ぼせば、お前達は何も守れなかったことになるけどなァ〜!」
守り神の姿を目に映しているキルバスの脳裏には、ハルモニアは自分が滅ぼしたかったなぁという落胆の思いと、このまま守り神が滅ぼしてくれれば楽だなぁという打算が浮かんでいた。
「……それはどうかな」
そんな愉快そうに笑うキルバスに、龍牙は彼の思い通りに事が進まない事を確信していた。
何故ならあそこには、自分達と一緒に戦う仲間がいる。
ならば必ず、彼ら彼女らはあの守り神の怒りを鎮めてくれる。
「何、笑ってんだよ!」
「龍牙!危ない!」
そんな龍牙の笑みに気付いたキルバスが変身解除して生身の彼に向けて、観客席を破壊した時と同じ蜘蛛の足を地面から出現させて迫ってきた。
「「はぁ!」」
だが間一髪でジェットボトルの力で飛んで来たグリスとローグの二人が放った、ツインブレイカーとネビュラスチームガンの光弾によりこれを阻止し、龍牙の前に現れた。
「かずやん、幻冬」
「遅れたな」
「ソードさん。早くあの守り神のところへ!」
二人は晴夜から、守り神の怒りを鎮めるにはプリキュア全員の協力が必要だと連絡を受け、ソードにこの事を伝えに来たのだ。
「でも……」
だが相手はクローズマグマになった龍牙すら歯が立たなかった化け物、たとえ二人で戦うとしても苦戦は必須、最悪殺されてしまうという心配がソードの心中で浮かんでいた。
「行け!こいつは俺達で倒す!早く!」
「……」
それでもソードは龍牙の言葉を信じてキルバスを龍牙達に任せ、急いで守り神の元へ跳んでいった。
「行かすかよ!」
「オラァ!」
グリスがソードの妨害をしようとしたキルバスの前に現れ、攻撃を繰り出して注意を自分に向けた。
「龍牙さん。あなたは少し休んでいて下さい!ここは僕らが!」
更にローグも加勢し、グリスと共にキルバスに応戦する。
一方で現れた守り神は怒りで我を忘れ、口から火の玉を放ってプリキュア達に攻撃を始めていた。
「まずい!」
「ッ!晴夜!!」
これを危機と感じ取ったハートは、クローズチャージにジーニアスボトルを投げ渡す。
「おう!サンキューマナ!」
『Ready go!』
ハートにお礼を言いながら紛失したと思っていたジーニアスボトルを受け取ったクローズチャージは、ジーニアスボトルをツインブレイカーに装填する。
『レッツフィニッシュ!』
ツインブレイカーの砲身部分「レイジングビーマー」から放たれた虹色の砲撃は、守り神が放った火の玉を撃ち落とした。だがそれでも守り神は攻撃の数を増やし、複数の火の玉を放ち続ける。
「ぐっ……!どうにかして、怒りを静めないと……」
やはりツインブレイカーで放った力だけでは守り神をどうにかする事が出来ず、ジーニアスボトルでビルドに変身出来れば、勝利の法則を導けるのにと思い悩む
「止めなきゃ…」
その中でフローラは決死の覚悟を決めると、守り神への想いを伝える為に、飛び交う火の玉を避けながらも立ち向かう。
「怒りを静めて…守り神様!」
「あたし達の気持ちは、守り神様と一緒です!」
次々と放たれる火の玉に、フローラと続く様に立ち向かって行ったマーメイドとトゥインクルと一緒に跳びながら避け、三人は必死に守り神に想いを伝えようとしていた。
「歌とダンスが……大好きなんです!!」
フローラは守り神に必死の叫びを込めるが、再び守り神の口から炎の豪球が放たれた。
「あっ…!」
巨大な豪球を前に固まってしまうフローラ達であったが、間一髪でラブリーとプリンセスとハニーが彼女達を抱えて炎の豪球から救った。
フローラ達を助けたラブリー達は安全な場所へと着地すると、金属音と共にフローラ達の腰から何か……ドレスの形をした変身アイテムにして、ホープキングダムに代々伝承されてきた鍵形の宝具・ドレスアップキーが零れ落ちていた。
「あっ……このキーは…」
ラブリーは落ちたキーの音を聞いて振り向き拾うと、同じ様にプリンセスとハニーが落ちたドレスアップキーを持ったのを見て決意を固める。
「このキーは…歌とダンスの力で生まれた」
「私達プリキュアの想いの結晶」
「歌とダンスが好きな神様だもの」
そして、ラブリー達はフローラ達にこのドレスアップキーを渡す決意をするも、プリンセスプリキュアは少し戸惑っていた。
「私達が…」
フローラらは自分達がそんな大きな事ができるのだろうかと不安になっていたが、後ろにはプリキュアオールスターズが揃って見守っていた。
「みんなの想いを、守り神様に伝えよう」
『うん!』
全員が想いを伝える為、その想いを届ける手伝いをする為に、ラブリー達ハピネスチャージプリキュアはその想いを応えようと、フローラ達プリンセスプリキュアにドレスアップキーを授けようとする。
