Re.ドキドキ&サイエンス   作:yu-ki.S

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前回までのあらすじ!

晴夜「仮面ライダービルドであり、てぇんさい科学者の卵 桐ヶ谷晴夜は、ブラッド帝国の卑劣な作戦によって大ピンチを迎えてしまったが、イケメンで超天才な晴夜君は突如閃いた反撃のアイデアによって、仮面ライダーブラッドこと仮面ライダーエピオンとの戦いに勝利した!」

龍牙「だから!お前一人の力で倒したわけじゃねえだろ!
そもそも前回の主役は俺だろ!つまり、この作品の主役は俺になった!つまる所主役交代だ!」

晴夜「ふさげんな!この作品の本来の主役はお・れ・な・の!
さあ!今回も俺が主役の『みんなで歌う♪奇跡の魔法』、スタートしやがれ!」

龍牙「おい!一人で勝手に始めんなよ!」


特別編2 仮面ライダービルド&みんなで歌う♪奇跡の魔法!前半唱

『ルラルラルーララ…ルラルー…ララ』

 

とある風が靡く草原の下、1人の女の子が歌っていた。

 

『ルラルラルーララ…ルラルー…ララ』

 

女の子が奏でる歌は、とても不思議な歌だった。

 

『ルーララ♪ララーーー♪』

 

その歌にどんな意味が込められているのかは知らない、けれど彼女は無我夢中に歌い続けていた。

 

『ルラルラ♪ルー…ララ♪ルーララ♪ララ──わっ…!」

 

しかし大きな風が吹いてくると、それに驚いた女の子はさっきまで歌っていた歌を中断させてしまう。

 

「惜しかったね」

 

女の子が歌を途切れさせてしまった事で落ち込んでいると、何者かが草を踏む足音と共に彼女に近づいてそう声を掛ける。

それに気付いた少女が振り向くと、きちんとした身なりの銀髪老婆が近づいていた。

 

「あっ!せんせい」

 

女の子は老婆を“せんせい”と呼ぶと、落ち込んでいた顔から嬉しい顔となって駆け出して行き、老婆のスカートに抱き締める。

 

「また歌っていたのかい?」

 

「うん!でも、せんせいみたいにうまく歌えないの……」

 

「ふふ。そうかい、そうかい」

 

老婆もまんざらでもない柔らかい笑みを浮かべながらそう答えると、晴天の下で心地よく吹く風を見上げる。

 

「今日も頑張ったね。子守唄を聞かせてあげるから、こっちにおいで」

 

「うん!」

 

女の子は素直に答えると、老婆は女の子に子守唄を聴かせる為に座り込む。

 

「それじゃあ、さっきの歌を歌うから。よくお聞き」

 

「うん!」

 

座り込んだ女の子が老婆の膝の上で横になると、老婆はとても心地よい歌を歌い始めた。

 

『瞼閉じれば…夢の森♪』

『遊んでおいで♪夜明けまで…』

 

彼女の歌を聴いていた女の子は眠気が襲い始めたのか、次第に目を細めて始めていた。

 

『棘の陰に♪迷っても…』

『つなぐこの手が♪』

『道しるべ…♪』

 

うとうとしていた女の子の意識は段々と薄れ、瞼を閉じていき──

 

 

 

「──はっ!?」

 

現実に引き戻されたかのように目を開けると、一人の女性が起き上がっていた。

その女性は赤紫色のゴシックロリータドレスを身に纏い、赤紫の肩までかかったロングヘアー。頭にはハサミの如く2つに割れたハートのカチューシャが、彼女のトレードマークである事を表す様に大きく着いていた。

 

「また、あの夢か…」

 

赤い瞳を持った女性は先程の夢を見たせいか、人形の様に整った顔には冷や汗が垂れていた。

すると彼女が居る部屋の扉が重たく開き、そこから虎のような模様と尻尾を持った馬が紳士服を着て姿を現し、女性に向けて礼をする。

 

「おはようございます。ソルシエール様」

 

二足歩行で歩く馬は、主である女性“ソルシエール”に向けて挨拶を済ませる。

そしてソルシエールも、彼の挨拶に先程の冷や汗を拭うと、キリッとした目つきへと変えて毅然と振る舞うのだった。

 

◆ ◆ ◆

 

ハルモニアにて発生した盗賊二人による最悪の事態をプリキュアオールスターが制し、ブラッド帝国の王を名乗る存在・キルバスによる天災から龍牙の変身したクローズエボルとソードのクリスタルモードが阻止してから、数ヶ月の時が過ぎた。

季節は再び春へ移り変わり。桜が咲き、商店街をピンクの花びらが舞い彩っていた。

大勢の人々で賑わう町中には、二人の少年の姿があった。

 

「もう春だな〜」

 

そう呟く少年は、仮面ライダービルドである桐ヶ谷晴夜。

 

「ふぁ〜あ……!俺は気持ち良くて眠いけどな……」

 

隣で欠伸を漏らすのは晴夜の助手…もとい最高の相棒、仮面ライダークローズである上城龍牙だ。

 

「なぁ、花見の場所どこだ?」

 

「ええ〜と、この並木道の先だと思うけど……」

 

晴夜が貰ったメモを見ながら、二人はある場所へ──仲間であるドキドキプリキュアのみんなと約束した、お花見の会場へと向かっていた。

その時、桜の木を歩く家族や友達など色んな人達を見て、晴夜は嬉しいそうしていた。

 

「へへっ……やっぱいいよな」

 

「相変わらずだな。お前は……まぁ、それがお前のいいところか」

 

彼らにはこういう当たり前の日常を守り、その為にこの人間界を守っていく使命がある。

故に愛と平和を唄う仮面ライダーとして、彼らはこれからも戦って行くのだ。

……文面が終盤みたいだけど、まだまだ序盤です。

 

 

その頃、桜が満開になっている春の街路樹にて。

 

「見て!パンケーキだよ!美味しそう~♪あっ、アイスクリームだ!」

 

「クッキー乗せて食べたいモフ〜!」

 

アイスクリームやパンケーキのお店をキラキラと輝かせた紫色の瞳で見渡す、光の加減によっては金髪に見える明度の高い小麦色の髪を持った少女が存在していた。

これだけなら“色んなお店に目を向ける好奇心旺盛な女の子”だけで終わるのだが、肩にかけたカバンに入れているクマのぬいぐるみが表情を変えながら喋っていると言う、常人からすればあまりにも奇妙な光景が映っていた。

 

「ちょっと!」

 

だがそんな彼女とぬいぐるみを窘めるように止める、魔法使いのようなとんがり帽子をかぶった、マゼンタの瞳と紫色のロングヘアを持った少女がいた。

 

「みらい、忘れてない?私たちの目的」

 

「え?おほほ♪」

 

みらいと呼ばれた少女は紫髪の少女に人差し指で頬を押して念押しされ、それがくすぐったいのか笑ってしまう。

 

さて此処で、この二人と一匹(?)について簡単に話そう。

このみらいと呼ばれた少女──朝日菜みらいはひょんな事から、この世界の裏側にある『魔法界』からやってきた「魔法つかい」のリコ(みらいの頬を突いている紫髪の少女の事)と出会った事で、ふたりは魔法界の伝説に語られる「魔法つかいプリキュア」へと大変身。

それと同時に、みらいの持っているテディベア・モフルンがなんらかの因果により、みらいが持ってたリンクルストーン・ダイヤの力で命が宿り、人語を話すようになったのだ。

こういった色んな結果の末、みらいはリコと共に魔法界の魔法学校に通う事になっている。

 

そんな中二人は、魔法学校の校長からとある調査をして欲しいと言われた。

彼曰く。ナシマホウ界──つまり人間界には、魔法界の人々ですら知らない知らない不思議な現象が多く寄せられており、プリキュアの事に大きく関わっている可能性が高いとの事。

 

「え〜と……それで私が持ってた、ダイヤモンドの元になったリンクルストーンについて調査する様に、校長先生に言われて……」

 

「そうよ!だからこそ、この世界を調査して、立派なプリキュアになるのよ!」

 

リコは人間界での不思議現象について調査し、伝説の魔法使いの名に恥じぬプリキュアになる為、そして校長先生の期待に応えるよう張り切る。

 

「あれ?モフルンは?」

 

しかし此処でみらいは、自分のバッグの中にいたはずのモフルンが居ないことに気づいた。

 

「えっと……あ!あそこ!」

 

リコが指さした先を見ると、丁度モフルンが路地裏に入っていく所だった。

 

「ちょっと!どこ行くの!?」

 

「あまい匂いがするモフ〜」と言って何処かへ行こうとするモフルンを、二人は慌てて追いかける。しかしモフルンよりも体の大きい二人にとって、狭くて進みづらい裏路地を通るのは一苦労があった。

 

「クッキーーーーモフーーーーーーー!!」

 

「わっーー!?」

 

「あっ!」

 

それでようやく追いついたと思っていると、モフルンが一人の少女の顔面に抱き着いたせいでその少女諸共倒れそうになっているというハプニングが起こっていた。

 

「キュアップ・ラパパ!浮きなさい!」

 

それを見たリコは魔法でモフルンを浮かばせ、少女から離れさせる。

 

「ごめんなさい!モフルンのせいで!」

 

危うく少女を反転させて頭を打たせてしまうところだった事を謝ろうとするみらい。

だがモフルンに突進された少女とその友人と思われる少女3人は、先程の現象は勿論、みらいが手に持っているぬいぐるみだと思っていたモフルンが喋った事にも驚いていた。

 

「ぬいぐるみが、喋ってる!?」

 

「一体、どういうことなの?」

 

「それに、体が浮いてましたわ」

 

「ひょっとして、あなた達ってもしかしなくても魔法使い?」

 

その少女たち──台詞の上から『春野はるか』『海藤みなみ』『紅城トワ』『天ノ川きらら』、4人の視線がみらいとリコに突き刺さる。

 

「い、いきなりバレた⁉︎ 何で⁉︎」

 

「だからその恰好はやめようって言ったでしょ~!」

 

みらいがリコの魔法学校の制服に持っている箒と杖を見ながらひそひそ話をし、どうしようかと迷う二人。

 

「「「「………」」」」

 

「……あ、あふぇふぁふぇひなもふ~(あれは手品モフ~)

 

「魔法じゃないモフ~~」

 

すると何を思ったのか、みらいはリコの口から国旗を取り出して、モフルンの口調を真似ながらさっきの摩訶不思議現象は只の手品だと主張する。

だが次の瞬間、みなみ達と話し込んでいたはるかが黒いオーラに包まれた。

 

「っ!ちょっと、大丈夫⁉︎」

 

「あ…ああ…ああ…」

 

彼女は目の前に何か恐ろしいもの目にしたかの様に呻き声を発するだけで、咄嗟に駆け寄ったみなみ達の言葉さえ聞こえていなかった。

その時、はるかから出て来た黒いオーラが離れると空中で球体となり、どんどん膨らんでいった。

 

「何あれ⁉︎」

 

「あっ…」

 

「はるか!」

 

その拍子にはるかが疲れ切った顔で倒れこむが、みなみとトワがすぐに駆け寄ってはるかを支える。そして突然出現した球体からは無数の触手が落下してきて、その衝撃で周囲に砂埃が舞った。

その球体を見える位置にいた晴夜と龍牙も、町の異変に気づいた。

 

「何だよあれ?」

 

「気圧による大気変化か?」

 

龍牙が驚いて顔を歪めている横で、気圧による変化ではないかと冷静に分析する晴夜。

しかし先までそのような様子もなかった事から、何やら嫌な予感を感じた晴夜はビルドフォンを取り出し、ライオンボトルを差し込んでビルドフォンを投げる。

 

『ビルドチェンジ!』

 

するとビルドフォンは晴夜の戦いを支えてくれた、もう一つの相棒でもある愛用のバイク『マシンビルダー』に変化。

 

「飛ばすぞ!」

 

「おお!」

 

二人はヘルメットを被るとマシンビルダーに乗り込んで、バイクのエンジンをかけて謎の球体が浮かぶ所へ向かう。

 

 

 

だが晴夜達と同じように、その球体を目にした二人の人物がいた。

 

「あれは?」

 

ひとりは、一枚のパンツをぶら下げている棒を手に持った男性。

 

「なんだよあの黒いもん?」

 

もうひとりは、とある学校の屋上からそれを見ていた教師姿の男性。

この二人との出会いが。これから始まる戦いの中で、晴夜の新たな出会いをもたらすものだと言う事は、まだ彼らすら知らない。

 

 

 

一方で球体が現れた所には、はるか達が手や腕で顔を隠し、砂埃が治まった時に視線を戻した。

 

