真直郎「イヤ兄貴……俺ら腹が減って、あらすじ紹介する元気ありません……」
ライ「それに…やはり、臭いです……」
ガイ「早く、食事とシャワー……浴びましょう……」
和也「あぁ……じゃあ、簡単にまとめて。俺の活躍編……スタートぉ……」
ガ・ラ・真「「「いや、早く帰りましょう……」」」
「平和ボケした、世界各国の代表の方々。今日から我々ダウンフォールが、この世界を管理する」
政府機関を守護する筈の機械兵ガーディアンがハッキングされ、更には防衛の要とも言える仮面ライダーローグがファントムクラッシャーに敗れた事により、自衛手段を失くした政府機関はダウンフォールに完全制圧されてしまった。
そして現在、政府官邸にある会議室では、ダウンフォールの兵士達が世界各国の代表者達に銃を突きつけて動けないように監視した上で、浦賀が彼らを脅迫するように話をしていた。
「……(晴夜君や、マナ達は無事だろうか……)」
各国の代表達が動揺の色を隠せずにいる中、ジョーだけはこの状況を打破する案を考えながら、晴夜やマナ達の安否を心配していた。
何故なら、例え自分達がテロリストに拘束されようとも、プリキュアと仮面ライダーに変身できる彼らさえ無事ならば、まだ希望はあると考えていたからだ。
「言っておくが、頼みの仮面ライダーとプリキュアは来ないぞ」
この状況でジョーが落ち着いているのを見て、浦賀は彼の耳元でそう囁いた。その言葉を聞いた瞬間、ジョーの顔色が一気に驚愕と困惑の色に染まる。
それを見た浦賀は不敵な笑みを浮かべると、まるで勝ち誇ったかのように高らかな笑い声を上げていた。
◆ ◆ ◆
その頃、またしても何も知らない晴夜と龍牙は……
「晴夜ー!龍牙君!」
「二人ともいる⁉︎」
「マナにまこぴー。どうしたの?」
地下室の研究室へ突如として現れたマナと真琴の姿を見つけるなり、晴夜は椅子から離れながら何事かと尋ねた。
「かずやんが帰ってきたって!」
「かずやんが!あいつ、どこ行ってたんだ──」
和也が帰ってきたと聞き、二人は安堵の表情を浮かべた。龍牙がもっと詳しく聞こうと近づこうと足を踏み出した時だった。
突然、天井の一部が崩れ落ちる音と共に、上から何かが降ってきたような轟音が鳴り響いた。
『!?』
その場の全員が驚きながら煙の晴れた先を凝視すると、そこには鋭利な意匠がある剣のような黒い十字架が描かれたタトゥーを顔に刻み込み、戦闘服を着た外国人の男が立っていた。
「BILD!CROSS!」
その男は晴夜と龍牙の顔を見て、彼らが変身するライダーの名を叫ぶと、銀色のエンプティフルボトル『メタルボトル』を晴夜達に見せつける様に取り出し、数回振って黒い栓を回して身体に差し込んだ。
「あれは……スマッシュ!?」
「いや、違う……何だあれは……?」
飛行兵器を人型にした様な機械の姿と、顔にメーターがついた怪人…ファントムクラッシャーへ変身した男を見て、真琴がスマッシュになったのかと思い警戒心を高める。
対する晴夜はファントムクラッシャーの姿を見て、今までの敵とは何かが違うと違和感を感じていた。
「まこぴー!」
「えぇ!」
「「行く(シャル・ビィ)!」」
ファントムクラッシャーがこちらへ襲い掛かって来ると見たマナと真琴の二人は、シャルルとラビィに合図を出してコミューンになって貰い、取り出したキュアラビーズをコミューンにセットする。
「「プリキュア!ラブリンク!」」
「龍牙、俺達も行くぞ!」
「…あぁ」
プリキュアへと変身した二人がファントムクラッシャーへ立ち向かって行ったのを見て、晴夜と龍牙も加勢する為にビルドドライバーを腰へ装着。晴夜はラビットとタンクのフルボトル、龍牙はドラゴンフルボトルを挿し込んだクローズドラゴンを装填する。
『ラビット!タンク!ベストマッチ!』
『ウェイクアップ!クローズドラゴン!』
『Are you ready?』
ファントムクラッシャーはプリキュア2名と戦いながら、二人がレバーを回してアーマーを形成させたのを見て右手を向けると、彼らの身体から粒子のようなものが放出され、それが右手へと吸収されていく。
「「変身!!」」
そして形成されたアーマーが二人の身体に重なろうとした瞬間、アーマーは仮面ライダーの装甲を創造する事なく霧散してしまった。
「……えっ?」
「は? どういうことだ⁉︎」
予想外の事態に困惑しながら、晴夜と龍牙はもう一度フルボトルとガジェットをドライバーにセットしようとする。しかしそれでも、ドライバーからは何も生成されなかった。
「ッ!? 変身出来ねぇ……どうなってんだ!」
「そんな!まさかこれは……」
「力を抑えられた?」
その光景を見て、晴夜は以前あった出来事を思い出していた。
それはかつて、とある敵が作った秘薬によって二人のハザードレベルが抑えられ、仮面ライダーへ変身出来なかった現象に似ていた。
「はぁぁ!」
「ふぅッ!」
変身出来ない二人の代わりに、ハートとソードはファントムクラッシャーに挑む。
ハートがパンチの連続ラッシュで動きを止めてる間に、ソードが相手の足を攻撃してバランスを崩し、その隙に二人同時にキックを放つ。
『SHIT!』
だが次の瞬間、ファントムクラッシャーはまるでバレルロールを行う戦闘機の如く体を回転させ、二人の追撃を防ぎながら反撃を行った。
「きゃっ!」
「うわあぁぁ!?」
「ハート!ソード!」
攻撃を喰らった二人は地面を転がるように吹き飛ばされてしまい、晴夜は急いで駆け寄ろうとする。
「このヤロー!」