「お願いね」
「…うん」
そのままラブリーからフローラへ、プリンセスからマーメイドへ、ハニーからトゥインクルへドレスアップキーを託されると、彼女達はそれぞれそれを握り締める。
プリキュアオールスターズの強い意志と、決して崩れない想いを込めたドレスアップキーがフローラ達を立ち上がらせ、守り神に立ち向かう勇気を湧かせた。
「エクスチェンジ!」
フローラはプリンセスパフュームにドレスアップキーをキーモードにして挿入すると、プリンセスパフュームから光が放たれる。
その光は周囲の炎を掻き消し、彼女達を中心に放たれた光の輝きに、守り神は躊躇して目を見開かせる。
「あっ…」
足音がして振り向いてみると、後ろにはプリキュアオールスターズが後ろへ回っていた。
それは、全員の想いをフローラ、マーメイド、トゥインクルに託すかのようにオールスターズの体から光が発し。オールスターズから発せられるの光に反応するが如く、ドレスアップキーからも同様に光を発した。
「私達全員の力!受け取って!」
「大丈夫!きっとできるよ!」
「だって!あたし達──」
『プリキュアだから!!』
ブラックを始めとしたあらゆるプリキュア達の願いを1つに纏めた想いを託され、同時に後ろから支えてくれている事に嬉しさを感じたプリンセスプリキュアの三人は、前を向いて怒り狂う神を見据える。
「モードエレガント!プリマヴェーラ!」
フローラ達はオールスターズと想いを一体化させた新たなキー、『オールスターズドレスアップキー』を差し込む。
そしてプリンセスパフュームを振り掛けると光の粒子が噴出し、彼女達の周りで舞っていた粒子は三人のスカート部分から徐々に光で包んでいった。
「「「はぁ!」」」
プリキュアオールスターズからも再び光が発せられたフローラ達は、モードエレガント・プリマヴェーラとなった。
光が守り神に直撃した所を見届けると、フローラ達を加えたプリキュアオールスターズは想いを込めて手を合わせると、合わせた手を開くとハートの光を作り出していた。
「「「プリキュア!レインボートルネード!!」」」
三人同時に叫ぶと光は膨張していき、やがてハルモニアをも包んでいく。
その光はとても暖かく、光に包まれた守り神は此処で初めて、彼女達の想いを受け取ってくれた。
『思い出して……守り神様。歌とダンスって…すごく楽しいものなんだよって』
フローラが込めた想いに、守り神は我に返っていった。
そして、守り神の目にはプリキュア達が披露したそれぞれの歌とダンスが浮かび上がり。それによって怒りが静まり、穏やかで優しい目と変わっていくのだった。
「良かった……!?」
晴夜はプリキュア達の思いが守り神の心を元に戻す姿を見届けると、突如彼の持つジーニアスボトルが光りだし、何処かへ飛び去ってしまった。
その頃、守り神の怒りをおさめたがキルバスの攻撃にグリスとローグは限界を迎え変身解除となった。
「く、くそぉ……」
「ここまでなんて……」
変身解除した二人にキルバスは息の根を止めようと腕を前に出す。
「手こずらせやがって!下等な種族が!」
「やめろぉーーー!」
龍牙の制止も虚しく、キルバスが二人にトドメを刺そうとしたその時。フローラ達の守り神を癒す想いに共鳴するかのように、龍牙の持つドラゴンボトルが光り出すと、ドラゴンボトルはシルバーとなったハザードレベル7へと進化した。
「今度は何だ!」
すると今度は和也と幻冬を助けんと、どこからともなく飛んで来た二つの何かがキルバスにぶつかると龍牙の元へ飛んでいき、龍牙の頭上からその何かの正体である2本のボトルが現れた。
一つは晴夜の持つジーニアスボトル。
もう一つは以前まで持っていたが、ブラッド帝国の戦いで奪われたドラゴンエボルボトル。
「……晴夜のボトルに、何でこれまで……」
どうしてこのボトルが此処に、という龍牙の素朴な疑問が解消する前に、二つのボトルと咬合する様にドラゴンボトルも宙へ浮かぶ。
その三本が集まって回り出しながら融合し始め、かつて晴夜の手の上でクローズビルドのボトルが生み出された時の様に、龍牙の手の上に一本のボトル缶が生まれた。
「新しいボトル……」
形はジーニアスボトルとほぼ同一だったが、色は宇宙を思わせる黒と青色となっており。
更に龍牙は手に持ったボトルから、エボルトの力が込められている事を本能的に察知していた。
「晴夜……(俺の中にあるエボルト遺伝子……確かに世界を破滅させる力……
けど、俺は……キュアソードをこの世界を守る仮面ライダー……クローズだ!)