「あれは⁉︎」

 

球体だった場所には、漆黒の衣装を身に纏い、角付きの仮面をつけた女の化け物が現れた。

 

「「「ディスピア⁉︎」」」

 

それはかつて、プリンセスプリキュアが激闘の末に倒した絶望の魔女『ディスピア』。

しかしディスピアの胸には元々ある筈の鍵穴ではなく、全く別の紋章が施されていた。

 

「そんな⁉︎ 一体なぜ⁉︎」

 

だがまだその事に気付いていないみなみ達が何故と驚く中、ディスピアは三日月型の赤い斬撃波を放ってきた。

その斬撃によって街が破壊され始め、ディスピアの破壊活動に恐れをなした人々が逃げていく中。それを見たはるか達は、目の前に現れたディスピアに怯まず前を向いていた。

 

「みんな!行くよ!」

 

すると彼女達は、これまで共に戦ってきた自分自身の力の源であるアイテム、『プリンセスパヒューム』と『ドレスアップキー』を取り出し構えた。

 

「「「「プリキュア!プリンセスエンゲージ!」」」」

 

かつて、何度も行ってきた変身フェーズを繰り返す4人。

彼女達の力をモデルとした、ピンクとブルー、イエロー、レッドといった4色の光を纏ったワンピースへと身に纏いながらドレスアップキーをプリンセスパフュームへ挿入してロックオンさせると、容器内からそれぞれの色のエネルギー状の液体が満タンになったパフュームは閃光を発し。プリンセスパフュームから光の粒子を放出させると、舞い上がって回転する体を光で包んでいきながら、彼女達はその姿を変えていく。

 

「咲きほこる花のプリンセス!キュアフローラ!」

 

一人は花のように舞い。

 

「澄みわたる海のプリンセス!キュアマーメイド!」

 

一人は海を泳ぐ人魚姫のごとく舞い。

 

「きらめく星のプリンセス!キュアトゥインクル!」

 

一人は自分自身を星にたとえて美しく構え。

 

「深紅の炎のプリンセス!キュアスカーレット!」

 

一人は不死鳥のごとく燃え盛る炎で、美しさと強さを証明する。

最期にドレスアップキーをチェーンで繋げて着地すると、彼女達はゆっくりと顔を上げてその姿を象徴させながら、プリンセスプリキュアとしての名乗りを上げる。

 

「強く!」

「優しく!」

「美しく!」

「GO!」

「「「「プリンセスプリキュア!」」」」

 

「さぁ、お覚悟は、よろしくて?」

 

プリンセスプリキュアとなったはるか達を見て、みらいとリコは目を輝かせて見つけたと思った。

 

「ッ!その恰好って、ひょっとしてあなたたちってプリキュアだったの!?」

 

「詳しい話はあとで!今はディスピアを!」

 

「は、はい!リコ、私たちも!」

 

「えぇ!」

 

フローラ達が現れて感激すると、二人はリンクルストーンダイヤを構えた。

 

「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!」」

 

二人が同時に呪文が首に飾っているペンダントに反応すると、モフルンの胸に2つのリンクルストーンが1つに融合されたダイヤがセットされ、みらいとリコがモフルンと手を繋いで輪を作る。

 

「「ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!」」

 

そして呪文の掛け声に合わせて生まれた光が、二人の体を覆って別の衣服へと変化していった。

 

「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」

「ふたりの魔法!キュアマジカル!」

「「魔法つかいプリキュア!」」

 

「「たあぁぁぁぁっ!!」」

 

変身を終えた二人が、フローラ達5人に迫っていた蔦の触手の群れを破壊した。

 

「うわ~~♪あなた達もプリキュアだったの!?」

 

ミラクルとマジカルが爆発の中から現れたのを見て、目をキラキラと輝かせるフローラ。

 

「はい!私たちは──」

「魔法つかいプリキュアです!」

 

「そうなんだ~!私たちは──」

 

「ッ!危ない!」

 

フローラが二人に自己紹介をしようと話しかけようとするも、そんな余裕さえ与えずに攻撃を仕掛けてくるディスピア。

すると、一台のバイクに乗った二人の少年が六人の前に現れた。

 

「はぁ!」

 

運転している彼の手の持つ銃が、ミラクル達に襲ってきた触手を撃ち落とした。

 

「えっ?」

「誰?」

 

マジカルとミラクルの唖然とした呟きを他所に少年が銃を下ろすと、バイクに乗ってた二人はヘルメットを外した。

 

「晴夜君!龍牙君!」

 

「久しぶりフローラ、マーメイド、トゥインクルと・・・新しいプリキュアかな?」

 

「おい。あいつが起きてきたぞ」

 

バイクに乗って現れた少年こと晴夜は、魔法使いプリキュアと初対面のスカーレットに新しいプリキュアなのかと聞くが、龍牙の言う通り銃撃を受けて倒れていたディスピアが起き上がる。

 

「自己紹介は後ね。今は、あいつを倒すよ」

 

「しゃあ!久々に暴れるぜ!」

 

二人がバイクから降りると六人の前に出て、ビルドドライバーを腰に装着した。

 

「さあ、実験を始めようか?」

 

晴夜は戦う前の決め台詞を言うと、赤と青の二本のボトルを取り出し数回振ると、彼の後ろからいくつもの数式が現れた。

 

「うわー……」

 

「スゴ……」

 

「わかりせんわ……」

 

晴夜と初対面であるミラクルとマジカル、同じく初対面のスカーレットが謎の現象に驚いていると、晴夜は二本のボトルの栓を回してドライバーに差し込む。

 

『ラビット!タンク!ベストマッチ!』

『ウェイクアップ!クローズドラゴン!』

 

ドライバーから兎と戦車のシルエットが浮かび、『R/T』と表示された。

隣では龍牙がクローズドラゴンガジェットにドラゴンボトルに差し、そのままドライバーに装填する。

そしてレバーを回し、前と後からプラモデルのランナーのような物が出て来て、そこから二つのアーマーが形成された。

 

『Are you ready?』

 

「「変身‼︎」」

 

一度構えた後に両手を一度交差させて広げると、二人の身体に生成されたアーマーが重なるように装着される。

その姿は赤い目からピンと立った兎の耳のような形状、青い目から戦車のような形状が一つとなり。もう一方は、全身が龍がモチーフな形状で更にアーマーが装着される。

そして、二人の体から煙が吹き上がった。

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』

 

「しゃあ!」

 

「行きますか!」

 

二人が揃ってビルドとクローズへと変身し、ビルドが複眼のアンテナをなぞり上げる。

 

「「変身した!」」

 

そしてミラクルとマジカルが、知らない二人がビルドとクローズに変身した事に驚く中、その知らない二人が構えてディスピアへと向かっていく。

 

「よっと!」

 

それに気付いたディスピアが二人に攻撃を仕掛けると、ビルドが兎の脚力で高く飛び上がって、彼女の攻撃を避ける。

 

「行くぜ!オラオラオラオラ!オラァー!」

 

そこに意表を突いたクローズが青い炎を拳に纏いながら連続でラッシュを繰り出し、ディスピアを怯ませる。

 

「タァ!ヤァ!」

 

さらに飛び上がり着地したビルドが左、右とキックを繰り出した。

 

「凄い……あの2人は……」

 

ミラクルは二人の呼吸の合った連携攻撃を見て、目を輝かせていた。

 

「プリキュアなの?でも、男の子だし……」

 

マジカルは二人の力をプリキュアと同じ……否、それ以上ではないかと思い。二人の正体は何者かと疑問が浮かんでいた。

 

「あの二人はプリキュアじゃないよ」

 

「「えっ?」」

 

「あの二人は仮面ライダー」

 

「ビルドとクローズ。私達の仲間だよ」

 

その問いに答えるべく、フローラがミラクルとマジカルに近付いてそう語りかけ、マーメイドとトゥインクルも同じ様に近付いてそう語る。

 

「あれが桐ヶ谷晴夜と上城龍牙……」

 

「「仮面ライダー……」」

 

「はぁ!」

「オリャャ!」

 

スカーレットとミラクル、マジカルが仮面ライダーの戦いを目に焼き付ける中、ビルドとクローズの武器がディスピアに攻撃を繰り出し、ディスピアを押し込む。

 

「ヌゥォォォ…」

 

しかし、ディスピアも簡単には倒れない。やはりプリンセスプリキュアの最後の敵だっただけはある。

 

「なら、実験開始だ!」

 

だがビルド達も、それで引き下がる程彼らも弱くない。

ビルドは二本のフルボトルを取り出し、数回振りながらボトルを差し込む。

 

『タカ!ガトリング!ベストマッチ!』

 

ビルドはベストマッチである事を確認するとレバーを回し、前後から現れたパイプ線から橙色と銀色のアーマーが形成される。

 

『Are you ready?』

 

「ビルドアップ!」

 

二つのランナーが合体して体から蒸気が噴き上がると、音声が流れた。

 

『天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!』

『ホークガトリンガー!』

 

背中にタカのような翼『ソレスタルウィング』が出現し、タカとガトリングガンを模したアーマーを纏った姿になると、ドライバーから小さなガトリングの銃『ホークガトリンガー』が形成された。

 

「変わった!」

 

「凄い。まるで鳥のように空を飛んでいる」

 

ホークガトリングへとフォームチェンジしたのを見て驚くミラクルとマジカルの視界には、背中の翼を広げて空中をタカのような動きで飛び回ってディスピアを翻弄する光景が映る。

そのままビルドは、ホークガトリンガーのシリンダーを回した。

 

『テン!トゥエンティ!サーティ!フォーティ!フィフティ!シックスティ!セブンティ!エイティ!ナインティ!ワンハンドレッド!フルバレット!』

 

空中に球体のフィールドが形成され、その中におびき寄せられたディスピアはフィールド内で全弾命中させられ、かなりのダメージを食らった。

 

「おぉ!晴夜!流石だな!」

 

クローズがビルドを称賛するとビルドが地面へと降りる。

 

「まぁ、これが主役の力ですから〜!」

 

「はいはい……勝手にやってろ」

 

だが相変わらずのナルシストぶりを見せるビルドに、クローズは呆れる。

すると油断してたビルドの腕に何かが巻きつき、尖ったものをビルドの腕に突き刺した。

 

「うっ⁉︎ な、何が……ヴアァァァァァ!?」

 

「晴夜ッ!?」

 

「晴夜君ッ!?」

 

瞬間ビルドが何かに苦しみ始め、唐突に地面に倒れて悶えるビルドの姿を見たクローズとフローラは驚愕を露わにする。

だがディスピアはそんなの関係ないと言わんばかりに、ビルドとクローズに攻撃を仕掛ける。

 

「あぶねぇ!」

 

その攻撃を見たクローズはビルドを抱きかかえて間一髪の所で回避し、二人がディスピアから少し離れるとフローラ達が駆け寄って来た。

 

「晴夜君!どうしたの⁉︎ 大丈夫!?」

 

「どうなっているの……確か今、彼の腕に何かが巻きついた様な……」

 

『ア〜ぁ……仕止めソコナっちまッタかァ〜!セッカク邪魔者をシマツできると思ったノニなァ〜〜!』

 

フローラがビルドの心配をし、マジカルがビルドの身に何があったのかと疑問視していると、ディスピアの真下から目と口の部分に穴が開いている、麻袋で出来た人形がそう叫びながら現れた。

 

「……もしかしてお前が、晴夜を!」

 

『ぴんぽんぴんぽんぴんぽーん!ソウダよ〜〜!そいつが俺たちの邪魔ヲするカラ、オレ達の放った毒ヘビちゃんで眠っテ貰うコトにしたんだァ〜!頭いいだろォ〜。

そういうワケでディスピア様、ヨロシクお願いしま〜〜す!キャキャキャキャ!』

 

人形はそう言って自身の腕に巻きついた毒蛇…ビルドの腕を噛んで毒を盛った蛇と戯れながら後ろに下がると、ディスピアが毒に侵されて動けなくなったビルドに向けて触手を放って攻撃を仕掛ける。

 

「ッ!……龍牙君、晴夜君をお願い。私達はディスピアと、貴女達は彼をお願い!」

 

「うん、わかった!」

 

プリンセスプリキュアの四人は魔法使いプリキュアの二人に麻袋の人形の相手を任せると、一斉に飛び上がって真っ直ぐディスピアに向かい、彼女が放った蔦の触手の上を伝って走り出す。

対するディスピアは蔦の上を伝っていく彼女達の邪魔せんと蔦の一斉攻撃を行うが、スカーレットはスカーレットバイオリンを手に取る。

 

「プリキュア!スカーレットフレイム!!」

「プリキュア!ミーティアハミング!!」

 