対するそれを見た龍牙は、ドラゴンフルボトルを振りながら拳をファントムクラッシャーに繰り出す。だが簡単に掴まれて払いのけられてしまい、その際にソードまで巻き込んでしまって壁に叩きつけられてしまう。
「龍牙!ソード! …クソッ!」
『タンク!Ready go!』
晴夜は攻撃を受けて苦しそうにする二人を見て、タンクボトルをドリルクラッシャーに差し込み。ラビットボトルをスナップするように振りながら加速して、ファントムクラッシャーへ斬りかかる。
だがそれもまた簡単に掴み取られると、今度は腹部へ強烈な蹴りを入れられてしまう。
「ぐぁぁぁ!?」
「晴夜!大丈夫!?」
「あ、あぁ……何とか」
それによって、コートからハザードトリガーを落してながら地面を転がった晴夜の安否を心配したハートは、倒れた晴夜の元へすぐに駆け寄る。
ハートに支えられながら立ち上がると、ファントムクラッシャーは地面に転がったハザードトリガーを拾い上げ、壁に掛けられてあったホワイトパンドラパネルに向かって歩み出す。
「なっ⁉︎ 待て!」
晴夜はすぐに追いかけて止めようとしたが、パンドラパネルを奪ったファントムクラッシャーは背中のジェットから火を吹かせると、研究室へ不法侵入をした際に破壊した天井目掛けて上昇し、そのまま飛び去って行った。
「みんな!大丈夫!?」
「ちょっと晴夜!マナ! 一体何があったの⁉︎ 天井に穴が空いてるけど!?」
晴夜が悔しそうに破壊された天井を見上げていると、そこへ晴夜の家から何かが飛んできたのを見てきてくれた六花とレジーナが、勢いよくドアを開けながら入ってきていた。
「うん、あたし達は大丈夫」
「けど、ホワイトパネルが……」
何とか危機は脱したが、ファントムクラッシャーにライダーの変身能力とホワイトパンドラパネルを奪われてしまった晴夜らは、ただ呆然と立ち尽くす事しかできなかった。
◆ ◆ ◆
無事実家に戻った和也達は、シャワーを浴びてさっぱりした後、いつもの私服に着替えた。そして自分達の農場『沢田ファーム』へ足を運んでいた。
「いや〜みんなに迷惑かけちまったなァ〜」
「兎に角これでやっと、いつもの生活に戻れますね!」
「まぁ、怒られるのは確実ですがね……」
「まあまあ……あれ? 兄貴っ!」
農場に着いた和也達を迎えたのは、地に伏せた和也の両親、同じく農場で働くパートや社員達だった。
「親父!母さん!」
「何があったですか……!」
「ば、化け物がいきなり……」
四人はすぐに駆け寄って介抱を行い、彼らから何があったのかを聞く。
すると社員の一人が、化け物が突如襲撃して来た事を息絶え絶えながらに語り、それを聞いていた四人はどう言う事かと疑問を浮かべていた。
そんな彼らへ疑問の答えを告げる様に、『ゴォンッ』という重量感のある物質が鉄板の上に落下した様な金属音が、近くで響き渡った。
「
一体なんだと思い振り向くと、トラクターの上にダウンフォールの構成員である外国人の男が立っており、男は外国語で和也に話しかけてきた。
「あん?何言ってんだ?」
「お前がグリスか?と言ってます」
「……俺を?」
英語で何言っているのかわからなかった和也だったが、ガイの通訳曰く、グリスもとい和也を待っていたと言っていたらしい。
ダウンフォールの構成員は、幻冬にも見せた銀色のエンプティボトル“メタルボトル”を見せると、自らの体にボトルを差し込んでファントムクラッシャーへと変身した。
「てめぇ……」
『ロボットゼリー!』
それを見て敵だと察した和也は、スクラッシュドライバーを取り出して装着し、ロボットスクラッシュゼリーを差し込む。
対するファントムクラッシャーは和也に右手を向けて、仮面ライダーの変身能力を奪おうとする。
「変身!」
『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボットイングリス!ブラァ!』
ファントムクラッシャーに指を差し向けながらレンチ型レバーを下げると、足元から巨大なビーカーが出現し、黄色の液体が和也の体を覆う。そしてビーカーが割れて黄色の液体がスーツとなり、頭から噴出した黒いゲル状の液体がアーマーとなって装着された。
「
和也がグリスへと変身完了したのを見たファントムクラッシャーは、驚愕しながら叫び声を上げる。何故なら先ほど変身能力を奪った筈なのに、難なく変身したのだから。
「日本に来たならなぁ……日本語話せコラァッ!!」
動転しているファントムクラッシャーに、グリスの放った右ストレートが顔面に炸裂した。
「激烈!熱血!爆裂!」
そのままファントムクラッシャーを殴り続ける。そして最後に、左アッパーで上空へ吹き飛ばすと、空中で一回転して両足蹴りを喰らわせた。
「先に手ェ出したのはそっちなんだからよォ、覚悟しろよなゴラァッ!」
後ずさったファントムクラッシャーに向かってそう叫びながら、左腕に装備したアタックモードのツインブレイカーによる追撃を行う。
「サセネェヨ」
だがそれは、何者かによって簡単に受け止められてしまう。
「なっ⁉︎ なんだコイツはッ!」
ツインブレイカーを受け止められたグリスがその張本人を見ると、そこにはホースと氷柱を足し合わせた様な触手と防火帽子を模した形状の頭部を持った黒鉄色の怪人…アイスハザードスマッシュがいた。
「また別の奴かッ!?」
「
「ヨウ、マイフレンド。タスケニキテヤッタゼ」
アイスハザードスマッシュがファントムクラッシャーにそう言うと、左手に持つ冷気を纏った大型の銃器をグリスに向けて発砲してきた。
「危ねっ!」