…………うぉぉぉぉぉぉ!」
決意を固めた龍牙は叫びながら立ち上がり、生み出されたボトル『マッスルギャラクシーボトル』を起動させる。
『マッチョ!フィーバー!』
ボトルのスイッチを起動し、そのままドライバーに装填する。
『マッスルギャラクシー!!』
それと連動してドライバーから待機音が鳴り、そのままレバーを回転させる。
『ブラァッ!チャオ!ブラァッ!チャオ!ブラァッ!チャオ!』
そしてスナップライドビルダーから2つのアーマーが形成される。
『Are you ready ?』
「変身ッ!!」
『銀河無敵の筋肉野郎!クローズエボル!!パネーイ!マジパネーイ!!』
スナップライドビルダーがアーマーと共に龍牙の体に重なり、龍牙は仮面ライダークローズエボルに変身を遂げる。
「龍牙……」
「その姿は……」
それを見た和也と幻冬は、今のクローズの姿にある面影──龍牙に自らの遺伝子を植え付け、自らの野望を果たそうとした、仮面ライダーエボルのフェイズ4であるブラックホールフォームの姿と重なって見えた。
「こいつはいい!俺の力になる!最高のエネルギーになりそうだ!!」
「ふん!はぁ!」
キルバスはクローズに向かって殴りかかるが、クローズはキルバスのパンチを受け流し、キルバスの顔と胸にパンチを繰り出しダメージを与える。
「ぐおぉ!?……ちぃ!オラァ!」
「はっ!」
「何!?ぐわぁ!」
クローズはキルバスのキックと連続パンチを避け、そのままキックで吹っ飛ばした。
「成る程……ならば!こっちも本気を出すまで!」
しかしクローズの方が押し始めている事を感じたキルバスが本気を出すと言うと、擬態として生成したスマッシュやドロボーンに仕込んだ遺伝子を自分の体に戻し始めた。
「ハッハッハァ……さぁ、行くぞォォォォォォ!!」
「はぁ!」
本来の戦闘力へと戻ったキルバスと、新しいフォームに変身したクローズは空中に向けて飛び上がる。
「ふっ!はっ!」
「デァッハッハァ!ホッホホゥ!ハァ!──ぬぅん!」
「くっ!ぐぁ!」
キルバスとクローズは空中で高速のパンチラッシュを繰り広げるが、キルバスに押しきられたクローズは地面に叩きつけられてしまう。
「ハッハッハァッ!!残念だったなぁ?俺の方が上だ!ハァ!」
『Ready Go !』
キルバスはレバーを回転させ、手から放出したクモの糸でクローズエボルを拘束する。
「なっ!」
「デアァァァ!!」
『キルバススパイダーフィニッシュ!!』
キルバスはクローズエボルを引き寄せるとそのままオーバーベッドキックを決めて、クローズエボルを大きく吹っ飛ばしダメージを与える。
「がっ…ぐっあぁ…!」
「「龍牙!」」
「龍牙ぁ!!」
クローズがぶっ飛ばされた光景を見た和也と幻冬、そして戦場へと戻ってきたソードが、倒れるクローズに近づこうとする。
しかし、クローズは腕を上げて来るなと言わんばかり立ち上がる。
「……前の俺は、自分の為に戦ってた……」
ソードを守る為に戦っていた自分にとって、自身と関係ない者の為に戦うなんて考えはなく、ただ自分とサポートする彼女の為に戦う。
ただそれだけの為に、上城龍牙はクローズとして戦い続けて来た。
「でも……あいつが教えてくれたんだ……
誰かの力になりたいと思う正義を……
誰かに手をさしのべる優しさを……
誰かを守る為の勇気を……誰かの為に戦う強さを……!