スカーレットフレイムの炎が向かってくるディスピアの蔦を焼き払い。それに続く形でトゥインクルのプリンセスロッドから発せられた無数の星が、ディスピアに集中攻撃を行う。

 

「「はぁぁぁぁ!!」」

 

「っ!?」

 

更にフローラとマーメイドが同時パンチを放ち、ディスピアは咄嗟に防いで自身の影に襲わせるも、二人は怯まず攻撃をしながら反撃をしかける。

 

「はぁ〜!」

「あぁぁ…」

 

『隙ありィ!』

 

ミラクルとマジカルがプリンセスプリキュアの華麗かつエレガントな戦いぶりに感動をしていると、麻袋の人形がそんな二人に向けて毒蛇を放って毒を盛ろうとする。

 

「うわっ!とと……こうしちゃいられないわ!」

 

「私たちも行こう!」

 

それに気付いたミラクルとマジカルは咄嗟に毒蛇を避け、プリンセスプリキュアに遅れを取らない為にも跳び上がると…

 

「「はあぁぁぁぁ!!」」

 

『おベロォォ!?』

 

息の合ったコンビネーションキックを放ち、麻袋の人形を吹き飛ばす。

 

「よ〜し!このまま──ん?」

 

「頭に何か──」

 

麻袋の人形が吹き飛んだ拍子で地面を転がるのを見て更に攻めようとするミラクル達だったが、二人は自分達の頭に何かが乗っかった事に気付き、頭に手を置いて確認しようとする。

 

『キチキチキチキチ──!』

 

「「──ウビャァァァァァァ!?」」

 

そして手に取って見てみると、ミラクルの手には脚をわちゃわちゃと動かす大きめの蜘蛛が、マジカルの手には無数の脚をワサワサと動かすこれまた大きい百足が動いていた。

当然これを見た二人は、虫が苦手かそうじゃないか関係無く、変な声で叫びながら驚く。

その様子を目にしたディスピアはフローラ達から標的を変えて、彼女自身を守っていた影を二人に向けて放つ。

 

「「あああああ!!」」

 

ディスピアの影による攻撃を食らってビルに叩き付けられたミラクルとマジカルの二人を更に追撃しようと、ディスピアは蔦の触手を放つが、フローラ達がとっさにフォローをかけてローズトルビヨン、バブルリップル、ミーティアハミング、スカーレットフレイムで援護をしていた。

 

「しっかり!」

 

「「は…はい!」」

 

「援護は任せて!」

 

フローラ達のフォローもあって、なんとか立ち上がるミラクルとマジカル。

 

『〜〜ウギギギ!コレいじょう有利なコウドウはさせないヨォーーッッ!ウバァァァ!!』

 

「きゃあ⁉︎ 何これ……虫!?」

 

「ちょ⁉︎ こっち来ないで!」

 

だがそんな彼女達の動きを妨害せんと、麻袋の人形は口から黒い何か──スズメバチや毒蛾といった無数の毒虫を吐き出し、フローラ達とミラクル達の周りを飛んで行動を制限させる。

 

「フローラ!…ちくしょう……どうすりゃいいんだよ……」

 

このままではディスピアの集中砲火を喰らうことは想像に難しく無く、クローズは直ぐにでも援護に行こうとするが、彼の近くには敵の毒を食らったビルドがいる。

今は辛うじて変身は解除されていないが、いつビルドの変身が強制解除されてもおかしくない状況。そんな彼を置いてフローラ達と戦いに行けば、動けず守る者もいない彼は敵にとって格好の的。そんなビルドを置いて戦いに向かう程、クローズは非情にはなれなかった。

するとクローズのドライバーに装填してあったクローズドラゴンが彼から離れ、ビルドの腕に噛みついたのだ。

 

「おい!何してんだよお前……ッ!」

 

突然のクローズドラゴンの行動に驚くクローズだったが、クローズドラゴンが何かを吸い出し初め、それに比例してビルドから聞こえていた呻き声が無くなりつつあった。

 

「う、うぅ……龍牙?俺、何があったんだ?」

 

「晴夜!毒は大丈夫なのかよ!?」

 

そしてついにビルドが何事もなかったかの様に起き上がり、それを見たクローズはビルドに毒は回ってないかと心配する。

対する起き上がったビルドも、毒に侵されたはずの自分の身にあったのかと考えていると、自身の周りを飛ぶクローズドラゴンを見てある事を思い出した。

 

「……確か前にこいつを調べた時、クローズドラゴンには毒を解毒する機能があった筈……そうか、だから俺の体に回っていた毒も消えたんだ」

 

「そうか、よかった……たっく!油断するからだよ!」

 

「ご……ごめん、ごめん」

 

ビルドは油断していた事を謝ると再び高く飛び上がり、ディスピアと戦っていたフローラ達の元に飛んで行く。

 

『海賊!Ready go!』

『ボルテックブレイク!』

 

ビルドは麻袋の人形が放った毒虫を見ると、ドライバーを介して召喚したガンモードのドリルクラッシャーに海賊フルボトルを装填して、フローラ達の周りを飛んでいた毒虫に向けて水流を放った。

 

「フローラ、俺の代わりにありがとう!後は俺に任せて!」

 

「晴夜君、毒取れたんだ!よかった!」

 

フローラがビルドを侵していた毒が消えた事に安堵すると、ビルドがフローラ達と交代する形でホークガトリンガーを空中で動きながら弾丸を放ち続け、ディスピアの動きを止める。

 

「これでフィニッシュかな!行くぞ!龍牙!」

 

「おぉ!」

 

ビルドが地上へと降りるとラビットタンクフォームに戻り、クローズはビルドと共にドライバーのレバーを回して足にエネルギーを集約させていた。

 

『『Ready go!』』

 

ビルドから化学式の放物線が出現し、ディスピアを挟む。更にはクローズの背後から、蒼い炎の龍のエネルギー体『クローズドラゴン・ブレイズ』が現れる。

そして二人は飛び上がり、ビルドは放物線を滑り込むように加速し、クローズは後ろの龍の吐く火炎に乗り、二人同時にライダーキックをした。

 

『ボルテック フィニッシュ!イェーイ!』

『ドラゴニックフィニッシュ!』

 

「「はあぁぁぁぁ〜‼︎ はぁ!」」

 

ビルドとクローズのダブルキックが決まり、二人のキックを食らったディスピアが倒れ込むとその動きを止めた。

 

「うわぁ〜!」

 

「あんなあっさり……」

 

「流石は晴夜君!」

 

「見事ですわ」

 

ミラクルやマジカルは勿論、フローラやスカーレットといったプリキュア達がビルドとクローズの戦いに感心する中、ビルドとクローズはディスピアが倒れたのを見ていつものハイタッチを交わす。

 

「……さてと、後はお前だが。色々と聞きたい事があるんだ。話して貰うぞ」

 

『………あーァ、まさかディスピア様がやられちまうなんてヨぉ……ワカッタよ、オレ達ガ知っている事はゼンブ話してやるヨ』

 

「あ?本当かよ。やけにあっさりとしてんな」

 

それを聞いたクローズは、あっさりと話すと言った麻袋の人形に戸惑っていた。

 

『勿論ホントウだよォ〜〜……ただし──』

 

「ヌゥォォォーー!」

 

「「「「⁉︎」」」」

 

『こいつを()()()()()デ倒しタラなぁ〜〜♪』

 

倒したと思われていたディスピアが再び起き上がったのを確認すると、ビルドとフローラ達は咄嗟に構える。

 

『ルラララル~~♪』

 

だが唐突に、ビルドとクローズ、プリキュア達の耳に何者かの歌声が聴こえてきた。

 

『……アレ?』

 

「歌?」

 

「この声、どこから?」

 

声の主を探そうと周囲を見回すフローラやビルド達だったが、その主は見つけられない。

だがその時、今度はディスピアの胸の結晶が明滅すると次第に光を失い、同時にディスピアも活動を停止した。

 

「と、止まったロマ」

 

モフルンと一緒に看板の陰に隠れていた、はるか達のパートナー妖精であるパフとアロマが顔を出すと、アロマが率直な感想を述べながら驚く。

しかし彼らが歌声の主を探していた時、唐突にディスピアが黒い球体となって、どこかへと消えていった。

 

「消えた?」

 

「いや、呼び戻されたって感じだな」

 

クローズの感想にビルドはそう言いながら麻袋の人形を睨みつけると、人形は焦った様な動きで周りをキョロキョロしていた。

 

『…………サイならーーーー!』

 

「あっ!逃げた!」

 

流石に1対多数では勝てないと察したのか、麻袋の人形はビルド達に背を向けると一目散に逃げていった。勿論ビルドは追おうとしたが、そう決めた頃には麻袋の人形はとっくに姿を消してしまっていた。

だがとりあえずは周囲を見回して敵がいない事を確認すると、ビルドとクローズはボトルをドライバーから外し変身を解除した。

 

 

その晴夜と龍牙は、はるか達4人にパフ、アロマ。みらいとリコ、モフルンを入れ、人気のない公園に集まって自己紹介や話をしていた。

 

「改めて、魔法使いプリキュアの二人と紅城トワさん。

俺は桐ヶ谷晴夜、又の名を仮面ライダービルド。

ビルドとは、作る形成するって意味のビルドだ。以後お見知り置きを」

 

「俺は上城龍牙。仮面ライダークローズだ。よろしくな」

 

晴夜がビルドの自己紹介する時のいつもの口癖を言い、龍牙も自己紹介を済ませる。

そんな中で、みらいとリコがはるか達に立派なプリキュアになるためのアドバイスを貰おうとした時、はるかの『他のプリキュア』という単語を聞き、驚きを露わにする。

 

「と、と言う事は、私たち以外に40人以上プリキュアが居るって事ですか⁉︎」

 

「すご~~い!」

 

先輩プリキュアの多さに驚くリコとみらいを見てはるか達が笑っていると、ふと何かを思い出したみらいは晴夜の前に走って近寄る。

 

「あの、桐ヶ谷さんの力のあれは何ですか!」

 

「晴夜で良いよ。歳はみんなと同じだから」

 

「じゃあ、晴夜。あの力は何なの?仮面ライダーって言うみたいだけど……」

 

「そもそも、仮面ライダーって何?」

 

敬語じゃなくて良いと言われたリコにいきなり呼び捨てされた晴夜は特に気にせず、みらいに聞かれた質問に答える形でビルドドライバーとフルボトルを見せる。

 

「この“フルボトル”って言うボトルを二本使って、ビルドドライバーに装填して変身する、それがビルドなんだ」

 

ビルドドライバーに二本のフルボトルを見せながら、これを装填してドライバーのレバーを回す事で変身出来ると話す。

その後は今日プリキュアのみんなと花見を行う事を話し、みらい達をお花見に来ないかと誘う。もちろん二つ返事オーケーとなった。そこで本題となった。

 

「あの赤黒い敵、はるか達は知ってるみたいだったけど、どういう敵なの?」

 

晴夜はさっき戦ったディスピアの素性を知らない為に、はるか達からディスピアについて教えてもらう。

 

「あれはディスピア。私たちが以前戦っていた敵のリーダーです。

でも、確かに私たちはディスピアを倒したはずなのに……」

 

みなみの話を聞いた晴夜は、はるか達の動揺を見ながらある推測を建て始めた。

彼女達にとってディスピアは、自分がかつて倒してきたプロトジコチューやエボルトほどの強敵である筈。それならばもっと苦戦するはずだと気付くと、彼はディスピアの正体をある程度察した。

 

「……俺の仮説を言っても良いかな?」

 

「仮説、ですか?」

 

「何か、わかったのか……?」

 

「……そのディスピアは、コピーみたいな存在なんじゃないかな?」

 

トワと龍牙が首を傾げながら聞く中、晴夜はあのディスピアはコピーだと推測していた。

 

「話から聞く限り、ディスピアははるかを覆っていた影から実体化していた。

例えば、誰かがはるかの影を媒体にディスピアを作り出した。

或いは、はるかの記憶からの中から一番苦戦した敵の姿形をコピーした……とか」

 

みんなの話を聞いて、はるかを覆った影から現れたという状況から推理した晴夜は、本来のディスピアの動きと強さにおける疑問を裏付ける。

 

「確かに、それなら納得できるけど……」

 

「でも、一体誰がそんな事を……」

 

『お呼びで?』

 

みらいがそう言いかけたその時、全員の耳に聞きなれない声が響き出した。

それに気付いた一同は辺りを見回していると空の色が変わり、上空から黄色い魔法陣が現れた。

 

「またなんか出てくるのかよ!」

 

龍牙が悪態をついていると、魔法陣の中から馬のない戦車(チャリオッツ)らしきものに乗った、人型の馬が現れた。

 

「お出ましか!」

 

黒色のスーツを着て同じく黒のシルクハットをかぶっていた馬を見た晴夜は、ドリルクラッシャーを向ける。

 

「はじめまして。私、魔法の伝道師『トラウーマ』と申します」

 

「まさか、さっきのはあなたが⁉︎」

 

「さっきの人形も……!」

 

はるかがさっき出現したディスピアを呼び出したのかと、みらいはディスピアと一緒に現れた麻袋の人形も彼が召喚したのかと睨む。

 

「まさか。あれは我が主、魔女『ソルシエール』様の力です。

それとあの麻袋人形は、私の仲間が毒蛇や毒虫を麻袋に詰め込んで作った使い魔ですよ」

 

「『ソルシエール』?……一体何が狙いだ」

 

「伝説の戦士、プリキュアの涙。それが狙いです」

 

ソルシエールという名前を聞いた晴夜が聞くと、トラウーマが狙う物である『プリキュアの涙』を差し出せという。

 

「え?」

 

「涙?」

 

(涙?それが狙いなのか……?)