グリスはそれを咄嵯の判断で避けるが、避けた場所には凍り付いた地面があり、その威力に冷や汗を流す。
「こいつァやべぇ……いくぞガイ!」
「あぁ!」
「え? いくって何?」
ライとガイは話についていけない真直郎を差し置いて、拓人が改造して安全に使えるようにして貰ったロストフルボトルを取り出す。
『キャッスル!』
『スタッグ!』
そして二人同時に、それぞれキャッスルロストフルボトルとクワガタロストフルボトルを左腕に差し込み、ガイは城壁の様な黒いアーマーと両肩部に装備したウイング型シールドを持ったキャッスルハザードスマッシュ。ライは全身に覆われた黒く分厚い装甲と後頭部方向へ流したハサミ型のツノが特徴のスタッグハザードスマッシュへと変身した。
「うえぇぇぇぇぇ!?ちょ、ちょっと待って!何その姿⁉︎ スマッシュ!?黒いスマッシュ!!??」
「話は後だ!今行くぜカシラァ!」
真直郎が驚く中、二人のスマッシュはファントムクラッシャーの援護を行うアイスハザードスマッシュへ突撃。キャッスルのタックルとスタッグのラプチャーシザースによる同時攻撃が炸裂する。
「ッ!お前ら、その姿は……!」
「へへっ、ブロスになる為のギアは壊れちまったし、そもそもネビュラスチームガンもないですからねぇ……博士に頼んで、ロストボトルを分けてもらったんですよ。予備も含めて3つ程」
「そういう事です」
キャッスルとスタッグはそう語りながらグリスの横に並び立ち、各々の武器を構えてファントムクラッシャーとアイスハザードスマッシュを睨みつける。
「ちょいちょいちょい!待てよガイ、ライ!お前らだけズルぃぞ!俺も戦う!」
するとそこへ真直郎が駆け寄ってきて、彼らと一緒に戦闘に参加すると言い出す。
「あ?何言ってんだ真直郎。お前は下がってろ」
「そうだぞ真直郎。これは遊びじゃねェんだ」
だがキャッスルとスタッグに軽くあしらわれ、戦いの参加に反対意見を言われる。
「えぇー!?そんな!いいじゃねーか!俺だって兄貴の役に立ちたいんだよ!……あっ、そういやガイ!お前さっき、ボトル3本持ってきてるって言ったよな?」
それでも引き下がらない真直郎が何かを思い出した様に言い、それを不思議そうに見つめ合う三人。襲うタイミングを失ったファントムクラッシャーとアイスハザードスマッシュは立ち往生していた。
「おう、コレがどうした?」
そう言ってキャッスルが取り出したフクロウロストフルボトルを見た真直郎は、すぐ様ガシッと肩装甲を掴んでボトルを奪い取る。
「よっしゃァァァ!コレで俺も兄貴と戦えるぜェ!!」
「は!?おい待てバカ野郎!!」
嬉しさのあまり、思わずボトルを高く掲げてガッツポーズをする真直郎。そしてグリスの怒声が響き渡る。
ガイとライはネビュラガスによる人体実験でエンジンブロス・リモコンブロス(今はハザードスマッシュ)の変身能力を、和也はネビュラ光線による順応でグリスへの変身能力を得ている。
だが真直郎は人体実験も順応も受けていないただの一般人。つまり真直郎には、ライダーの変身能力はおろか、自我を保ったままスマッシュになる事も出来ない筈なのだ。
「行くぜ兄貴……いつかのリベンジマッチじゃぁァァァ!」
だが真直郎は止まらず、振ったボトルのキャップを開けて左腕に挿し込む。
三人は慌てて止めようとするがもう遅い。ボトルから溢れ出た成分が真直郎の全身を覆うと、その体はみるみると変わっていった。
「──暴走!激走!爆走!いずれも〜真っ直ぐ!!
北等工業高校の暴走トラック!土方真直郎様の〜〜〜覚醒じゃあァァァ!!」
「「「……えぇぇェェェ!?」」」
そしてそこに立っていたのは、黒くずんぐりむっくりな体型に頭部のギロッとした丸い目ん玉、両腕と身体中に埋め込まれた複数の黒い球体が特徴のスマッシュ『オウルハザードスマッシュ』へと、理性を保ったまま変身した真直郎の姿があった。
「おぉォォォ!力が湧いてくるぜィ!」
真直郎は両腕を広げて喜びの声を上げると、そのまま勢いよく走り出し、ハザードアイススマッシュに飛び蹴りを喰らわせた。
「グゥッ!」
「まだまだァ!」
オウルは休む間もなく、今度はアイスハザードスマッシュに頭突きを繰り出し、怯ませる。
「マジかよアイツ……ホントに人体実験も順応も、受けてないんだよな?」
「アイツの話が正しければ、過去に一度スマッシュになったと聞いたけど……」
キャッスルとスタッグは真直郎が明確な意思を持ったままスマッシュへと変身した事実に驚きを隠せず、言葉を失う。
「……まぁ良いじゃねぇか。一緒に戦えんなら、それはそれで。
さぁて、仕切り直しと行くかゴラァ!」
だがそんな事など気にも留めないグリスは、二人に声をかけてファントムクラッシャーに向かっていく。
「……それもそうですね!」
「あぁ!」
キャッスルとスタッグもそれに続き、仮面ライダーと三人のスマッシュが並び立つ。
「
ファントムクラッシャーは苛立ちながらそう叫ぶと、三人のスマッシュに右手を向けて変身能力を奪おうとする。だが彼らの変身は解かれる事なく、アイスハザードスマッシュへと肉弾戦を挑み続ける。
「
「余所見だなんて、随分余裕だなオラァ!」
グリスと同じ様に変身能力を奪い取れなかった事を悔しがるファントムクラッシャーに対し、その隙を突いて接近したグリスが腹部へヤクザキックを炸裂させる。
「凍ッチマイナ!」
ファントムクラッシャーがグリスと戦う中、アイスハザードスマッシュは手に持った銃から雪氷を発砲。更につらら状の矢『アイシクルチルアロー』を無数に発射する。