俺のヒーローが……教えてくれたんだ!!」
クローズはこんな自分をここまで導いてくれた、自分の為に戦う『クローズ』では無く、誰かの為に戦える『仮面ライダークローズ』にしてくれた、もう一人の相棒の顔を思い浮かべる。
「愛と平和を胸に生きている俺は……負ける気がしねぇ!!」
『クローズサイド!』
そう叫びながら仮面ライダークローズは立ち上がり、レバーを回転させる。
『Ready go!』
ドライバーの音声と共に、クローズエボルの背後に『クローズドラゴンブレイズ』が召喚される。
『マッスルフィニッシュ!』
「おりゃぁ!!」
「ぐぉぉああ!?」
クローズの右手から放たれたアッパーと共にクローズドラゴンブレイズはキルバスに食らいつき、天高く打ち上げる。
「ぐぁっ!!あぁ」
『クローズサイド!エボルサイド!』
『Ready go !』
『ギャラクシーフィニッシュ!!』
「てやぁぁ!!」
「ぐわぁぁ!!」
レバーを更に回転させると、エボルのようにブラックホールを生成して自らをキルバスの頭上にワープさせる。
そのままキルバスを引き寄せ、キルバスにパンチを食らわせて地面に叩きつける。
「龍牙!」
「おお!これで終わりだ!」
『クローズサイド!エボルサイド!!ダブルサイド!!!』
『Ready go !』
「おりゃゃゃゃゃ!!」
「はぁぁぁぁぁ!!」
「がっ⁉︎ はぁッ!」
クローズはソードが横に並んだのを確認するとレバーを急速回転させ、ソードと共に高く飛び上がってキルバスへ向けてライダーキックを食らわす。
「な、なんでだァ!なんでこの俺がッ!人間……如きにィィッ……!?」
『まだわからないか?』
その時、自身の敗北を信じる事は出来ないキルバスはクローズの背後から、思いかけない男を見かけた。
『
クローズの背後から仮面ライダーエボルの幻影が現れると、キルバスに向けて冥土の土産代わりに、そう静かに告げた。
『マッスルギャラクシーフィニッシュ!!』
「てりゃぁぁあッッッッ!!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁあ!!」
クローズはそのままキルバスを吹っ飛ばし、必殺技を食らったキルバスは断末魔を上げる。
「そうか……くぅ…ッ!
キュアソード……上城龍牙……!エボルトォォォォォォオオオ!!」
そして最期にキルバスはソードとクローズ、そして今は亡きエボルトへの怨念を叫びながら爆発四散し、彼の持っていたビルドドライバーは見事に破壊された。
「はぁ…はぁ……!」
キルバスを倒したクローズは力を使い果たし、元の龍牙の姿へと変身解除された。
するとマッスルギャラクシーフルボトルが再び三本に戻り、ドラゴンボトルは龍牙の手の内に戻り、残った二本は何処かは何処かへ去っていった。
「やったぜ……」
これまで蓄積したダメージによって、既にギリギリだった身体に限界が来て倒れかける龍牙に、ソードは駆け寄って彼を支える。
「龍牙。お疲れ様!」
「おぉ、お前もな」
「「えっへへ〜」」
ソードと龍牙はお互いに顔を合わせ、笑顔でやり切ったと笑い合っていた。
晴夜も龍牙の元へ向かおうとしたその時、意外な人物に会っていた。
「ジーニアスボトル……」
「面白ろかったよ。やっぱり気に入ったよあのドラゴン君」
「あなたは……海東大樹さん」
ジーニアスボトルが晴夜の元へ戻ったのならば、ドラゴンエボルボトルは今の持ち主である海東大樹の元へと戻っていた。
「この国のお宝を盗もうと思ったけど、もうないみたいだね」
相変わらずコソ泥をしているのだと、晴夜は呆れながらそう思った。
しかし龍牙に力を貸してくれた事は事実なので、晴夜は海東に頭を下げて礼を言う。
「龍牙に力を貸してくれて、ありがとうございます」
「……ドラゴン君に伝えておきたまえ、今日だけだからってね」
海東はハルモニアには価値のあるお宝はもうないと呟くと、灰色のカーテンを作りまた別の世界へと去って行った。
これで事件が全て解決したハルモニアに、国王と王女が仮面ライダー四人とプリキュアオールスターズを呼び出していた。
「プリキュアの皆様、本当にありがとうございます」
「盗賊に国を乗っ取られ…皆様に大変なご迷惑を御掛けして申し訳ございません」
国王と王女は今回の事件を深く反省し、プリキュア達にお辞儀をするも。プリキュア達は全く気にしていなかった。
「どうぞ、顔を上げてください」
「お二人が謝る必要などございません」
「そうですよ!悪いのは……!!」
「「ひぃぃ!!」」
マーメイドとフォーチュンの言葉に同意したプリンセスは、オドレンとウタエンの方を向いて睨み、みんなも一斉に向きを変えて睨みつける。