 

はるかやみらいは漠然とした答えに疑問を抱くが、敵の意図がわからない晴夜はそれどころではなかった。

 

「どうでしょう?涙をソルシエール様に渡してくだされば、あなた達を傷つけない事を御約束しますが?」

 

「えっ?」

 

「さぁ、怖い目に遭いたくなければ……」

 

「よくわかんねぇけど、お前らの思い通りにさせねえ!」

 

トラウーマはプリキュアの涙を出す様に交渉するが、龍牙がビルドドライバーを装着しながらボトルを出すと、晴夜もボトルを二本取り出す。

 

「みんな!行くよ!」

 

それに続くようにはるかが叫ぶと、各々がそれぞれのアイテムを取り出して構える。

 

「「「「プリキュア!プリンセスエンゲージ!」」」」

「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!」」

 

『ラビット!タンク!ベストマッチ!』

『ウェイクアップ!クローズドラゴン!』

 

「「変身!」」

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!』

『Wake up burning!Get CROSS-Z-DRAGON!Yeah!』

 

全員変身を完了し、トラウーマへと構える。

 

「ソルシエール様。交渉決裂です」

 

『涙を渡せ!!』

 

交渉は失敗に終わったと判断したトラウーマが空に向かって語ると、空中から出て来た液体が女性の顔となってビルド達の目に焼き付ける。

 

「「!?」」

 

「あれがソルシエール」

 

「うし!いくぜ!」

 

「お、おい!」

 

あの女性がトラウーマの言うソルシエールなのかと思っていると、いきなり突撃していくクローズに、慌ててビルドも後を追う。

 

「申し訳ございませんが、仮面ライダーはご退場をお願いします」

 

しかしトラウーマはそう言うと、謎の液体が入ったフラスコをビルドとクローズに投げつける。

 

「こんなもの!」

 

クローズは弾き返そうとするとフラスコが二人の前で爆破し、それに怯んだ二人は態勢を整えるべく地面へと着地した。

 

「ゲボッ、ゲボッ!なんだこれ……」

「ゲボォ!……あれ?」

 

だが爆破の煙幕が晴れると、どう言うわけかクローズとビルドに変身していた二人が変身解除されていた。

 

「どう言う事だよ晴夜⁉」

 

「わからねぇ……なんで変身解除に?」

 

二人が変身解除させられて戸惑っていると、液体がハサミ状に変化して8人の動きを止め、彼ら彼女らを飲み込んで黒い液体と共に消えてしまった。

しかしその時、偶然近くにいた二つの人影も巻き込まれる様に飲み込まれていたが、トラウーマは特に気付いていなかった。

 

「「ああ!!」」

 

「みんな消えちゃったモフ!」

 

ミラクルとマジカルや他のプリキュア・仮面ライダーが何処かへ連れ去られた事を証明する様に、モフルンに装着していたリンクルストーン・ダイヤが消えてしまう。

 

「ブヒヒヒン!他愛も無い。おや?」

 

トラウーマはプリキュア達を呆気なく捕まえた事に鼻で笑うと、晴夜が消えた場所に近づいてそこに落ちていたボトルを拾った。

それは、自己中な闇の力を持つボトル……シャドウボトルだった。

 

「これは、思わぬ収穫ですね」

 

トラウーマが拾ったシャドウボトルを満足そうに見ながらその場を後にする。

 

「「ああ……」」

 

「追うロマ!」

 

「うん!」

 

「あっ!モフ」

 

アロマとパフはすぐに宙に浮かび上がろうとすると、モフルンは何かを見つけた。

それは晴夜だけの持つ特別なボトルの内のもう一個である、光の力を持ったフルボトル『ロイヤルボトル』だった。

 

「これ、晴夜のモフ」

 

モフルンはロイヤルボトルを拾うとアロマとパフの2人の足を掴んで宙に浮かび、トラウーマを追いかけに行ったのだった。

 

◆ ◆ ◆

 

「────ラクル……ミラクル!」

 

「──う、うぅん……晴夜、君」

 

その頃、トラウーマに飛ばされたキュアミラクルはいつの間にか気を失っていたが、彼女と一緒に何も無い土地で倒れていた晴夜が先に覚醒し、彼によるミラクルを呼ぶ声によって目を覚ました。

 

「よかった。目が覚めたみたいだね」

 

何とか目を覚ましたミラクルがゆっくりと立ち上がってあたりを見回すと、建物の屋上の様な光景が辺り一面に広がる世界が映っていた。

 

「晴夜君……ここって、一体……

それに、マジカルや、フローラ達は?」

 

「ごめん。俺も目が覚めた時には、周りには誰もいなくて」

 

「そんな……!」

 

それを聞き、改めて周囲を見回すミラクル。

一方で晴夜はビルドドライバーを確認する為、ドライバーのスロットにボトルを差し込んでみる。

 

『ラビット!タンク!ベストマッチ!』

 

「問題、ないか……じゃあ何で、変身解除されたんだ?」

 

一応は反応しているので、ドライバーの故障というわけでは無い筈。

それなら何故、トラウーマの攻撃を受けて変身解除となったのか。

その答えは、今の晴夜にはわからなかった。

 

 

一方、龍牙とマジカル。二人は濃い霧が辺り一面を覆う、枯れ木が覆い茂る林の中で立ち往生していた。

 

「ここは…?」

 

「どこなんだよ……」

 

だがマジカルはミラクルとはぐれた事でそれを気にする程の余裕がなく、宛もなく枯れた森林を彷徨う。

 

◆ ◆ ◆

 

晴夜達が散り散りとなっている頃、空に浮かぶソルシエールの屋敷ではトラウーマが戻って来ていた。

 

「流石はソルシール様。見事な御手並み」

 

「……」

 

トラウーマはプリキュア達を散り散りにバラしたソルシエールの手際の良さを褒めるが、ソルシエールは無言だった。

 

「この調子なら、目的達成も間近です!!」

 

「……」

 

トラウーマはプリキュア達の記憶から、沢山の苦しめられてトラウマとなっている強敵を呼び起こし。先ほど具現化させたディスピア以外にもプリキュアを苦しめた強敵をも蘇らせ、プリキュアを捕らえる為に出撃をしている事を思い浮かべながらそう叫ぶ。ソルシエールは先程の歌声を聴いてから、ずっと無言だった。

 

「さぁ!秘薬の調合を始めましょう!」

 

「……」

 

「……」

 

トラウーマは秘薬の調合を始めようと張り切るが、ソルシエールは無表情の無言だった。

流石のトラウーマも冷や汗を垂らし始める。

 

「なんだ?」

 

「クスリともしませんね」

 

「薬なだけに…」

 

『ぷっ…く、薬なだけにクスリともしない…プププッ!』

 

ソルシエールの洒落を聞き、近くにいた麻袋の人形が笑っていると、それに気付いたソルシエールが冷たい目で人形を見る。

 

「……あぁ、居たのね。それはそうと、()()()は何処?さっきからずっと見当たらないけど…」

 

『ぷヒヒヒヒ……あっ、ソウソウ。“アノお方”ナラ既にプリキュアを捕まえる為と、かめ……かめ、かめかめかめーかめー……亀ライターを討伐しに行きマシターよ?』

 

「……仮面ライダーだ。しかし……ブヒヒヒン!()()が動いたとなれば、仮面ライダーの命はもう無いですな!まあ、遊びだけで済めば幸運ですけどねぇ……

それではソルシエール様、薬の調合を始めましょう!」

 

トラウーマはそう言ってヘビーメタルな音楽と共に踊りだすと、薬の入ったフラスコが宙に舞って踊りだす。

 

「ハンビラ♪ビラビラ♪シャバステ♪パピヤ♪」

 

トラウーマの動きに合わせてフラスコもぐるぐる回って、麻袋の人形もそれ釣られる様にフラスコと踊りだした。

 

「『ハンビラ♪ビラビラ♪シャバステ♪パピヤ♪』」

 

踊りだすトラウーマが鍋の前にまでくると、トラウーマ専用の台にソルシエールが秘薬の材料を乗せて、秘薬の調合が開始された。

 

「鍋に♪グツグツー♪湯を沸かし♪」

 

最初に禍々しい色をした調合液をお鍋たっぷりに入れ、よく煮込む。

 

「放り込むのは♪ドラゴンの爪〜♪猛毒サソリの粉末(こな)少々――♪」

 

次にドラゴンの足を鍋に入れ、喋るビンの中に詰めた猛毒サソリの粉末を少し入れてかき混ぜ、棒から取り出して鍋に放り込む。

 

『『炎ノダンスデ♪カキ回スーーー♪ 』』

「あ・と・は♪」

 

イタズラ好きな鍋の炎がダンスをするように飛び跳ねて、仕上げに取り掛かる。

 

「プリキュアの涙さえ♪あればーーー♪」

 

ミラクルとマジカル、フローラ、マーメイド、トゥインクル、スカーレットのマリオネットが天井から出現すると、それらは華麗にダンスを披露。

麻袋の人形もノリノリに体を動かし、さっき作ったビルドとクローズのマリオネットを動かしながらダンスを披露する。

 

「最強魔法のエキスが完・成♪」

 

『『WOW!!』』

 

フラスコが華麗にくるくる舞うと鍋に集まり、まるでファンファーレのように前祝をして吹き上がる。

するとスポットライトがソルシエールに当てられ、彼女は哀愁と怒りを漂わせながら胸に手を当てる。

 

「胸を震わす……この痛み……秘薬があれば、願いは叶う♪」

 

「ようやく世界を♪無にできるゥーーー♪」

 

「『…世界を無に?』」

 

「あっ…いえいえ、独り言――♪」

 

「「『あ・と・は』」」

 

一瞬トラウーマの本性らしき言葉が溢れるも、彼女と一匹は特に気にすることもなく。ソルシエールとトラウーマ、麻袋の人形のダンスと共に、薬品の入った容器たちが踊りだした。

 

「「『プリキュアの涙さえ♪あればーーー♪』」」

 

「死んだあの女に♪会うことができるーーー♪」

 

「ブヒヒヒーーーーーン!」

『キャキャキャキャ!』

 

『ハンビラ♪ビラビラ♪シャバステ♪パピヤ♪』

『アノお方の悲願が達成デキルゥ〜♪』

 

『ハンビラ♪ビラビラ♪シャバステ♪パピヤ♪』

「憎い、あの女に会って〜♪」

 

鍋の炎は舞い踊り、マリオネットも激しく踊りだした。

 

『ハンビラ♪ビラビラ♪シャバステ♪パピヤ♪ハンビラ♪ビラビラ♪シャバステ♪パピヤ〜♪』

「つらい想いを……ぶつけたい」

 

「「『プリキュアの涙さえ、あればー♪夢が、かーーーなーーーうーーー♪』」」

 

二人と一匹はプリキュアの涙を手に入れ、願いを叶えると言う。

ソルシエールの誰かに会いたいという願い。麻袋の人形が語る“あのお方”。

そしてトラウーマがこぼした『世界を無にする』とは一体……?