「ハッ!そんなもん効くかよ!」
だがキャッスルは両肩の防壁『グランドランパート』を前へ稼働してつららと雪氷の雨を防ぎつつ、アイスハザードスマッシュに接近して各部に搭載された砲撃ユニットからエネルギー光弾を放つ。
「グッ!ウウッ……!」
「流石だぜカシラ!オラッくたばれ!」
アイスハザードスマッシュが怯んだ瞬間、スタッグが素早い動きで懐に潜り込み、ラプチャーシザースで銃もろとも高速切断しながら何度も斬りつける。
「チイッ!調子ニノルナァ!」
「うおっ!?」
アイスハザードスマッシュは両手でスタッグを掴むと、地面に叩きつけて冷凍ガスを放って凍結拘束。そのままキャッスルに向けて投げ飛ばすと、体内に内蔵したフローターユニットで高速飛行を行うオウルに受け止められる。
「助かったぜ真直郎!」
「おうよ!ガイ、ライ!一気に決めようぜ!」
オウルはキャッスルとスタッグを下ろすと、キャッスルとスタッグに声をかける。
すると二人も静かに笑い、キャッスルの頭部に搭載された『カタプルタキャノン』から放たれたビームに続いて、スタッグとオウルが同時に突撃した。
「「「ハァァァッ!」」」
スタッグとオウルによる同時攻撃がアイスハザードスマッシュに決まり、最後にキャッスルの可動防壁を使ったタックルが命中した。
三人の攻撃を喰らったアイスハザードスマッシュはファントムクラッシャーに向けて飛んでいき、衝突と同時に二人仲良く地面を転がって倒れた。
「行くぞオラァァァーーッ!」
『スクラップフィニッシュ!』
そして最後のトドメに、グリスがキャッスルの肩を踏み台として高く飛び上がり、ドライバーのレンチを下ろしながらキックの態勢に入る。
「fucking!」
「ナッ⁉︎ オイナニヲシテグアァァァァッッ!!」
左右の肩にある『マシンパックショルダー』からヴァリアブルゼリーを噴出させて加速するグリスに、ファントムクラッシャーは近くを転がっていたアイスハザードスマッシュを盾にして身を守る。
スクラップフィニッシュが見事命中したアイスハザードスマッシュは、ファントムクラッシャーを巻き込んで後方へぶっ飛びながら爆裂霧散。
直撃こそ免れたが、スマッシュの爆破に巻き込まれたファントムクラッシャーは後ずさりながら、部が悪いと判断したのか空を飛んで撤退して行った。
「ちっ!逃げやがって!」
グリスは逃げ去ったファントムクラッシャーに舌打ちするが、ボトルを外しながら変身解除した。同じく変身を解除したガイとライと真太郎は、すぐに怪我をしている和也の家族や農家のみんなに駆け寄って介抱を行う。
(どうなってやがる……なんでウチのファームが襲われてんだ……?
取り敢えず、晴夜の奴に連絡を──)
一方で和也は、携帯を取り出して仲間の晴夜に連絡を入れようとする。
だがその時電話が鳴り出し、発信者の名前を見るとそこには幻冬の名前があった。
「……もしもし、幻冬か」
『……えぇ。一週間ぶり、ですね』
電話に出た和也は、どういうわけか息が整っていないのか少し苦しそうな声で返事をする幻冬に違和感を抱く。
「……お前、今どこにいる。俺ン家のファームが襲われたんだ、何か知らないか?」
『……えぇ、知ってます……ですけど、今は政府機関でジョーさんの警護をしていて時間が取れないので、こっちに来てください。拓人さんも居るので、そこで話をしましょう』
「わかった。すぐに──」
『後、ついでに卵とプロテインもお願いします……グリスさん』
その言葉を最後に、幻冬からの電話は切れてしまう。
電話中に感じた違和感と、最後に発せられたキーワードの意味に気づいた和也は、携帯をしまって深刻な表情を浮かべていた。
その顔に気づいたガイは、どうでしたか?と声をかける。
「……幻冬は、敵に捕まった。あいつは俺のことを、グリスと言わねえ」
先の会話の様子からして、幻冬がかなり危険な状態である事。そしてジョーと拓人もまた、敵の手に落ちている可能性が高い事を察する。同時に、彼は自分に此処へ来ていけないと促した事に気づく。
「……兎に角、晴夜と龍牙の所に行くぞ。幻冬もそっちに行くように言ってたからな……」
「あぁ……」
「了解だぜ兄貴!」
「分かりました!」
ファームの皆を介抱し終えたガイ達は和也の言葉に同意すると、急いで晴夜らの研究室へと向かった。真直郎の背中に、謎の黒い甲虫が引っ付いている事に気づかないまま。
一方の幻冬は、和也の懸念通り地下の機械室で、拓人と一緒に縄で腕と足を縛られ、身動きの取れない状態で捕まっていた。
「ぐわぁッ!」
「幻冬君!」
だがどういうわけか、和也がファントムクラッシャーと対峙してもなお仮面ライダーの変身能力を保持したままである事を知ったダウンフォールのリーダー・浦賀は、携帯を幻冬の耳元に近づけてここへ来るように命じ、ノコノコとやって来たグリス達を拘束しようとしていたのだ。
「下手な芝居を…」
だが先の電話で、和也を此処へ来させない様にしていた事を見破られた幻冬は、浦賀の怒りを買って顔を蹴られていた。
「あぐッ、ゲホッ……あ、あなた達の、狙いはなんだ!」
「狙い?」
苛立ちを募らせる浦賀に蹴りつけられ、鼻血を流しながら後頭部を踏みつけられた幻冬は、苦痛の声を上げながらも敵のリーダーにそう問いかける。
するとそこへ、晴夜達を襲った男の構成員がホワイトパンドラパネルを手に持って現れ、浦賀にそれを手渡した。
「これさ、ホワイトパネル。こいつを使えば、究極の力を……」