盗賊二人にはもはや、どこかに失くしてしまった帽子を探す気も、プリキュア達に反撃する意志もなく、ただの無力な盗賊となってしまっていた。
そもそもプリキュアに反抗する力があったら、プリキュアの変身アイテムを盗む必要もない訳だし。
「良くないと思うな~~…こういうの多勢に無勢って言うんだよ?」
「そうっす!弱い者いじめ反対っす!」
「あんたた───」
「グォォォォォォォォォォォォォォ!!!」
「「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」」
プリンセスが怒りのあまり小言を言おうとするが、守り神に咆哮を放たれた二人はすぐさま土下座をして、体を固くするのだった。
「守り神様は何と?」
一方で国王はその咆哮の意味を悟り、プリンセスプリキュアにあるお願いを語る。
「どうやら、守り神様は楽しみにしていたプリンセスプリキュアの皆様のステージをご覧になりたいそうです」
それは、守り神からプリンセスプリキュア達の歌とダンスの披露をして欲しいとの要望であった。
「ええ!?私達の?」
フローラは意外な展開に驚いてしまうも、王女様はニッコリと笑みを浮かべると、彼女達に近寄って「どうか、歌とダンスを披露してくださいませんか?」とお願いする。
「い、いいのですか?」
マーメイドは恐る恐る尋ねるも、国王もニッコリと笑って「勿論でございます」答えるのであったが、それは国王や守り神の願いだけではなかった。
「ステージに上がって♪」
「私達だって、プリンセスプリキュアのステージを楽しみにしてたんだからー♪」
「みんな、楽しみにしてるよ♪」
「私達も、あなた達の歌とダンスを早く見てみたい」
ハピネスチャージプリキュアを始めとしたプリキュア全員が、プリンセスプリキュアの歌とダンスを早く見たいと待ち焦がれていた。
「やるしかないみたいだよ?」
「みんな…」
フローラはあまりの事に上手く言葉を返すことができないが、プリキュア全員が自分達の歌とダンスを楽しみにしている事だけはハッキリと分かった。
「行きましょう。フローラ、トゥインクル」
「「はい!」」
プリンセスプリキュアの歌とダンスは、遅れながらも再び開催されるのであった。
カーニバルステージは無事に成功し、守り神もハルモニアの人達も大盛り上がり。
その光景を、晴夜と龍牙は嬉しそうに見届けた。
「やったな。相棒」
「今日は俺が主役だよな?」
晴夜は龍牙の問い笑って返しながら彼のスクラッシュドライバーを渡し、龍牙はそれを受け取る。二人はいつものようにお互いに手を出して上、下と順番に手を当てると、最後に腕を上げてハイタッチをする。
「……あっ、悪い。お前のビルドドライバー壊しちまった」
「問題ないよ。まだあのビルドドライバーがあるから」
龍牙は晴夜のドライバーを壊してしまった事を謝るが、実は彼には二つ目のビルドドライバーがあった。
ひとつはキルバスに奪われた、これまでの戦いの中で使い続けたビルドドライバー。
もう一つは。精神が崩壊しかけた時に門矢士によって連れて行かれ、そこで出会って憧れの存在となった人……桐生戦兎から託されたビルドドライバーが、晴夜の研究所の金庫に眠っていたのである。
その後はカーニバルも終わり、みんなそれぞれ帰るべき場所へと帰った。
晴夜達がマナの家に全員が泊めて貰う事になったその夜。龍牙は一人外へ出ると、そこに真琴がいた。
「真琴……」
「どうしたの?…龍牙も眠れないの?」
「まぁな」
二人は外にあった椅子に座ると、彼らの空間に沈黙が広がる。
「──ありがとうな」
そんな沈黙を破ったのは、龍牙だった。
「えっ?」
「ずっと、言いそびれたからな」
彼女は幼い頃に両親を亡くして一人だった自分に、初めて仮面ライダーとして守るきっかけをくれた。
いつも自分の事を気にかけてくれた。どんな時でも彼女がいたから、今日のキルバスの戦いにも勝つ事が出来た。
故に龍牙は、幼馴染の真琴にお礼を言うのだ。
「私もよ。ありがとう」
彼は自分がどんなに辛かった時も、いつも近くに寄り添ってくれた。
歌をやめる時も、操られて彼を襲った時も、諦めず熱い心でいつも助けてくれる、かけがえのない存在。
故に真琴も、幼馴染の龍牙にお礼を言うのだ。
「これからもよろしくね。私の最高の仮面ライダー」
「へへ〜……おぅ!任せろ!」
龍牙が笑ってそう答えながら拳を出すと、真琴も拳を出して彼の拳に当てて応える。
──もしかしたらこの二人は近い将来、今よりもずっと親しい仲になるのかも知れない。
彼らがその事を知るのは、案外そう遠くない未来になるだろう。
次回!Re.ドキドキ&サイエンス!