 

◆ ◆ ◆

 

「はぁ…」

 

その頃龍牙とマジカルは、今いる方角もわからないまま歩き続けていた。

マジカルにいたってはミラクルへの心配で溜息ばかりが漏れている。

 

「そんなため息すんなよ。ミラクルには絶対会えるって」

 

「こんな方角もわからない場所で、なんでそんな事言えるの?」

 

龍牙はマジカルを元気つけようとするが、彼女の言う通り、こんな調子では晴夜やミラクルと合流は出来ない。

 

「もう…誰か出てきてよ……⁉︎」

 

流石にこれだけの時間が経っているのだから、誰かいないかと思ったマジカルだったが突如、地面が激しく揺れて思わず立ち止まりながら辺りを見渡した。

 

「何か近くにいる……」

 

「うおおおおおおおおお!!」

 

龍牙が辺りを見渡すと地面が突如割れ、そこから茨が飛び出すと、飛び出た茨の中からディスピアという、よりにもよって今一番出会いたくない相手が姿を現した。

 

「出たぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「来い!」

 

唐突な襲撃に驚くマジカルに、咄嗟に龍牙はすぐに逃げるように促しながらマジカルの手を引いて駆け出すが、ディスピアの触手は容赦無く二人めがけて殺到する。

 

「──お困りですか?」

 

「見ればわかるでしょっ!?……って、え?」

 

「今の声……」

 

何者かの声が聞こえると、今度は龍牙とマジカルが逃げる先で桃色の光が生まれ、そこから6人の人影が現れた。

だが今の声は、龍牙にとっては聞き慣れた声だった。

 

「また出た~~!」

 

「いや……大丈夫だ」

 

誰なのかわかっていた龍牙はそう言ってマジカルを落ち着かせると、二人の前に6人の女の子が姿を現わした。

 

「みなぎる愛!キュアハート!」

「英知の光!キュアダイヤモンド!」

「ひだまりポカポカ!キュアロゼッタ!」

「勇気の刃!キュアソード!」

「愛の切り札!キュアエース!」

「運命の切り札!キュアジョーカー!」

 

「「「「「響け!愛の鼓動!ドキドキプリキュア!」」」」」

 

「う、嘘⁉︎ じゃあ、この人たちって……」

 

「ああ、俺達の仲間だ」

 

龍牙はこれまでの戦いに試練を共に乗り越えた仲間だと、マジカルに大丈夫だと声をかける。

 

「龍牙、なんでここに?」

 

「……ねぇ、晴夜は一緒じゃないの?」

 

「あ……さっきまで一緒だったんだけど、変な馬野郎のせいで別れちまってな」

 

「そんな〜……」

 

ソードは何故こんなところに龍牙が居るのだと聞き、ハートはいつも龍牙と一緒にいるはずの晴夜がいない事にちょっとガッカリな様子を見せる。

 

「…龍牙?その子は?」

 

「あぁ、新しいプリキュアのキュアマジカルだ」

 

「………ふぅ〜ん」

 

「あれ?和也と幻冬は?」

 

ソードは疑ってるような目で龍牙を見るが、そんな視線に全く気が付いていないご本人は、同じ仮面ライダーである和也と幻冬の姿がなかった事に疑問を抱いていた。

 

「あぁ……それが……」

 

「ん?」

 

二人の事で先に口を開いたダイヤモンドの方を向いた龍牙は、彼女が言いづらそうな様子で難しい顔をしてた事に更なる疑問を浮かべていた。

 

「実は、ここに来る前に……」

 

エースは二人が此処に居ない理由を語るべく、自分達が龍牙とマジカルに合流する一時間前に遡って説明を始めた。

 

 

 

 

『みんな!急いでここを出よう!』

 

涙をよこせとトラウーマに交渉され、こっちへ飛ばされたハート達一行。

この空間から脱出すべく、他のプリキュアと合流を試みた彼女達は急いで走りながら辺りを見回す。

 

『かずやん!早く!』

 

『待てよ!』

 

『……和也さん。その荷物、置いたらどうですか?』

 

ジョーカーは離れた所にいる和也にそう言って急かすが、彼は今一人で多くの荷物を持っていた為に走れずにいた。

彼の持つ荷物には、今日のお花見のために昨晩の夜から丹精込めて作った、みんなに食べてもらうお弁当が入ったがあり。両手にある風呂敷は勿論、背中のリュックにも入っている。

だがそのお陰でグリスになる為に使うスクラッシュドライバーを装着する事も出来ず、彼の前を走る幻冬は置いて行ったほうが早く走れるのではないかと暗に言う。

 

『バカやろー!これは今日、みんなに喜んでもらう為に作ったもんだぞ!』

 

それを聞いた幻冬は、それは多分自分に対する他のプリキュアへの好感度を上げる為でもあるのではないかと感じていた。

 

『何としてもこいつは守り抜いて……あっ!』

 

だが運命が悪戯をする様に風呂敷から一つ箱が落ちてしまい、和也は追いかけようとする。

 

『和也さん!そこは……』

 

『えっ?』

 

しかし幻冬が気づくとそこには落とし穴があり、それに気づいた和也は避けようとしたが間に合わなかった。

 

『和也さん!』

 

幻冬は急いで駆け寄り、和也の腕を掴んで助けようとした。

 

『──あっ、やっぱ無理』

 

だが彼の貧弱小学生ボディが、あの大量な荷物を持つ和也を持ち上げられるわけが御座いません。

 

『『うそぉぉぉぉぉーーーーん!』』

 

『幻冬!』

『和也さん!』

 

そのまま二人は和也の作った弁当箱を追いかける形で、落とし穴に落ちていってしまった。

恐らくだがあの二人は既に、敵に捕まったには違いない。

 

 

 

 

「……捕まったぁ!?」

 

「えぇ、多分……」

 

時は戻り。捕まったと聞いた龍牙が流石に呆れていると、ドキドキ!プリキュアの登場に焦りを感じていたディスピアが気を取り直し、龍牙達に攻撃を仕掛ける。

 

「はぁ!」

 

だがソードは彼女の攻撃を腕でガードし、龍牙とマジカルを守った。

 

「す……すごい……」

 

「大丈夫?龍牙君と新人さん」

 

「え?あっ……」

 

あまりの凄い光景に、ダイヤモンドから問いかけられたマジカルはまだ戸惑っていた。

 

「一緒に戦おう!えっと……」

 

「マジカル!キュアマジカルです!」

 

「そっか……それじゃあ!よろしくね!キュアマジカル!」

 

「はい!!」

 

ハートからの力強い答えにマジカルは安心と心強さに感銘したマジカルは、力強くハートに答えるのであった。

 

「龍牙!あんたも早く変身しなさい!」

 

「あぁ!」

 

龍牙はソードに応える形でクローズドラゴンを手に取ると、ドラゴンボトルをひと振りしてガジェットに変えたクローズドラゴンに差し込む。

 

『ウェイクアップ!クローズドラゴン!』

 

そしてドライバーにガジェットに差し込むとレバーを回し、ランナファクトリーからアーマーが形成された。

 

『Are you ready?』

「変身……!──あれ?」

 

そしてファクトリーが龍牙の体に重なろうとした瞬間、ランナーファクトリーの形成したアーマーが突如として消えてしまった。

 

「えっ?」

 

「何で変身しないの?」

 

「しないんじゃねぇ!出来ねぇんだよ!」

 

龍牙はもう一度レバーを回してアーマーを形成させるが、何故か龍牙の体に重なろうとした瞬間に消えてしまう。

 

「はぁ⁉︎ マジでどうなってんだよ……!」

 

ビルドドライバーからの反応はあるのに仮面ライダークローズになれないという現象に、龍牙はどういう事なのかと頭を悩ませていた。

 

 

 

一方ミラクルと晴夜は、この空間にマジカルがいないかと辺りを探し続けていた。

もしこの場が晴夜かミラクルのどちらか一人だけだったら流石に心細くなり、不安になっていただろうが、幸いにも一人ではなかったのでそういった事は起こらなかった。

 

「だ~れも居ないな、ここ」

 

晴夜はミラクルと誰かいないかと周囲を見回しながらビルドフォンもかけてはいるが、圏外なのかやはり繋がらない。

 

「そうだね……あっ。あれは?」

 

魔法の箒を使って空から探そうかと考えていたミラクルが空を見上げると、頭上で何かが光ったのに気づく。

 

「流れ、星?」

 

晴夜もミラクルの方を向いてから、彼女の視線を追って自分も視線を上に移す。

 

「ッ!あれって、まさか……ミラクル!しゃがめ!」

 

ミラクルの見つけた流れ星が真っすぐこっちに落下していることに気づいた晴夜は、目を凝らして見ていたミラクルにしゃがめと言いながら急いでしゃがむ。

次の瞬間、二人が立っていた場所に何かが落ちてきた──否、攻撃して来た。

そして砂煙が晴れた先に立っていたのは、烏のような黒い翼と赤い髪を持った人型鳥人の敵だった。

 

「あれは、スイートプリキュアの──確か……『ノイズ』だったな」

 

「知ってるの?」

 

「響さんから聞いた事があるんだ」

『ラビット!タンク!ベストマッチ!』

 

以前にスイートプリキュアのメンバーから。過去にメイジャーランドを襲い、世界中の音を消し去ろうとした哀しみの結晶がいたと聞いた事を思い出し、晴夜はビルドドライバーを装着しながらボトルを装填した。

 

『Are you ready?』

 

「変身‼︎」

 

そしてレバーを回して前後のライドビルダーからアーマーが形成されると、両手を広げながらアーマーを装着しようとする。

 

「──えっ?変身出来ない⁉︎」

 

だが龍牙と同じく、晴夜も仮面ライダーに変身することが出来なかった。

 

「晴夜君!避けて!」

 

「!?」

 

ドライバーが故障はないはずなのにと狼狽える晴夜はミラクルの声に気づき、応急措置としてラビットボトルを振ってスピードを上げながら躱した。

 

「くそぉ!なら!」

 

変身出来ないのなら生血で戦うしかないが、とりあえず対抗するためにドリルクラッシャーを構えて敵の攻撃に備える。

その時、上空から桃色、青色、黄色、紫色の物体が飛来し、ノイズに命中して弾き飛ばした4人の少女が現れた。

 

「世界に広がるビッグな愛!キュアラブリー!」

「天空に舞う蒼き風!キュアプリンセス!」

「大地に実る命の光!キュアハニー!」

「夜空にきらめく希望の星!キュアフォーチュン!」

「「ハピネス注入!」」

「「幸せチャージ!」」

 

「「「「ハピネスチャージプリキュア!」」」」

 

二人一組となって声を揃えながら現れたのは、ブラッド帝国の時にも協力してくれたハピネスチャージプリキュアの四人だった。

 

「ラブリー!プリンセス!みんな!」

 

「晴夜、久しぶり!」

 

「晴夜君の知り合い?」

 

この前の春のカーニバルぶりの出会いに二人は軽く挨拶を済ませると、ミラクルは初めて聞くプリキュアに目を丸くする。

 

「大丈夫?」

 

「え?うん」

 

ラブリーがミラクルに手を差し伸べると、倒れていたミラクルを立ち上がらせる。

 

「あなた、新入りね?」

 

「は、はい!キュアミラクルです!」

 

「よろしくミラクル」

 

プリンセスとハニーに頭を下げるミラクルを見ながら晴夜が「ミラクル。彼女らはハピネスチャージプリキュア。簡単に言えば、君たち二人の先輩かな……」と言っていると、『先輩』と言う単語を聞いたプリンセスは嬉しそうにドヤ顔を浮かべていた。

 

「先輩……あぁ、先輩って良い響きだな~」

 

自分の後輩ができたことを喜んでいるようだった。

ラブリーは晴夜とミラクルの事情を聞き確信を持つと、ミラクルに顔を向けて口を開いた。

 

「じゃあ、一緒に探そうよ!あなたのパートナー」

 

「……うん!」

 

ミラクルは会ったばかりながらも、ラブリーの力強さと心強さを感じて安心し強く頷く。

 

「それより、あなたはどうして変身しないの?」

 

「いや……しないじゃなくて出来ないんだ」

 

だがその横で、敵がいたのに何で変身しないんだとフォーチュンに言われた晴夜は、自分も変身が出来ない理由がわからないと答えていた。

 

 

 

晴夜が変身出来ない理由を考えていた頃。龍牙とマジカルは、ハート達と一緒にディスピアとの戦闘を繰り広げていた。

しかしディスピアは龍牙やハート達よりもマジカルをしつこく襲い、マジカルは何とか振り切ろうとしていた。

 

「何で私ばっかり~!」

 

「はぁっ!」

 

必死に逃げていたマジカルをディスピアの触手が捕らえるが、龍牙のビートクローザーが触手群を切り裂いた。

 

「敵は、マジカル狙いですわ!」

 

「こっちに引きつけないと!」

 

触手群と戦いながらも、敵の動きを観察していたエースとジョーカーが叫ぶ。

 

「了解!フォローするよ!」

 

ハートはそう言ってマイスイートハートを放ち、ディスピアの攻撃をかき消した。

そして今の爆発で発生した煙の中から、左右両方に飛んで2方向から攻撃する。

 