ホワイトパンドラパネルを受け取った捕賀は、それを眺めながらパネルの力を求める理由を語り掛けた瞬間。手に持った物を見て何に気付いたのか、パネルを地面へと投げつけた。
するとパンドラパネルはまるで陶芸の皿みたいに叩き壊れてしまい、捕賀を除いたその光景を見た者たちは何故パンドラパネルが壊れたのかと唖然とする。
「こいつは偽物だ!」
「What's ⁉︎」
偽物のパネルだと聞いて驚きを隠せない構成員だが、挽回のチャンスを掴もうと慌てて口にしようとした瞬間、銃撃音が数発部屋に鳴り響いた。
「「!?」」
「役立たずが」
銃口から煙を上げる拳銃を構えた浦賀は、血を流して倒れた仲間の男に向かってそう吐き捨てる。幻冬と拓人は躊躇い無く仲間を殺した浦賀に混乱の眼差しを向けるが、浦賀はそんな二人の視線を無視して、懐から鳴り響いた携帯を取り出して通話に出る。
「俺だ……あぁ、既に“Rex”から報告を受けている……すぐにそっちへ向かう」
電話を切った浦賀は携帯をしまい、つい先程生き絶えた男の懐から零れ落ちたハザードトリガーを拾い、幻冬と拓人の前から立ち去った。
「拓人さん。あの人……貴方の教え子、なんですよね……?」
浦賀が居なくなったのを確認した幻冬は、血が混じった痰を向こうへと吐き捨てながら、あんな簡単に人の命を奪える男が、本当にかつての教え子なのかと拓人に問い掛ける。
「……すまない……私が………」
だがその問いを、拓人は答える事は出来なかった。
何故あんな風になってしまったのかと、もし自分が彼に対して適切な指導が出来ていればこんな事態にはならなかったのではないかと、只々己の罪に後悔していた。
◆ ◆ ◆
「まさか、偽物のパネルを用意してたなんてな」
卵とプロテインの伝言を聞いた和也達は、晴夜の地下研究室へと到着した。
一度襲撃されてパンドラパネルを強奪されたと知った時は焦ったが、本物のホワイトパネルは晴夜の持つ金庫に保管されていたと聞き、ひとまず安心する。
「それより、なんでお前ら変身出来たんだ?」
取り敢えずホワイトパネルの件は後にし、晴夜は和也達が何故変身能力を維持出来たのかを聞く。
「わからねェ……ありすにフラれて、傷心旅行に行っていたから………」
「傷心旅行って……えっ?」
「アレっ? かずやん、ありすと付き合ってたっけ?」
ありすに振られて傷心旅行と聞き、晴夜とマナはいつの間にそんな関係になっていたと驚く。しかし二人の反応を見て、和也は慌てて誤解を解こうとした。
「イヤ、違ぇンだ!………俺が、勝手に『なァかずやん。お前、真琴の事好きだったのになんでありすと付き合ったんだ?……あっ、もしかしてコレが、俗に言う“浮気”って奴か!』ぐべらぁッ!」
だが訂正しようとした和也の台詞に被さる様に、龍牙が余計な話を言った事によって血反吐を吐きながら壁へぶつかる様にぶっ飛んだ。そのまま床へと倒れ込み、ピクピクと痙攣しながら虚ろな目を浮かべ始める。
「う、うるせぇ……あ、あとお前、多分『浮気』の意味間違ってるからな……」
「すいません。今は、ありすさんの話題は出さないで……」
「へぇ…………ありすありすありすありすありすありすありすありす───」
ガイは和也の状況を見ながら、今ありすの名が出るとかなりの精神的ダメージを負ってしまうと話す。
だがそれを聞いた晴夜は何をトチ狂ったのか、彼の耳元に近づくとありすの名前を囁き始める。
「あ……あぁ………あ、ありす……」
「晴夜っ!やりすぎだよ!」
その瞬間、今までピクピクしていた和也の顔色が一気に青ざめていき、しまいには今にも泣きそうな様子になりながら白目を向いた。どうやら相当効いたらしい。
流石に見かねたマナが、スリッパで『スパーン!』と頭を叩きながら注意した。
「ごめんなさい……さって、真面目に考えますか〜」
「お前ホントに反省してんのか?」
流石にやりすぎだと反省する晴夜だが、龍牙は切り替えの早い相棒にツッコミを入れる。
閑話休題。マナ達は放心状態の和也の代わりに、和也の傷心旅行に付き合ったガイ達へ「旅行中に何かあったの?」と聞く。
「えぇ……実は船が沈没して、無人島にしばらくいたんです」
そう言いながら、ガイ達は無人島生活中に起きた出来事を話し始めた。
彼ら曰く、和也の傷心旅行に出てすぐに、船が強い波により転覆。和也達はしばらく近くにあった無人島で暮らしていた。
その島の海沿いにはたまたま温泉があり、和也達はその温泉に入ったのだと話す。
「けど突然お湯が溢れて、ガバガバと飲んじゃったんスよ」
「それが原因で体の調子が悪くなって、何日も動けなくなってしまったんだ」
「温泉か……」
ガイ達の話を聞く限り、その温泉の成分が何らかの影響を及ぼしたのかのと睨んでいると、晴夜のビルドフォンに着信音が聞こえた。
「亜久里ちゃん?どうかしたの?」
電話の相手は、キュアエースである円 亜久里からだった。
『はい。実は先程、私宛に変な電話があったんです』
亜久里は今から少し前──政府官邸にダウンフォールが現れた時間帯──に電話があったと話し、その内容について話し出す。
『電話では、幻冬が何者かと戦う音の他に、誰かが『ファントムリキッド』と呼ばれる、ネビュラガスやネビュラ光線よりも高性能な物質を使ったとおっしゃっていました』
「ファントムリキッド……ありがとう。とにかく後で、亜久里ちゃんもこっちに来て」
晴夜はファントムリキッドと聞き、近くにあったメモとペンを取って書き始めながら、それが敵の持つ力であると分析する。
「どうしたの?」
「あぁ。俺達の変身能力を、元に戻せるかもしれない」