特別編2 仮面ライダービルド&みんなで歌う!奇跡の魔法!
───あれから数十年後。
人間界とトランプ王国。二つの国の代表の歌手として絶大の人気となっていた真琴。
そして約束通り、彼女の付き人にしてマネージャー兼ボディガードには龍牙が付いている。
そして・・・
「うぁぁぁぁ〜!うぁぁぁ〜!」
「真琴!」
とある某病院にて響く泣き声。
それは二人にとって、新たなる生命の出会いだった。
「女の子だって・・・」
「頑張ったな」
上城龍牙と剣崎真琴、二人にとって大切な娘の産声を聴きながら、龍牙は優しくその子を抱き抱える。
「この子の名前は決めてあるの?」
10年前からずっといる真琴のパートナーであるダビィが、この赤ん坊の名前は決めたと尋ねると、真琴は頷く。
「マユって名前はどう?」
「マユ。上城マユ・・・いいなそれ!」
これが二人にとってかけがえのない娘、上城マユの生誕であった。
終わり
龍牙「いや気が早すぎだろォォォォォォォォォォォ!?」
晴夜「……あ?どうしたんだよ龍牙、急にシャウトしながら台本叩きつけてよ」
龍牙「どうしたもこうしたも、なんで急に時間が何十年も飛んでんだよ!
しかも俺と真琴の子供まで作りやがってよ!もし真琴がこれ聞いたら、今度からどんな顔しながらあいつと会話すれば良いんだよ!ぜってぇ気まずい空気になるだろうが!」
晴夜「別に良いじゃねぇか、お前らお似合いだしよ。このまま俺とマナみたいに付き合ったらどうだ?」
龍牙「いやいやいやいやいやいやいやいや、あいつアイドルだぜ?いきなり付き合ったりしたらあいつのファンに殺されちまうよ!かずやんとかかずやんとかかずやんとか!」
晴夜「かずやんしか居ねぇなコレ」
龍牙「そもそも!もし仮に俺とあいつの子供が出来たとして、あいつがマユって名前を付けるとは限らねぇだろ!龍子とか辰巳とかそう言う名前だったらどうすんだよ!」
晴夜「名前が違ったら、収録し直せばいいじゃない」
龍牙「なんだその『パンが無ければケーキを食べればいいじゃない』的なノリ」
晴夜「もう良いじゃねぇか!こういうのはノリが大事なんだよ!
それより龍牙、そろそろエボルトの声優探しに行こうぜ」
龍牙「誤魔化そうとすんなよ!というかエボルトそっくりの声なんて、そう簡単に見つかる訳が──『やれやれ…横浜まで出張とは、面倒ですな』──ん?」
晴・龍「「いたぁぁぁぁぁぁぁ!エボルトの声優!!」」
生瀬「な⁉︎ 君たち一体なんなんですですぞ!」
龍牙「マジかよこの人、声がめっちゃエボルト似じゃねぇか!
おいおっさん!ちょっとこの台本読んでくれないか!?」
晴夜「ちょっとだけ!ちょっとだけだから!今ならこのお手軽ロボットペット『ロビー君』と素敵なトートバック付けるから!」
生瀬「え、ちょ⁉︎ いきなりエボルトとか声優だとか言われても意味が変わらな……
あ、ちょ、スーツ引っ張らないで欲しいですぞ!イヤだから──アーーー!!」
横浜は、今日も平和だった。
完