「スパークルソード!」

「ダイヤモンドシャワー!」

 

二人の攻撃がディスピアに命中し、動きを封じた。

その隙にディスピアの頭上に回り込んでいたハートが、続けざまに技を放った。

 

「ハートダイナマイト!」

 

ハートのマジカルラブリーパットから放たれた必殺技を喰らい、小規模な爆発をしてから更に大規模な爆発をして倒れるディスピア。

 

「どうやったら、こんなに強く……」

 

ハート達の戦いぶりに驚嘆しているマジカルは、どうすれば自分もこんなに強くなれるのかと憧れを抱き始めていた。

 

「なれるよ」

 

「え?」

 

「愛さえあればね」

 

すると驚いていたマジカルの隣にはいつの間にかキュアハートがおり。ハートは彼女の肩に手を置き、そういって彼女は手でハート型のマークを作るのだった。

 

「でも晴夜君への愛の方が、もの凄く強いけどね〜?」

 

「そ、それは、本当です……」

 

「…どういうこと?」

 

だがダイヤモンドとハートの掛け合いを聞き、晴夜がどうしたのかと小首を傾げる。

 

「ふふっ……晴夜さんとハートは、付き合ってるのです」

 

「……………えぇぇぇぇーーーーーッッッ‼︎⁇」

 

そんなマジカルの疑問を解消すべく、ロゼッタの耳元から投下されたプリキュアと仮面ライダーとの恋愛事情を聞き、マジカルはシャウトしながら驚く。

 

 

 

所変わってミラクルと晴夜、ラブリー達のいる場所。

建物と建物の間の狭い通路を走って逃げるミラクルだが、彼女の背後にノイズの赤黒い稲妻が命中してしまい。彼女の足元が爆発して足場が破壊されたことで、ミラクルは重力に従って暗い底へと落下する。

 

「あぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「ミラクル!」

 

晴夜は建物の屋上から落ちるミラクルをラビットボトルを振り、スピードを上げて追いかける。間一髪で追いついた晴夜は腕を伸ばして、ミラクルの腕を掴もうとする。

 

「晴夜君!」

 

ミラクルも晴夜の手を掴むが、今のライダーにすらなれない生身の晴夜では彼女を持ち上げるのは困難に近かった。これ程まで龍牙の筋トレに付き合わず、ジムに行かなかった事を後悔した事はなかった。

 

「くぅ……うぅッ!(早く持ち上げないと……)」

 

「晴夜!ミラクル!」

 

ラブリーは直ぐに助けへ行こうとしたが、落下したミラクルを追尾しようとしたノイズに阻まれて助けに行けない。

晴夜は力を振り絞るが段々と握力が無くなっていき、もう腕が限界だと思ったその時。自分やラブリー達でも無い、別の何者かがミラクルの手を掴むのを見た。

 

「えっ?」

 

「絶対に助ける!この手が届く限り!」

 

晴夜が振り向くと、そこには自分よりずっと年上の青年がおり。誰だと思いながらも青年と一緒に力を振り絞り、一緒にミラクルを持ち上げる。

 

「はぁ、はぁ……ありがとう晴夜君。それと、えっと……」

 

「あなたは?」

 

ミラクルが晴夜と一緒に助けてくれた青年にお礼を言おうとしたが、名前が分からず言い淀んでしまい。晴夜は一緒に持ち上げてくれた青年に名前を尋ねる。

 

「俺は火野映司。君と同じ仮面ライダーだよ」

 

その青年は火野映司と名乗り、晴夜と同じ仮面ライダーであると名乗る。

 

「どうしてここに?」

 

「たまたま、あそこに居てね。あの黒い光を見て着いたら、液体に飲まれてここにいたんだ」

 

どうやらディスピアが現れた際、映司もあそこへ向かっていたらしく。トラウーマがこっちの世界に晴夜達を引き込んだ時には、彼も偶然近くにいた為に一緒に巻き込まれてしまった模様。

 

「……映司さんは、今変身出来ますか?」

 

「……ごめん。俺も今は……」

 

自分ではサポートすらまともに出来ないと悩んでいた晴夜だったが、映司が仮面ライダーならば変身してもらい、みんなと協力しながらノイズを倒せると思った。

しかし彼曰くライダーになっていたのはかなり前の事で、今の映司はライダーに変身出来ないと語る。

 

「さっきからミラクルばかり」

 

「ミラクルが狙われてるみたいね!」

 

「ッ!来るよ!」

 

そんな中、ハニーとフォーチュンはミラクルばかりに攻撃を集中させている状況を見て、敵の狙いがミラクルである事に目星を付けていると、映司の警告通りノイズの放った赤黒いエネルギー弾が四方から群がってきた。

 

「させるか!」

『タンク!』

 

それにいち早く反応した晴夜は、タンクフルボトルをドリルクラッシャーに装填してエネルギー弾を放ち、エネルギー弾をノイズ諸共撃ち落として直撃させた。

 

「今だ!」

 

「了解。決めるよ!」

 

ノイズへの攻撃チャンスだとラブリー達に声を掛け、それを見たラブリー達も頷く。

 

「愛と!」

「勇気と!」

「命と!」

「星の光を!」

「「「「聖なる力に!プリキュア!」」」」

「スターライト!」

「スパークリング!」

「ブルーハッピー!」

「ピンキーラブ!」

「「「「シュートッ!」」」」

 

4人の力を混ぜ合わせた一撃、『プリキュア・スターライト・スパークリング・ブルーハッピー・ピンキーラブシュート』がノイズに命中し、大爆発を起こした。

 

「星よ!」

「命よ!」

「勇気よ!」

「愛よ!」

「「「「天に帰れ!」」」」

 

そう言って頭上に手をかざす4人の真下では、ひと際大きな爆発が起こっていた。

 

「す、すご~い」

 

「でも。相変わらず技名長いな~……それはそれで良いけどね」

 

ミラクルが改めてハピネスチャージプリキュアの強さに凄さを感じると、ラブリー達は三人の元へと寄り添うのであった。

 

「凄いね!みんな強くてカッコよかった!」

 

「えへへ♪そんな事〜あるケドー?」

 

「こらこら」

 

「ふふふ」

 

「さあ!パートナーを探そう!」

 

「うん!」

 

ミラクルに格好いいと褒められて、プリンセスが鼻を高くしながら良い気になっているのを見たフォーチュンが彼女を窘め。ハニーがそんな二人の様子を微笑みながら見守っていると、ラブリーがミラクルと一緒に、ミラクルのパートナーであるマジカルを探しに行こうと張り切っていた。

 

「映司さん。さっきはありがとうございました」

 

「それは君もだよ」

 

そんなこんなでノイズとの戦いを終えた晴夜達は、気持ちを改めて龍牙とマジカル達を探しに向かおうとした。

ちなみにその間、プリンセスは映司を見ながらラブリー達に「あの人誰?」と確認をしており、ハニーが「なんかあの人も仮面ライダーらしいよ?」と答えていた。

 

『ルラララル~~♪』

 

「…歌?」

 

「この歌……」

 

「さっきの歌だ」

 

するとディスピアとの戦いでも聴こえていた歌声が、映司や晴夜、ミラクル達の耳に飛び込んできた。

声がする方を向くと視線の先には、少し離れた屋上の屋根の隅に腰掛ける少女の姿が見えた。

 

「子供?」

 

「だよね…」

 

しかし一瞬の瞬きの後、気づいたときには子供の姿は消えていた。

晴夜達は慌てて周囲を見回すが、あの子の姿はどこにもなかった。

 

「うわぁぁぁぁぁっ!」

 

その時、倒れていたはずのノイズが復活した。

これにはラブリーとフォーチュンも驚きを露わにしていた。

 

「まさか!」

 

「そんな……」

 

「うん?」

 

するとハニーは懐に何か違和感を抱き、ぽっけに手を突っ込んで手探りをしてみた。

 

「ぐおおおおおおおおお!」

 

ノイズはそのままミラクルに向かって突撃し、それをラブリーとプリンセスが咄嗟に受け止める。

 

「やっぱり!」

 

「ミラクルを狙ってる!」

 

「ラブリー!プリンセス!」

 

「──ミラクル、晴夜君、映司さん。あなた達は先に行って」

 

「え?」

 

ミラクルはノイズを受け止める二人を心配するが、ハニーが真っ先に助けに行こうとするミラクルに制止をかける。

 

「歌よ。あの訴えるような歌が、きっとあなた達を導いてくれるわ」

 

「ここは任せて」

 

「すぐに追いかけるから!」

 

「えへっ!大丈ブイブイ!どーんと任せて!」

 

「………わかった!」

 

ラブリー達四人がこの場は自分に任せて歌の聴こえる所へ行くようミラクルに促し、それを承諾したミラクルは晴夜と映司と一緒に足を運ぼうとする。

 

「それと、これも!」

 

「?……これは?」

 

だがミラクルを引き止めるようにハニーが何かを投げると、ミラクルは思わず掴んで手を開く。

それは、包みに入った五つの飴であった。

 

「特製のハニーキャンディよ!パートナーに会えたら、食べさせてあげて!」

 

「うん!」

 

「……わかった」

 

「じゃあ後で会おう。必ず」

 

「がんばってね!先輩!」

 

ミラクルは笑顔で頷くと、他二人と共に歌が聞こえる所へ急いで走り出した。

 

「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」」」

 

「うおおおおおおおおおおお!」

 

三人の姿が見えなくなった事を確認したラブリー達は、こちらを睨み付けるノイズと対峙すると、彼らの歌の聴こえる所へ行く道順を守るべく勇敢に立ち向かっていった。

 

「「「「あああぁぁぁぁッ!?」」」」

 

しかしノイズはそんな彼女達を侮辱するが如く、逆にラブリー達を抱え込んで上昇していく。

 

「くぅ……!?」

 

「くくくく……」

 

ノイズに抱え込まれたラブリー達は如何にかして抜け出そうとするが、ノイズの頭部が赤く点滅を始めたのを見てまさかと思い始める。

 

「まさか!」

 

何かを察知して驚愕の表情を浮かべるラブリー達を見たノイズは不敵な笑みを浮かべると、ノイズの体から激しい発光が巻き起こった瞬間、ラブリー達を巻き添えに空中で大爆発を起し、彼女達の悲鳴と爆音を木霊せる。

 

 

 

「まだ立てるなんて……!」

 

「しつけぇにも程があるだろ!」

 

一方のマジカルとハート達は、これまでのハート達七人の攻撃に加えて、ここに来る前にビルドとクローズと戦った時のダメージが蓄積している筈にも関わらず、その猛攻を受けていたディスピアはしつこく立ち上がっている事に戦慄していた。

 

「……マジカル。ここは私たちに任せて、先に進んで」

 

「そんな!」

 

このままでは拉致があかないと判断したダイヤモンドは、マジカルにこの場を任せて先に行って欲しいと話す。だがマジカルからすれば、七人で戦って此処まで苦戦させるディスピア相手に一人でも抜けて仕舞えば、更なる苦戦を強いられると思っていた。

 

「来るんでしょ?お花見」

 

「え?行く、けど……」

 

「ハート!あなたも行って!」

 

マジカルにはるか達とお花見に行くでしょと聞きながら、自分も仲間と此処に残ろうとしていたハートに、ソードがマジカルと一緒に行ってと叫ぶ。

 

「えっ?でも……」

 

「あぁ、マジカルと行け!それと、晴夜に会ったらこう言ってくれ!