「本当なの!」
「とにかく、ここから離れよう。敵がここを知ってるなら、早く移動しないと」
マナの問いに答えた後、晴夜はメモを書き終えると、そのメモを和也に託す。
「お前はありすを連れて、ここに来い」
「えっ。でも……」
「ありすはまだ、今の状況を知らない可能性がある。頼んだぞ」
「かずやん、お願いね」
晴夜とマナはそれだけを言い残すと、晴夜達は先に此処を出る準備を始め、和也からの同意を得ぬまま地下の研究室から出て行った。
「カシラ。私達も行きましょう。ありすさんを早く『行かねぇ』……はっ?」
「俺は行かねぇ。今のあいつに、どうやって会えばいいのか、わからねェ……」
ガイは敵の手にかかる前にありすを迎えに行こうとしたが、和也はそれを拒否した。
「そんな!カシラらしくねェよ!」
「そうっスよ兄貴!ありすさんの身に何かあったら、一生後悔しますよ⁉︎」
三人に説得されるも和也は首を横に振る。
「……わかりました。俺達で、ありすさんを迎えに行きます」
「見損ないましたよ」
今の和也に何を言っても無駄だと察すると、ガイ達は和也を地下室に置いて、三人だけでありすの元へ迎えに行く事を決める。
「くそ……ッ!」
ただひとり残された和也は、ふとポケットから取り出したスマホにぶら下がる、ありすに貰ったキーホルダーを見つめながら、俯いて拳を強く握りしめていた。
「今日はお客さんが来ないでランス〜」
「ランスちゃん。もう少し頑張りましょう」
大貝町の噴水広場にて、ありすは人間態の姿で暇だと呟くランスと、都合の悪い麗奈の代わりとして働くセバスチャンと一緒に鉢花を売っていた。
『速報です!先程政府官邸が、国際テロ組織“ダウンフォール”に占拠されました!』
お花の手入れをしようと車から降りるありすだったが、突然街中に響き渡る臨時ニュースのアナウンスを聞き、思わず立ち止まる。
「占拠……一体何が『四葉ありす。四葉財閥の後継者だな』……っ、あなたは?」
「迎えに来た」
背後から聞こえる声に反応した彼女が振り向いた先には、ダウンフォールのリーダーである浦賀が、ハッキングされたガーディアンを連れて現れた。
「ランスちゃん!行きますよ!」
「わかったでランス!」
ガーディアンに囲まれたありすはラブリーコミューンにラビーズをはめ込み、「プリキュア!ラブリンク!」の掛け声とともに、ラブリーコミューンの画面に指で【L・O・V・E】と描く。
「ひだまりポカポカ!キュアロゼッタ!」
ロゼッタへと変身を完了した彼女は、自身とセバスチャンに襲いかかったガーディアンへパンチを繰り出して吹き飛ばす。
「セバスチャン。周りの皆さんの避難を!」
「かしこまりました」
「はぁッ!」
セバスチャンが周囲の人々に声を掛けて避難誘導している間、ロゼッタはガーディアンの銃撃を飛び上がって回避し、後ろへ回り込んでガーディアンを背負い投げでぶっ飛ばしたり地面に叩きつけたりと、襲い掛かってくるガーディアン達を次々と撃退していく。
「ほぅ、流石はプリキュアか……」
「ありすさん!」
「ライさん!ガイさん!真直郎さん!」
浦賀が彼女の戦闘に感心していたその時、ロゼッタを迎えに来たガイ達三人がロゼッタと合流した。
「ありすさんから離れろテロリスト!」
三人はロストボトルを取り出して数回振って体に差し込み、再びロストスマッシュへと変身を完了する。それを見たロゼッタも、彼らの元へと駆け寄って一緒に構える。
「グリスの取り巻きか、面白い……受けて立とう」
対する浦賀は不適切な笑みと共に、ロゼッタ達に懐から取り出したあるものを見せつける。
「なっ!あれは!?」
『ハザードオン!』
浦賀は拓人から奪った新型ビルドドライバーを腰に装着し、晴夜が持っていたハザードトリガーのスイッチを押してドライバーへ差し込む。
『タンク!タンク!』
そして二本の黒いフルボトル『メタルタンクフルボトル』を数回振りドライバーに装填すると、二つの戦車のシルエット出現と一緒に音声が流れる。レバーを回すと警戒色の無いハザードライドビルダーが前後に出現した。
『Are you ready?』
「変身……」
漆黒の金型が浦賀の体をプレスし、レンジの音が鳴ると重なっていたフレームを取り込みながら装甲を形成していく。
『アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!』
「──ハザードを更に進化させた、メタルビルドだ」
「メタルビルド……」
黒一色のボディに加えてタンクの複眼までもが黒い、通常のハザードフォーム以上に異質な姿の仮面ライダービルド……『仮面ライダーメタルビルド』が、ロゼッタとハザードスマッシュ三人衆を一掃せんと姿を現した。
◆ ◆ ◆
「オイ晴夜、何処だよここ?」
「地球」
亜久里と合流したライダー&プリキュア御一行は晴夜の案内の元、海岸の景色が見える場所へと到着。そこには白い施設があり、晴夜以外どういう場所なのか知らないマナ達は疑問を抱きながら建物の中へ入っていく。
「そうじゃなくて、此処のことよ」
「此処が何処かは、すぐに分かるさ」
質問の問いを聞いてふざけているのかと怒っていた真琴だったが、しばらく歩いて広い部屋へと到着すると、白のYシャツと黒いズボンに茶色のジャケットを着た男性が椅子に座っていた。
「──珍しい客だな……」
「石動さん……」
その男性は、石動総一郎。晴夜の叔父であり、3年前までエボルトに体を乗っ取られていた元科学者である。
「久しぶりだな。少しは背が伸びたようだなお前ら」
「どうしてここに……」
「まだ、父さんと一緒に研究してないんだ」
「……エボルトに体を乗っ取られていたとはいえ、俺は多くの人間を危険に晒したからな……」
総一郎はまだエボルトに体を乗っ取られ、その結果として数多くの人々を危険な目に合わせた事を悔やんでいた。責任を感じた彼は、ここで一人ひっそりと暮らしているのだという。
「それよりも叔父さん、アンタに調べて欲しいことがあるんだけど……」
「……いいだろう。俺が知る事の出来る範囲内で良いならな」
晴夜に頼まれた総一郎は、自分の知り得る限りの情報を調べるべく準備を進めた。
◆ ◆ ◆
「うらァッ!」
「ハァァッ!」
メタルビルドを相手に戦っているスタッグとオウルだったが、冷静に攻撃躱す相手を翻弄しきれず、なかなか決定打を与えられないでいた。
「だりァァッッ!」
「タァっっ!」
そこへキャッスルの砲撃がメタルビルドに放たれ、今度はロゼッタの正拳突きや回し蹴りといった格闘技を、ビームを頭だけ動かして避けたメタルビルドに繰り出す。
だがロゼッタの攻撃は全て読まれていたかのように簡単に避けられてしまい。それでも彼女はメタルビルドの攻撃を捌きつつ、隙を見てパンチとキックで応酬し合おうと狙うが、相手は一切の隙を見せず難なく防いでしまう。
「くそったれが!」
「これでも喰らえ!」
スタッグとオウルはロゼッタを援護しようと、再び斬撃と体当りを繰り出したが、それも軽くあしらわれてしまう。
「この野郎……!」
「強すぎだろ……」
「……ロゼッタ。私達がアイツに総攻撃して撤退させます。貴女は奴に隙を!」
「わかりました。お願いします」
なかなか事態が好転しない事に苛立つオウルとスタッグに対して、キャッスルはロゼッタへ冷静に作戦を伝える。それを聞いたロゼッタは三人を信じ、メタルビルドへ突撃していったスマッシュ三人衆を援護するように収納状態のラブハートアローを取り出した。
「プリキュア!ロゼッタリフレクション!」
そして彼女はラブハートアローを使いクローバー型の防御障壁を出現させ、二つに分けて扇の形に展開。それを振るって風を起こし、砂埃と共に巻き上がった猛風を受けたメタルビルドは思わず動きを止め、腕で顔を覆って一瞬防御の姿勢を取った。
「今です!」
「行くぞライ!真直郎!」
「あぁ!」
「おっシャア!行くぜ行くぜ行くぜ!!」
その一瞬の隙を突いた三人はメタルビルドの周りを三方に囲み、同時にエネルギー波を放とうと構える。
「無駄だ」
『ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!』
だがメタルビルドは落ち着いた様子でドライバーを回し、脚にエネルギーを蓄積させる。
『Ready go!オーバーフロー!ヤベーイ!』
「「「ぐわぁぁぁァァッッ!?」」」
そして必殺技を発動させると、メタルビルドの右足が紫色のオーラで染まり。そのまま回し蹴りに合わせて戦車の履帯状エネルギーを飛ばし、三人を一斉に薙ぎ払う。
「皆さん!」
その一撃で変身解除に追いやられ気を失った三人に意識が行き、ロゼッタに隙が出来たのをメタルビルドは見逃さなかった。
「さぁ、来てもらうぞ」
メタルビルドがそう言いながらロゼッタに拳を振るおうとしたその時、何者かが横から攻撃を繰り出し、メタルビルドは咄嵯に身を屈めて避ける。
「和也さん!」
ロゼッタから距離を取って自身に殴りかかった人物……迷った末にスクラッシュドライバーを装着したまま此処へ来た和也の姿を見たメタルビルドは、少し驚いたような表情を浮かべた。
「グリスか……随分遅かったな。尻尾を巻いて逃げたのかと思ったぞ」
「──俺を置いて、何楽しいことしてんだよ。コラァ……」
『ロボットゼリー!』
余裕な笑みを見せるメタルビルドに対し、スクラッシュゼリーをドライバーに装填して仮面ライダーグリスへと変身した和也は、倒れている三人を見ながらツインブレイカーを出現させた。
「ビルドに化けるたァ……胸糞悪りィ奴だな!」
そう言うとツインブレイカーをメタルビルドの胸に向けて直撃させる。だがメタルビルドはビクともせず、傷一つない装甲を見ながら仮面の下でほくそ笑みを浮べた。
「なっ…!」
「ふッ!」
メタルビルドは動揺するグリスの顔を殴る。振り払われたグリスは地面を転がされながらも直ぐに起き上がり、ロックボトルをツインブレイカーに挿し込む。
『シングル!シングルフィニッシュ!』
ツインブレイカーから放たれた鎖はメタルビルドの体に巻き付いて拘束し、動きを封じた所でグリスは敵を追撃すべく突っ込んでいく。
「お前ごときが、俺を止められると思うか!」
しかしメタルビルドはあっという間に鎖を引き千切ってしまい、ドライバーのレバーを勢いよく回しながらエネルギーを蓄積させる。
『Ready go!オーバーフロー!ヤベーイ!』
「ぐわぁぁぁぁぁーーーッ!」
前蹴りと共に放たれた履帯状エネルギーは前方にいるグリスのいる所まで伸ばされ、それを喰らってしまったグリスは吹き飛ばされて変身が解けてしまう。
「和也さん!」
倒れ伏した和也を見て駆け寄ろうとするロゼッタに、メタルビルドは背後に周り込んで腕を掴んで阻む。
「離してください!」
「あ、ありす……」
「こいつを助けたければ、ホワイトパネルを政府官邸まで、お前が持って来い!」
メタルビルドはロゼッタの腹部を殴って変身解除させながら、人質解放を条件に和也へ要求を突きつける。