今日はお前にいいところ譲ってやる…ってな」

 

自身もマジカルと一緒に行くように伝えられたハートの中に不安が過ぎりそうになるも、龍牙から自分の代わりに晴夜達の助けになって欲しいと頼み込んだ。

もし仮にここでマジカルと一緒に行っても、今の自分では足手纏いにしかならないと身を持って理解している。だからこそ今はハートにマジカルを任せ、自分は此処で敵を食い止めるのが一番最適な役目だと龍牙は考えていた。

 

「ぬうぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

『ボドルバーン!』

「オラァ!」

 

マジカルとハートにそう話している間にこちらへ突撃して来たディスピアを見た龍牙は、マグマナックルにマグマドラゴンボトルを装填し、炎を纏った一撃を繰り出した。

 

「頼むぜ!ハート!マジカル!」

 

「また後でね」

 

また後でねとジョーカーを始めとしたみんなが笑顔で言うと、ハートとマジカルも頷く。

 

「えぇ!必ず!」

 

「また後でね~!」

 

「頼むわよ!ハート!マジカル!」

 

ディスピアの相手を龍牙やソード達に任せると、6人の想いを知って不安だった想いを和らげたマジカルはハートと一緒に走っていった。

 

「頼むぜ!簡単にやられるなよ!」

 

「龍牙さん!無理しないでください」

 

ロゼッタは生身で戦おうとする龍牙に、クローズへ変身出来ないなら無理して前に出なくていいと案じるが、龍牙は口角を上げながら手を握りしめる。

 

「関係ねぇよ。例え変身出来なくても、俺は仮面ライダーだ。

みんなと一緒に最後まで戦う覚悟なら、ガッツリあるぜ!」

 

例え生身でも最後まで戦うとみんなに伝えると、彼の覚悟を受け取ったダイヤモンド達は此処から離れるように言うのをやめて承諾するように頷き。ディスピアが起き上がってきた事を確認した龍牙は、ナックルを装着しながら次の攻撃に構える。

 

「うおぉぉぉっ!」

 

「あっ!」

「ああっ!」

 

するとディスピアは蔦で龍牙達の手足と体を雁字搦めにし、一同の動きを完全に封じてしまった。

 

「このやろー!くそぉぉぉーーー!」

 

龍牙は必死にもがいて引き千切ろうとするが、ライダーの変身すら出来ない今の彼に敵の蔦を引き千切る事など出来るはずがなく。そもそもプリキュアですら脱出出来ていない程の強度を持つ蔦を引きちぎる事は、普通のクローズでも困難に近い。

それでもなんとか出ようとすると、ディスピアの頭にある冠が両端から中央へと点滅し始めていく。

 

「うう…これは……」

 

「あいつ、自爆するつもりよ!」

 

「ええっ!?」

 

「ふふふふ……」

 

その異変を見たダイヤモンドは、相手が自爆テロをしようとしている事をみんなに伝えるが、今気付いてももう遅いと言わんばかりにディスピアは笑い声を辺り一面に響かせる。

 

『きゃあああああああああああ!!』

 

そしてディスピアが自爆すると、爆発は導線の役割をしていた蔦へと伝線。龍牙とドキドキプリキュアを巻き込んだ大爆発が発生した。

更にハートとマジカルは爆発音が聞こえて後ろを振り返ると、ディスピアの爆発によって生じた爆風と爆炎が、大きく離れていた筈の二人に迫る勢いで追って来ていたのだった。

 

『ロケットオン!』

 

「「!?」」

 

だがそこへディスピアが作り上げた爆発とは違う、電子音とロケットの様な噴射音が聞こえてきた。

どこからと思いながら二人が見回すと、左から凄い勢いのまま現れた何かが二人を巻き込み、爆発距離範囲内から離してくれた。

 

「うわぁぁぁぁ!ととと……」

 

「助かったの……?」

 

「間に合ってよかったぜ」

 

森を抜けて爆発した場所を見据えながら、無事に脱出した二人は声の聞こえた方に振り向く。そこにはグレーのスーツを来たリーゼントの男性がおり、腰にはドライバーのような物を巻いていた。

 

「俺は仮面ライダーフォーゼ!如月弦太郎!全ての仮面ライダーと友達になる男だ!力になるぜ!」

 

「仮面ライダー……」

 

「フォーゼ?」

 

二人を助けてくれたのは、仮面ライダーフォーゼを名乗る如月弦太郎という男性。

彼のおかげでひとまず危機を乗りきったが、龍牙とドキドキプリキュア、ハピネスチャージプリキュアはノイズとディスピアの自爆に巻き込まれてしまった。

 

 

 

一方で、晴夜達はマジカルや龍牙達の捜索を続けると、何やらビルのような建造物を見つけた。

 

「行ってみましょう」

 

「うん」

 

晴夜と映司の二人が入ろうと試みるが、ミラクルが来ない事に気付いて振り返る。

 

「ミラクル?どうしたの?」

 

晴夜が近づいていみると、彼女の表情が少し暗かった事に気付く。

 

「……ごめん。なんか、マジカルがいないと怖くて……」

 

そういう彼女の心には、“キュアマジカルであるリコが此処に居ない”という、ぽっかりと空いた穴が存在していた。

彼女にとってマジカルは、これまでプリキュアとして一緒に戦ってきたパートナー……晴夜でいう所の、龍牙やマナと同じくらい大切な存在。

不安そうなミラクルを見た晴夜は、きっと二人がプリキュアとして一緒じゃなかった事は、多分これが初めだと考えていた。

 

「確かに不安だよね…」

 

すると彼女の心の傷を案じながら映司が口を開き、ミラクルに近づく。

 

「今まで一緒だったのに、急に目の前からいなくなるって……正直に辛いよね」

 

「映司さん…?」

 

相棒が近くいないと辛いよねと声をかける映司の哀しそうな顔を見たミラクルは、映司が自身の手を見つめていることに気付き、彼女は映司の手のひらへと視線を向ける。

彼女の目には、前は鷹の絵柄が刻まれていたであろう、半分に割れた赤いメダルがあった。

 

「でも、絶対に会いたいと君が信じれば、きっと会えるさ」

 

だが映司はミラクルの肩に手を置き、マジカルにはまた直ぐにでも会えると彼女を励ます。

 

「……はい!」

 

「うん」

 

「行こう。ミラクル」

 

三人はビルの中へと入ると、階段を上がり拾い会議室のような部屋を見つける。

中を見るとかなり荒らされている様子ではあるが、もぬけの殻で人のいる気配はない。

 

「マジカル!いる⁉︎」

 

「……やっぱり誰もいませ──!?」

 

「ッ!?晴夜君!ミラクル!」

 

「えっ?」

 

だが既にこの部屋には誰かいると気付いた晴夜と映司。

晴夜はドリルクラッシャーを構え、映司はミラクルを守る様に前に出ていた。

 

「よく気付いたなァ〜〜!クレイジ〜ボ〜〜イズ?」

 

「戦い慣れしてるよね〜〜この二人〜〜」

 

「魔法使いのプリキュア………は、まだまだひよっこようだ………」

 

エキセントリックな喋り方に、間延びした田舎弁風の話し方、寡黙的な声からして三人いるのだと思い、晴夜もどこから来るかと警戒する。

すると暗い会議室から明かりが灯され、気づくと声の正体である人物がそこにいた。

 

「まじかよ……」

 

三人と思っていた考えとは裏腹に、そこにいた存在は余りにも予想外だった。

そいつは紫のカラーリングの胴から竜の様な頭が生えており、肩から生えたもう二つの蛇の頭部は腕に巻きついていた。

 

「あ、あなた達は一体……」

 

「フン……それをお前達に、教える義理は──」

 

「「俺達はアジ・ダハーカ!古より封印されていた者だ!」」

 

「………………そういうことだ」

 

アジ・ダハーカと名乗る三つ首の竜の怪人。おそらくさっきの声も、三つの首から発した声のようだ。

 

「オメェら〜が、仮面ライダーとプリキュア〜だべか〜〜?」

 

「ヒャッハァァァァァァハハハハハッ!!イイね〜!こんな所まで来るなんて、やっぱりコイツら最高に狂った奴らだぜェェェェ!」

 

「大人しく……涙を寄越せ」

 

右首や左首、中首と言った三つ首のからは、言葉を話す口調がそれぞれ違っていた。おそらく首によって性格が違うのだろう。

 

「何故、涙を求めている理由なんだ!」

 

映司がアジ・ダハーカに、何故プリキュアの涙を求めているのかと聞く。

 

「そんな事、お前達に言う必要──『知らねぇだよぉ〜!でもさ〜トラウーマが手に入れろって〜ゆ〜〜だよ〜〜』……」

 

「でーもよ〜〜。クレイジーガール〜の涙には〜よォ〜〜?ファンキーな力があるってゆ〜らしいぜェ〜〜?」

 

「えっ?私?」

 

「何だよそれ!」

 

「アレでねぇ〜か〜〜?飲むと力が湧いてくる様なやつとかさ〜〜?」

「そりゃー当然!クレイジーガール共の絶望の象徴的な奴だルォォォ!?」

「……お前達が知る必要は……無い」

 

「………あの、すみません。せめて答えは統一して下さい…」

 

各頭部によって全く違う答えが返ってくるので、ミラクルは頭が混乱しそうになって処理が追いつかずにいた。

 

「こうなったら、無理矢理にでも聞き出すだけだ!」

 

『ラビット!タンク!ベストマッチ!』

『Are you ready?』

 

「変身‼︎……くそぉ!何で変身出来ない!」

 

晴夜は再びビルドに変身する為にボトルを装填し、レバーを回してアーマーが形成させるとポーズを決めるが、やはり変身することが出来なかった。

 

「あぁ〜!やっぱり、トラウーマの秘薬が効いているだね〜」

 

「秘薬?……あっ!?」

 

右首の口から秘薬と聞き。晴夜はここへ飛ばされる前にトラウーマから、フラスコに入った液体をかけられた事を思い出した。

 

「むぅ…………その術は……対象者の力を、一途弱めるらしいな……」

 

「弱める……まさか……!」

 

今度は中首から力を弱めると聞き、その対象が晴夜の体のハザードレベルを指しているのではないかと思っていた。

ハザードレベル。それはネビュラガスの耐久力をいくつかの段階に分けたもの……なのだが、ネビュラガスとは違った方法でライダーシステムを扱う晴夜や龍牙の場合は、単純にライダーへと変身出来る数値を表す。

レベル次第ではライダーシステムやトランスチームシステムなどの装備を扱えるようになるのだが、ハザードレベル3以下だとライダーに変身することすら出来ない。

即ち、秘薬によってハザードレベルが下げられてしまったと言うのならば、晴夜と龍牙がライダーに変身出来ない理由も証明できる。

 

「……けど」

 

だが晴夜はハザードレベル3以下と聞かされても動揺せず、ドリルクラッシャーを構える。

 

「晴夜君……」

 

ライダーに成れずとも戦う覚悟を見せた晴夜にミラクルは驚き、映司は仮面ライダーとしてどんな状況であろうと戦う覚悟を持っているのだと感じ取っていた。

 

「お前達の企みは、必ず止める!」

 

映司がソルシエール達の企みを止めると宣言すると、それを聞いたアジ・ダハーカの左首は爆笑しだした。

 

「アッヒャヒャーーーッ!そこの小娘はともかくよォ〜?変身も出来ねぇ〜お前達クレイジーボーイ二人に、何が出来るってんだァーー⁉︎」

 

「……図に乗れるのも、此処で終わりだ……フッ!」

 

アジ・ダハーカは変身出来ないと嘲笑いながら映司を見ると、彼の体からはるかの記憶からディスピアが現れた時と同じ様に影が現れた。

 

「現れろ!グリード!」

 

アジ・ダハーカの左首が“グリード”と叫ぶと、映司の体から影が飛び出され。晴夜達の前にライオンの鬣の様なドレッドヘアや鋭い爪と牙を生やした猫の怪人、シャチをモチーフにした頭部や吸盤の並んだ脚部に加えて青いマントを羽織った女怪人、サイの角や象の鼻と牙などを模した顔に屈強な上半身を持った怪人、クワガタの顎の様な角や昆虫の複眼を持つ頭部と右手には鉤爪が生えた虫の怪人が現れた。

 

「映司さん。大丈夫ですか?」

 

「!?これは……」

 

「グリード……」

 

「お前の記憶から具現化したものだ〜〜よ!」

 

アジ・ダハーカは映司の記憶を読み取り、そこから過去に戦った強敵達……800年前の錬金術師達によって欲望から誕生したメダルの怪人『グリード』を呼び出したのだ。

 

「お〜っと、お前にはこいつだっけなァ⁉︎」

 

晴夜達の前にグリードであるカザリ、メズール、ガメル、ウヴァの4体が並ぶと、更にアジ・ダハーカの左首はもう一体のグリードを呼び出す。

そのグリードを見た映司は、思わず自分の目を疑った。

 

「……アンク」

 

そこに居たのは、羽の生えた腕部や猛禽類を思わせる爪を持った赤い鳥型のグリード。

それはかつて、映司と一緒に同じ時を過ごし、時にぶつかり合い、何度も協力し合って来た相棒のような存在──アンクだった。

 

「……貴様ら家畜どもに、我々が手を出す価値など……メダル一枚分すら、無い……」

 

「そう言う事〜〜……そんじゃあ、やれ!グリードォ!」

 

アジ・ダハーカの右首の命令により、五体のグリードが一斉に三人に向かってきた。

晴夜はカザリとウヴァ相手に四コマ忍法刀で応戦し、ミラクルはメズールとガメルの攻撃を躱し続ける。

そして、映司はアンクと…

 

「映司さん!使ってください!」

 