和也は気絶させられたありすを担いだメタルビルドを追いかけようと起き上がろうと試みるが、先程の攻撃で負ったダメージが大きく、思うように体が動かなかった。
そして、降り始めた雨水に冷たく叩きつけられながら、和也の到着を心の奥底で信じながら勇敢に立ち向かって無様に地に伏せたガイ達三人衆と、ダウンフォールに連れてかれたありすを、ただ見ている事しか出来なかった。
「ガイ、ライ、真直郎……ありす………うわぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!」
自分が早く此処へ来なかったことへの後悔。
ありすを救えなかったことへの後悔。
ありとあらゆる不甲斐なさに、自分へ対する怒りや悲しみ。様々な感情が入り乱れて発狂したように叫び、雨の中、地面に何度も頭を打ち付ける。
そんな和也の姿を見て嘲笑うかの様に、雨は一層激しくなっていった。
◆ ◆ ◆
その頃、石動総一郎の研究ラボにて。
「あ〜ぁ、話がわかんねぇ〜!」
「私も〜!」
晴夜と総一郎の話に頭がついて行けなくなった龍牙とレジーナは席を外し、隣のリビングで休憩していた。
「何かわかりました?」
「どうやらファントムリキッドは、三年前の新世界誕生の際に出現したようだ」
真琴の問いに対して総一郎は、画用紙に絵を描いてわかりやすく説明する。
──かつて、エボルトが拓人と争った際にパンドラボックスから偶発的に放出されたネビュラ光線は、光線を浴びた晴夜達の細胞に含まれているDNAを変化させてハザードレベルを半強制的に上昇させ、身体の構造を実質的に怪人と似た体質へと変貌させる力を持っていた。
そして同じ様にパンドラボックスから放出されたネビュラガスは、人体の構造をDNAレベルで書き換えるネビュラ光線と違い、人体が取り込むと特殊な細胞分裂を引き起こす効果を持っており。その細胞変質によって人間をスマッシュへと変化させる性質を持っている。(また人の体には、個人個人でネビュラガスに対する抵抗値が存在しており、それらの値を『ハザードレベル』として計測することが可能となっている。)
「そしてトランプ王国に渡ってパンドラボックスを取り戻したエボルト達は、崩壊したトランプ王国から遠く離れた大陸で、大量に放出させたネビュラガスを使ってロストボトルの開発を行っていたんだ」
人間界で桐ヶ谷巧に行わせていたトランスチームシステムとフルボトルの成分収集と同時進行で、トランプ王国にてエボルトが真の姿を取り戻すのに使うエボルドライバーの修復とブラックロストボトルの研究を桐ヶ谷拓人にさせていた。
だがロストボトルの研究を行う際にネビュラガスを使用する際、ネビュラガスによる大気汚染と土壌汚染問題が発生する都合上、崩壊したとはいえキングジコチューがいるトランプ王国を実験場として使うわけにもいかず。トランプ王国から遠く離れた所で研究を進める必要があった。
「そしてロストボトルの研究が行われた現地は、案の定というべきか……ネビュラガスによる大気と土壌の汚染が発生していて、その地に住む動植物に大きな影響が出ていたそうだ。
おそらくその時に放たれたネビュラガスが、人間界とトランプ王国の世界が融合した際にある場所へ密集されて。更に新世界創造時に発生したネビュラ光線を吸収した事で、より成分の濃い液体の状態となったのだろう」
「じゃあ、和也達が入った温泉が、ファントムリキッドだったって事?」
「そういうことだね。ネビュラガスやネビュラ光線の力を、より高めた成分を持つファントムリキッドを浴びていたから、和也君達は力を抜き取られても変身出来たんだ」
「その原理なら、もう一度変身出来るようにするには……ファントムリキッドのデータから抗体薬を作れば……」
「だが、ネビュラ光線を浴びたお前達以上に、ファントムリキッドの力は強い」
「あぁ。もう一度変身出来たしても、奴らに対抗するには……ファントムリキッド成分データからなるアイテムが必要だ」
総一郎の説明を聞いた晴夜は、ファントムリキッドに適応した抗体薬に加え、ダウンフォールに対応出来るアイテムの開発も必要だと理解した。
「だったら……俺で試せ」
すると声が聞こえ、振り向いた先にいたドアの前には、メタルビルドの攻撃で傷だらけになりながらも、此処までガイ達三人を連れて此処へ来た和也が立っていた。
「外に、あいつらもいる。頼む………」
「わかった」
「直ぐに行きます」
晴夜達は急いで和也に近づき、真琴と亜久里は外に居るガイ達三人の介抱に向かう。
これでアイツらも大丈夫だ、そう一安心した和也は膝をついて倒れそうになる。
しかしそれをマナと六花に支えられ、なんとか持ち堪える事ができた。
「酷い怪我……」
「かずやん、ありすは……?」
「悪い………連れ去られちまった……頼む、晴夜!」
それを聞いて驚くマナと六花だったが、それ以上に申し訳無さそうな表情を浮かべながら和也は晴夜の腕を掴み。ありすを助ける為ならば、メタルビルドへのリベンジの為ならばなんでもやってやると覚悟を見せながら、自分に力を貸してくれと懇願する。
晴夜にはそんな和也の頼みを断る選択を、持ち合わせていなかった。
Re.ドキドキ&サイエンス!After story
仮面ライダーグリス&キュアロゼッタ!不滅の心火! その3
おまけ
ビルドドライバー「ビルドの最強フォームはクローズビルド!」
タンクボトル「NTRやんけ〜!」
ドラゴンボトル「寝てから言いなよ」
タンクボトル「へぇ〜、そんな事言っちゃうんだぁ……病むわァ……」
その結果誕生したのが、メタルタンクボトルである(嘘)。
完