晴夜はドリルクラッシャーを投げ渡し、映司は咄嗟に受け取る。

 

「うっ……」

 

しかし右半分に金髪状の装飾があるアンクの顔を見た映司には、迷いがあった。

いくらコピーのアンクだとわかっていても、どうしても頭の片隅に大切な存在を攻撃してはいけないと命令が下り、彼を傷つける事が出来なかった。

 

「あ、あぁぁぁ……!」

 

「アッヒャヒャーー!やはりコピーだとわかっても、そいつには攻撃出来ないかァ〜!」

 

左首のアジ・ダハーカが映司を煽り、映司は避けるも遂にアンクの腕に捕まり締め付けられる。アンクは更にビルに打ちつけて穴を開けてると、映司をその穴に落とそうとするが、映司はアンクの腕を退かそうとする。

 

「アンク……」

 

その時、彼の腕を触って映司は思い出す。

彼に出会って、これまで記憶と彼のおかげでグリードとの戦いやメダル集めに巻き込まれて振り回されていた事を。

 

「どんな形であれ……俺は……」

 

けど、映司は彼との出会いを後悔したことはない。寧ろ楽しかった事が多かった。

そんな彼を、彼は傷つける事が出来なかった。

 

「……うっ……あぁぁっ⁉︎」

 

「!?」

 

すると映司の顔を見た途端、アンクが苦しみ始めた。

そのままアンクは映司を離し、苦しみながら辺りを歩き回ると足を踏み外し、破壊した場所から落ちてしまう。それを見た映司は追いかけるように飛び降りた。

 

「映司さん!」

 

急いで助けに行こうと試みるが、二人もグリードを相手しており身動きが取れなかった。

 

「ぬうぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

飛び降りた映司は腕を伸ばし、アンクの腕を掴もうとする。

 

「お前が俺の記憶から生まれてたもので、本物のアンクじゃなくても!」

 

今ここにいるアンクは自分の記憶から生まれたコピーで、本物ではないことは、映司が一番わかっている。

 

「この手で掴めるのなら……俺は迷わず掴む!」

 

それでも彼は掴む自分の手が届く限り、掴み続ける。

そんな気持ちを抱きながら映司はアンクの腕を掴むと、彼の持つ形見のコアメダルが光り、そのメダルがアンクの体内に入る。

それと同時にアンクが態勢を直し、背中から生えた赤い翼を羽ばたかせながら、その手を握ったまま二人は地上へと降りた。

 

「アンク……」

 

「映司。相変わらずボロボロだな!」

 

聞き慣れた口調を聞いた映司が突然の事に驚きながらも、右腕の赤い腕と金髪の生えた顔を見て、彼にとって決して忘れる事のできない存在だと言う事を改めて確認。

ここにいるのは自身の記憶から生まれた、偽者ではなかった。

今此処で映司を見るのは間違いなく、本物のアンクだった。

 

「お前のせいだろ」

 

「知るか」

 

目の前にアンクがいるという事実に、映司の瞳からは涙が出そうとなるが、今は泣く時じゃないと堪える。

 

「今日だったかもな。お前に会える奇跡の日!」

 

「はぁ?何言ってんだ?」

 

「……詳しく説明してる暇はないんだ」

 

映司がアンクとの再会を果たした一方で、晴夜とミラクルはグリードに立ち向かうが、変身出来ない晴夜では歯が立ったなかった。

 

「くぅ!」

 

「晴夜君!」

 

「フン。変身出来ない癖に、よく頑張るな……」

 

変身出来ないと煽るアジ・ダハーカだが、ドリルクラッシャーを支えてとして晴夜は立ち上がる。

 

「けど〜〜?変身出来ない只のガキのお前には、何もできないよ〜ぅ!」

 

アジ・ダハーカに気を取られていた晴夜とミラクルが周りの状況に気づくと、既にグリードがこちらを完全包囲しており、二人の逃げ場は失っていた。

 

「……グリード、やれ………」

 

一斉に向かってきて万事急須と思ったその時、二人に仕掛けようとしていたカザリの背中を誰か貫いていた。

 

「「!?」」

 

「……ん?」

 

グリード達は現れた男に攻撃を仕掛けるが、その者は攻撃を躱してカウンターで攻撃を当てるとグリードの体内からメダルを零れ落とした。

 

「言ったろ。お前達の企みは止めるって!」

 

「ちゃんと今日のアイスを寄越せよ」

 

「わかってるって!」

 

そしてグリードを攻撃した張本人であるアンクが、映司に後でアイスを寄越すように言いながら並んでいた。

 

「………ハアァァァァァ!?オイ、どうなってんだよォォォォォォォ!!何であいつがクレイジーボーイと仲良くつるんでんだよォォォォォォォ!!!!」

 

「………………文句があるなら、この術を教えた小娘と……トラウーマに言え」

 

アジ・ダハーカの左首と中首が言い合っている中。ビルの外へ落ちたはずの映司とその隣に並ぶアンクを見た晴夜とミラクルは、一体二人に何があったのかと驚きながら考えていた。しかしそんな事考える暇もなく、グリード達は二人に襲いかかる。

 

「グリードは俺達に任せて!君達は先に行って」

 

「…はい。ミラクル!」

 

『ビルドチェンジ!』

 

晴夜とミラクルはこの場を映司とアンクに任せて先へと向かう為、晴夜はビルドフォンを取り出すと愛用バイク『マシンビルダー』へと変え、ミラクルにヘルメットを被せる。

 

「捕まってろ!」

 

「うん」

 

マシンビルダーを走らせ、二人はここから出る為にビルの外へ向かう。

 

「………グリード……早く始末しろ……ッ!」

 

アジ・ダハーカの中首は晴夜とミラクルを追う為、グリード達に映司とアンクを倒せと命令する。

 

「行くよ……アンク!」

 

「映司」

 

アンクが3つのメダルを投げつけると、映司は三色のメダルを手にしながら。かつてアンクから受け取った、これまでの戦いを乗り越えたドライバー『オーズドライバー』を腰を当ててベルトを巻き付けた。

そのまま2枚のメダルの内、赤い鷹のメダルにはオーズドライバーの3つの枠のうち右枠、バッタが刻まれた緑のメダルは左枠に投入。最後にトラの顔が刻まれた黄色のメダルを取り出すと真ん中の枠に投入した。

3枚のメダルが投入されると、右サイドに携帯しているオースキャナーを握ってバックル部分を傾け、スキャナーを握って構えた映司はオースキャナーを右からスライドさせる。

 

〈キィン!キィン!キィン!〉

 

「……変身!」

 

『タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ、タトバ、タトバ!』

 

オースキャナーの響く音と共に顔と胸、足のそれぞれに5枚のオーラメダルが回転した。

顔に赤のメダル、胸に黄のメダル、足に緑のメダルが覆い。胸にメダルが覆うと胸から腕にかけて『トラボディ』。足はバッタの後脚をイメージさせる『バッタレッグ』。顔はタカの翼をイメージさせる『タカヘッド』になった。

 

「はぁぁーーッ!」

 

「……」

 

こうして仮面ライダーオーズへの変身を遂げた映司は、グリードへ向かって戦いを挑む。

それを見ていたアジ・ダハーカは苛つきながらも、その場をグリードに任せて去って行った。

 

 

 

晴夜がマジカルを乗せてバイクを走らせる中、弦太郎に助けられたハートとマジカルは森を抜けてミラクルを探し続けていた。

 

「マジカル。大丈夫?」

 

「ええ……問題ないわ」

 

心配そうにそう聞くハートに問題ないと言うマジカルだったが、相棒であるミラクルが近くにいない彼女の表情からはミラクルの時と同じく、一人では不安だという事が目に見えていた。

 

「無理すんなよ」

 

「えっ?」

 

「ダチが近くにいねぇと、やっぱり不安だろ?」

 

だが弦太郎はそんなマジカルの気持ちを汲み取り、彼女に元気良く声をかける。

 

「ダチが近くいるって、どんだけ心強いか俺でもわかる。

俺もダチのおかげで、ピンチを乗り越えてきたからな」

 

弦太郎はこれまで『仮面ライダーフォーゼ』として、仲間とどの様に戦いを乗り越えて来たかを話した。

勿論時には仲間との友情が揺らいだり、衝突することは多々あったし。挙げ句の果てには裏切られたり酷い仕打ちを受けたり一度は殺されたり、知らなかったとはいえ友を傷付けてしまって後悔した事もあった。

だがその度に彼は仲間と仲直りしたり、認め合ったり、後腐れなく許したり改心させたりして来た。

そして弦太郎が築き上げてきた友との信頼が、何度も彼をピンチから救ってくれた。

 

「だからよ。ダチが近くいねえで不安なら、本音を言ったほうがいいぜ」

 

「……会いたい……ミラクルに早く会いたい!」

 

「よっしゃ!じゃあ早く行こうぜ!」

 

マジカルの本音を聞いた弦太郎とハートは、覚悟を新たにしたマジカルと共に向かうとする。

 

「ぐぅ⁉︎」

 

しかしその時、弦太郎の体を影が覆った。

弦太郎の影から四体のもの影が解き放たれると、みるみるとその姿を怪人へと変えて現れた。

 

「ゾディアーツ!」

 

おそらくさっきの影は弦太郎の過去の記憶から、“ゾディアーツスイッチ”と呼ばれる星座の力が込められたアイテムを使って変身する怪人『ゾディアーツ』を生み出したのだろう。

マジカル達の目の前に現れたのは金の刺繍が入ったクロークをまとっている、ゾディアーツの中で特に“ホロスコープス”と呼ばれる上位級ゾディアーツである、スコピオーンとヴァルゴ、リブラ、レオの四体だった。

だが弦太郎は一切怯むことなく、二人の前に立ちながらゾディアーツを見据えていた。

 

「成る程、これが俺の記憶から生まれたって奴か。ならここは俺に任せろ」

 

「えっ?一人でなんて無理よ」

 

「心配するなよ。俺は教師だ、生徒であるダチを守る為にいる。

ここにいる俺のダチは、全員俺が守る」

 

そう言ってフォーゼドライバーを取り出して腰に当てると、自動的に装着されたフォーゼドライバーに装着している四つのスイッチの手前にある各ボタン『トランスイッチ』を順番に押して行き、それに連動してバックル中央の液晶画面『ステイタスモニター』が光り出した。

 

『3・2・1……!』

 

「変身!」

 

フォーゼドライバーから流れるカウントダウンに合わせて、ドライバーの右に付属した『エンターレバー』を引く。

弦太郎がポーズを決めた瞬間、フォーゼドライバーから煙が噴射され、頭と足に出現した巨大なサークルが弦太朗の体を覆い尽くす。

 

「宇宙キターーーーーー!!」

 

『アストロスイッチ』の力を引き出した弦太朗は、仮面ライダーフォーゼへと変身を完了する。

 

「仮面ライダーフォーゼ!まとめてタイマン張らせてもらうぜ!」

 

そう決め台詞を言いながらフォーゼが走り出し、ゾディアーツに先制攻撃を繰り出した。

 

「ここは俺が何とかする!お前らは行け!」

 

「はい!行こう!マジカル!」

 

「えぇ!」

 

オーズとフォーゼといった、二人の仮面ライダーにより晴夜とミラクル、ハートとマジカルは歌の聴こえる場所へと向かう。

しかし、ソルシェールとトラウーマの作り出した敵はまだいる。

果たして彼らは、それを乗り越える事が出来るのか。

 


次回!Re.ドキドキ&サイエンス

 

特別編2 仮面ライダービルド&みんなで歌う♪奇跡の魔法!後半唱

 

 




おまけ

〜ドキドキクッキング〜

右首「アジ・ダハーカの〜〜ドキドキ〜〜」

左首「クッキングゥゥゥゥゥゥ!!」

中首「………今日は、トマトシチューを、時短で作りたいと・・・思います」

右首「今回の料理に使う材料は〜〜調味料以外は〜一種類だけとなってるだ〜よ〜〜」

左首「ゑゑゑゑゑゑゑ!?トマトシチューなのに、一種類しか使わねぇ〜のかよォ〜〜!
一体、どんな材料を使うってんだァ〜〜?」

中首「………はい。今回使う材料は・・・




人 間 で す」

右・左首「「人間ン〜〜?」」

中首「はい……100%、人間です」

●100%トマトシチュー材料

人間・・・四人分
トマトケチャップ・・・10g
コンソメ・・・少々
塩胡椒・・・少々

中首「それでは、巨大プロセッサーを用意して・・・並べ……」

家畜の皆さん『・・・・・』

中首「 行 け ・・・」

Bloody stew

作:古のファントム

 BLD
――――
  完
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